ミドルエイジのビジネスマン
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2005年02月27日(日) ドキュメント「大部長、新生銀行本店に乗り込む」

新生銀行は送金手数料が無料だということは聞いていたが、大部長もネットバンキングを利用して割安料金を享受しているので、それがどうしたとあまり気にかけてもいなかった。先日、「住宅ローン金利1%」という新聞記事をきっかけにホームページを開くと口座開設をすれば噂の「iPod shuffle」が100名に当たる、と書いてあったので、早速口座を開くことに決めた。最近、銀座にキレイな営業所を開いたということで、そちらにも興味があったがせっかくなので日比谷公園の隣にある本店に乗り込むことにした。「私は新生銀行本店と取引がある」カッコいい台詞じゃないですか。

さて、旧長期信用銀行本店といえば、平民が訪れることなど畏れ多くて想像さえしなかったものだが、制服姿のガードマンの視線を平気な振りをして無視し、勇気を出して重い回転ドアを押して入ってみると、ガラス張りのオフィスの左手にはなんと大好きな「スターバックス」があるではないか。右手にはパソコンが数十台並んでいて普通の人が画面に向かっている。後でパンフレットを見るとヤフーのネットカフェらしい。しかも、普通なら銀行ロビーの奥にあるカウンターが見当たらないので、どうしたらいいか分からない。一回戦は大部長の負け。

仕方がないのでロビー中央、円形の受付カウンターにいるキレイなお姉さんに声をかけた。いかにも、外資系のできるキャリアウーマンという感じだ。「あのー、新規に口座を開設したいのですが」と聞くと、なんと「こちらで承ります」とのたもう。エッ、こちらでって立ったまま?そう、お互い立ったまま手続きをするのだ。A4の紙に住所やら名前やら書き込んでいくとサインと印鑑を選ぶことができるようになっている。先ほどから銀行印を握り締めているのにキャリアウーマンは全然関心を示してくれないと思ったらハンコではなく、サインでも取引ができるのだという。オーッ、カッコええ。古い頭が一瞬、本当にハンコなくてもいいのかなとためらわせたが、かろうじてカッコいい方を選んだ。二回戦は引き分けかな。

お次は「お預けはいくらになさいますか」と来るぞと思って、さっきから内ポケット手を入れて、大枚10万円(iPod shuffleが当たる条件の残高)の入った封筒をパーンと叩きつけてきれいなお姉さんに「畏れ入りました」と言わせてやろうと待ち構えているのだが、それではカードを作ってまいりますのであちらのソファで20分ほどお待ちください、と言うだけで、これまた金額に関心を示さない。いくら預けるか聞かないんですかと言うと口座を作るだけだからゼロでもいいという。ハンコも要らず、お金も要らず、20分(実際には10分足らず)でキャッシュカードを渡す、しかも、そもそも通帳など元から無い、という手際の良さに、大部長は三回戦でノックアウトされた。いやいや、さすが外資系、やることがスマートだわ。

奥にあるATM(入口に無いということは入出金だけのやつは来るなということか)で、だれも驚いてくれなかった大枚10万円を入金しながら、カッコええ銀行やなあとなぜか大阪弁になり、いつしか、その銀行の、しかも本店で取引している自分もカッコええなあと思えてきたものだ。この乾いたクールな空気、きれいなお姉さんとの対等な大人の会話。そのまた奥にある秘密めいた、擦りガラスの「ゴールドデスク」には用事もないだろうが、全体として洗練されたアトモスフィア(雰囲気)を感じた。おお、感想まで自然に英語になってしまう。

ちなみに、送金手数料が無料なのを利用して特定の中小企業が何百件も送金するので今では「実質無料」は月間5件までに制限されているとのことだ。「実質無料」の意味は一旦手数料を引き落として、後で月に5回分までを入金してくるということらしい。もし、1千万円持っていれば30回まで無料という話だが、こういうのを無駄な情報という。

口先ではありがとうございますと言いながら、あんたみたいな小口は面倒なだけなんだよという雰囲気を漂わせ、奥で中年のワイシャツ姿のおっさんが偉そうにハンコを押してようやく口座を作らせていただく銀行が今もあるとしたら、少なくとも口座を作る段階では大口もゴミもなく、対等の人として扱われた感じがして重い回転ドアを出てきたときには自分が大物になったような気分になっていた。しかし、改めて考えてみると、将来このキャッシュカードの裏にカッコつけて書いたローマ字のサインを何がしかの契約書に署名する機会があるのだろうか。ま、はなはだ疑問だ。

新生銀行はATMの使用についてアイワイバンクと提携している。週末にイトーヨーカドーとセブンイレブンでお金を出したり入れたりして遊んでみた。他行ではあっても操作にストレスはなく、自分の銀行のように365日、24時間無料で入出金ができるのでこれだけでも口座を作る価値がある。アイワイバンクの申込書を手にしたこともあるのだが、時間によっては自行のATMも有料になる。素朴な疑問だが、それでは、新生銀行ではなく、アイワイバンクに口座を開設するメリットは一体何なんだろうか。次も余談だが、郵便局のATMも使える(引出しは有料)ので、地方に住む若い女性が他の銀行口座を整理してもっぱら新生銀行だけ送金に使っているという例もあるらしい。今や、銀行も消費者に選ばれる時代になったということを実感する。

はてさて、本日は新生銀行の回し者のような事ばかり書いてしまったが、もちろん大部長は新生銀行とは縁もゆかりも無いことをお断りしなければならない。最後に、きれいなお姉さんとの一番最初の会話を紹介しよう。口座を開設したいと申し出たときに最初に彼のキャリアウーマンはしきりと取引開始について説明したがった。こちらはただ口座開設に来ただけでそんなもんはいいと断ったのだが、「口座維持の条件についてご存知ですか」とのたもう。今は何の条件もついていないが、そのうち何らかの条件、例えば一定の残高がないと口座維持手数料を徴収するという類であろう。まあ、世の中こんなにおいしい話が長続きするわけも無いので、破綻した発券銀行から外資系のカッコええ銀行に変身して見事にイメージチェンジに成功した今、いつ強気に出てきてもおかしくはないと大部長は思うのであった。










2005年02月20日(日) 映画「アレキサンダー」にガッカリ

久しぶりに何も予定のない自由な週末であった。先週も家族でスキーに行ったりしているのだから傍からみれば絵に描いたように「自由な週末」なのだろうが、お父さんは、たとえレジャーであっても、どうしてもアレをしなければならないという拘束自体が苦手なのだ。だから、コーヒーショップでポワッとしていたり、車のフラットシートでミステリーを読んでいるのが一番幸せだ。

そういう訳で、何もない今週末はゆったりとした気分でレイトショーに出かけ、映画「アレキサンダー」を観てきたのだが、これが駄作でガッカリしてしまった。ネットでの評判もあまり芳しくないようだ。中には5段階で1.5という厳しい評価もあった。3時間もの大作であるにもかかわらず、ストーリーが平板だとも言われているが、アレキサンダー役の主人公に華がないのが盛り上がらない最大の理由だと思う。あんなひしゃげた鼻の気弱そうなアレキサンダーがいるだろうか。

ともあれ、日曜日ものんびり過ごしたので、文句は言えない。

ところで、HPの「お奨めサイト」で「繁盛研究所」様のご好意により「コンサルタントの3行(4行)日記」にリンクさせていただいた。何ヶ月か読み続けているが、よくも毎日バライエティに富んだ材料があるものだと思う。コンパクトにまとめられているが、ビジネスの面だけではなく、そこに登場する様々な人の生きいきした考え方も日々惰性に流されそうな自分にカツをいれてくれるので楽しみにしている。


2005年02月13日(日) 恒例の家族スキー旅行

恒例の家族スキー旅行に行ってきた。今年はお父さんも長さ150センチのスキーに変えてみた。曲がる技術というのがほとんど要らない。130センチの板を選んだ長男に言わせると「エッジを立てる必要がない」ほどだ。つまり、「外側のスキーの内側のエッジに体重をかけると曲がる」というような回りくどい説明は必要なく、「どちらかのスキーに体重をかければ、勝手に曲がる」そうだ。お父さんは、「下り斜面を大またで歩くように滑ることがができる」ようになってしまった。どんな急斜面でも、意に反してスキー板が交叉してしまったために派手に転倒するという事態も想定する必要がない。

今になってみれば、どうしてスノーボードにしてやられるまで、みんなが長いスキーにこだわっていたのか理解できない。


2005年02月06日(日) チグハグな北の街への出張

雪原に不時着するのではないかと思うほどに心細い、一本だけの滑走路に飛行機は乱暴に着陸した。空港から街に向かうバスから時折冬の日本海が見える。荒々しい波が沖の消波ブロックや砂浜に打ち寄せ、人の乗っていない軽トラックが無造作に駐めてある。

「俺はどのように生きてきたのか、残り少なくなってきた持ち時間で、どのように生きていくのか」と、風に吹かれながらその浜に立って自分自身に問いかけている姿を一瞬だけ想像したが、それも束の間、ファミリーレストランのようなところで気ぜわしい食事をした後、およそ5時間のミーティングに参加してきた。

帰りの飛行機は時々雪の舞っていた北国の街から1時間足らずで乗客を羽田空港に運び、大部長は何事もなかったかのように日常生活に戻った。隣に座った同僚に500円の機内ビールを奢ろうと思いながら、注文のタイミングをはずしてしまったことを軽く悔やんだままチグハグな日帰り出張は終わった。

一緒に行った同僚の感想も聞いてみたい。


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