■ 腰痛日記 ■
ケイの10年にわたる痛みの治療体験を少しずつ書いていきます

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2005年02月15日(火) まっすぐな言葉への挑戦

『できればムカつかずに生きたい』

1997年、私は婦人科の個人病院に通院していた。
憂鬱だった。その病院の一人の看護婦さんのことが苦手だったのだ。なぜかこの看護婦さんはいつも不機嫌なのだ。

― 中略 ―

毎回毎回、ひどく些細な彼女とのやり取りが私を憂鬱にした。
些細すぎていうのも恥ずかしいのだが、こうした日常の些細な積み重ねが、病気の時は負担になる。

たとえばある時、料金を支払う際に「2540円です」と言われ、5000円札を出した。すると彼女はギロリとお札をにらんで、ものすごく不機嫌につっけんどんにこう言った。

「田口さんは毎回、2540円ですから」

一瞬彼女が何を言いたいのかわからなかった。つまり、彼女は「毎回同じ料金なのだから細かいのを用意しとけよ」ということを遠まわしに言ったのだ。

「あ、あの探せばもしかしたら細かいのがあるかも・・・」

私はあせって小銭いれを取り出そうとしたが、彼女はにべもなく、「いいわようもう。次回から気をつけてください」というのである。

どうして 「いいわよもう」 なのだろう。どうして 「細かいのがあったらください」 と言わないんだろうな、と不思議だった。

普通にいってくれればなんでもないことなのにな。言葉が曲がっているのだ。本当に言いたいことをストレートに表現しない。この看護婦さんは一時が万事こんな感じだった、だから、みんなビクビクおどおどする。

― 中略 ―

最初の例にあげた看護婦さんに、ある日二人きりのときに私は言ってみた。

「あのね、看護婦さんはなぜそんなに不機嫌なんですか?私はあなたの前に出るといつも怒られているような気分になって緊張してしまうんです。病院にくるのが憂鬱になっちゃう時があるんです。」

「え?」

と言ったまま彼女は固まってしまった。彼女は見る見る真っ赤になって、何も答えず黙って保険証を返してきた。私も気まずかった。でも次の時、彼女は自分から話しかけてきた。

「自分に子供が生まれないことをとても気にしている。おまけに寝たきりの姑を抱えて仕事をしていて気持ちの余裕がもてない」と話してくれた。






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