あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
(みおつくし) 2005年02月22日(火)

海のために櫂を捨て
泳いでゆく
鳥は羽で闇の深さを知る
私は、肺の奥で

水の中で生きる方法を
今は忘れてしまった
光が届かない場所には
輝く生き物がいる
じゅんぐりに光は絶え
新しい光がうまれ
そうして波は打ち寄せ
水は重くなるのだ

魚だった
ずっと昔の記憶は
瞼の裏側にしまわれている
取り出せない言葉は
水底に沈んでいる






(申請書を緑色で書くということ) 2005年02月13日(日)

許されていない沢山のこと
花とお天気と今日の料理と近所の噂話と
テレビのワイドショー以外の話をすること

ねえ、
きっと犯人もかわいそうだと思うの
だって親にも愛されないで友達も出来ないで
何もかも上手くいかなかったのよ
認められなくて居場所がなくて寂しくて
受け入れてくれない世界を消してしまえば
幸せになれると思ってしまうのよだってあなた、
あのレポーターが言っていたのよ
かわいそうな生い立ちなのですってそう言えば
ちょっとレポーターには不向きな顔だったわよね
目が大きすぎて私は好きじゃないわ下品じゃない
ねえあなた

あなた、

私には社会も政治も倫理も理想もなくて
ただ笑ってあなたのお話を静かに聞いて
時々間違ったことをしてあなたに怒られて
怒られて、私が怒る場所はどこにもなくて
責任とか権威とか誇りとか感じるために
振り上げる手をどこへ持っていけばいいのかしら
私に許されているのは小さく折りたたまれること

折りたたまれて
私は小さくなってあなたの作った小さな紙の家の
小さな台所のシンクの前に貼り付けられて
燃やされる色すらなくなっていつか、いつか






 2005年02月06日(日)

あまおとあまあしのそのさきの
ひみつの、ばしょに
うめてきた




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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe