■ゲロッチャ !!■
DiaryINDEXpastwill


2006年09月07日(木) 読書「卒業」重松清

今、重松清の「卒業」を読み終わりました。


まゆみのマーチ、あおげば尊し、卒業、追伸
4つの物語が入った本でした。
4作。全部泣きながら読みました。



最近読んでいる、真保裕一の小説は脳内で映像化しながら読み
(キャスティングまでも考えている)
石田衣良の「LUST」はワイドショーでも見るような野次馬目線で読みましたが
この「卒業」は読みながら「私もこんなことあった」と、
自分の過去の経験が頭に浮かび、活字を眺めながらも思い出が蘇り
心が震えて涙が溢れ、いつのまにか物語よりも自分の思い出に浸っている…
そんな、妙な気持ちで読んでいました。
多分、私がこの4つの物語の主人公に近い年代だからなのでしょうーー。
子供への想い、老いてゆく親への想い、そして「死」
「死」に関する4つの物語は、
この秋の夜長を色濃いものにしてくれましたvvv
おセンチになっちゃうーーー




***



【まゆみのマーチ】
タイトルから連想したのが、阪神球団の真弓選手。
真弓のマーチっていうと、ミッキーマウス・マーチのフシで
「♪真弓〜真弓〜ホームラン!真弓〜真弓〜ホームラン!かっとばせー真弓!」
真弓のマーチ…


なもんで、
ジーンとくる話だったけど、私に心構えが出来てなかった(苦笑)
私の頭には「かっとばせー!ま ゆ み!」が渦巻いてて・・・


苦笑しつつも母親が子をおもう気持ちに感情移入して、号泣!
マメ吉、ツブ吉、子供達に泣き顔は見せられないと思い(昨日はGyaoで映画:はだしのゲンを見て号泣してたから。連日泣いてたんじゃ ネ^^;)
リビングから逃げ出して、洗面所でエグエグ泣いちゃったーー。





【あおげば尊し】
この物語には、死体に興味がある小学5年生が登場するンだけど
私、この子のことが少し解かる。私も死体とか死後とかに興味あるし。
動いてたものが止まる。なんで?どこいった?って感じがするのと
不謹慎ですが、ショッキングなもの見たさ。物珍しさもある・・・かな。
未知のものへの好奇心もあると思う。
生きてるときと同じ姿なのに、動かない。
いったい何が起こったのか。
もう何も起こらないから「死体」というのに。



最期を自宅で迎えようとする元校長、その息子の小学校教師、その教え子の
死体に興味がある5年生。
教師はその子を自宅に招いて、死期の近い親の様子を見せる…そういう物語。



私は誰の死に際もみたことないけど、葬式は何度か経験したことがある。
死体も、祖父、祖母、父の叔父、近所のお爺さんと、何度か見ている。
どんな気持ちだったかというと、
「そこに居るのに、どこ行ったの?」っていう気持ち。





【卒業】
主人公のもとへ、いきなり訪れた14歳の女子中学生。
その娘は14年前に自殺した親友の娘だった。



この14歳は、
「自殺した人の血が流れてる。私も平気で自殺できる人間だ」
そんなようなことを言う。
それで思い出した。自分のこと。



小学校のころ聞いた話でこういうのがあった。
母方のお祖父さんかお祖母さんと同じ死にかたで死ぬ。
今思うと、病気か何かの隔世遺伝のことを言ってたんじゃないかな?と思うんだけど
そのころは聞いたままに受け止め
「ああ、お祖父ちゃんみたいに死ぬんだ私」と思った。
それからずっと
お祖父ちゃんみたいに自殺で死ぬんだ私は。そう考えていた。


お祖父ちゃんが死んだのは小学校低学年の時だったと思う。
夜中にバタバタ騒がしく両親が出かけ、
母の弟、叔父さんのお嫁さんのマキちゃんと
従兄弟のケーちゃんとカズちゃんが初めてウチに泊まった。
それだけ覚えている。
あとは葬式。
大好きだったお祖父ちゃんだけど、悲しい気持ちじゃなかった。
ただ人がいっぱい入れ替わり立ち代り来てて、浮き足立ってた。
おばさん達が忙しそうに煮炊きをしたり、お酒をふるまったり動いていた。
私ら子供は、従兄弟達が全員揃っているので、お正月みたいで、
それが嬉しくて、コソコソと遊んでいたような気がする。


驚いたのは出棺のとき。
棺の蓋を閉め、石で釘を打ち、男達がお棺を持ちあげて出ようとしたその時
母がお棺に取りすがって激しく泣いたのだ。
「父ちゃんっ!」と、棺を奪うように遮二無二 抱えて、号泣した。
一度も見たことが無い母の姿に私は動揺した。
気が狂ったのかと怖くなった。



この「卒業」に出てくる少女の年齢、14歳のころに
やはり私もイジメに遭った。
死にたくなったけど、絶対に死ねなかった。
自殺なんかしたら、「母方の血だ」と母が責められるだろうし
私が死んだら、またお棺に取り縋って母が泣くだろうし。
でも、やっぱり私は大人になってから自殺するかもな
そう思っていた。



「絶望」で自殺するんじゃなくて、誰からも見てもらえない寂しさで・・・
疎外感を感じて
自棄になって自殺するのかもな。
お祖父ちゃんを想って、寝しなに泣いた。
いつも、夜に、お祖父ちゃんの死を想って泣いた。
小学校のころから、高校まで、周期的に
お祖父ちゃんを想って涙を流した。
死んだ愛犬メリーやマック。一番大好きだった猫のミーコ。
彼らを思い浮かべては涙を流した。
「死」について考えるのは、あの頃の私のテーマだったのかもしれない。





私が高校卒業したときだったか、それとももっと後だったか
母から「実はお祖父ちゃんは自殺したんだよ」と聞かされた。
知ってたよと答えると、母は驚いて、それから
「親戚の人が酔っ払って言ってたのを、聞いちゃったんだね」と親戚の人を怒った。
母の話だと、お祖父ちゃんは農薬を飲んだらしい。それもなんとなく知っていた。
病院で、目が覚めて、みんなに謝ったそうだ。バカな事をしたと言って。
それは初めて聞いた。
聞いてよかった。



それから私は、
お祖父ちゃんを想って泣くことが少なくなった。



私の感受性の下地は、お祖父ちゃんがつくってくれた。
死ねない枷も。




【追伸】
小学1年の時に母親がガンで亡くなった作家と、その継母の話。


死期の近い母親が子供に宛てた日記を読んで、号泣。
今、私も人の親だから、感情移入しまくり。
作家の、亡くなった母への想いにも 胸が震えた。


私がガンに侵され、余命はくばくも無かったら・・・・
子供たちと別れる
そう想像するだけでも恐ろしくて悲しくて、 たまらなくなってくる。
むぅぅぅ。
腹の中のピロリ菌を今すぐにでも退治したほうがいいかなぁっ?!
ガンにはなりたくないよーー!
死にたくないよーーーーっっっ!!!




 継母との関係性にも唸ってしまった。
8月におきた二つの事件。
中学生が起こした火事を思い出した。
事件をおこした二人には共通点があった。
父親が再婚し、継母と暮らす長男。この小説と同じ環境だ。
異母兄弟が生まれ、家族の中で疎外感を募らせていたんだと思う。
この小説のように、心の中に自分の味方(この場合は亡き母)がいたら
もっと強く、粘り強く、大人になって家を出るまで我慢していられたのかな
とも思う。



母親の存在は子供に大きく影響するんだろうな。もちろん父親もだけど。
無条件で子供の味方についてやる母親ってのが 理想なのかな。
「まゆみのマーチ」「追伸」の小説を読んで、あらためて、そう思った。
人の人生、母親との関係だけで云々言えるもんじゃないけどね。
でも、子供の頃は、母親との関係性が毎日の生活を左右するんだと思う。



私は母親が好きだ。
母親が好きだから、なかなか親離れもできなかったし、今も甘えてばかりだ。
真面目な父親も好きだし、
お義父さんも好きだ。気の合うお義母さんも好きだ。
みんな、私の家族は死なないで欲しい。
みんな、私の友達、大切なM、
ほんとお願い。誰も死なないで






2006年09月06日(水) 読書「ホワイトアウト」

図書館で真保裕一の「ホワイトアウト」「発火点」、
重松清「卒業」を借りました。






「ホワイトアウト」は一気に読めちゃいました。
一般人がテロリスト相手にこれだけの大立ち回りが出来るのかなぁ?という
モヤモヤを持ちつつも、素直に面白がって読めました。
テロリスト、雪山、スノーモービル、犯罪首謀者の裏切りと
まんま「ダイハード2」なんですが、ダイハード的な面白さに、
主人公が持つ「自分が助けられなかった亡き友への想い」という
抒情的な面が加味されて、
日本人が好みそうなドラマティックな展開だったと思います。



うん。一般人である主人公がジョン・マクレーンばりにタフだったのは
亡き友の導きによるものだったのだろうなぁ、と、暫しスピリチュアル。
神秘のなせる業。
なーんて。
そんな幽霊はいっぺんも出てこなかったけど、
主人公の罪の意識とそれを償いたいという強い想いが、
彼を奮い立たせたんじゃないかと。
それにしたって、数名のテロリスト相手に渡り合える知力と戦闘力が
凄すぎるけれど(^^;)



ヒロインのシーンを読むたびに、
映画でヒロイン役だった松嶋奈々子さんが頭に浮かびましたが
私の脳内では織田さんが主役ではありませんでした(苦笑)
テロリストのボスのウツギは石橋蓮司さんを思い浮かべていました。
映画では佐藤浩市さんがウツギを演じていたようです。
もう、観るしかない!
雪山で死んだ吉岡和志役は石黒賢さん。
うーん。私はもっと大柄で厳ついイメージを持ってたんだけど・・・・
イメージで言えば、金児憲史さんのような。
石原軍団の若手の持つ、あの体育会系&清廉潔白なイメージ。
大柄で豪快でナチュラルで、熱血漢で神経質な一面もあって、
子供みたいな笑顔の持ち主。
この物語は主人公の富樫と吉岡の「走れメロス」的な、
強い結びつきの話でもあると思うので
二人を並べたときにベストパートナーに見えないと
駄目な気がするんですよねー。


とにかく映画も観てみようと思います。











2006年09月03日(日) 石田衣良「LAST」

石田衣良の「LAST」を読んだ。



追い詰められた人間の 終わりの時を書いた短編集。
借金苦のオハナシが多かった。
金の切れ目が縁の切れ目というけれど、運の切れ目も金次第なのかなぁー



石田衣良は、私と同じ3月28日生まれというので親近感を持って読んでみたけれど
これといって思うところは何も無かった。
感銘を受けたりはしなかった。
なにか自分と同じ匂いがするかもな、そこから自分が探れるかもな
そう思ったけど
無かった。残念。



ただ、海外で幼女を買春する外科医を撮る男の話と、
借金のカタに ロシアンルーレットをさせられる男の話には
心が動いた。



ロシアンルーレット。
石田衣良もロシアンルーレットが好きなんじゃないだろうか。もしかして。
私は、映画やドラマの中のロシアンルーレットのシーンが好きだ。
緊迫感がたまらない。
今の日本ではまず起こらないロシアンルーレット。
この話では、ヤクザの争いのなかで出てくるが
ロシアンルーレットのシーンが書きたくて、
この設定を捻り出したんじゃないだろうか。もしかして。



っていうか
今、気がついたんだけど、
そうか緊迫感か・・・・・
この「LAST」という短編集のほとんどは、追い詰められた人間の緊迫感を描いている。
わー 好きなんじゃん!私、好きなんじゃん! こーゆーの!
映画やドラマや舞台では、生きるか死ぬかの瀬戸際のシーンを見るのが好きだ。
戦争映画に心が揺さぶられるのも、
人の心が透けて見えるような最期のシーンに引き付けられるからだ。
人が死ぬときっていうのは、その人の人生が見えるもんだと思う。




うーん。
シチュエーションは好みなのに、
あまり面白く感じなかった原因はなんなのだろう?
・・・・登場人物に感情移入できなかったからかな?



文体の問題かな?
なんていうかな… サラサラしてた・・・。
読んでても手触りとか匂いとか、空気を感じることができなかった。
温度や湿度も感じられない。
このシチュエーションなら、もっと、
じっとりした空気感を感じさせるような描写があってもよかったんじゃないかな。
特に、匂いはまるで無かった。
平和な家庭には、温もりのある煮炊きの匂いがあるだろうし
愛しい子供の寝顔を見たら、子供の匂いをクンカクンカ嗅ぎたくなるだろう(私だけ?)
ホームレスの人には体臭があるだろうし、
ブルーシートの中だって、きっと匂うに違いない。
そういう描写が無い。匂わない。
乾いていて、キレイ。



緊迫したシチュエーションには、
人間の5感を表現する描写があったほうが好みだなぁ私は。
でも最近の映画やドラマでも、
脂ぎってたり薄汚れてたり臭そうだったり暑苦しかったり
そーゆー描写はないよね。
みんな除菌されてそうな顔だったり、空間だったりするよね。
この短編集も「ダーク&ビター」で謳ってるんだから、
もっとネチっこく暗くて苦くて臭くても良かったかも。




ああ、でも 
私が「借金」嫌いだから、この話が駄目だったのかも。
読む以前の問題なのかな。


2006年09月01日(金) 「連鎖」を読んだ

真保裕一の「連鎖」を読みました。



昨日一日で読み終わっちゃいました。サクっと。
「誘拐の果実」「奪取」「連鎖」と3作読んで思った感想は
真保さんの小説は、面白さが尻つぼみだなってこと。
ラストがまとまりすぎててハリウッド映画みたい。
あっちもこっちもメデタシメデタシ。
各登場人物のそれぞれの物語全てに「END」をつけてまわってる。



いきなりハッピーエンドって感じで、少しだけ、興ざめする。
映画やドラマ向けを意識して書いているみたい。




真保さんの小説に出てくる男と男の結びつきは 濃ゆい。
それは、奥さんがいようと彼女がいようと、そんなのは別の次元の係わり合いだよと言わんばかりの
互いに惹かれあう男達が出てくる。そこがイイ。
男女のロマンスはサラっと可憐に描く。そこもイイ。


みつる |MAIL