ミドルエイジのビジネスマン
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ビックリするような夕立の後、西の空に半月が姿を現した それを待っていたかのように、次々と旅客機が昇っていく
飛行機に乗りたい
スイスイと上昇していく中型機ではなく 昔の蒸気機関車のように 喘ぎあえぎ、やっと地面を離れるロケットのように 重々しく高度を上げていくボーイング747に乗りたい
右手に外の見える窓側の席に座って 斜め上に見える半月を見やりながら 座席に押し付ける重力を感じながら 大音響と共に上昇していく大型旅客機に乗りたい
おーい 私は昇っていく やっとのことで昇っていく どうだ、どうだ、どんなもんだい、と誇らしく 機内サービスのシャンパンを片手に どんなもんだい、と昇っていく
休みがなく、髪が伸びても床屋さんに行っていない。 トーキョーの馴染みの床屋さんに行きたい。
2012年05月13日(日) |
なぜ、彼は今現れたのか |
ほんの少しだけ早くデイサービスを始めて早くも軌道に乗り始めている男が急に訪ねてきた。他に用事があったので、近くに来たついでに顔を出したのだと言う。
自営業者は、身の回りに起こるあらゆることに何か特別な意味があるのではないかと考える。これは何かの瑞兆かもしれない、あれは何事かを警告していたのかもしれないと。
なぜ、彼は今現れたのだろうか。友達に不幸があったそうだが、それはもしかしたら、事故に用心するよう気づかせるためなのだろうか。私が、真面目が一番だよねと語りかけたときに、「それに、ちょっと頭も使ってね」と応えていた。それはどういう意味なのか、率直に聞くべきだったに違いない。
そのうち、こっちから教えを請いに訪ねようと思っていたところに、逆に向こうからやって来てくれたのだから今こそ行ってみよう。なぜ、彼が今現れたのか分かるかもしれない、と思い立ち、送迎用に使っている古い軽自動車で向かった。
田舎道を飛ばすトラックに追われたりしながら、緑豊かな農村地帯を幾つか通り過ぎ、ようやくたどり着いたのは大規模な住宅開発地に隣接しながらも、昔の雰囲気を残す理想的な立地に見える事業所だった。その玄関口に立ったとき、中は大勢の人のいるざわめきで、賑やかだった。ウチが、このような雰囲気になるのは、いつのことだろうか。
率直で暖かい性格のその男は、あらゆる問いに答えようとしてくれた。ただ正解はなく、詰まるところ、利用者の方や職員との人の縁に恵まれたこと、そして、タイミングに尽きると。あのように人を惹きつける笑顔が自分にあれば、もっとうまくいくのだろうか。
少なくとも、なんでも自分でやるあの男の方が、自分より地に足が着いている。一生懸命の度合いが違うのではないかと感じた。自分では真剣なつもりでも、人に任せておいて、そのせいにするのではなく、自分自身で取り組む必要があるのではないか。
結局、ドラマや映画のように、会った瞬間に天啓が閃くことはなかった。もっと深く考え、もっと積極的に行動して答を見つけろということか。なぜ、彼は今現れたのか。
2012年05月06日(日) |
人生で一番輝いた日々がその人の本当の姿だ |
男は、40歳の男盛りの日に大工の棟梁として棟上の屋根のてっぺんに立ち、力強い声で指示を飛ばしていた。女は35歳の女盛りの日に大勢のお弟子さんや家族の見守るステージで日本舞踊のお師匠さんとしてその身のこなしからオーラを発していた。
人生で一番輝いた日々がその人の本当の姿だ。
もしかしたら、小学校の運動会の日に、みんなが参加賞の鉛筆しかもらえない中で一等賞を取って、肩で息をしながらも、手にしたノートと鉛筆を大事に抱えていた日が人生で一番輝いた日だったかもしれない。 あれは幾つのときだったか、自分でも覚えていないが、母に抱かれて、優しくうなづく目を見ながら眠りについたのが人生で一番輝いていた日々だったかもしれない。
今はもう、それらの日々の出来事を、ぼんやりとしか思い出すことができなくなったかもしれないが、人生で一番輝いた日々がその人の本当の姿だ。
私たちのデイサービスに来られる利用者の方々が人生で一番輝いたのはどんな日々だったのだろうか。そういう思いがあれば、きっとゲストの迎え方を誤ることはない。
スローガンではないんだ。モットーとも違う。ただ私たちの心の中にある思いなのだ。
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