2004年04月02日(金)
田中真紀子衆院議員の長女の私生活に関する記事を掲載した「週刊文春」の出版禁止を命じた 東京地裁の仮処分決定について、東京高裁は31日、発行元の文芸春秋の抗告を認め、出版禁 止命令を取り消す決定をし、出版禁止命令は効力を失った。 但し、文芸春秋の「全面勝訴」ではない。 高裁決定はまず、プライバシー侵害と事前差し止めの当否を判断する際、①公共性 ②公益目的 ③被害者に重大で著しく回復困難な損害を与える恐れがあるか・・・の3点で考えるのが妥当とした。 文春側の異議を退けた東京地裁決定と同様に、①と②の記事の公共性と公益目的を否定し、プライ バシー侵害を認定した。 しかし、記事の対象となった私生活自体は、「社会的に非難されたり、人格的にマイナス評価をもた らす事柄ではなく、日常生活では、どうということもなく耳にし、目にするものにすぎない」とし、 重大で著しく回復困難な損害を被らせる恐れがあるとまでは言えないと指摘。 一方、事前差止については、「民主主義体制の健全な発展のため、憲法上最も尊重されなければ ならない『表現の自由』の重大な制約」であり、損害の程度と制約の弊害を比較すると、 事前差止は認められないと判断した。
つまり、田中真紀子衆院議員の長女を私人と認めた上で、その記事が、プライバシーの侵害で あり、「公共性と公益目的がない」というのと、「事前差止」の間には、大きな隔たりがあるという 事だ。 何故なら、事前の出版差し止めの処分は、戦前言論弾圧を招いた検閲につながりかねず、重大な 問題をはらんでいる。 だからこそ、出版物の事前差し止めは例外中の例外なのである。。
でも、「重大で著しく回復困難な損害を被らせる恐れがあるとまでは言えない」かどうかを 判断するのは、本来本人である。 一個人の冠婚葬祭が雑誌に掲載する事にどれだけの意味があるのか。 私人の離婚記事が、「表現の自由」と「プライバシーの侵害」と言った大きな問題になったが、 「売れればいい」と考えた出版社が、私人の許可も貰えないまま、その記事を掲載したところ、 「事前出版差止請求」という思っても見なかった反撃にあった、といった感じがする。 出版禁止命令は効力を失ったのだから、文芸春秋側は、この記事を載せた雑誌の販売を決定した。 東京地裁から出版禁止命令を受けた時点で、書店などに届いていたため差し止め対象にならなかっ た同号74万部は「ほぼ完売に近い」であり、残りの27,000部(3000部は問題とされた田中真紀子 衆院議員の長女に関する記事を切除して定期購読者に既に送付済み)も完売するだろう。 田中真紀子衆院議員の長女側は、最高裁に抗告するというが、たとえ、其処で最高裁が「出版禁止 命令」の判決が出たとしても、回収不可能となる。 逆に裁判を起したことによって、話題になった雑誌の売れ行きが好調だという事は、皮肉だ。
裁判って、お金も時間もかかって、かなり大変な事。 普通、離婚した女性って、自分の生活に精一杯で、中々裁判を起こそうという気持ちに なれないと思う。 まで、これから、最高裁に抗告するだろうし、高裁でも「プライバシーの侵害」は認定されたの だから、民事裁判で「損害賠償請求」もするだろう。 やっぱり、其処まで出来たのは、田中真紀子の長女だからだろうなぁ。 それに文芸春秋と言えば、故田中角栄元首相の金脈追及した出版社(1974年、立花隆氏が 月刊「文芸春秋」誌上に執筆した「田中角栄研究-その金脈と人脈」が、首相退陣の引き金と なった)であり、何か因縁深いものを感じてしまう。
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