娘のたまを寝かしつけるのに毎晩苦労している。一日中保育園に預けられているので、6時にお迎えされて、晩ご飯を食べて、お風呂に入って、そこからが母親と遊べるゴールデンタイム。「良い子は寝る時間」の9時を過ぎた頃からエンジンがかかり、「ねんどする」「おうまさんする」「おうちおうちする」「えほんよむ」となる。
10時半を過ぎると、無理矢理布団に寝かしつけ、子守話を聞かせると、親のほうはうとうとしてくるのに、たまはますます目が冴えて起き上がり、また遊び始めてしまう。ようやく寝かしつけに成功したときには、疲れて一緒に寝入ってしまい、締切前なのに10時間睡眠を取り、翌朝になって、「しまった! 昨夜のうちに仕上げるはずが……」と青ざめる始末。
寝かしつけに効きそうなことは、いろいろ試してみた。熱めのお風呂に長めに入ったり(たまは子どものくせに熱い湯に強く、親が先にゆでだこになる)、人形を寝かしつける遊びをさせたり(布団に誘導するには効果的)。古典的な「ひつじが1匹、ひつじが2匹……」もやってみた。数えるだけだと芸がないと思い、「ひつじが1匹、ぽーんととんだ。ひつじが2匹、くるりととんだ。ひつじが3匹、ころんでとんだ……」と変化をつけ、途中で「そろそろ寝たかな」と中断して顔をのぞきこんだところ、「ひつじ、どうなったの?」と目をぱっちり見開いて聞かれた。どうやらいつもの子守話のひとつだと思っていたらしい。
百匹のひつじの百種類のジャンプを考えてみよう、という頭の片隅にあった計画が急浮上したのは昨日。目の前にやらなきゃいけないこと(昔は試験勉強、今は締切前の原稿書き)があるのに、すぐに取りかかる気分になれず、普段しないこと(昔はジグソーパズルの箱を引っ張り出してきた)をしたくなる。それで、魔が差したように、「ひつじが百匹」のことを思い出したのだった。
せっかくだから、数え歌っぽく、それぞれの数字にちなんだ理由や描写でジャンプさせようと考え、やりだしてみると、気分転換(あるいは現実逃避)のつもりが、一日がかりになってしまい、日をまたいで今日になっても「42匹目のひつじ、夜逃げだと、子どもに聞かせるにはまずいか」などと唸り続け、新聞に目を通すと、「二階建て」「三角屋根」「二重飛び」などの数字が入った単語が目に飛び込み、そうなると、辞書を引きたくなり、またしても一日費やしてしまった。
もっといいものがあれば差し替えたいものもあるものの何とか百種類のジャンプがそろい、完成披露することに。子守唄っぽいメロディもつけて、「いちばんめのひつじは いちばんぼ〜しみつけて と〜んだ〜」(詩では「ひつじ」で止めたけえど、歌うと「ひつじは」となった)と10匹目まで歌ってみると、「おもしろい」とつかみはいい感じ。うれしくなって、ひつじを飛ばし続けると、「13びきめのひつじは」のところで突如、「あなた!」とたま。以後、「14ひきめのひつじは」「あなた!」「15ひきめのひつじは」「あなた!」……。わたしが四苦八苦して考えた歌詞は、「あなた!」の一言で片付けられてしまった。絶妙なタイミングで「あなた!」が決まるのが快感なのか、たまは身をよじって大受けしながら、「ママ このうた おもしろいね。どこで おぼえたの?」。ガックリ。ママは寝込みます。
子守話48 ひつじが百匹
1ぴきめのひつじ いちばんぼしみつけて とんだ 2ひきめのひつじ にかいのまどから とんだ 3びきめのひつじ さんかくやねのうえから とんだ 4ひきめのひつじ よんほんあしふんばって とんだ 5ひきめのひつじ ごひきごぼうぬきで とんだ 6ぴきめのひつじ ロケットみたいに とんだ 7ひきめのひつじ ななほしてんとうみつけて とんだ 8ぴきめのひつじ はちまきしめて とんだ 9ひきめのひつじ きゅうかんちょうおいかけて とんだ 10ぴきめのひつじ じゅうじのほうがくに とんだ
11ぴきめのひつじ じゅういさんこわくて とんだ 12ひきめのひつじ じゅうにがつのクリスマスに とんだ 13びきめのひつじ いちみとうがらしからくて とんだ 14ひきめのひつじ いしころですべって とんだ 15ひきめのひつじ じゅうごやおつきさんみて とんだ 16ぴきめのひつじ いろをぬられて とんだ 17ひきめのひつじ いないないばあして とんだ 18ぴきめのひつじ いちかばちかで とんだ 19ひきめのひつじ ジュークボックスでうたって とんだ 20ぴきめのひつじ にじゅうとびしながら とんだ
21ぴきめのひつじ にほんいちたかく とんだ 22ひきめのひつじ ニンニンにんぽうつかって とんだ 23びきめのひつじ ににんさんきゃくで とんだ 24ひきめのひつじ にしのそらまで とんだ 25ひきめのひつじ にごったかわこえて とんだ 26ぴきめのひつじ ふろがつめたくて とんだ 27ひきめのひつじ ふなつきばのうえ とんだ 28ぴきめのひつじ にわとりおいかけて とんだ 29ひきめのひつじ にくやさんこわくて とんだ 30ぴきめのひつじ さんじゅうそうひきながら とんだ
31ぴきめのひつじ サイコロなげて とんだ 32ひきめのひつじ サニーレタスばたけを とんだ 33びきめのひつじ みみかじられて とんだ 34ひきめのひつじ さんじゅうしきどりで とんだ 35ひきめのひつじ サンゴしょうまで とんだ 36ぴきめのひつじ さむくてこごえて とんだ 37ひきめのひつじ みなみかぜにのって とんだ 38ぴきめのひつじ サンバをおどって とんだ 39ひきめのひつじ さくらさくはるに とんだ 40ぴきめのひつじ しじゅうからおいかけて とんだ 41ぴきめのひつじ よいしょこらしょと とんだ 42ひきめのひつじ しにものぐるいで とんだ 43びきめのひつじ よみちがこわくて とんだ 44ひきめのひつじ ししまいかぶって とんだ 45ひきめのひつじ よこむきになって とんだ 46ぴきめのひつじ しろいおしろのうえ とんだ 47ひきめのひつじ よなかにこっそり とんだ 48ぴきめのひつじ よわむしのくせに とんだ 49ひきめのひつじ しくはっくして とんだ 50ぴきめのひつじ ごじゅうのとうまで とんだ
51ぴきめのひつじ こいのぼりにこいして とんだ 52ひきめのひつじ ごじゆうにといわれて とんだ 53びきめのひつじ ごじゅうさんつぎまわって とんだ 54ひきめのひつじ ゴシゴシあらわれて とんだ 55ひきめのひつじ ごうごうあらしのなか とんだ 56ぴきめのひつじ ゴロゴロかみなりなって とんだ 57ひきめのひつじ こなゆきまうなか とんだ 58ぴきめのひつじ ごはんのゆめみて とんだ 59ひきめのひつじ ごくごくふつうに とんだ 60ぴきめのひつじ むれからはなれて とんだ
61ぴきめのひつじ ろくちょうめのいちばまで とんだ 62ひきめのひつじ ろくにみないで とんだ 63びきめのひつじ ムササビみたいに とんだ 64ひきめのひつじ むしばがいたくて とんだ 65ひきめのひつじ ろっこつケガして とんだ 66ぴきめのひつじ ろくろっくびにびっくりして とんだ 67ひきめのひつじ むなさわぎがして とんだ 68ぴきめのひつじ ロバとかけっこして とんだ 69ひきめのひつじ ロックのリズムで とんだ 70ぴきめのひつじ なわばしごつかって とんだ 71ぴきめのひつじ なないろのにじのうえ とんだ 72ひきめのひつじ なにくわぬかおして とんだ 73びきめのひつじ なさけないかっこうで とんだ 74ひきめのひつじ ななしのかかしと とんだ 75ひきめのひつじ しちごさんうれしくて とんだ 76ぴきめのひつじ なむあみだぶつとなえて とんだ 77ひきめのひつじ なぞなぞのこたえがわかって とんだ 78ぴきめのひつじ なっぱはっぱさがして とんだ 79ひきめのひつじ ななくさたべながら とんだ 80ぴきめのひつじ ハレーすいせいみたいに とんだ
81ぴきめのひつじ はいしゃさんこわくて とんだ 82ひきめのひつじ ハチにさされて とんだ 83びきめのひつじ はみがきがイヤで とんだ 84ひきめのひつじ はしのうえはしって とんだ 85ひきめのひつじ やこうれっしゃおいかけて とんだ 86ぴきめのひつじ ハローとあいさつしながら とんだ 87ひきめのひつじ バナナのかわですべって とんだ 88ぴきめのひつじ はちじゅうはちやに とんだ 89ひきめのひつじ ハックションとくしゃみして とんだ 90ぴきめのひつじ くれないのそらを とんだ
91ぴきめのひつじ くいにくいついて とんだ 92ひきめのひつじ きゅうにあわてて とんだ 93びきめのひつじ くさいおならして とんだ 94ひきめのひつじ きゅうしょくおいしくて とんだ 95ひきめのひつじ きゅうこうれっしゃおいぬいて とんだ 96ぴきめのひつじ くろひつじにあこがれて とんだ 97ひきめのひつじ きゅうなさかみちで とんだ 98ぴきめのひつじ くやしさバネにして とんだ 99ひきめのひつじ きゅうきゅうしゃおいかけて とんだ 100ぴきめのひつじ ひゃくめんそうしながら とんだ
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