おはようの
いってきますの
別れの
溢れる気持ちを代弁する
目と目を通じ合わせての
ベンチで
階段の踊り場で
車で
電車のホームで

そこかしこから聞こえてくる

恋の調べ


あなたは誰とkissを？

振り返らずに前のみを見る

そうすれば今の痛みに気づかずに過去にする事が出来る


けど見てしまえばそこに有る痛みも現在なわけで

髪を撫で
顎のラインに触れ
唇に唇を合わせ
胸を掌包み
頬に頬を寄せ

そのまま寝につこう

帰る足取りは迎えられるために浮き足立つ

家で眠るあの子
食事を作る妻
腹を空かせて待つ子供

ただいま

待ち人は何度復唱したか分からない言葉を
それでもまた発して迎える


君に
ただいま

あなたには


ここで君を待ち
此処で君を迎える言葉


君に放ち
君に迎えられる

ガンで亡くなった人を思い出す

たまにメセンジャーで話す人だった

僕の言葉を気に入ってくれ
わざわざ自分のページに乗せてくれたり

クリスマスの時に酔った勢いで撮った写真を見せたら、暗い気分が吹き飛んだと喜んでくれた人だった

人づてに亡くなった事を知り
少なからずのショックを受けた

まだ幼い子供と想ってくれる人達を残し
逝ってしまった

その人に教えてもらったレシピ等がメモ帳に残されていた

主婦らしく簡単ながらも栄養バランスに優れているレシピ
一度しか作った事は無かったが
今でもそのメモ帳は捨てずにとってある


一度知り合うと
今生の別れに出会っても

心の中に生き続ける


僕の中に

一人一人
一つ一つの言葉が
思い出として刻まれ続ける


話せなくなったとしても
居なくなった人は
イナイ