デコラのひとりごと。
TOP|←|→
目が覚めると頭上の窓に青空がみえた。 もくもくと白い雲。 夏なんだよなぁとしみじみ思う。 むくりと起き上がると窓の外にパノラマで 長崎独特の風景がみえた。 小学生の夏にも中学生の夏にもみた風景。 坂道だらけの長崎のまち。
従姉妹はもうとっくに起きていて さわやかな顔で「おはよう」と言った。 私もこの寝起きのぶっさいくな顔と寝癖の髪を どうにかしなくては、と階下におりた。 今日はお母さんに会える。
そもそも今回長崎に来たのは祖母の七回忌が行われるからで。 お昼頃に叔父の家に行くと、みんながもう揃っていた。 久々に見る母の顔。嬉しいやら照れくさいやら。 向こうの生活はどう?と聞かれて 危うく涙ぐみそうになるのを必死にこらえた。 心配だけはかけたくないもんね。 もうだいぶ慣れたしみんな良くしてくれるし元気だよ。 そう答えたのも嘘ではないし。
みんなでお経をあげてご馳走を食べて。 お墓参りに出掛けた。 おばあちゃんのお墓は最近たてたもので 私は初めて行ったのだけど。 郊外の高台にあるその場所は、広い海が遠くまで見渡せて 海の向こうにはおばあちゃんの故郷がはっきりと見えた。 こんないい場所で眠ることができて、おばあちゃん幸せだね。 みんな口々にそう言った。 それにしても炎天下。陰ひとつないコンクリートの上。 夏ってこんなに暑かったっけ??? みんなで汗だくになりながら坂道を降りて 帰り道にアイスクリームを食べた。
夜は夜で長崎中華街。和気あいあいと食事会。 お母さんも久しぶりに自分の兄妹に囲まれて嬉しそうだ。 今回の法事には小さな男の子の兄弟2人も来ていたのだけど 貸しきりの畳の間で、そりゃあもう大騒ぎさ。 昼間にしゃぼん玉したり仮面ライダーの人形で遊んだりしたけど 子供ってホント大変だなぁと思ってしまった。 なんというかもう、日本語が通じない(笑) いつか私もこんな大変な想いをする日がくるんだろうか。
食事も終わって。 みんなはタクシーで帰ったけれど 私と従姉妹は遠回りして帰ることにする。 何故だか彼女は元気がなくて。 元気のない彼女を見るのは私も辛くて。 せっかくこんな近くにいるのだから、少しでも力になりたいと思った。 いつもなら遠くてできないことも今日はできるかもしれないじゃない。 眼鏡橋に腰かけて、つれづれなく語る。 彼女の話をできるだけたくさん聞きたくて。 ぼんやりとした街灯のあかり。 さらさら流れる川のおと。 風がふいて柳がゆれる。 みんながしあわせになれますように。
元気なんだか元気じゃないんだかわからないまま家へ戻って。 夜はこれからと言わんばかりにまた語る。 昔読んだ漫画の話から最近起こった事件の話や戦争の話。 ほんとにもうよくそんなに話すことがあるよねってくらいに しゃべりたおす2人。でも私たちって昔からそう。 本当はお互いちょっとブルーな気分だった。それぞれの事情。 自分の気持ちをごまかし半分。でも楽しくて。 結局またしらじらと夜が明けるまで起きていてしまった。
でも正直、まだまだ足りないくらいなのだ。 私が私の言葉で 考えるよりも先に口から言葉を吐いて 心から笑う。 そんなあたりまえで簡単なことに 最近はとんと飢えていたのだから。
家を出た時には、やっぱり多少の後ろめたさがあって。 仕事を休むこととか。ダンナを置いてゆくこととか。 なんだかイロイロ。
長崎空港からバスに乗って長崎市へ向かう。 空港の近くは海。キラキラしていた。まぶしいくらい。
長崎駅でバスを降りて従姉妹に電話。 迎えを待っている間、駅前の通りをぼんやりと眺めた。 人がたくさんいて、でも私のことを知ってる人は 誰もいなくて。・・・・・解放感!!!
しばらくして現れた従姉妹は思ってたよりも ずっと元気な顔を見せてくれて、なんだか嬉しくなってしまった。 早速、駅のショッピングモールで買い物することに。 街はバーゲン。 誰かと一緒に買い物するのって久しぶり。 そうしてそれがとっても楽しいってことを思い出す。 これかわいい〜!これ安い〜! お互いのお気に入りをいちいち見せあって それいいねぇと色違いの服を買ってみたり。 あぁ。なーんて楽しいんだろ! つい先日まで落ち込んでた2人なのに、すっかり元気だ。
日が暮れてきた頃にグラバー園へ行った。 夜はライトアップされていて綺麗らしいよと聞いて。 ゆっくりと夜が始まってゆくのを感じながら それと同じくらいの速度で坂道をのぼった。 ベンチを見つけては座り込み、 暮れてゆく長崎の街並を眺めながら延々と語った。 昔から、語る話に尽きない私たちだから。
夏の夕暮れ。そして夜。 こんなふうに過ごすことに私は飢えていた。 こんなふうな時間や空気が私にはどうしても必要だったと 今さら気づく。
気がつけば、すっかり夜は深まっていて 広場のジャズの生演奏も終わってしまっていた。 それでも私たちの話は終わらなくて 閉園の時間になってようやく腰をあげる。 そういえば園内の石畳に2ヶ所だけハート型の石があって それを見つけると願いごとが叶うらしい。 出口までの道すがら、ちょっとだけ一生懸命探してしまった 悩み多き私たちである。 ハートの石は2つとも無事に見つけることができて。 そっと触って願いごと。 しあわせになれますように。
さて。グラバー園を出てもまだまだ帰りたくない。 今度は埠頭で真っ暗な海を見ながら語り合う。 語りながら元気になったり落ち込んだり。 でも最後にはふたりとも元気になってタクシーに乗った。 深夜2時のこと。
お家についてお風呂に入って。 体はドロドロに疲れていてすごく眠い。 それでもまだ足りないのか、布団の上でまたしゃべる。 窓の外には長崎の夜景。 自分ちからこんな綺麗な夜景が見れて羨ましいと思いつつ。 そうして、街が明るくなりはじめて。 ようやく安心したのか(?)私たちは眠った。
例の料理教室に行ってきた。 さすが地域の企画。 中学生からお年寄りまで勢揃い(笑) でもいろんな人と話ができて楽しかった(^−^)
料理教室なのだけど、料理を教えてくれる人はいなくて(!) あらかじめ用意してあったレシピを見ながら 全員で全員分の料理を作るといったかんじ。 ちょっとでもボーッとしていたら、 ただ見ているだけの人になってしまう(笑) とりあえずなにかに参加していようとケーキの分量量りに 参加していたら、ケーキの係にされてしまって メインのフィッシュ&チップスは知らないうちに 出来あがっていた。(」゜ロ゜)」
知らないおばあちゃんに話しかけられたり 今日初めてご一緒するお寺のお嫁さんとも 前からの友達のようにおしゃべりしたり。 なんだか視野が広がった感じがして かぶさってたカラやら気負いやら全部取っ払って 気がついたら以前の私になっていて ジェームズ(今日の講師?)やら中学生やら そこらへんの人だれかれ構わず話しかけていた。
すべてが終わった帰り道。 ふと、こんな夜に外を歩くのは久しぶりだと気づく。 4階の自分チを見上げると、そのさらに上には びっくりするくらいキレイな星空が広がっていた。
「これからだ。きっとこれから」 自分にそう言い聞かせ、階段をのぼった。
今日はなんだか元気です。 というのも週末から3日間、長崎に行くのです(^−^) 大好きな従姉妹にも会えるし、ちょっと羽を伸ばしてこようと思います。 楽しみなことがあるせいか、テンションも高くて 今日は1日、私らしく過ごせたような気がします。 長崎からまたパワーをもらってこよう!
ところで、うちのベランダに鳩が子供を生みました。 いや、いつのまにか生んでました(泣) うちにはベランダがふたつあるのですが、 ひとつは洗濯物干したり花の鉢植えがあったりするから よく外にも出るんだけど、もひとつは滅多に窓すら開けません。 卵の時期も雛の時期もあっただろうに、 気がつけば中途半端にでかくて全然可愛くない鳩の子が2匹・・・。 でも、ついつい朝昼晩と窓を覗いて見てしまう(笑) 巣立ちの日は近い???
寝相が悪い、ということは先日も書いたのですが ダンナに言わせればもう、それは夢遊病に近いものがあるそうで。 昨夜はあまりにも寝床が定まらず、 (自分の意志で)クーラーの部屋のソファに移動して 寝てたんですが、朝早くにダンナが血相を変えて探しにきました。 夢遊病の私が外に寝てたらどうしよう???と 真剣に心配したそうです。ンなわけあるかい! ていうか、私が早起きして家事をしてるとは微塵も思わなかったのか? (確かにありえないけど・・・)
でもそういえば、小学生の頃の友達が 朝起きたら家の前のベンチにタオルケット1枚で寝てたという 話を聞いたことがあるっけな? ・・・・・私も気をつけよう。(いや、ありえないけど)
なにが悪いのか。 なにが問題なのか。
「やらされてる」という意識が強いこと。 そのことにふと気づいた。 多分、それがひどく苦痛なんだと思う。毎日。 もともと仕事は好きなほうだと思う。 前の会社では休日出勤もそれなりに楽しんでたんだよね。 ひとつは「好きな仕事を辞めさせられて」 「別の仕事をやらされてる」という意識があるのかな。きっと。 だから、毎日が憂鬱なのかも。 とにかく毎日ガムシャラに働いているけれど、 時々、自分が彼のところにお嫁にきたのか 彼の両親のところに働きにきたのかわからなくなる。
「わからせたい」という気持ちが強いこと。 価値観の違う人にいくら言ってもわからないのに わかってもらおうとして、伝わらないとそれが悲しい。 それはちょっとしたことなんだけど。 ふとしたひとことにも。 「私」というものを知っている人が(彼以外に) ここには誰もいない。きっとそれがひどく悲しいのかも。 時々、自分というものがわからなくなる。 「私は私だ」と胸をはっていられたらどんなにいいだろう。
友達がいないことが淋しいわけじゃない。 それはひとつの口実に過ぎない。 いっそ、彼とふたりきりでまったくの未知の場所にいたほうが きっと気分は楽なんだと思う。
ただ、今の場所はなにもかもが決まりきっていて できあがっていて、そこにうまくまじわれない私がいる。
夏の夕暮れ、空の色が変わってゆくのを見るのが好きだった。 陽射しの強さと日陰に吹く涼しい風ひとつにも心を揺らすことができた。 でも今はそういう日常のささいな感動も見つけることができない。 こんな自分はあまり好きじゃない。
前の仕事が好きだった。 前の環境ではみんなが「私」をわかっていた。
たぶん、いつまでもそこにこだわってる 私がいちばん悪い。
ごめんなさい。すべてに。
町の新聞に気になる広告があった。 国際交流で来ているイギリス人が イギリスの郷土料理「フィッシュ&チップス」の 作り方を教えてくれる料理教室が来週行われるらしい。
こういうのに参加すれば、友達とかできるんではないの? なんてことを、ふと思いついた。 ダンナも「行ってくれば?」としきりに勧めてくる。 うーん。友達できるなら行ってみたいな。 でもな。まわりはグループばっかりでひとりでポツンと なったらイヤだな。どうしよう。どうしよう?
以前の私なら、こんなのひとりだろうがなんだろうが へのかっぱな人だった。どんどん行ってしまう人だった。 ところがこちらに来てからというもの、 なんというか内気になってしまってダメなのだ。
そんなこんなで悩んでたときに、ふと思いつく。 お寺のお嫁さんを誘ってみよう。 お義父さんの友人が住職をやっているお寺のお嫁さん。 彼女は私よりもひとつ年上で、私よりも少し前に この町にお嫁にきたらしい。 ダンナさんの職業柄、あまり外を出歩くこともなく やっぱり友達ができなくて淋しい想いをしていると聞いた。 先日、お店に買い物に来てくれて、その時に 「今度、遊びましょうね」と電話番号を交換したのだけど なかなかきっかけがなくてまだ連絡はしてない。 でも、これは良い「きっかけ」なんじゃないのかな? それにフィッシュ&チップスといえば、 先日の新婚旅行のロンドンで食べてきたばかり。 思い出の料理、でもあるし・・・・・。 これは、もう誘うしかないのかも知れない。
なんてことを思いついたのは数日前。 でも、やっぱりなんとなく電話をかける勇気がなくて。 そのままになってたのだけど。
今日も雨は降ったりやんだり。 でも何故か私が外に出るときには 太陽が顔をみせる。 そうだ。私ってば晴れ女なんだよな。 ちょっとしたことなんだけど、そう思ったら妙に嬉しくなってきて。 部屋に西日がさしこむ夕方頃にはむくむくと元気がわいてきた。 今だ!と思う。 明日になったらきっともうできないような気がして。 思い切って受話器を手に取った。
彼女は喜んでOKしてくれた。 あとは明日、申し込みをするだけだ。 定員オーバーしてなければいいな。 楽しみがひとつ。 勇気、出してみてよかった。
今日は七夕。 しかしあいにくの雨。 なぜだか毎年、七夕には雨が降ってる気がする。 でも、鹿児島の七夕は旧暦で8月7日にやることが 多いそうだ。7月にやるとこもあるみたいだけど。 というわけで、まだまだイケると思って 今日は店先に飾る七夕飾りを作ったりした。 なんだか懐かしかった。 昔はいろいろ作れたけれど、案外覚えてないもんです。 とりあえず、願いごとはまだ書いてないけれど。 今夜にでも考えてみようかな。
落ち込んでいても仕方ないので 最近は本ばかり読んでいる。 中学生時代に大好きだったシリーズものの小説を ひっぱりだしてきて。 自分は読書家だと思っていたのは昔のことで。 ここ数年はとんと読んでいなかった。 たぶん、現実世界のほうがずっと興味深くて 楽しかったから。 でも、やっぱり本っていいな。おもしろい。 その世界にどっぷりと浸ってしまうと 本を閉じた後もしばらくはぼんやりしてしまう。 その時間は、なにもかもを忘れていられる。
なかなか時間はないけれど、 これを機にまたいろいろ読んでみよう。
decora
|