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ここは、なかはられいこ（川柳作家）と村上きわみ（歌人）の コラボレーションサイトです。（ゲスト有り）
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| 2004年01月30日(金) | 村上きわみ |
大きいおたま/小さいおたま/（おたまなし）リケンのわかめスープの鍋に 庄司一也
《１月17日》
徳用折り紙（200枚入）とブロッコリーとバスマジックリン購入。
帰宅すると郵便受けに紙片が差し込まれている。
良いあらせいとう、悪いあらせいとうを束ね *
まただ。
このところ毎日のように、なにかしら書かれたメモが差し込まれている。
良いあらせいとう？
《１月18日》
そういえば、昨日は大きいおたまを買うはずだった。
肝心のものはいつも失念される。
気をとりなおし、
カステラのレシピをにらみながら卵白をホイップするも、挫折。
そもそも忍耐というものに欠けている。
思い立って郵便受けをのぞくと、またも紙片が。
（技をでかすという言い方はあるか、ポール？） *
そんな言い方はない。だいいちわたしはポールではない。
《１月19日》
むかしの恋人から電話がくる。
といってもロマンティックな話ではないのだった。
彼が手掛けている企画について、なにがしかの感想を述べよという。
いきなりそんなことを言われても困る。
そもそも“ノルウェーにおける避妊のありよう”についてどんな感想をもてばいいのか。
「むかしのお前はそんなじゃなかった」と元恋人が言う。
そんなこと、知ったこっちゃない。
今日の紙片。（そろそろ慣れてきた）
ええい神妙にお縄につけ *
言われなくてももうじゅうぶん神妙だ。
《１月20日》
朝から微熱。
喉猫もらっきょうもバイオリン族も *
そしてわたしも、と書き加える。
《１月21日》
体温上昇。
大きいおたまのことばかり考えている。
買い物には行けそうもない。
束ねたものを束ねたものを束ね *
もうこれ以上は。
《１月22日》
38.5°
束ねっぱなし、断を下さないこと *
もうとっくに。
《１月23日》
40.3°
番号はつけっぱなし、結論を持ち越すこと *
まだ持ち越せというのか。
《１月24日》
41.0°
水ばかり飲んでいるせいでからだの輪郭がゆるんでいる。
こわい夢をエンドレスでみていた。
夢の中のわたしはむごいことをいくつもする。
そういうわたしのことを、わたしは嫌いではないのだった。
夢のなかのむごいわたしを、現実のわたしが擁護する。
これは単にバランスの問題ではない。
表は組みっぱなし、先延ばしすること *
馬鹿げている、と、言ってしまえばなにもかも馬鹿げている、けれど。
《１月25日》
紙片がとぎれる。
《１月26日》
今日も来ない。熱、さがらず。
《１月27日》
40.5°
うわごとばかり言っていると、すこしだけ自分がいいものになった気がする。
まずここにからだを置いて いつだってあなたが望むものならぜんぶ 村上きわみ
＊印はすべて庄司一也の詩より抜粋
| 2003年12月20日(土) | 庄司一也 |
よく振ってあなたに返す秋の海 なかはられいこ
| 所長 | 次長 | 課長 | 係長 | 担当 |
| × | 西脇 |
返 却 通 知 書
平成15年２月30日
社内整理番号５９０７号
発送処理番号２３３６号
（株）アース＆エンヴァイロメント商会
代表取締役社長 風間 瞬一郎 様
（有）黒沼探偵事務所
所長 大貫 密
貴社からの借用物につきまして、以下の通り
返却いたしますのでご通知申し上げます
記
一．借用物等
１．借用物名称：秋の海
２．借用条件等：ａ．借用時と同等の色、艶、張り、反りを保持すること
←註：餌については、××社製等の普及品ではなく
少なくても○○社程度以上の高級ブランド品
とし、環境に配慮した安全な物を用いること
ｂ．いぢめないこと
←註：勿論、＜愛の証明＞には決して用いないこと
ｃ．いかがわしいこと（別紙Ａ参照）には用いないこと
ｄ．万一借用物を損傷させた場合、損害保障安全協会が
その査定に当たり、当社がその全額を負担すること
ｅ．浴衣と化粧まわしを新調すること
←註：鯖の山と同程度のものが望ましい
３．借用期間等：平成14年２月31日より、平成15年２月30日までの一年間
ただし、『海の記念日』については、これを除く
←註：いわゆる＜また貸し＞も認めるが、その場合には
貴社にあらかじめその旨を通告し許可を得ること
二．返却方法等
１．返却手段等：梱包は修正スカラトル様式ひだひだレース添えを用いた
（梱包図←ジャコビニ展開図に依るもの、別紙Ｂ参照）
（梱包材料←サムソニアンＰＺ２号企画、別紙Ｃ参照）
三．補足事項等：梱包前には、よく振っておきましたので御安心ください
←註：このため当社が大混乱に陥ったことを付記します
振ったらあんなになるとは、誰が予想出来たでしょうか？
いや、誰も出来なかったに違いないことだなぁ。
担当のわたくし西脇は、ただちに六ケ月の減俸を命じられました。
そりゃ係長の鴻池さんがおっしゃるよーにだ、
事前の情報収集を怠怠怠怠怠ったこと、は認めます。
♪ヤブサカべっちゃか、ちゃかちゃかちゃー、アソレ♪
ははは、わたくし西脇、少々こわれかけてきております。
でもですね、度を過ぎちゃいませんか？あいつは。
あいつは。
あついは。
あついは。
汗がね。高坂くん、れーぼー入れてちょーだい。
で、何の話でありましたか？
そうそう
振ったんですよ、あいつを。《秋の海》を。
そしたらまぁ出るは出るは出るは出るは出るは出るは出るは出るは。
そしたらまぁ出るは出るは出るは出るは出るは出るは出るは出るは。
そしたらまぁ出るは出るは出るは出るは出るは出るは出るは出るは。
ははは、コピー＆ペーストしてみました。意味ないな。
最初の方では当然お決まりのものが出てきますよね。
「腐乱死体」「錆びて朽ち果てた砲身」「恐山のお札」「散骨灰」
禍々しいけど禍々しいもの。これはまぁある程度、覚悟はしてました。
経理の結花ちゃんが、出てきた「使用済みコンドーム」に
思わず篠田課長を振り返った、なんてご愛嬌も含めてですが。
で、次は＜けさらめ＞。
脱力ですよ、風間さん。←って相手は社長、社長！！
次長の男澤さんが冷笑してましたです。
お前さんの自己模倣だろ？って。
それからがもうもうもうワカメでした。
順番に＜キングギドラのしっぽ＞＜百度の恋＞＜群青だったおともだち＞
＜黄金垂直告天子＞＜いったんもめん＞＜眠いおかあさん＞
ここらあたりはまぁ許せるとして、いきなり
＜九つ挙げよ＞とか、＜二十字以内で述べよ＞って言われてもねぇ。
＜ビル、がく、＞＜おやすＰ−＞＜梟でいっぱ＞で混乱して、
＜夏ですね＞って確認されて。
＜が）黒煙（でき＞とか、＜う よいこには＞って何なんです？
＜たばねても＞＜ややこしい＞＜たんぽぽまみれ＞が一行で出てくるし
＜無敵＞が二つまろび出てきましたが、わたくし西脇、鉄棒の味方です。
果ては＜草原を取り替えあって＞＜柑橘系あたりの路地＞も顔を出し
これはちょっちマニア向けの話題ですが
＜最初の雪は額で受ける＞まで出てきましたガーナミルクチョコ。
ふうふう。高坂くん、れーぼーほんとこ入ってる？
で、ここからはわたくしの個人的な見解なのですが、
所内規定では、通知文書に私見を交えることを禁じているのですが、
《秋の海》はですね
やっぱ振ってはいけないな、と思いました。
以 上
大きいおたま/小さいおたま/（おたまなし）リケンのわかめスープの鍋に 庄司一也
