薔薇園コアラの秘密日記

2003年02月13日(木) 黒こげクッキー

 昨日、ふてくされた顔で清二が帰ってきた。帰りのタクシーの中で、理人と大喧嘩したらしい。清二も頑固者だから、なかなか機嫌が直らない。

 「じゃぁ、ママがクッキー作ってあげるよ」
たまたまバターの使いさしが残っていたので、冷凍保存するつもりで、クッキー生地にしておいたのだ。
(普段はめったにそんなことはしないんだけどね。)

 夕食前は慌しいからご飯の後でね、と思っていたけど、朝見逃した「まんてん」が入り、「ためしてガッテン」が入ると、そんな気も起こらなくなった。
そのあとは、宿題ラストスパートで、各自就寝。
 寝る前にも、クッキー作ってー、なんて清二がぐずったけど、明日明日となだめて、ベッドに就かせた。

 今朝、出掛けに清二が、
「帰ってくるまでにクッキー作っておいてね」
と執念深く念を押していったので、けなげな清二のために、昼のうちに焼いておいた。

 で、タイトルの通り、焦がしてしまった。
一枚の天板では焼ききれないので、第二弾のクッキーをオーブンに入れた。夕方外出するので、焼きながら早めに夕食を作っていた。
 ちゃんとタイマーをかけていたけど、焼き具合を見ることもなく、すっかりほったらかしにしてしまった。
 オーブンを開けて、びっくり。こんがり茶色のビタークッキー・・・。

 まずいことに、第一弾目のクッキーが仕上がったとき、
「次のもあるから、ちょっとぐらい食べてもいいかな」
なんて思ってつまみつまみしているうち、だんだん止まらなくなってしまって、半分近く私の胃袋の中におさまってしまっていたのだった。
 あんなに食べるんじゃなかった。親のくせに。はぁ〜、反省・・・。

 あーあーあー、清二、理人、ごめんごめん・・・・・・。
焦げたのに、ヌテラ(ヘーゼルナッツクリーム)塗って、甘くしておいたからさ。

 でも、こういうときでもいつも、
「ママの作ったのは何でもおいしいよぉ」
といってくれるんだ。うちのボーズたちは。



2003年02月12日(水) ログハウス風のパン屋さんで

 今日所用で昼過ぎからずっとワルシャワの中心街にいた。
 きれいな冬晴れですこんとした青空だけど、外気は−3℃。まだまだ寒さが肌を突き刺す。
 一人で街中をうろうろ、カフェでぼんやり、ブティックのバーゲンを物色。久々に新世界通りなども歩いて楽しい午後だった。

 街の中心部から我が家に帰る途中に、電飾チカチカでログハウス風のパン屋さんがある。おいしいパンが置いてありそうな雰囲気。前々からずっと気になっていたのだ。
 ただ問題は、交通量の多い幹線道路沿いにあるため、駐車場がない。面倒だけど、裏道をぐるっと遠回りして裏に車をとめないといけない。
 
 さきほどカフェで頼んだトマトスープにパンがついていなかったので、ちょっと小腹がすいている。何だか無性においしいパンが食べたくなった。
 たまには一人で新しい何かを開拓していくのも楽しいし、初めてそのパン屋に寄ってみることにした。今日は時間的な余裕もある。

 ドアを開けてみると、お店の外装の割には、内装は拍子抜けするぐらいにどうってことの無いシンプルで地味なしつらえだった。金網のパンかごの棚が売り場の中央にドドンとあり、周りの壁際には、こまごまとした食料品も売っていた。
 日本にあるような、田舎のお爺さんが足を踏み入れるのに一旦躊躇してしまいそうなほどの、鏡張りに金の手すりがぴかぴかの、異常に明るい横文字よろしくハイカラパティシェ・・・というのとは程遠く、色使いを抑えたいかにもポーランド、ってな感じ。

 ぱっと見渡したところ、白い丸いパンは売り切れてほとんどない。せめても5、6個の残っているパンを袋に入れようと思ったら、な、な、なんと、どのパンも木っ端のように堅い。
 うーむ、いくらなんでもさすがの私(?)もこれを買う気はしなかった。
 ライ麦パンの大きな塊はあったけど、ボーズたちは好んで食べないので、買い控えた。
 パン棚の周りをぐるぐる回って考えあぐねた挙句、リングシューの砂糖掛けを二つ買った。

 レジにはお店の老夫婦が仲睦ましく座っており、愛想よくお金を受け取った。
 そこに、家業を継いでいるらしい息子が、皿に盛ったファヴォルキというお菓子(薄いビスケット生地を焼いて砂糖をかけたもの)を老夫婦のおつまみとしてもってきた。
 お爺さんのほうが私に、
「まだ暖かいから食べて御覧なさい」
と言う。私はちょっと微笑んで遠慮なくひとつつまんだ。
 本当に暖かくて、さくさくおいしかった。

 めぼしいものはなかったけど、きっと、このパン屋さんは、おいしいパンを焼くのだろう、と思った。ただ私がお店に行ったときは、ちょうど焼きたてパンが売り切れで、かごに残っていたのは、前日か前々日の売れ残りのパンだったのかもしれない。
 今日たまたまいったときに私の欲しいパンがなかったからと言って、この店はダメだ、もう行かない! と一見の客が決めてしまうには忍びない、と思った。
  
 客商売の勘でわかるのだと思うけど、私の商品を見て回る態度から
「お店は気に入ったんだけど、今は買うものがないわ、どうしよう・・・」
と言うのが伝わったのであろう。
店番をしている老夫婦の無言の笑顔には、
「今度またパンがあるときに買いに来てくださいね」
と言った表情のしわが刻み込まれていた。

 お店を出て、車のカギをバックから出しながら、ふと思った。
 あの店の老夫婦は感じのいい人たちだったし、黙って店を去らずに、せめて何か一言でも、
「いつ焼きたてのパンが売り場に並びますか?」とか、「週末も営業していますか?」とか月並みだけど、相手とコミュニケーションを取るべきだったかな、とちょっと反省した。

 もうそれぐらいは話せるほど長くポーランド語を習っているというのに。物怖じしないで、こちらからどんどん現地の人とコミュニケーションを取るように心がけなければ・・・。
 
 ドイツではできたことが、なぜポーランドではできないのだ。
 がんばれ、祐子・・・。



2003年02月11日(火) 音楽鑑賞会 ギタートリオ

 今日、日本人学校で音楽鑑賞会があった。
 今回の演奏者は、ギタートリオ・アルヒェ。ワルシャワショパンアカデミーの卒業生で、プロとしてポーランド国内外で活躍中だそうだ。

 アルゼンチンタンゴをはじめ、ピアノ曲をアレンジしたものや、オリジナルの曲など、8曲。
 子どもたちは、ちんと澄まして最前列に座り、最後まで熱心に聴き入っていた。音楽の授業で奥住先生に事前に手ほどきをしてもらった曲もあり、ピアノとギターではどのように違って聞こえるか、おのおのがやわらかな耳で聴き分けていた。

 夕食時に、子どもたちと音楽鑑賞会について話し合った。
 それぞれ印象に残った曲を口ずさんだり話したりした。
 私が一番気に入ったのは、「カリンバ」という指ではじく特殊な楽器を使った、アフリカのリズム曲。
 このトリオのマルチンさん作曲のオリジナル曲だそうだ。
 
 カリンバは、昔、霊を呼んで死者とお話をするときに使われたという。
 あのままずっと聴き続けていたならば、なるほどあの脳の髄に訴えるように響く独特な音階と音色は、本当に別の次元とトランスできるような気がした。

「ね、死んだ人とお話できるとしたら、誰とお話してみたい?」
と、子どもたちに聞いてみると、二人は声をそろえて、
「エフィニー!」
と、すかさず答えた。
 エフィニーとは、ドイツに住んでいたときに飼っていたシマネコのこと。
 ちょうど二年前、こちらに引っ越す直前、ネコの不治の病で死んでしまったのだ。
 子どもたちがあまりにもかわいげのあることを言うので、思わずまぶたに涙が浮かんでしまった。

 コロンパロンポロンコロンパロン・・・・・・。
 本当にカリンバが霊を呼ぶ道具だったらいいのにね。



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祐子 [MAIL]

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