【シュークリーム作成日誌】

2003年08月26日(火) ダダイズム

※タイトルと何の関連も無い内容です。


しーごーとーがー・・・。
いつもの事ですが、せっぱ詰まり気味です。
ここらのタイミングでSSSか何か書きたかったのですが、仕事中に書く余裕が無く(←それが普通です)
すみません。
メールの返事も遅れ気味です。
少しずつ、お返事書いてます。
夏コミの後、挨拶メールを下さった方々。重ね重ねすみません;
今度会ったら、「神矢のバカ!不義理モノ!!」とボカスカ殴ってくださって構いません。
パチキ100発に値しますよ;

最初「パチキ100発」って言葉を聞いた時、パチキって何なのかと思ったら「パンチ&キック」の略だそうで。
タマネギ先生にCool!と誉められた時の事が懐かしかったり。

どうでもいいが、

←同意の方は押すように
お年寄なだけに。
絢爛たる舞踏の舞い手の癖に、常にそのリズム感は狂っている。
共に踊る事が出来るのは、常にワンテンポ遅れるぽややん速水だけだったり。
…などとどうしようもない妄想ばっかりしてるから私は仕事が捗らないのか。
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2003年08月24日(日) 開店休業

9月末まで。
開店休業状態は続きそうです。

あちこちあっぷあっぷです。
青あっちゃんに鞭をフリフリ仕事の監視されてる瀬戸口程度には。
テンパるとはこういう状態のことか。
麻雀やらないので判りません。
でも以前一度だけ、街中で某片側寄りのチラシに「平和」と書いてあるのを、ナチュラルに「ピンフ」と読んだことがあります。
すり込み源の判らない知識ってありますよね。
瀬戸口のテクとか。
あっちゃんのおねだり笑顔とか。
げふげふ。
知らない内に身についてるのでしょうか。



2003年08月17日(日) 天国と地獄(夏コミとその後の二日間)

金曜日は皆様お疲れ様でしたv
幸せいっぱい夢一杯。ついでに鞄も夢と希望で異常なまでにパンパンに膨らして帰ってきた私でした。

それにしても、物凄い豪雨でしたね。滝のような雨とはこのことを言うのか。
お優しい三番機さんのお計らいでサークル入場だったので、一般の方々よりははるかに短時間で入場できたはずなのですが、臨海線の駅からビックサイトまで歩く間で腰から下がびしゃびしゃになりましたよ。傘差してたのに、無事だったの頭のてっぺんだけ(笑)
あの雨の中手持ちで搬入してた人、たいへんでしたよね…。

久々に関西方面の皆さんともお会いできて、凄く楽しかったです。
今回、セトハヤサークルが以前にもまして少なくて、カタログを見たときには寂しい思いをしたものですが、いやいや…。蓋を開けてびっくり★新刊いっぱいで夢のようでした。

私の鞄の半分は、セトハヤ本。あとの半分はアイシールド21本(←なぜ)でいっぱいにv
なんか、イベントでこれだけ満足感があったのって久々な気がします。
それだけいい買い物できましたよー。

そして今回ヒットだったのは、本だけじゃありません。
いや、むしろ今年の夏コミ、「イイもの見させて頂きましたで賞」ナンバーワン。

生瀬戸口

宇多津にかさんが、瀬戸口のコスをしていらっしゃったのですが…。
正直、びっくりしました。
あまりにも格好良かったので。
もともと彼女は美人さんなのですが、もう…何と言うか、ばっちり、美青年で。
今まで見た瀬戸口コスのなかで、ダントツ一位のカッコ良さぶりでした。
写真でお見せできないのが口惜しいです。
完全に瀬戸口、ではなく。
やはり女性なので、睫毛長いし。瀬戸口+華やかさ。みたいな。
うん。凄かったです。
ぜひとも冬にもまたやって頂きたいです。今度はカメラもって行きますけん。
今回はコスプレ多くて嬉しかったですね。
可愛らしい田辺ちゃんとかv
コスプレはイベントの華ですねvvv

話は変わりますが、今回は今までのイベントと若干動向が異なりました。まず、シラタマさんが、他所のスペースのお手伝いにいらしていたので、ご一緒出来なかったこと。
殺人的忙しさの中、合い間を縫ってガンパレスペースまで来て下さって…。
お会いする事は出来たので、良かったのですが。オフ会はご一緒できなかったので、やはり寂しかったです。
ので。近いうちにまたオフ会やろうと心に決めたり(笑)
美人と飲むのは何度行っても良いものです。

雨のためギリギリまで撤収しなかったので、カンナさんとはいっぱいお話できたので、それは雨に感謝v
出来るならオフ会までご一緒したかった…(わがまま)
変わらぬ頑張り屋さんぶり。そう言えば、力一杯ぎゅーするのを忘れました。不覚。

それにしても、閉会時間まで会場に居たのってほんとに久しぶりです。
いつもなら3時過ぎれば閑散とするのに、今回はあまり人が減らなかったですね。
天気でこんなに人の動向が変わるんだ。
終了後、オフ会会場へ向かうにも、どの交通機関も長蛇の列でしたし。
タクシー一時間待ちってどうなの。
しかもあの列、どう考えても一時間で乗れる長さじゃないし(苦笑)

そんなこんなで、今回も美女に囲まれてオフ会を開かせて頂きました。
新橋の、怪しげな雰囲気のお店を予約。
ついでに頼んだコース名も怪しげ>「奉仕コース」
なかなか美味しかったので一安心でした。
やっぱり綺麗なお嬢さんたちとご一緒するお店をセレクトする立場としては、まず料理が美味しくないと。
愛の伝道師もきっと同意する事でしょう。
今回は新たなお嬢さんも加わり、益々ヒートアップ。
ただ、どんべさんが参加されなかったので、そっち系(?)のネタの発展がイマイチだったのが悔まれます。
二次会は一年前のオフ会でも行ったあのお店へ。
奇しくもその時の隣の座敷に通され、懐かしさを噛み締めたり。
ただ、地ビールが、銀河高原ビールでなくなっていたのに、月日の流れを感じました。
しかしながらその他、春鹿も初孫も腰の悦ら…いえ、越の楽水も健在でしたよv

皆さん、夜遅くまでお付き合い下さってありがとうございましたw
サークル活動してるわけでもないのに、お菓子の差し入れを頂いてしまったり。
図々しくも、予約してなかったのに御本を頂いてしまったり(笑)。
いつもながら、なんとお礼を言ってよいやら判りません。
凄く楽しかったし、皆さん優しくて、幸せな一日でしたよー。




そして。
人生楽ありゃ苦もあるのです。
その後、2日とも、朝から夜中までガッコで。
帰ってきてからも寝る間を惜しんで製図で。
…死にました。
イベント終了後の修羅場ってどうなんでしょ。
ゲンコ用紙ならぬ、解答作図用紙に向かい…。
ガリガリガリガリガリガリガリガリ。
肩凝って吐きそうです。
早く試験終われー。そして堂々と遊びに行くのだ!
飲み会飲み会温泉飲み会飲み会。みたいな感じでっ(ドリーマー)


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2003年08月13日(水) 日帰り

いよいよ、真夏最大のイベントであるオタクの祭(←あからさま)を明後日に控え、気分も盛り上がって参りました。
恐れ多くも「ダメ人間次席」の称号を拝命しております神矢主催の夏コミ打ち上げも、その後多くの皆さんから申し込みを受け、いい感じの規模になりそうです。
水戸黄門ならうっかり八兵衛だろうと思われるほど、うっかり者の神矢のこと。またとんでもない失敗を犯していそうでドキドキします。

イベント当日、神矢は胡桃屋カンナさんのサークル「アゲマキシ」で売り子をしております。
アイボリーのワンピースを着ている方が神矢ですので、通りすがりの方は珍獣に遭った気分で話し掛けてみる、あるいは野次を飛ばしてみるのも良いかもしれません。
きっと私はおどおどしながらありがたく思うことでしょう。


さて、話は変わりますが、この前に日記を書いたのは先週の金曜日なんですね。
週末の旅行がダメになったと嘆いていた記憶がありますが、その後の日曜日はムカつくぐらい爽やかに晴れていたような気がします。

まあ、気のせいでしょう。

それを受けて(?)急遽明日日帰りで旅行に行くことになりました。
どこだったか…バスツアーで、名水めぐりで滝を見て周り、温泉入って帰ってくるというシンプルプランです。
天気予報を見ていると、どうやら明日は雨のようですね。
うふふふふふふふ(壊)

これは瀬戸口の呪いでしょうか。
彼は私の中では雨男のイメージがあります。
常に雨なんじゃなくて、彼にとって雨が降って欲しくない日だけに必ず雨が降るという…。
いや、それよりもすべての不運は奴に付いて来るというイメージでしょうか。
それでもきっと、あっちゃんと一緒にいる時はあっちゃんの幸運技能速水スペシャル(必殺技。類似:小首傾げ微笑みアタック)で、中和されているんでしょうね。


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それから、最近ガンパレサイト巡りをしていなかったら(web落ちではない。打ち上げのお店探したりしてたので)、大事なことを逃していました。
狙ってたサイトさんの、配布の本の申し込みをしそびれました…(吐血)
自業自得ですが、モニタの前で泣いて暴れたくなりました。



2003年08月08日(金) 台風のバカ

台風の・・・
バカーバカーバカーバカーバカー(泣きながら走り去る)


昨日の日記でも書いていましたが、9日・10日で予定しておりました一泊旅行をが、キャンセルになりました。
ううう…(涙)
だって、目的地に大雨洪水警報が、出てるんですもの。
まだ台風の中心から、全然遠いのに…。
大雨かつ洪水警報ですよ。いえ、言い直したからどうってものでもありませんが。

バス旅行を申し込んでいたので、がけ崩れとかに巻き込まれても厭ですし。
そもそも高原を散策しようというツアーだったので、土砂降りの強風の中、足元悪い中を歩くのも辛そうですし。
いや、それよりも。目的地についてもバスから降りられなさそうで(苦笑)

こんな場合(※台風直撃)なので、旅行会社もツアー代金は返金してくれると言っていました。
最小履行人数は25人からでしたが、一体最後には何人参加することになるのか気になります。

何て言うか…このために服とかバックとか全部揃えた私って一体…。
何やってもダメな時ってありますよね;

あまりにも悲しいので、明日明後日を埋めるため、帰り道にレンタルビデオ屋さんでビデオを5本も借りてきました。

丁度見たかった映画が借りられて、うわーいと喜んだ後、余計に悲しくなりました(笑)


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どうでもいいですが、夜中の台風情報ってなぜか延々見てしまいますよね。



2003年08月07日(木) 山へ…

今週末から10日間、お盆休みですね。
週末には、案の定家族で一泊旅行に行くことになりました。

山です。避暑地です。
でも、私は山歩きの出来るような格好を持っていないので、それを買い込むのにばたばたしています。
こういうのって、準備が一番楽しいんですよね。
汚れてもいい格好…とか思って、初めてGAPで服買いました。
凄くチープなのもあるけれど、割りと良いのもあって。
ちょっと見直しました。
チノパンとニットのTシャツとGジャンを入手。買ってから、黒っぽい色は蜂に襲われると気付く。
早速Gジャン(濃紺)は無駄に(笑)
普段着に使おうと思い、口惜しさを誤魔化してみる。

あと、Tシャツをもう一枚と帽子を書いたいのですが…。
それは流石に普通のとこで買おうと思ったり。
なかなか似合う帽子がありません。
普段かぶらないから余計に違和感があります。

それにしても、瀬戸口は帽子って似合わなそうだけれど、あっちゃんは結構可愛いんじゃないかと思うんですが、皆さんどう思います?

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2003年08月03日(日) SSS#55「瀬戸口×速水 明るい雰囲気」


【こねこねこ】






まだ早春の風はしっとりと重く濡れ、それでいて清澄であるという独特の気配をはらんでいる。
喩えるなら、瑞々しい桜の花弁に露を含ませたかのような、とでも言うべきか。
速水の前髪もしっとりと湿りけを含んで普段よりも艶を増している。
まだ8時前。新緑に囲まれた尚敬高校の校門付近にも人影は無い。
少年は足早に昇降口を通り過ぎる。
彼は小隊発足の時からずっと3番機のパイロットを務めており、部署異動のために早朝に呼び出されるのは今回が初めてのことだった。
さわやかな空気に比して速水の心は重い。
速水自身が部署異動を願い出たわけではないことから、きっと今回の異動はスカウトへの変更。つまり陰謀だろう。
速水はすでにパイロットとしてかなりのステータスを所持しており、従ってスカウトになっても100%死んでしまうほど貧弱ではない。
しかし、実質スカウトへ移動させられるという陰謀は、死んでしまえばいいと思われているのと同義だった。
自分がそんなに誰かに嫌われたり恨まれたりしているのかと思うと、速水は泣きたいほどに辛かった。
速水とて聖人君子ではないし、それどころか本当のところを言えば正反対もいいところなので、他人の恨みを買う覚えは無いとは言わない。
しかし、誰かが速水の異動を陳情したとすれば、それはどこかの他人ではなく、この小隊のメンバー、つまり速水にとっては仲間ということになる。
足取りは次第に重くなり、彼はこのまま自分が永遠に小隊司令室に辿り着かなければいいとさえ思った。
自分が憎まれているという事実を目の当たりにするのはあまりにも辛い。
とうとう着いてしまった司令室の前で、少し躊躇する。
ドアをノックしようとして上げかけた手を握り締め、逡巡していると中からドアが開いて善行が顔を出した。

「おはようございます。こんなところで何をやっているのですか。早く入りなさい」
「は、はいっ」

慌てて彼の後ろに付き従う。
善行は自らのデスクの前に廻って、お手本どおりの敬礼をしてみせた。
速水もそれに倣う。

「朝早くからご苦労様です。
 速水千翼長、部署異動の辞令です」
「はっ」

速水は頬を強張らせ、決定的な瞬間を待つ。
まるで歯医者の順番待ちをしているような面持ちの少年を見ても、善行は表情も変えなかった。

「速水君は以降、『瀬戸口君のペット』として働いて下さい」

反射的に敬礼をした速水は、数秒経って目をぱちくりさえた。

「あのう…」
「どうしました」
「すみませんが、もう一度言ってくれませんか」

自分が聞き間違えたかと思ったのである。
だが、ありがたいことに彼の上官は、先ほどと寸分たがわぬせりふをもう一度口にしてくれた。

「速水君は以降、『瀬戸口君のペット』で働いてください」
「ベットで!?」
「ペット。
 パピプペポのペ、です」
「はあ…」

ご丁寧に発音まで解説してくれた善行に、速水は言葉も無い。
冗談でも何でもないことは、その真剣極まりない顔つきを見れば理解できた。

(それにしても…)

何だ、「瀬戸口のペット」って…。

「あ、あの…」

速水はもう一度、恐る恐る問い掛けた。

「瀬戸口くんのペットって具体的には何をするんでしょう」
「いろいろです」
「いろいろ、ですか」
「そうです。詳しくは瀬戸口君に聞くといいでしょう」
「はい…」
「それでは行って宜しいですよ」
「は…あ、あのっ!」
「まだあるんですか?」

神経質そうな節くれ立って長い指が、眼鏡を押し上げる。
その冷たい仕草に気後れしながらも、速水はこれだけは聞き逃せないと拳を握り締める。

「この異動はだれが陳情したんですか」
「機密です」
「……」

速水の勇気はあっさり却下された。
悄然と肩を落として教室へと向かう少年の背中に、彼の直属の上司はただ不気味に眼鏡を光らせるばかりだった。




***




「瀬戸口さんのペットって、本当に何するんだろ…」

速水は初めての部署に不安でいっぱいだった。

「お手とか…取って来いとか?」

速水はペットというと、犬か猫しか思いつかない。
一体何をしなければならないのか、瀬戸口と会うのが怖かった。

「ああもう、瀬戸口さんと会いたくないなあ…」
「おやおや、冷たいなあ、あっちゃんは。
 ご主人様はこーんなに逢いたがってるのにさ」
「わーーーーっ」

文字通り、ぬるっと背後から抱き付かれ、速水は顔を真っ赤にして悲鳴をあげた。
瀬戸口は足音を立てずに歩くのがとても上手い。

「んーv今日も可愛い反応!」

速水より17センチも背が高い男は、幸せそうにすりすりと頬擦りをしてきた。

「もう!やめてよ瀬戸口さん!!」
「こらこら、ペットがご主人さまに逆らっちゃいけません」

たしなめるように言われた言葉に、速水はさっと青くなって固まった。

「ご、ご主人さま…?」
「そう」

瀬戸口はニコニコと自らを指さす。

「今朝の辞令、聞いただろ。
 速水は俺のペットって…」
「聞いてない!
 聞いたけど…聞いてない!!」

自分は納得していないと大暴れする速水。
瀬戸口はそんな彼を容易く押さえ込み、さわやかに笑った。

「心配しなくて大丈夫だって。
 うんと大事にして可愛がってやるからさ」
「いらないよ!
 離してー!!」
「俺,可愛い黒毛の仔猫を飼うのが夢だったんだよな〜vvv」
「ああそう!
 じゃあ飼えばっ」
「うんvだから飼ったんだよ」

ああ可愛いと男はだらしなく頬を緩め、柔らかな黒髪に頬をうずめた。

「もう俺どうしよう。幸せすぎて怖いぐらいだ」
「どうしようも怖いもこっちのセリフだってば!離してよ〜〜〜」
「あっちゃんも俺と同じに幸せか。嬉しいなあ」
「一緒なのはそこじゃないー!」

じたばたする速水をいとも容易く押さえ込む。
それどころか、ひょいと向きを変えさせて自分と向かい合わせにすると、瀬戸口は彼と額を合わせて「めー」とやった。

「今はいいけど、だっこされている時は大人しくしてなきゃめーだぞ?
 おっこちたら危ないからな。
 俺の可愛いあっちゃんが怪我とかしたら、俺、24時間体制で看病しちゃうぞv」
「……」

少年が口をぱくぱくさせる間にも男は抜け目なく行動し、あっという間に彼曰く「黒毛の仔猫」を軽々と腕に抱き上げる。

「さーて、教室行きますか」
「…って待って!まさかこのまま…」
「うん」
「やだ!やだやだ、降ろしてよ!!」
「だーめ。皆に自慢するんだからさ」
「やだーーー!」

半泣きで叫ぶ少年の細身ながら柔らかな抱き心地に目を細め、瀬戸口は人ひとり抱いているとは思えぬ実に軽い足取りで歩き始めた。
そのポケットから、蒼天よりも鮮やかなロイヤルブルーのリボンが覗いている。
誰の首に巻かれる予定なのかは、想像に難くない。
速水にとっては、想像したくないところだろうが。




***




分厚く積み上げられた陳情書の森の中で、ひとりの男が寛いでいる。
仕事の合間に一息入れるための珈琲の味は、格別である。
舌を焼くほどに熱い液体を一口啜り、男は満足の溜息をついた。
深みのある香りに、全身の疲れが溶け出していくようだ。
男はやけに横に広がった暑苦しい顔で爽やかな表情をするという難しい事をやってのけつつ、何気ない仕草で傍らの山から一枚の紙片を取り上げた。

『5121小隊、ハヤミアツシ万翼長。
 3月31日付けをもって、3番機パイロットより瀬戸口のペットへ異動』

処理済みの判の押されたそれをぽいと放すと、紙はゆらゆらと数度左右に振れてデスクの上にひらりと落ち着いた。
芝村準竜師は独り語散る。

「それにしても…折角の休暇よりもこんなくだらん褒美を欲しがるとは、
 4代目はつくづく変わった男だな…」
「あら、閣下も休暇よりは3ヶ月ものの靴下などを貰う方が嬉しいのでは
 ありませんか?」
「うむ、それはそうだが…」

反射的に答えてしまって、ぎょっと息を呑む。
軋むようなぎくしゃくした動きで背後を振り仰ぐと、世にも美しい彼の副官が、これ以上無いほど眩い笑顔で立っていた。
直前まで一切の気配がなかったことが、一層恐ろしい。

「げ…い、いや…更紗」
「休暇を取って私と出かけるよりも、靴下の方がよろしいのでしょう?」
「ち、違う!待て、更紗。話を聞いてく…」

更紗はにっこり笑って背中に回していた手を現わした…。

数日後熊本市内の部隊では、陳情画面に現れた全身包帯のやや太めのミイラ男が話題になり、芝村準竜師暗殺計画の有無が軍内で取り沙汰されたりするのだが、その真相は永遠に闇の中である。




Fin
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

芝村準竜師と更紗さんの遣り取り、久々に書きましたがやはり楽しいです。
それにしても、陳情内容。
「速水君は以降、瀬戸口君の『ベット』で働いてください」
で良かった気もする今日この頃。

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前日午前4時まで宿題の図面書いてて、今日も一日学校だったので疲労で吐きそうです。それなのにこんなお話書いてるんだから…アホウですね。いや、むしろセトハヤバカ一代。←望むところだ。

メールのお返事滞っててすみません。早めのお返事を心がけます。
夏コミオフの参加者、あまり順調に集まっていません。
みんな今年は来ないのかなあ。サークルさんも徐々に減ってるのが大変寂しい。
しょんぼりします。


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