あたろーの日記
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2003年11月04日(火) おばちゃんの絵

大家さんの話。
 
 先日アパートの1階の大家さんのところに家賃を持っていったら、玄関に立てかけてあった大きな袋を「これなんだと思う?」と、おばさんに聞かれて、「なんですか?」と問い返したら、おばさん「これはねぇ」とテレながら袋から出したるもの、なんと素敵な石楠花の水墨画だった。
 うまいと誉めたら嬉しくなったらしく、部屋の奥からどんどんどんどん絵が出てきて、玄関がギャラリーに変身してしまった。子供の頃から絵を描くのが好きで、数年前に水墨画を習い始め、今では毎晩家人が寝静まった後、夜中過ぎまでひたすら絵に没頭する毎日だそうだ。
 知らなかったなあ。大家さんにこんな趣味があったなんて。趣味を通り越してもうライフワークになってるらしい。花に始まって、海や滝や雪景色などの風景、そして人物、動物。個展開けるくらい見ごたえのある画だと思った。構図の取り方もうまいし。タダモノじゃないと思った。
 私も(大家さんの絵を見た後ではこんなこと言うのもおこがましいけど)高校で美術部だったし、絵は今でも描き続けているから、絵については一応のことは分かると知ったら大家さんはとても喜んで、まだ上の物置部屋に沢山あるから今度見せてあげると言ってくれた。あ、なーる。2階の住人のいない1部屋は物置にしていると聞いたけど、そうだったんだ、大家さんの絵の保管部屋だったわけだ。
 何十枚もの絵を見せてもらって、家賃を渡しに、どーせすぐ戻ってくるんだからと半袖Tシャツ1枚で階下に行ったのに、気がついたら結局1時間も大家さんちの玄関先にいた。いい加減寒くなって、ぶるぶる震えながら見ていた。
 しっかし、大家のおばちゃんが毎晩あんなすごい絵を下で描いてるとはつゆ知らなんだ。
 感動した。


2003年11月03日(月) 古本屋についての。。。

 また神田の話です。
 
 先日イラン人の知り合いに、連休中東京モーターショウがあるだろうと言われ、「東京は車もいいかもしれないが、いっぺん神田の古本屋街に行ってみィ」と、古本まつりのパンフレットを無理やり渡したのであった。「神保町の古本屋街は世界一本が集まってる所だよ」と何度も力説して。・・・相手は古本ばかりなんでそんなに集まっているのかと不思議そうだった。あれから行ってみたかしら?

 今日はあいにくの雨模様で、古本まつりに行こうとしていた人は気の毒だったなあ。今日は私もちょっと大人しくしていた。・・・池袋のリブロ書店にちょっとだけ行ってきたけど。
 
 昨日古本屋を回っていて、本を買いに来る人の量の半端でないことにびっくり。インターネットなど、書物以外のメディアの発達で、出版文化がすたれていくのではとの危惧もささやかれる昨今だけど、紙の本を読む人はまだまだわんさかいるんだなあと、なんだか嬉しくなった。新古本を売るとなにかと批判の対象になる某古本屋チェーンでも、新刊本の書店でも、閉店まで沢山の人でごった返してるし。本が売れなくなったと言われるけれど、本好きはまだまだどっこい、沢山生きてる。ただ、実際に出版する側にしてみれば、本の売り上げ量を肌に直接感じてるわけだから、きっと厳しいもんがあるんだろうなあ。

 今私が古書店の棚の前に佇んでしみじみ思うのは、この時代に生まれてよかったなあということ。あと少し遅く生まれていたら、昭和初期や戦前の良書にはきっともう手が届かなくなっていただろうと思う。

 「本は古本になると、真価だけで生きてゆくのである。」とは、司馬遼太郎氏の言(『街道をゆく36 本所深川散歩神田界隈』)。
 そのくだりを読んではっとした。そうなんだ。今古書店の本棚にうずたかく積み上げられ、店主が書名と値段を書いた札を下げられ大切に売られている古書たちはどれも、その真価だけで生き延びてきたものなんだ。でかでかと新聞広告で宣伝されるわけではない、センセーショナルな宣伝文句とともに沢山の人々に読まなきゃならないという錯覚と焦りを与えて売らんがなとアピールさせられるわけでもない、ただその本のもつ価値の重みのみが、古書店の一角のスペースを与えられる理由であったりする。話題や宣伝という後押しや庇護があるわけでなく、体ひとつ張って生き延びてきた本ばかりなんだ。そこには本の価値を見分ける目利きの店主がいて、暗黙のうちに信頼関係が店と客の間にあって、あそこで本を探すということ自体、すでに密度の濃い行為であるような気がする。それぞれの店に品揃えの個性があって、ひととおり歩いて回ると、客は自分の知りたい分野の書物群について、なんとなくかもしれないけれど、その概要を理解することもできる。そういうことは新古本を大量に売るチェーン店ではできないことだ。新古本チェーン店も利用するから私にとってはありがたい店だけど、これは従来の古本屋とは全く違う種類の店だと思う。

 ちょい薀蓄たれちゃった。おやすみなさいマセ。


2003年11月02日(日) 神田古本まつり

 昨日今日と、神保町の古書店街に入り浸っておりやした。
 毎年恒例の神田古本まつりがこの連休に開催されていて、普段日曜日は休業の書店もこの連休は営業しているという嬉しい数日間なのであーる。
 さすが神田の古本まつり、古書店並ぶ通りに所狭しと設けられた本のワゴンにこれまた沢山の人がごったがえしごったがえし、本の数も人の数も互いに負けじとわんさかぎゅうぎゅう。今日はとりわけ天気にも恵まれたし、まさに青空古本市でした。
 
 とっても欲しい辞典があったのです。中村元著「佛教語大辞典 縮刷版」(東京書籍)。学校や都の図書館に行くたびに、他の人が使う暇がないほど何度も何度も引いてしまう、もう手放せないくらい私にとって必要な辞典となってしまって、これはもう自分用に買うしかないなと。ところが新刊では品切れ状態でどこの本屋にも売っていない。こんないい辞典(佛教関係ではこの辞典に載っていない語はない!)なのに。。
 なので古本で探すことにしたのだけど、これがまた見つからない。昨日で
見つかるだろうとタカをくくっていたらぜんぜんない。靖国通りとすずらん通りの本屋全部回ったけど、ない。道端のワゴンの中もみんな覗いたけど、やっぱりない。それで今日も午前から出かけていって、またぐるぐる回った。なんせ古書店街の本が一年で最も高回転な数日間だもの、昨日なかった本が今日は見つかる可能性は大きい。それに、古本まつり期間中は、店内の古本も1割2割引きとか、ちょっとお得になる店も多い。というわけで、昨日回った店も、催事場の本のワゴンも、くまなく、ほんとにくまなく、今日は昨日より時間をかけて探した。
 同じ辞典で大判の3分冊と、改訂版の4分冊もあるんだけど、本自体も大きいけど値段も大きい。さすがにこれは手が出ない。出たとしても私の部屋に置く場所はない。ところがこの大きな方は何店かで見かけた。それでも買わない。買えないし。私はどこか見知らぬ都会ではぐれた恋人でも探すような気分になっちゃって、しまいには悲しくなって、いじけてきてしまった。
 その辞典を探すという目的でなければ、もう垂涎ものの本があちこちにあるんだけど、今日はまず目指す辞典が見つからないことには落ち着かない。2万円位は覚悟の上なので、他の本を買ってしまっていざという時資金がなくなるのは防がないと。。。。誘惑と戦うのもツライなあ。
 次第に陽が傾き始める。足が棒。歩き回って汗ばんでる。ちっとは痩せたかね?・・・そんな風に思いながら、気がつくと2日間で延べ100軒は回ったかも。なんせ凝り性なもんで。佛教関係書専門の古書店で、探している辞典の4冊揃えがウィンドーにある。値段を聞いたら6万7千円。。。とても買えない。しかもどこに置くんじゃい。がっくり疲れて、三省堂のそばまで来て、あとあの角まで2〜3軒見たら、もう帰ろうとほぼ絶望状態でとぼとぼ次の店に入っていった。どうせさっきも探した店だし、なくてだめもと、と思いつつ、積み上げられた本の山を端から見ていく・・・・・・と。
と・・・。
 あっ!
 あ、あったぁ〜あったぁ〜

 あったぁ〜と心の中で叫びながらも、この手を伸ばしたらふっと消えてしまうんじゃないかと思うほど、目の前に捜し求めていた本があることが信じられなくて、何度も書名を心の中で呟いて、おそるおそる指先で背表紙を触り、それから両手で引っ張り出して、大事に胸の前で抱えた。
 ちょっと汚れはあるけど、気になるほどではない。値段は1万6千円。これだけの偉業をこの値段で買えるなんて、むしろ申し訳ないほど。井上ひさしが書いていたけど、辞書はほんとに安い買い物だ。編纂者の何年何十年にも渡る労苦の結果を手に入れることができるなんてありがたい。
 店主のおじさんに、この辞典を探すのにどれだけ苦労したかを興奮気味に話して、涙が出るほど嬉しいと何度もお礼を言って、おじさんもよかったよかったと言ってくれて、もうるんるん気分で店を出た。
 
 あと買ったのは、三田村鳶魚全集のうち7冊をバラで。全巻揃で買うよりバラでちょこちょこと買ったほうが安上がりかと思って。こっちはわりと流通してそうだし、よく見かけるので、楽しんで集められるかな??
 
 ところで、すずらん通りの会場では、あちこちにあの界隈のレストランが出店している露店があって、ロースとビーフとかタイカレーとか、点心とか、本格的な味が手頃な値段で食べられるのが嬉しかった。しかも青空の下。ついでに酒屋さんの利き酒コーナーも。100円で3種類のお酒を味わうことができた。コップ酒1杯分位の量になるからとってもお得。
 美味しいお酒がありました。写真日記に載せておきましたです。

 さすがに2日間歩き疲れてくたくた。
 お財布も軽くなったので、明日は自宅でじっくり読書三昧です。
 
 古本まつり、明日3日までです。
 興味ある方はぜひっ!
 
 
 
 
 
 


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