2007年12月27日(木) |
「こわれゆく世界の中で」 |
2006年イギリス 監督 アンソニー・ミンゲラ キャスト ジュード・ロウ ジュリエット・ビノシュ ロビン・ライト・ペン
一緒に暮らしてきたパートナーとの間に、少しづつ、でも明らかに違う空気が流れているのを感じ取った時・・そこから目を反らして気持ちが触れ合う、新しい関係に期待を持ってしまう・・って。確かに分かるような気はするんですけど。 でも、二人の女性との間で揺れる・・このウィルって男性がジュードでなければ・・きっと私ずいぶん手厳しいこと言うと思うな(苦笑)
ジュリエット・ビノシュ、ロビン・ライト・ペンが演じる二人の女性。繊細で壊れそうなリブ(ロビン)に比べて、アミラ(ジュリエット)はしっかりと包容力のある女性。でも対照的でいて、彼女達二人とも実はとても母性のある女性っていう点では似ていると思うんですよね。子どもを第一に思う気持ち。 ウィルはアミラに安らぎを求めたんでしょうか。彼女の強さに惹かれたのでしょうか・・。でも、そんな彼女が息子のためにウィルとの恋を武器に使わなければいけなかった・・あのシーンは切ないですよね。
ストーリーを言葉にして表すと、なんだか安っぽい三角関係・不倫話のようになってしまうのに、ミンゲラ監督の世界だと安っぽくならない・・。 何故なんでしょうね。 きっとそれだけじゃない、恋物語だけじゃない、いろいろなもの・・たとえばアミラ親子の抱えるものだったり、ビーの心の不安だったり、ウィルの仕事・・ロンドンの再開発についてだったり・・。そういういろいろな世界を形勢するもの・・が見えるからじゃないかしら? ひとつひとつのシーンに詩情が感じられるのももちろんですが・・。
真実の愛を求めるウィル・・なんだかこの役のジュードってすごくハマッてる・・って思うのは余計なお世話かな?(笑) とっても自然でしたよね〜。 何が真実の愛か・・ってきっと誰にも分からない。でも大切なもの、なくしたくないものがなんなのか・・は分かるのかもしれないな。
ところで・・映画の中でよく使われていた言葉「イギリスの男って・・」ですが。皮肉屋で遠まわしで・・。そうなんでしょうか?・・イギリスの男性とお付き合いして・・ぜひ確かめたいものです(笑)
2007年12月26日(水) |
「パンズ ラビリンス」 |
2006年スペイン・メキシコ 監督 ギレルモ・デル・トロ キャスト セルジ・ロペス マリベル・ペルドゥイバナ・バケロ
悲しみや、希望や、安堵や、切なさ、いろんな感情が混ざり合って・・まるで迷宮の中にいまだ、さ迷っているかのような・・そんな気持ちでいっぱいの鑑賞後です。
おとぎ話を信じる少女オフェリアの前に現れた牧神パンと彼の示すラビリンス。 多くのおとぎ話のヒロインが試練に立ち向かわなければいけないのと同様に、彼女にも3つの試練が与えられます。 けれども、彼女の試練はそれだけではないのです。現実世界の試練はもっと厳しい。臨月の母の具合は悪く、新しい義父は冷酷無比なフランコ政権の大尉。
現実とおとぎ話、両方の試練に立ち向かう少女の世界が、やがてひとつに融合していく・・、見事というか、あぁ・こういう描き方、こういう映画の世界もあるんだ・・って。 ただ異色なファンタジーとかそういう一言ではとても表せられない、見る人ひとりひとりが、いろんな風に、さまざまな方向から、見たり感じたりできる・・、まさにラビリンスな世界でした。
牧神パン・・、昔読んだ神話では、いつだって性格が悪くって、しかも手が早い!(苦笑)いや〜なヤツ風に描かれていたので私の中ではとっても印象の悪い神な上に、映画でのあの目つきの悪さ(笑) ダメダメ・・オフェーリア、彼を信じちゃダメ!ってそんな風に私見てしまいましたよ(苦笑) いや、でもパンだけじゃなくって、この映画に登場するおとぎ話のキャラクターはとても可愛いとはいえませんもんね。ナナフシが変身する「妖精」だってどこか怖い。巨大カエルに、極めつけはこどもを食べるベイルマン。手に目がつくなんて!!どういう発想なんでしょうーー(不気味な抽象画みたい?)でもあれはほんとインパクトありましたよ。
だけど、そんなおとぎ話の怪物よりも、もっともっと恐ろしくて、身の毛もよだつほどの恐ろしさを見せてくれたのが、現実世界のビダル大尉。農民に対する残虐な行いから、ゲリラへのリンチ・・。もう・・見ていられない・・って思うくらいの酷さ・・。 なのに、音楽かけながらのあの髭剃りシーンや、靴をみがくシーン、時計へのこだわり・・。こういうシーンを入れてあるから・・ニクイんですよね。
ビダル大尉や唯一オフェリアを心配してくれるメルセデス・・演じる俳優さんも素晴らしい。 でもやはり!!オフェリアを演じたイバナ・バケロ。彼女の存在無しにはこの映画は語れませんよね。知的な額にあの眼差し。「もう子どもじゃなんだから」って母親に言われる・・そんな微妙な年頃の少女の愛らしさ、大人っぽさを見事にみせてくれる。 グリーンの(アリスのような)服も可愛いんだけど、私がハッとしたのは、浴槽の端に腰掛けてあの大きな(パンのくれた)本をめくるシーン。バスローブがめくれて・・足が見えるあのシーンが・・とっても印象的でしたよ。
ゆっくりと見せてくれるところは見せてくれて、どんどんと緊迫するシーンはテンポ良く・・そういう緩急の付け方・・っていうか、最後まで一瞬たりとも目が離せない。 ラストシーンは、悲しい・・けれど。でも喜ぶべき?そんないろんな思いがまたこみ上げてしまう・・。 これはもう、忘れられない映画の1本となりました。
そうそう、忘れられない・・と言えば、あの言葉。 オフェリアのお母さんが「魔法なんか存在しないの」「人生はおとぎ話じゃない」っていうシーン。 「いつまでも子どもじゃないのよ」「もう大人なんだから」 大人になればなるほど、魔法の存在を信じたい、現実が厳しければ厳しいほど、人生はおとぎ話だと・・思いたい。 こどもよりも・・もっと大人にはファンタジーが必要だと私には思えるんですけど・・ね。
1961年ドイツ 監督 ゲザ・フォン・ツィフラ キャスト トニー・ザイラー イナ・バウアー ギュンター・フィリップ
あの荒川静香さんの演技で一躍有名になったイナ・バウアー。 1950年代に活躍したドイツの有名なフィギュア選手だとか。 そんな彼女が、これまたアルペンスキー界では世界的に有名なメダリスト、トニー・ザイラーと組んで出演した作品です。
映画はそんな二人の魅力を充分に生かして、冒頭からトニーのスキーシーンから始まります。 映画の中ではスキーがものすごく上手くて、アイスホッケーの選手で、しかも劇団の舞台作りの主任・・という活躍ぶり(笑)
そんな彼が、ホッケーの練習が終わったリンクでひとり華麗に踊る少女インゲに一目ぼれすることから物語は始まります。 フィギュアといっても、スポーツ根性ものとは全く違う、楽しくてコミカルな作品でしたよ。
叔父に勧められてフィギュアの道に進んだものの、インゲの望みは劇団で歌って踊ること。訪ねた劇団の支配人の勘違いから、お話はどんどんと可笑しな方向に転がっていっちゃうんです。 先は読めちゃう・・お話なんですけど、ほのぼのしてて楽しい。とぼけた登場人物たちが可笑しくって。
イナ・バウアーさんは、可愛くてキュートな女性でしたよ〜(ふとももは・・結構立派です 笑)歌も上手に歌うンですけど、これは本人? トニー・ザイラーとの可愛いキスシーンは、結構ありましたよ。サービスシーンかしら?(笑)
最後は、しっかりアイスレビューショーを見せてくれるのですが、これがとってもゴージャスでしたね。衣装も歌も、もちろん滑りも!! テクニックとかでいうと、もちろん今の選手の方がすごいんですけど、滑りが綺麗です。イナ・バウアーは荒川さんのみたいには背を反らさないのね(と思ったら、荒川さんのは正確にはレイバック・イナ・バウアーって言うそうですよ)
最後には、またしっかりとトニーのアルペンスキーシーンを盛り込んで、あくまでも二人の魅力満載の映画でした。
2007年12月18日(火) |
「華麗なる恋の舞台で」 |
2004年アメリカ 監督 イシュトヴァン・サボー 原作 サマセット・モーム 『劇場』 キャスト アネット・ベニング ジェレミー・アイアンズ マイケル・ガンボン ブルース・グリーンウッド ミリアム・マーゴリーズ ジュリエット・スティーヴンソン ショーン・エヴァンス ルーシー・パンチ
「ブラボー!!」 思わず立ち上がって拍手を送りたくなるような、ジュリアの見事な逆襲の舞台でしたね。 アネット・ベニングが演じた名女優ジュリア・ランバートの素晴らしいこと。 美しさと演技力で名声を掴みながら、日々の舞台に疲れ何か新しい刺激を求めている彼女。 子どもほどの若者との愛に溺れて艶を取り戻す姿や、打ちひしがれて涙に暮れる姿、その一挙一動が、一人の女であるのに・・また女優そのもの・・でもあるんですよね。あの表情、笑う声、そして涙をにじませて訴える姿、目を奪われますね!
若者との恋に夢中になる姿は、同年代の熟女としては羨ましくもあり・・でも(予想される結末に)胸が痛くなる思いでしたけど。 そこはほら!!熟女を敵にしたら・・しっぺ返しが待っているわけです、それもただのお返しじゃなく!彼女の人生そのものである(何でもありの)「舞台」の上でですからね・・。
あっけにとられたようなだんな様役のジェレミー・アイアンズ(素敵でしたよね〜、こういう肩の力の抜けた、でもビジュアルがとっても素敵でイケナイ殿方がぴったり!)の表情に思わず笑ってしまいました。 舞台の上のブランコやあの「B E N」の台詞!!細かいところもすごく面白い。くしゃみとか・・もね(笑)
チャールズ卿はとっても素敵だし(あんな方と一緒にお茶したり美術館に行きたいです)芝居の師であったジミー(マイケル・ガンボン)のジュリアへの言葉も効いてますよね。 舞台、衣装、そしてキャスティングも見事な、素晴らしく楽しい粋な作品、堪能しました。
お茶もよく飲んでましたよね。 そうそう、そういえば、トムはジュリアを最初にお茶に誘ったんでしたよね。アメリカからイギリスに渡ってきた彼、イギリス女性にはまずお茶を・・という気持ちからでしょうか。彼の部屋、可愛らしかったですよね、あの窓とかも。
ラストは、ひとり静かにビールで乾杯するジュリア。 満ち足りた表情のあとに見せた・・どこか物思う表情、魅力的でしたね。
2002年アメリカ・イギリス 監督 マルコ・ブランビヤ キャスト タイロン・ウェイツォ 、ウェントワース・ミラー 、キャシー・カー 、ジム・カーター デヴィット・シューリス
全世界で250万部を売り上げた大ベストセラー絵本を映像化。 嵐に巻き込まれ、見知らぬ海岸にたどり着いたカールとデヴィット兄弟。 彼らが目にした世界は、恐竜と人間が共存する楽園ダイノトピアだった・・。 しかし、ダイノトピアを照らしてきた太陽石「サン・ストーン」の光りに陰りが見え始め・・。
あの「プリズン・ブレイク」のウェントワース・ミラーが、あのままのルックス(髪型もあのまんまです!)で登場。 思わず「マイケル!」って言いそうになっちゃいますが・・キャラクターは違うんですね。 こちらでも弟役ですが、活発で行動的な兄のカールとは正反対で・・大人しくて優しい、ちょっと怖がり、でも芯はしっかりした青年という役どころでした。 なのでこれまで見たことの無い彼の表情がいろいろ見れるんですよぉ。怯えた顔の彼なんて、見たこと無かったですもんね。
恐竜が喋ったり、農業をしていたり・・かなりユニークというか、ファンタジーですね。(でも恐竜好きのうちの息子は笠をかぶって働いてる恐竜を見てちょっと頭を抑えてました・・苦笑) 映像がとっても綺麗です、絵本の世界のような色合い。
兄弟の葛藤や、お姫様との出会い、冒険、空への飛行、ちゃんとファンタジーの面白さを備えて最後はハッピーエンドと! いろいろ突っ込みどころはあるけれど、家族揃って安心して見れる作品かな。
そうそう、カールとデヴィット兄弟もいいんだけどデビット・シューリスが演じる怪しい古物商。 彼がね〜!!「いい仕事してますねーーー」って(笑)思わず言いたくなりますよ。 出て来るだけで胡散臭くて、でも可笑しい。 なにより、ファッションがすごいんですよ。 主役二人よりもはるかに豪華な衣装をとっかえひっかえ。(若い兄弟は、シンプルなファッションでいいんですけどね)薔薇の模様のシャツなんて・・・妖しくって思わずくすくす(笑)
ところでお姫様は、とってもユニークなお顔立ちでしたね・・、最初登場した時は「え?全然綺麗でも可愛くも無い〜」と失礼なことを思いましたが・・見慣れてくると(いや、かなり失礼だよ)絶対忘れない顔立ちでいいかなあ・・って。普通の人っぽく無くって良かったのかも・・。
1970年フランス 監督ジャン=ピエール・メルヴィル キャスト アラン・ドロン アンドレ・ブールヴィル イヴ・モンタン ジャン・マリア・ヴォロンテ フランソワ・ペリエ ポール・クローシェ
懐かしい〜!何十年ぶりの鑑賞か・・、何故に今頃?のその答えは日記ブログにあり・・ですよ(笑) 運命に操られめぐり合い、悲劇に向かう5人の男達。 なんて男の世界なんだ!寡黙な男が大好きな私にはたまらない映画です。 なにせよけいなことは一切喋りません!よけいな説明も一切無し。
たとえば仮出所したコーレイが元の仲間リコを訪ねたシーン。 リコの寝室にはコーレイの元彼女が・・。 寝室のドアを見つめるコーレイとドアの向こうで息を潜める女。 リコに何かを問うわけでもないのに・・コーレイは彼女がもう自分を待ってはいないことを察するんですよね・・、リコの金庫の中に彼女の写真を残していく・・。 こういうシーンは、いろいろ言葉で説明されるよりももっといろいろな思いを想像させて、より印象に残りますよね。
こんな風にこの映画には、説明されない部分がとてもたくさんあります。 何故?どうして・・? 彼らがとった行動の意味は?その心情は? そういうのがはっきりしないとイヤだ〜!!っていう方には、苦手な映画・・になるのかもしれませんね。 でも・・私は結構そういう「想像の余地のある」映画が好きなんですよ〜(笑) 語らない男達が、目と目で交わす・・その一瞬とか。 トレンチコートのその背中とか・・。う〜ん、いいなぁーー。
ジャンセンを演じたイブ・モンタン、 マテイ警視 アンドレ・ブールヴィル。二人の存在感、魅力は大きいですね。 アル中で幻覚に苦しみやつれたジャンセンが、コーレイに会いにいくシーンでは、トレンチコートで別人のように決めてきて! 宝石店強奪のシーンでは、タキシードですよーー!!カッコいいんです、見蕩れてしまいます。 逆にマテイ警部。時には非情ともいえる手を使いながらも、局長の「人はみな悪人」という言葉に完全には納得できない・・その苦悩。家に帰ると3匹の猫にエサをあげたりするんですよね・・。 最後のシーンの、疲れたような、悲しい表情が忘れられないわ。
この二人に比べて、ちょっと「損な」キャラでもあるコーレイ。
コーレイ アラン・ドロン Alain Delon Andre Bourvil ジャンセン イヴ・モンタン Yves Montand ジャン・マリア・ヴォロンテ Gian-Maria Volonte サンティ フランソワ・ペリエ Francois Perier ポール・クローシェ Paul Crauchet 監査局長 ポール・アミオ Paul Amiot
2007年12月09日(日) |
「ダイハード4.0」 |
2007年アメリカ 監督 レン・ワイズマン
キャスト ブルース・ウィリス ジャスティン・ロング マギーQ ティモシー・オリファント
世界一運の悪い男、不死身のヒーロー!ジョン・マクレーン!! シリーズ4度目の登場で・・ブルース・ウィルス大丈夫かな・・さすがにパワーが落ちてるかも・・って思ったけど余計な心配だったみたい。 ジョン・マクレーンに限ってそんなことはあり得なかったですね。 アクションもスピードも、テロ集団の狙いの大きさもパワーアップしてましたね。 今度の相手はサイバーテロ。いまやデジタル制御された(ダイハード4.0!!ですから)多くのシステムを操られてしまったら・・。 暴力よりもまだ怖い、生活のすべてを操られてしまう・まさに今の時代の危うさを感じますね。
でも、そんなデジタル社会に背を向けたようなアナログ人間の代表マクレーンの頑張りのすごさ、根性は今回も健在でしたね。でも今回はそれだけじゃない、マクレーンにまさに彼とは正反対の世界に住んでいる若きハッカー青年、彼をくっつけたことが良かったのではないかしら。 マクレーンを理解できない青年の驚きが、まさにマクレーンの価値。二人のやりとりもお約束だけど面白い。あのスターウォーズおたくのハッカーさんもいいキャラでしたよね。
お約束といえば、やっぱりあったエレベーターのシーン。 適役のマギーQは綺麗だし、スタイルいいし!でもやっつけてもらわなきゃ(苦笑) トンネルの中での大惨事!車が頭上を越えるシーンには思わず声が!!(スクリーンで観てたらすごい迫力だっただろうなあ) 戦闘機を相手にするシーンは、さすがにいくらなんでもやりすぎだよ〜!って思ったけど・・。
マクレーンの娘さんのキャラが!またお父さんそっくりで良かったですね。あの父にして・・って感じで。
しかし・・やっぱり。いつもながらに痛そうなマクレーン。 5度目の登場はあるんでしょうか。
2007年12月08日(土) |
「ミラーマスク 幻想の国のヘレナ」 |
2005年イギリス・アメリカ 監督 デーヴ・マッキーン キャスト ステファニー・レオニダス ジーナ・マッキー ジェーソン・バリー ロブ・ブライドン ニック・ロブソン ドラ・ブライアン
SF界の権威ヒューゴー賞に2度輝くSF作家N・ゲイマンが脚本を手がけた作品だとか。 移動サーカス一座に生まれた少女へレナは、街から街への生活に嫌気が差し、母親と衝突する毎日。ところがいつものように公演が進む中、母親が急に倒れてしまう・・。 悲しみにくれるヘレナが母の手術を控えた夜ベッドに入ると・・、そこには不思議な世界が広がっていた・・。
仮面をつけた人々、普通に可愛いとは決していえない・・ちょっとグロテスクで不思議な生き物達。 幻想的でユーモラスで、でもダークな。面白い世界ですね〜。 映像の色使いもいい感じですよ。
光りと影の国。両方の女王とヘレナの母親役をジーナ・マッキーが演じてします。なかなか美人だわ。 そして主人公のヘレナ。ステファニー・レオニダス、彫りの深い顔立ちと印象的な瞳!
謎かけをする番人や、不気味な猫達、図書館の本に羽根がついてて飛んでいったり。ファンタジーの面白さもちゃんと。 「本当に役にたつ本」の言葉も上手く使われていますよね。 迷い込んだ世界・・どこか「不思議の国のアリス」を思い出します。
夢と現実と・異世界を結ぶもの・・。 ヘレナと母親、影の国の王女と女王。 異世界をさ迷いながら、少しづつ成長していくヘレナと彼女を助ける(ちょっと頼りないけど・・笑)塔を持つ青年バレンタイン。
再会のラストは・お約束だけど・・嬉しいよね(笑)
2005年アメリカ 監督 ジェームズ・マーシュ キャスト ガエル・ガルシア・ベルナル ウィリアム・ハート ペル・ジェームズ ローラ・ハリング ポール・ダノ
牧師として人々の信頼も厚く、妻と二人の子どもと平和に暮らしている男の元にある日現れた一人の青年。 若かりし頃、金で買った女性との間に出来た・・・その青年エルヴィスの出現は牧師にとって厄災以外の何物でもなかった・・、冷たく突き放す父親の態度にエルヴィスの取った行動は・・。
会いたいと訪ねた父親から受けた冷たい拒絶への復讐?自分を腹違いの兄とは知らない義妹を誘惑するエルヴィス・・。 でも・・なんだろう・・不思議なのはエルヴィスの目に父親への怒りや復讐のパワーが見えなかったこと。淡々と罪を重ねてゆく・・彼の瞳に何が写り、どう思っていたのか、それが掴み取れないのが・・よけいに怖いんですよね。 あんなに酷いことを重ねてゆく・・しかも罪の意識を感じていないかのように・・。そんなエルヴィスなのに嫌悪感よりも・・彼の行動から目が離せない・・こんな気持ちを覚えるのはガエル君だからでしょうか・・。 時折無邪気とも思えるような彼の笑顔になんだかつられてしまったりして・・さすがにガエル君、魅せてくれるんですよね。 義理の妹を誘惑するシーンにはドキドキしましたわ〜、このイケナイ男についていっちゃダメよぉ〜!!と思いつつも・・絶対ガエル君の魅力には逆らえないわ・・って分かってるもの(汗)
父親役のウィリアム・ハート。ちょっと私の中の牧師さんとは違うモミアゲ付きだったりするんですけど彼がまた独特の存在感を発していました。 神に許しを請いながら・・人々の前で過去の過ちを発表する・・。この感動的とも思えるシーンのなんて苦々しいこと。宗教的な考えや教えをほとんど理解していない私には、こんなことの前にエルヴィスや家族と話し合い、許しあうことの方が大事だと思うけど。 だけどこの時のエルヴィスの嬉しそうな顔は・・んん〜〜、なんとも言えないですよね。
罪を認め懺悔すれば・・許される。 どこまで?それはどんな罪でも?罪に罪を重ねた「王様」の汚れた手も? ラストシーン、静かに牧師の前に立つエルヴィスの姿は衝撃的でしたね。 そして教会の宣伝掲示板(ああいうの、あるんですね)・・印象的でした。
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