2006年08月20日(日) |
ブレイブ・ストーリー(美鶴×亘) |
この手の中に、彼の温もりがある。
美鶴は、空に瞬く星々を眺め、そして、そっと手のひらを見つめた。
この異世界にきて、己を支えていたものは、単衣にアヤを取り戻したい、ただそれだけだったのに。
ふと街中で彼を目にした瞬間、大きく心が泡立った。
「芦川っっ」
幼い声が呼ぶ。 逃げるように、隠れるように、人ゴミに紛れた。 彼が追ってきているのが分かって、急くように路地裏で魔法陣を空にきった。
「ワタル……」
名を呼ぶ声が震えた。 亘は、幸せだった頃の自分によく似ていた。 彼には此処に来て欲しくなかった。 例え、その身に不幸が振りかかろうとも、しっかり地に足をついて踏ん張って欲しかった。
自分のようになっては欲しくなかった。
けれど、それは間違いだったのか――彼の傍には、自分とは別の誰かの気配がした。
どこにいても、幸せを掴める人間。
確かにそういう人間は存在する。
きっと亘はそういう人間なのだ。
彼の心は決して闇へは向かわない。その不幸をも乗り越えて、光へとつき進んでいく。だから――。
「俺と一緒にいたら駄目だ」
美鶴は空に手を延ばし、星を掴むように握り締めた。
だから、一緒にはいられない。歩む道が違うから。
例え、例え自分が誤った道を歩いていったとしても――。
「君は光の下を歩くんだ――亘」
そう祈りを込めて、拳に口唇を落とした。
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星は、暗闇に光る希望。 美鶴にとっての亘なんですね。
あああ、原作はやく読みたいぃぃぃぃぃ。 映画だけじゃ、物足りないよぉぉぉぉ!!!
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