うつ病で摂食障害などを抱える看護師。色々あるけど、生きて行くのだ!

2004年10月30日(土) Yさんの50カ条

 訪問入浴の仕事は楽じゃない。楽してお金を儲けようなんて思っていないけど、そのうち体を壊しそうな気がする。というか、もう壊れているから、問題ないか?

 病院での看護婦とはまた違った苦労がある。自分のことを看護婦と思ってはいけないようなところがある。入浴させるのはあくまでも「お客様」であって、「患者」ではない。だから「患者さん」と呼んではいけない。看護ではなく、介護に近いので、自分が今まで習ってきたこと、行って来たことが全て覆され、1から学ばなければいけないような状態だ。

 先日、ある事業所に呼ばれて訪問入浴の仕事をした。看護師は、まず「バイタルサイン」と言って、熱、血圧、脈拍を測り患者の状態を見て、入浴可能かどうかの判断をする。それを用紙に記入したら、準備をしているオペレーターとヘルパーさんと共にお客様を入浴させることになる。
この日は一日に7件の入浴依頼があり、最後に回ったのが、Yさん宅。

 車から降りる前に、オペレーターとヘルパーさんに言われた。

「このYさんね~神経質っていうか、かなり難しい人なのよ。とにかくやたらと触らない方がいい。湯船に入っている時も足が必ず床に着いていないとダメなんだけど、その角度があるんだよね、Yさんなりの。体温計をはさむ時も、パジャマの首のところから入れるのはダメなんだ。Yさんの左側に立っってパジャマの上着の下の右側から体温計をこういう角度で入れるの。そうすると、丁度いい位置を教えてくれるから・・・・etc.」

「すみません。バイタルのところしか頭に入りませんでした」

「当たり前だよ。私達だって、覚えるのにどれだけかかったか?何やっても、『ちっ!』って舌打ちされるから。洗体はだいたい私達がやるから、後は奥さんとシーツ交換とか、パジャマの準備してて。それから、洗体の時は常に一人が足を洗っていなきゃいけないの。それも強くてもダメだし、弱くこするぐらいでいいと思う・・・・etc.」


だ~か~ら~頭に入らないって。


緊張して、Yさんの家に入る。
「こんにちは~。お邪魔いたしま~す。よろしくお願いします。失礼しま~す」こんな調子。

「Yさん、お風呂に入りましょうね」
オペレーターが言う。

「じゃ、お熱測りましょう」
おそるおそる、言われた通りに、Yさんの左側に立ち、パジャマの下から、右の脇の下に体温計を入れた。

「ちっ!」
早くも一度目の舌打ち。

毛布を早く元に戻さないと寒い!とのことでした。

Yさんは気管切開をしている。気管に穴を開けているわけで、穴をふさがないとしゃべることができない。Yさんの場合はしゃべるための器具がある。

体温計を入れて、「この辺ですか?この辺?」と聞いてみる。
違う違うと首を振り、
奥さんに、器具をつけてもらって話す。
「上だよ。上」
私は、体温計を奥の方に入れた。寝ているYさんにとって、上とは頭の方という意味だと思ったからだ。

すると、「ちっ!」二度目の舌打ち。

奥さんが器具をつける。

「上って言ったら、上だよ。わかんない奴だなぁ。上は天井」

「すみません。」

と、位置をずらす。

こんなことに始まり、毛布は屏風たたみに3枚に折り、ベッドの後ろ側にかけておかなければいけない、とか。ベッド柵ははずしたら、ベッドの足元の方に立てかけておかなければいけない、とか・・・決まりごとが・・・・ふぅ~。

オペレーターとヘルパーが体を洗っている時、私は言われたとおり、軽く足をこすっていた。それはよかったらしいが、また舌打ちされた。膝が、お風呂の淵に当たって痛いだろうと思ったので、位置をずらしたらそれが気に入らなかったらしい。

その後、何をやっても舌打ち。

この人は私に触られるのが嫌なのだろう、と思ってしまった。
もう触らない・・・、というわけにもいかない。

体を洗い終わり、お風呂から上がって、体を拭いたら、舌打ち。
拭き方が気に入らないらしい。ハイハイ。

もう~嫌っ!最後のバイタルまで何もしない!

すると、怒っている。奥さんが器具をつけた。

「あんたねぇ。突っ立ってても仕事にならないんだよ!俺の顔見てたってしょうがないだろう。何固まってんだよっ!」
ものすごい勢いで怒鳴られた。


「あのねぇ。あんたが何やっても舌打ちするから何もできなくなるんでしょう。わがままオヤジ!」
と言い返してやりたかったが、我慢した。そこの事情所の方に迷惑がかかるから。それに私は泣きそうだった。でも、我慢した。もう、新米の小娘じゃないんだから、泣いちゃいけない。でもなぁ、訪問入浴としては新米なんだけどなぁ。

 帰りの電車でボロボロ泣いた。自分の不甲斐なさ?Yさんのわがままにあきれた?よくわからない。
とにかくYさんが7件のうちの7件めでよかった。これが最初だったら、私はめげていた。
病気をするとわがままになると言っても限度というものがあるよ。
Yさんのところには二度と行きたくないです。





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2004年10月28日(木) 勝負パンツ!

一生の誕生日プレゼントをあげていなかった。本人は1万円ぐらいの物を要求するが、超ビンボーの我が家にはそんな物をあげる余裕がなかったので、う~んと考えているうちに時が経ってしまった。

 そのうち、と考えてるうちに忘れた。
それで、今日出かけた時にふと思い出した。


で、何を買ったかと言うと・・・



勝負パンツ!(爆)

見せパンというわけではないが、ロゴが上に入っているのがいいなぁと思い、カルバンクラインの青っぽいシマ模様のボクサーパンツを買った。
これは、マザコン君へじゃなくて、ジョークを交えた性教育(笑、笑、笑)

そして、お口の消臭スプレー。←デートの時に口臭はいけないでしょう。
っていうか、彼女いないけど。





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こんなことする親がいるのだろうか。

一生は中学にほとんど行っていない。そういう性の知識は大抵中学の部活の先輩から吹き込まれるのだ。だから、何も知らなくては困る。

「自然に覚えるよ」
と人は言う。
でもねぇ・・・今の学校では交友関係も乏しいし、どこから情報を得る?

性教育はニ週間ほど前に二葉にもした。
二葉は知識が豊富。小学生でも「耳年増」って言うんでしょうか?
なぜ小学生の二葉に話したかと言うと、二葉はとても小学生には見えない。たまに高校生に間違われることもある。だから、自分の身を守ることが大事だと言うことを教えたかったのだ。テレビの影響か?まぁ、いろんなこと知っていました^^;

ところで、問題の一生。
小さな袋を開けて、箱をじっと見る。

「これ何?」

二葉が笑っている。

「本当に何も知らないの?」

「知らない」←ヲイ!本当か?

開けて、説明書を読んでいる。←説明書好き。

「とにかく、そんなの興味ないって思っているかもしれないけど、アンタは襲われるタイプだからね!」

苦笑いをし、

「ゲームの方がよかったよぉ!」

とわめく一生。

「あのねぇ。大事なことなの!性教育はちゃんと大人がしなきゃいけないことなんだよ。妊娠させちゃ困るだろうし、女の子が『安全日だから』って言っても信じちゃいけない。安全日なんて無いに等しいよ。それに、エイズの問題もあるんだからね、云々」


私って変な親ですか?


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2004年10月17日(日) 「バスケで遅くなる!」

 いきなり仕事を始めた。人材バンクに登録したら、すぐに仕事があって少しずつやっている。でもあくまでも病院で看護婦をして、医療に携わりつつ看護をしたいというのが私の希望。

 仕事というのは「訪問入浴」とデイケアの仕事。人材バンクからの派遣なので、毎回同じ場所に行くわけでは無い。週に2~3回でもよくて、時給がいいと言ったら、今は病院ではなく、こういう仕事が多い。

 誰かが急に出られなくなった時、朝メールが来て、「仕事をしてもらえませんか?」と言われることもある。それは受けなければ受けなくてもいいということだが、今はお金のためにがんばりたい。

 でも一つ問題があって、遅くなった時子供達のご飯をどうしよう、ということになる。二葉や一生とメールのやり取りをする。子供が不登校だということは言ってあるので、お客様(患者とは呼ばない)の前では携帯は使っちゃいけないけど、移動の車の中ではやっていいと言われている。
 
 先日、二葉の「ごはん何?攻撃」がすごい!絵文字などを使って、機関銃のようにメールしてくる。お金を持っている一生が頼りで、学校に行っている一生にお弁当か何か買って帰ってもらおうと思ったら、

「バスケで遅くなる!」

という返事が!

これは、困ったというより、むしろうれしかった。
一生からこんなメールが届く日が来るなんて夢のようだ。中学には3日間しか行けなくて、棒人間で運動が全くダメな一生から。

バスケは下手でもがんばっているんだ。とにかく、一生が何か買って帰るということで、連絡はついた。

仕事は思ったより大変だけど、その一言のメールがうれしくてがんばれた。




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2004年10月11日(月) 運動会

 運動会と言っても、子供の運動会ではない。父は姉のところでやっているデイケアに、9時から4時までいる。自宅とデイケアは隣接している。

 昨夜母に電話を入れたら、
「明日デイケアの運動会なんだよね」
と言う。

運動会というから外でやるのかと思ったら、

「年寄りばっかりだよ。外で走るわけじゃないよ。デイケアでやるんだよ」

と言うことだった。

父は夜になってから「白の上下を着たかったなぁ」とポツリと言ったらしい。
言われた時にはお店が閉まっているし、「運動会と言えば白の上下という気持ちなんだなぁ」と母は思い、それでも揃えてあげることができなかった、と電話で話していた。

時計を見ると9時半を過ぎていた。
母に、
「ちょっと電話切って待ってて。うちに何かあるかもしれない」
と言い、私は探しものを始めた。

テニスウエアがあったはず。上下とも見つかった。
しかも、下は新品。

半そでのポロシャツもあった。父は長袖を着るんだろうなと思ったが、長袖はなかった。

主人に事情を話すと、
「ドンキホーテなら開いてるじゃん」
と言う。

どうしても「白の上下を着たい」という父に届けたかった。
その気持ちがうれしかった。普通なら「運動会なんか出ない」というような父である。

普段何もできない私だけど、たまにパワーが出る。

父は私と同じ病気だから、気持ちがよくわかる。そして少しでもよくなってほしい。

ドンキホーテに行ったが、白のポロシャツはなかったので、Tシャツを買った。
テニスウエアの上下、半そでのポロシャツ、長袖のTシャツを持って、夜11時車を走らせた。

私が運転すると言ったけど、主人は「薬を飲んでいる人はダメ!」と言って往復運転してくれた。家に帰ったら1時半を過ぎていた。主人に感謝感謝!




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サンマの香味煮

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2004年10月10日(日) いい人が心を病む?

 車の後部に乗っていた二葉が、
「お母さん、スピード速くなったり遅くなったりすると気持ち悪くなるよ」
と言った。その日は雨が降っていた。

「あのね、二葉。車を運転する時は、道を歩いている人のこともちゃんと考えなきゃいけないんだよ。今日は雨が降っているでしょ?それでスピード出したら、その人に水溜りの水がバシャッってはねちゃうでしょ?だからスピードを落とすの」
そんな風に二葉に話したのは、一週間ぐらい前のことだった。

 そして、先週の金曜に出かけた時、帰りが夜になってしまった。細い道だったので、元々スピードは出していなかった。歩いている人を見る度に注意してスピードをもっと緩めた。・・・つもりだった」
しかし・・・黒い傘に黒っぽいスーツを着ている人は直前にならないとほとんど見えなかった。でも、そんなにスピードを出していなかったので、大丈夫だろうと思っていた。

 踏み切りのところで止まって待っていたら、窓を叩かれた。
なんだろう?と思って、窓を開けると、
「運転する時は気をつけてよね」
と男の人に怒った顔で言われた。あわてて「すみません」と言ったが、申し訳ないという気持ちよりも悲しくなった。

 見たことのある顔だった。同じマンションの人で、しかも二葉の友達のお父さんの気がした。誰のお父さんかはわからなかったけど、確かにそうだと思う。

 いつも、かなり注意しているのにな、と思ったら泣けて来た。

家に帰ったら、
「どうしたの?」
と子供達に言われた。
わけを話すと、
「黒い服に黒い傘じゃわかりません、って言ってやればよかったのに」
と言われた。そんなこと言えるわけないじゃない。

「どうして涙が出るんだろう」
と言ったら、一生が、
「それは、いい人だからだよ」
と言う。

「『いい人が心を病む』っていう本があったよ。買って来ようか?」
と言われた。


私はいい人なの?いい人じゃないよ。





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☆メールの返事を出せずにいます。ごめんなさい。もう少し待って下さいね。


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