演劇舞台のように強く照明が当たる場所で、 頭髪の色について話される。
自分ではそんなに明るい色ではないと思っているのだが、 だれかが「少し普通じゃないから駄目だ」 などと言っている。
確かめるべく光に照らし見てみようとするところで終わる。
天上の神が騎馬で大立ち回りでもしているかのような音が鳴り響く
空を切り裂き 網膜を焼き 怒れる光が空気を震わす
ガラス越しの景色が薄墨に覆われ フラッシュが彩る
子供たちは奇声をあげ 鳥たちは宿木を探す
雨音がすべてのボリュームを下げ 排水管を流れる水だけが耳につく
缶に残った一つのドロップのように カラカラと音を立てる
振ってもゴツゴツとしか鳴らなかった音は 人が食べ自分でも舐めるうちに 軽い音しかしなくなってしまった
もう少し あと少し
そして最後
今まで食べた味を見つめる
まだ価値を持つそれは 空になってしまったら どうなるのだろう
最後の味はどんな味か
私と一緒に在る缶は 私と共にカラカラ小さく鳴いた
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