ミドルエイジのビジネスマン
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2002年11月24日(日) 鉄の斧です、ご褒美を

何ヶ月か前に、札幌のスーパーで外国産牛肉を国産と偽って売ったことが判明したため、牛肉を買ったと申し出た人に無条件で返金するとアナウンスしたら、群衆が押し掛けて大混乱したというニュースがあった。牛肉の総売上げより返金の方が多くなってしまったというから笑い話だ。

こんなことを思い出したのは、先日、同僚二人と仕事に出掛けたとき、品川駅で会社員らしいお兄さんの後ろに並んでJRのカード「スイカ」に入金しようと思ったら、販売機からお札が出てくるという事件があったからだ。お兄さんに忘れ物ですと声をかけると、自分のものではないとおっしゃる。一瞬考えて、それでは半分こ、でも私が発見者だからちょっと多くね、などとセコい分配を申し出たら、要りませんとあっさり断られてしまった。シュン。

同僚たちは何でそんなに時間がかかるんだと遠くからいぶかしそうに眺めている。私が半分、君たちは半分の半分ずつね、などともみ手をする自分の姿も頭をよぎったが、日頃、企業の姿勢はどうあるべきかなどと論じている同僚に軽蔑されるのもナニなので、泣く泣く駅に届け出た。

こちらも社会に出てから幾星霜、あのお札が正当な所有者に戻るとは万に一つも思えない。後ろ髪を引かれながら会社に戻ることになった。

もし、その気になった人がいたら、日時、販売機の特定は当然のこととして、紙幣の券種、枚数、折り目の数などを正しく申告すれば貰えるのではなかろうか。さて、その情報を半額で提供・・・ウウッ、どこまでセコいんだこの私は。

しかし、あのお札がお釣りとして出てきたのだとすると、取り忘れた正当な所有者は現物を見ていないだろうから紙幣の特徴を説明することもできない。品川駅の駅員さんは、日時、場所、金額だけの申告で返金するのだろうか。

ちなみに、札幌の騒ぎの件で最も罪作りなのは某スーパーだ。平身低頭、一見、もっともらしい善良さをまとったように見えるが、人様の良心を試したりしてはいけない。人の心はかくも弱いのだ。ましてや相手はお客様なのだから。

ところで女神様、色々葛藤はありましたが結局届け出たのですから、何かいいことの一つくらいはないものでしょうか。


来週以降、私の身に起こる、どんな小さな幸運も見逃さないこととしよう。





2002年11月17日(日) ソーセージとコシヒカリの重み

母の看病に行った日、当初は中学校の同級生たちと初めてゴルフをする予定だった、というとゴルフ狂いの小父さんのように聞こえるが、本当はそうではなくて1〜2年に1度しか行かない「いやいやゴルファー」だ。まあ、スッパリ縁を切る度胸もなくてお義理にやっていると思えばいい。ただのカモともいう。

北朝鮮に行っていた訳ではないが、旧友たちには東京に出た私なんぞほとんど行方不明者と同じだ。たまたまメールを交換するようになった一人の友人から、みんなでゴルフをしているという話を聞きつけ、仲間に入れてもらおうとしたのだ。

気の置けない同級生たち(そこだけ期待していた)とのゴルフには参加できなかったが、打ち上げの宴会に少しだけ顔を出した。そうしたら、参加もしていないのに20本入りのソーセージを箱ごとくれるという。うまい米を送ってやるから住所を書いておけと言われてハイハイと気軽に書いて渡したら、今日コシヒカリが30キロも届いた。

箱ごと持ってけというソーセージや台所に運ぶのに腰を痛めそうだった出荷用の米袋に物理的な重量を上回る重みを感じた。最近涙もろくなっているのかもしれない。次回のゴルフコンペに参加できるならいくら払ってもいいという気持ちになった。みんな、来年も是非呼んでくれ、チョコレートだろうがペナルティだろうが幾らでも払うぞ。


だ、誰だ、2年越しのカモ猟だというのは。


2002年11月10日(日) 大部長、大シティホテルに登場

取引先の祝賀パーティで、都心のシティホテルに行ってきた。主催者は大企業でも、成金会社でもない。39歳という若さの社長が率いる社員60名ほどの生真面目な会社にとても嬉しいことがあって、少々お手伝いした縁で招かれたのだ。

巨大な宴会場に4〜5百人位もいそうな沢山の人たちがさんざめき、ゲストの皆さんも喜色満面だ。ステージの上では型どおり社長のご挨拶や主賓の祝辞もあったが、全社員一人ひとりが紹介され、若い社員が晴れがましさと緊張の面もちで会場を見渡している。皆、いい顔だ。

会社の規模から見てこんな大がかりなパーティを開くのはどうかねという声もありそうだが、そうは思わない。ステージの上の張り詰めた社員の顔を見れば、この晴れがましいパーティにかかった費用も彼等がこれからアッという間に稼ぎ出してしまうであろうことは明らかだ。お金だけではなく、使命と達成感をバネに働こうという気概にあふれている。

この会社、先端技術が売りではない。むしろ、旧来型に属する業種であるのだが、先行大企業が環境の変化に身悶えするだけで変革を遂げられない中、お客様の要望を丹念に先読みすることで着実に成功してきた。

会社を訪問すると女性が多いのに驚かされる。そこでは、中核社員も女性が多くを占め、キャリアウーマンとして肩肘を張るでもなく、ましてや職場に花を添えるだけでもなく、自然体で働いている。今の社風のまま、どこまで成長していけるのか考えるだけでも楽しみだ。日本中のあちこちで、こんな透明感のある会社が誕生しているのであれば、私たちの将来も捨てたものではない。

さて、久々に都心のホテルに足を踏み入れた大部長、例によって乾杯の一杯で雲の上の人となり、フワフワと楽しいひとときを過ごした後、キョロキョロあたりを見渡せばホテル内は早くもクリスマス気分、きれいなクリスマスツリーがあったので同僚に一枚撮ってもらった。出来がよいので、しばらくホームページの表紙に飾ることにする。一杯機嫌の主が表紙を飾るホームページ、まあ悪くはないか。


***表紙が変わったのでここに飾りましょう***


2002年11月04日(月) 主婦の知の世界は爆発するか

来週、全社員が受けるテストがあるので勉強しようと思ったが、内容空疎な模擬試験はネットラジオでも聴きながらやるのが相応しいとパソコンのスイッチを入れたのが運の尽き、何気なくネットを見ているうちに30代のある主婦の尊敬すべきチャレンジ日記に遭遇したので、勉強もそっちのけで1年分の日記を拝読することとなった。

その方は、元々大学で英文学を専攻していたらしいが、今は子育て中の専業主婦。昨年9月11日のテロをきっかけに、多分、英語で直接情報を取りたいと思ったのだろう、英語の勉強に目覚め、毎日英文を読み、インターネットでボイスオブアメリカなどを聴いている。どんなに忙しくても英語を聞き、読む方は、なんと5万ページのリーディングが目標だという。どうやら、ペンパルならぬ外人のE-Palと意見交換までしているようだ。

図書館から本を借りてきたり、昔買った本を自分の本棚から引っぱり出してきたりというケチケチぶりが主婦らしくて微笑ましいが、既にかつてのご自分の水準を乗り越え、新しい世界に突入している。どれくらいすごいかというと、スーパーに買い物に行こうと道を歩いていると、雀が英語で鳴いているのだそうだ(冗談ではなく本当らしい)。

英語学習を通して、歴史や環境や社会問題など様々なテーマにも造詣が深まってきており、想像するに、既に旦那様も及ばぬ知の世界が確立され、彼女はそこに住んでいる。ウーム、知らぬは亭主ばかりなりか。

さて、これから先どうなってしまうのだろう。ここまで高められた知の世界が容易に生活に押しつぶされてしまうとは思えない。そう言えば、私の先輩でリタイアされた方の奥様は今、旦那を置き去りにしてロンドンに短期語学留学をしているという。現代の日本には、このように知性にあふれ、実力を持て余している女性が何万人といるに違いない。いつか、どんな形でか分からないが、若い専業主婦の方の知の世界がブレイクする日が来るのではなかろうか。

オッと、しまった。自分の知の世界はほとんど手つかずだ。来週のテスト、大丈夫だろうか。


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