あたろーの日記
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2005年02月13日(日) 銭湯と居酒屋

 旧暦1月5日。
 天気の良い穏やかな日曜日だと、自転車漕いでふらふら散歩に出かけたくなるのですが、我慢我慢。谷中根津あたり、あるいは本郷あたりをうろつきたくてむずむずしていたのですが、なんとか自分を抑えることが出来た。4連休のうち2日は自宅で過ごす、と決めたのだもの。しかし、自宅にいたからじゃあ計画通り過ごせたかというとそうじゃなくて、結局だらだら。あーあ。連休終わってしまう。あっという間でした。人より1日多いくせにって?ずるッ子して人より多く休んでも、ずるッ子(ってわけじゃないけど)した分、早く時間が過ぎ去ってしまうような気がします。なんて贅沢な。
 銭湯と居酒屋。何かって言いますと、人間観察するのにうってつけのスポットです。人間観察って言っても、見ず知らずの人をジロジロ見るわけじゃござあせん。電車の中で、よく、他人をジーッと観察してる人がいますが、あれは嫌だ。私は何故か観察される方なので(そんな気がします)、電車の中でジロジロ見られるのはうんざりする。あんた、他人を不愉快にさせるほど見つめるんだったら、本でも読んだらどう?って思ってしまう。銭湯や居酒屋での人間観察っていうのは、ジロジロ他人を見るんじゃなくて、それぞれ、自分のやるべきことをやりながら、他人の会話にそれとなく耳を傾けるってことです。っていうか、否が応でも、耳に入って来ちゃうんですよね、人の会話が。銭湯では主におばさんやおばあさんの世間話。だいたい多いのが、健康の話なんですけど。今日も近所の病院の話だった。どの先生がおばあちゃん達に評判良いか、だいたい銭湯の会話で知識を仕入れてしまう。要注意なのは、おばあちゃんにウケが良い先生というのは、必ずしも腕の良い先生じゃなくて、やさしい先生だったりすることだ(笑)。あと、人生相談。嫁が、とか、息子家族が、とか、おばちゃん達だと、パート先の悪口とか、もっと若い女性同士だと、恋愛の話、職場の愚痴。居酒屋だとこんどは、おじさん達の会話。たまに男女の会話もある。
 そういう、見ず知らずの人達が織りなす会話の断片が、自分の心にふっと作用する一瞬もあるわけで。こういうことは、会社とか、緊張感のある、みんなが自分をガードしているような場所では起こらない。鎧を脱いで1日の疲れを癒し、心を解放するような場所でないと、裸のその人は出てこない。
 東京に住んでいて、もし、銭湯と居酒屋がなかったら、私はもっと苦しい想いをしていたような気がします。自分の心をそっと見えない空間に解き放って、しばし気楽に泳いだ気になれるような場所は、そうなかなか見つからない。緑の多い公園に毎日行けるわけでもない。寄席にそうそう通えるはずもない。身体も心も心底解放して、他のやっぱり孤独な人達の会話を盗み聞きして癒される空間、というのは、都会では案外と見つからない。
 そんなこと書いてたら、またお風呂行きたくなってきた。夕方入ってきたばかりなのに。。。


2005年02月12日(土) 「地球交響曲第五番」

 旧暦1月4日。
 表参道のウィメンズプラザ(青山ブックセンターと同じ建物)へ。Tokyo Professionals主催の映画「地球交響曲第五番」の上映会。ほぼ1年前にも同じ会場で、やはり「地球交響曲第四番」を、連れ立って行ったのはやはり同じ女性。彼女とは誕生日が同じなのです(自慢)。
 Tokyopros.主催の上映会の前にはいつもKNOBさんによるディジュリドゥの演奏がある。5万年にすでに作られていたアボリジニの楽器。詳しくは2004年3月1日の日記をご覧いただければ幸いですm(_ _)m今、約1年前の自分の文章を読んで、恥ずかしくなった。あんなこと書いてたんだ・・・。あれから1年経ち、その間にも「地球交響曲第三番」も観たし、他にいろんなこと考えたり経験したり見聞きしたりして、自分自身も少しは変化しているはず。今、去年の日記読み返してみて、去年と同様龍村監督の講演も映画の後にあったけど、自分の受け取り方が変化しているような気がした。うまく言えないのだけど、去年より、自分の中にスッと監督の言葉が入ってくるような感じ。映画を観ていてもそれは同じで、2時間以上の映画がとても短く感じられた。もっとあの映像の中に浸っていたいという気持ち。
 「地球交響曲第五番」は、染織家の石垣昭子、哲学者・物理学者・音楽家と様々な顔を持つアーヴィン・ラズロー博士、地球科学の研究者から産科医に転身した大野明子医師とそのもとで出産を迎えた龍村監督のお連れ合いの、インタビューやドキュメンタリーを軸に据え、これまでの第一〜四番に登場した人達の映像を回想と再録を編み込んで作られた。まだ観ていない方々のために、映画の内容についてあれこれ書くのは控えなければ。とにかく、とても良かったです。どこが良かったと言うと、このシリーズは、観る人それぞれに感じ方が異なるので一概にまとめてしまうことはできない、それくらい奥深い映画だと思います。特にシリーズ最新作である第五番は、911テロとイラク開戦を直視し、国家や民族、宗教を超えてどう互いに向き合っていくのか、という問題について、真摯に取り組んでいます。この映画の凄いところは、「逃げていない」ということでもあると思いました。
 映画の後の龍村監督の講演、聴衆からの質疑応答も含めて2時間ほどでしたが、とても密度が濃く、時間があっという間に過ぎてしまいました。
 この、第五番は、はじめ出演者がラズロー博士だけしか決まっていない段階で撮影開始したそうですが、ほぼ時を同じくして、シリーズこれまでの作品に登場した人達が次々と日本を訪れる、という偶然が重なり、初め資金も計画も何もない状態から、不思議なほど人が人を、機会が機会を呼んで、巧い具合に繋がり、完成に至った映画なのだそうです。映画作りを通してそういう経験をされた監督の言葉には揺り動かされるものが多かった。
 「地球交響曲」という映画は、1度ならず2度でも何度でも観たい。何度観てもきっと新しい発見があるだろうし、何度でも観る人に新しい力を与えてくれる映画だと思う。また観に行きたい。
 


2005年02月11日(金) 末広亭落語マラソン

 旧暦1月3日。
 昨日のできごとを今日書きます。
 昨日は会社を休んで新宿末広亭へ。
 実は先日、そろそろまた寄席に行きたくてうずうずしながら末広亭のサイトで番組表を見ていたところ、10日までの上席が、こぶ平・小朝・さん喬・権太楼・喜多八・菊之丞・正楽(紙切り)という、超豪華な取り合わせだったので、どうしても行きたい、と、予め週の初めに、上司に、仕事が順調に進んだら木曜休ませて欲しいとお願いしておったのです。「どっか温泉でも行くの?」と聞かれ、「落語聴きに行きます」と答えたらぽかんとされた。たまには平日に会社休んで寄席に行くのもいいですよね。これから時々そうしたいなあ。
 末広亭は、昼の部(12:00〜16:30)と夜の部(17:00〜21:00)で座席の入れ替えがないので、昼の部から夜の部の終わりまでずっと座りっぱなしも可能。よって、昼の部のこぶ平・小朝から夜の部の権太楼までぜんぶ見ちゃおうと欲張りな私は、今週ずっとうきうきそわそわでした。
 昨日は遅くまで会社に残ってしまったため、今朝は起きるのが少し遅くなり、もたもたしているうちに昼近く。慌てて家を飛び出して、巣鴨地蔵通り商店街の入り口にある伊勢屋で助六弁当を2つ買う。これは昼食と夕食。何故か落語にはお稲荷さん、と私の腹の内は決まっている。何故かは分からないけど、寄席で匂いも音もさせずに噺を聞きながら食べられるものというと真っ先に浮かぶ、というのも大きいかも。しかし、昼夜続けて同じものを食べるのはいかがなもの?取りあえず2食分考えるのが面倒なので一気に買ってしまう。
 途中新宿のジュンク堂に寄り、10日発売のちくま文庫『志ん生滑稽ばなし』それから1月発売していた『江戸が息づく古典落語50席』(柳家権太楼・PHP文庫)などを購入。急いで末広亭へ飛んでいく。出がけに末広亭のサイトで当日の番組案内をチェックしたら、夜の部に出る予定だったさん喬師匠が昼の13時に変更になっていたので、それに間に合いたい。残念なことに、こぶ平ちゃんは(どうしてもちゃん付けにしたくなる)今日はお休みみたい。・・・末広亭に着いたのは13時少し前。入ったら平日の昼にかかわらず、結構な入りです。幸い、前から4列目の椅子に1つあきがあったので、入り込む。
★昼の部(途中入場)
 林家鉄平「代書屋」
 柳家さん喬「子ほめ」
 林家二楽(紙切り)
 柳家喜多八「鈴ヶ森」
 春風亭一朝「転失気(てんしき)」
 松旭斉美智(奇術)
 古今亭菊之丞「町内の若い衆」
 春風亭勢朝 新作落語
 大空遊平・かほり(夫婦漫才)
 三遊亭歌武蔵「無精床」
 林家いっ平 新作落語
 扇家勝丸(太神楽曲芸)
 春風亭小朝「船徳」
★夜の部
 前座・古今亭ちよりん「狸の鯉」
 三遊亭きん歌「権助魚」
 太田家元九郎(津軽三味線)
 三遊亭小歌「浮世床」
 三遊亭圓丈 新作落語
 仙三郎社中(太神楽曲芸)
 三遊亭歌る多「桃太郎」
 古今亭志ん五「幇間腹(たいこばら)」
 林家正楽(紙切り)
 桂南喬「金明竹」
 古今亭圓菊「幾代餅」
 入船亭扇治「長短」
 大瀬ゆめじ・うたじ(漫才)
 入船亭扇橋「二人旅」
 柳家権太楼「人形買い」
 三増紋之助(曲ごま)
 三遊亭歌之介「幕末龍馬伝」

 昼の部途中入場で計8時間、30組の噺家、色もの(紙切りや漫才など)を堪能。ちょっと驚いたのは、昼夜通して居座るなんてあんまりいないだろうと思ったら、結構沢山の人達が昼の部が終わっても動かず、そのまま夜の部も残っていたことです。上席の千秋楽でなおかつ連休前の木曜日とあって、そう広くない末広亭の場内は、夜に近づくにつれどんどん人が増えて、熱気が強くなっていきます。
 お目当てのさん喬、権太楼、小朝はさすが、という感じ。ドスのある声に妙にとぼけた雰囲気が絶妙の喜多八師匠が演じる追い剥ぎの話ははまっていた。紙切りの二楽は夜の部の正楽の息子さん。親子を1日で見れる贅沢。紙切りのリクエストで、客席から「浮気!!」と威勢良く依頼されて、どう切ったものかうろたえていた。それがまた面白い。でもちゃあんとちょきちょき切って、浮気がばれて女房に謝る旦那さんの場面を作り上げた。うまい!歌武蔵は高座でも映像でも初めて見た。お相撲さんが出てきたかと思ったくらい、恰幅がよい。で、お顔は松井秀喜がもっと大きくなったような・・・あんまり見かけないタイプの噺家さんで、なかなか印象深い。小朝師匠、わあ、生で見るのは初めてだー、と、どきどきする。テレビでよく見かけたけど、なんの番組だったかなあ。でも、落語は初めて聴く。面白い。ひょうひょうとした若旦那の役が巧い。
 夜の部、前座のちよりん、女性の噺家さんは、応援したくなる。狸の噺、かわいかった。女性では他に歌る多姐さんも。子供が父親に桃太郎話の解説をする「桃太郎」も面白かったけど、そのあとのかっぽれ踊りも楽しかった。噺のあとに踊ってくれるなんて、サービスいいなあ。扇治「長短」で、まんじゅうを食べる場面、すっごく美味しそうで、巧いと思った。せっかちとのんびり、性格が正反対の2人の演じ分けが面白い。紋之助の曲ごま、実は、この日昼夜合わせて、一番盛り上がったのが、トリの歌之介、次がこの紋之助のこま回し。落語より色もののほうが笑いを取ることもあるんですね。こまを扇子や糸の上で回す巧さもさることながら、合間合間の台詞が面白い。飽きさせない。最後はトトロのテーマ曲に合わせてトトロのぬいぐるみが乗ったこまが、糸の上を滑っていく。客席は爆笑と拍手の渦。
 そして最後は歌之介「幕末龍馬伝」。龍馬誕生から暗殺まで、シリアスな場面も含めて語る中のあちこちに、歌之介師匠の実家の話などを面白おかしく盛り込んでいく、これが最高に面白い。もう笑いっぱなしで、お腹がよじれるかと思った、というか、もうよじれてしまって、痛かった。歌之介師匠の大トリを見たくて駆けつけた人も多いようで、場内は超超満員で、それが皆一斉に大笑いするもんだから、すごい熱気で、これはちょっとした感動だった。なるほど寄席の千秋楽というのは、こういう面白さがあるのですね。やみつきになりそうです。
 
 ちなみに、高座を聴きながら、いつも手帳にどんな噺を聴いたかメモをとります。今まで聴いたことのある、或いは本で読んだことのある噺ならば、その場で演目を書き留めることができるのですが、まだまだ知らない噺のほうが多い。そうなると、帰ってから本やネットで調べます。同じ噺でも噺家さんによってぜんぜん違った雰囲気になる。この噺はあの人のほうがよかったなあ、なんてことも、だんだんに出てきました。落語って奥が深いですね・・・楽しみながらぼちぼち勉強していきたいです。


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