ディリー?闇鍋アラカルト
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2004年08月29日(日) アイヒマン・・・3

アイヒマンはナチスドイツ政権下でユダヤ人600万人虐殺の責任を負うべき立場にあり、裁判の時に「私は命令を忠実に実行しただけです。」と言ったと伝えられている。
さて、では、上司の命令なら人類にとって害になる事でも実行するのか?という話になると、事はアイヒマンに限らない。
人類の未来に暗い影を投げかける排気ガス・環境汚染・原生破壊・・・に関して多数の企業が関与しているし、多くの人はその企業の関係者であり、大抵の人がその企業の恩恵を蒙っているからだ。
勿論僕自身も例外ではない。
原子力発電による電気を消費しているし、アルバイト先では合成洗剤を使う事もある。だから、出来るだけ害になる方向へは進めないように心掛ける程度でしかない。しかし、これが大切なのだと思う。
僕自身、この歳まで正社員を体験していない。社員になれば否応なしにその会社の方針に従わざるを得ない。だから、社員にはならなかった。しかし、社員になってしまった人は出来るだけ、その会社の方針が人類に有害に働かないように努力して貰いたいと思う。
そして思うのは、2002年9月4日付けで書いた「仕事場で」に登場した大手洗剤メーカーK社の社員である。
http://www.enpitu.ne.jp/usr9/bin/month?id=99310&pg=200209
彼は、石鹸を手作りする僕に「それじゃ、私たち、敵でしょう。」と寂しそうに言った。
彼は合成洗剤が有害であるのを知っている。自分たちの会社の製品が優良な物だという自負があるなら、「手作り石鹸もいいと思いますけど、うちの○○も体験してみて下さいね。きっと気に入ると思いますよ。」とでも言うはずだからだ。
有害な物を作り続け、有用な石鹸を減産させ、そうした状況維持の為に医者や役人を接待する・・・そうして巨大になった会社の方針の為に、有害が分かっていてその為に働かざるを得ない自分の状況に胸を張る事が出来ない。
「そんなあ、敵だなんて思ってないですよ。」と言った僕の言葉は本当だ。
うつむく彼に、僕はうつむかないで生きられる為の言葉を伝えたかったのだ。


2004年08月27日(金) アイヒマン・・・2

いわゆる普通の人たちがひどい事をしてしまうのは、学校でいじめによる自殺などが有った時に露呈する。
いろんな職場にも結構いじめは存在する。
しかし、そうした事態に気付かずにいる事が多い。
いわゆる普通の人たちが気付かずにひどい事をしてしまうには、そういう条件と言うか、環境があるからだとも言える。
それに気付くには、知性・知恵といったものが必要になる。
また、見つめる勇気・流されない勇気も必要だろう。
また、電話をくれた彼女の場合など、彼女は日本人から仕事を奪っていじめているというよりも、まさしく「会社の仕事をきちんとやっている」のだ。
しかし、彼女はその事に心を痛めている。洗練されたアイヒマンではない。元いわゆる普通の人アイヒマンは最初こそ逃げ出したが、虐殺マシーンになる道を選んだ。
結果として人を傷める事になる仕事をしたという点においては共通していても、この次には違う仕事を選ぼうとする彼女と、その職務に熱心になっていったアイヒマンとは違う。
しかし、かなり多くの人たちが現在尚こうした状況に巻き込まれている事に気づく事が人類の未来の為に必要なのだと思う。
8月24日に書いた「年間一兆円の医療費を使って4万人の死者を増やす」では2000年に発表されたガイドラインによって起こる恐ろしい事について書いた。
そのガイドラインを決めた人は、循環器系の疾患を減らすためにはその方が良いと主張する。けれども、その他のデメリットには目を向けなかったのだろうか。
ナチスドイツでのいわゆる普通の鉄道員が収容所にユダヤ人を送るような事がここでは起こっているのではないか?
「循環器系の疾患を減らすためには今までのガイドラインでは甘過ぎました」では、その他の癌などの疾患が増える事については考えないのだろうか?「私は循環器系の専門医です。専門外の事については専門の方にお尋ね下さい」


2004年08月26日(木) アイヒマン・・・1

先週精神科に通っている人からの電話を受け取った。

その人の会社では日本にある工場を中国に移転するのだと言う。そこで、その業務を手伝う事は、日本人の多数の仕事をなくすという事に繋がるという事で、「そんな事をしてていいのだろうか?」というわけで彼女にとって嬉しい事ではない。
彼女の口からアイヒマンの名が出た。
アイヒマンはナチスのユダヤ人虐殺に関して責任ある立場にいた人物である。
http://www.geocities.com/inazuma_jp/eichman.html
裁判でナチスのユダヤ人虐殺600万人の責任を問われたアイヒマンは「私は命令を忠実に実行しただけです。」と言ったと伝えられている。
「私だって日本人の首切りなんかしたくないけど、お金を稼ぐのに会社で仕事をし、それが会社の方針だったら、従わない訳には行かないじゃないの。それに、会社の方針で良くない事をやっている人たちって、私だけじゃなく、私の上司も、、それこそ、世の中にいっぱいいる。そんな人たちって結局アイヒマンなんじゃないの・・・」
ミルグラムという人がアイヒマン実験という有名な実験を行っている。
これは、命令によってどれだけ残酷な事を普通?の人が行ってしまうかを示したものとして有名な実験だ。
http://www.naoru.com/ijime.htm
http://www.ne.jp/asahi/holocaust/tokyo/new_page_41.htm
しかし、普通の人と言い切るには抵抗がある。
普通の人?アイヒマンでさえ、初めてユダヤ人の処刑に立ち会った時にはあまりの惨さに逃げ出してしまったのだ。
逃げ出した人が逃げ出さなくなるには、その後多くの条件付けや先輩たちの教育だって有っただろうし、昇進・昇給も必要なのだ。そして虐殺の洗練マシーンとしてのアイヒマンが出来上がる。
普通の人がそこまでになるには普通ならざる条件が加わっている。
しかし、いわゆる普通の人も条件次第で結構恐ろしい事をしてしまうという事がある。
それは、アイヒマン実験について書かれた二つ目のURLの記事の前後の記事を見れば分かる。
● 第2回 ナチスの漫画教科書
● 第3回 アドルフ・アイヒマン
● 第4回 ショアー
ナチスの漫画教科書には醜く描かれたユダヤ人教師・生徒が学校から追放されるのを無邪気に笑っている情景が描かれている。
ショアーではいわゆる普通の鉄道員が、ユダヤ人を収容所に輸送する作業をしながら、それが虐殺に結び付いていると想像しないための理屈付けをしている。
このような記事を読むと恐ろしい事をいわゆる普通の人が荷担してしまう事に気付けるだろう。
もう一つ付け加えるなら、このような事は現代日本でも結構起こっている事なのだ。


2004年08月24日(火) 年間一兆円の医療費を使って4万人の死者を増やす

この闇鍋で、血圧降下剤については昨年10月3日と今年4月30日に既に書いている。
http://www.enpitu.ne.jp/usr9/bin/day?id=99310&pg=20031003
http://www.enpitu.ne.jp/usr9/bin/day?id=99310&pg=20040430
この時の趣旨は血圧降下剤を用いる治療よりも、望ましい治療(安上がりでより健康になる)についてだったが、最近読んだ「下げたらあかん!コレステロールと血圧(浜六郎著 日本評論社)」には、血圧降下剤を使う事によってどれだけの肉体的経済的な事が発生するかが具体的に書かれていた。

それによると1990年の厚生省・日本医師会から出された高血圧の治療基準では、160/95mmHg以上ある場合には降圧剤を使用するという事だったのに、2000年の新しいガイドラインでは140/90mmHgでは高血圧。血圧は130/85以下に下げるよう治療するという事になったのだそうだ。
では、130/85以下に下げるとどうなるか?
その基準を下げる根拠になった論文は「HOT研究」と言い、「血圧 HOT研究」と入力して検索すると600件ほどヒットする。
その論文では、心筋梗塞罹患率が下がるという報告になっている。
しかし、総死亡は却って増えているのだ。
細かい計算は本に譲るが、基準値を下げて、該当する全ての人が降圧剤を投与されるとすると、1兆円以上の医療費が必要になり、心筋梗塞や脳卒中など循環器系の死亡は減っても、癌などによる死者が増えた結果、4万人程が余計に死ぬという数字がHOT研究自身からも導き出され、1980年の国民栄養調査対象者を14年追跡調査したNIPPON研究によっても裏付けられ、さらに要介護者も増える事が明らかになっている。

さて、こうした事が未だに多くの人に知られていない事は、この国の民主主義の有様を物語っているように思うのだが、分かってしまった人が何らかの行動を起こすしかないと考えている。


2004年08月17日(火) 経済活動

現代のこの世界は、経済活動が主な活動原則となっているように感じられる。
そうではなく、「神は愛である」とか「愛こそ全て」と言う人は居るには居るが、それを自分の勤めている会社で言う人は稀だろうと思える。
僕は別に神や愛についてここでは書こうと思わないが、経済活動が主なる活動原則であると、人類にとって不幸な事が起こり得る事について書こうと思う。
経済活動が盛んである事は、単純に考えて、沢山の生産がなされ、沢山の物が売れ、人々は金銭的に豊かになり、沢山の物に囲まれて生活する事になる。
それはそれで、豊かな暮らしと言うべきだろう。
戦後食べるものにさえ不足していた時代から、TVや洗濯機は当たり前になり、自家用車やクーラーさえも半ば当たり前になってしまった。
しかし、農法の変化(化学肥料の使い過ぎなど)による野菜に含まれるミネラルの減少、環境に存在する有毒化学物質の増大、地球の温暖化現象などを考えてみた場合、経済活動に伴うマイナス部分というのを考えてみない訳には行かない。

単純に酒屋の売上げが増えるという事を考えてみる。それは、増えれば増えるほどアル中も増えるという事にならないか?
ガソリンの生産・消費が増えるなら、温暖化に拍車がかかるという事だろうし、食品の売上げが増えるという事は、基本的な食材よりも加工品の割合が多くなっているとも考えられる。
医療費が増えている事は健康の基本(普段のバランスの良い生活)がおざなりになっている事を示す事にならないか?更に、医原病の増大という事も言えるだろう。
スーパーの売り場を覗いてみるなら、環境や人体に有害な合成界面活性剤製品が山積みされている。売れれば売れるほど人類全体の不健康度は増し、環境も悪化する。

国会議員が言うには国民は景気の回復を望んでいるのだそうだ。
僕は環境や人類の健康を悪化させない形での経済活動のあり方を模索する。


2004年08月03日(火) 獲得性質

獲得性質は遺伝しない・・・というのは高校時代の生物の時間に遺伝に関して講義されたのを記憶しているだろうか?
それは、ワイスマンという学者がネズミの尻尾を切ってそれが子孫に影響を与えるかどうかを調べた事が元になっている。
彼は22代、総数1600匹に渡ってその尻尾を切り続けた。しかし、子孫の尻尾は一向に短くならなかったので、「獲得形質は遺伝しない」と結論付けた。
この獲得形質の遺伝しない事については今も教科書に書かれているのではないかと思う。
ワイスマンのネズミに実験については参考書で知ったのだが、随分手間のかかる実験をやったものだなという感想を持ったのだが、今ではもっと手間のかかる実験なども知っているのでそうは思わない。しかし、何か違和感を持ったのも確かだ。よくまあ、厭きもせずネズミの虐待を続けたなあ・・・という感想だったかも知れない。

最近読んだ本で「生物は重力が進化させた(西原克成著 講談社ブルーバックス)」にワイスマンの事が書かれていた。
西原は言う、「ワイスマンは二重の意味で愚かだった」と書いている。
第一に、ラマルクの第二法則だけを切り離して考え、これを「獲得形質の遺伝」と位置付けてそれを否定した事を述べ、その証拠となるこのネズミの尻尾を切る実験自体が誤りであると述べる。
ネズミにとって尾を切られる事は獲得形質でもなくただの怪我である。ラマルクの用不用の説とも何の関係もない。いきなり降りかかってくる災難である。局所の細胞の遺伝子が発現する暇もないあっという間の突発事故である。つまり、そもそもネズミは尾が短いという形質を獲得していないのである。この獲得していないものが次代に伝わるはずがない。
この愚かな実験の誤りを見抜けなかった為に進化の学問は100年を棒に振った。

僕自身違和感を持ってはいても、西原の言うようにはっきりした誤りと見抜いていなかった。
教科書にも書かれ、あたかも真実のように吹き込まれてしまったものに疑問を持つ事が如何に難しいかの一例でもある。
厳しい環境を生き抜き自らの姿を変えた意志する者たちの姿を沢山知っているはずの僕が漠然とした見方をしていたのだと自戒している。


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