2002年イギリス 監督 エスメ・ラマーズ キャスト アーロン・ジョンソン ショーン・ビーン ライアン・ネルソン デレク・デ・リント インディ・バ・ ビル・スチュワート ショーン・ハリス
画家の父親と二人で暮らしているトーマス。彼にはいつも夢の中で会うトムという少年がいた。きっとトムは実在すると信じるトーマスだけれど、パパをはじめ誰もがそれをトーマスの空想の友達だと思っている。 季節はクリスマスをじきに迎える街。パパに連れて行ってもらった宇宙科学博物館でトーマスは自分とそっくりな少年に出会う!!
ビデオショップでなにげなく見つけた1本です。なにやらクリスマス映画っぽい?と思い手にとったのですが、キャストを見ると!!ショーン・ビーンとあるじゃないですか!! ストーリーとか読むと子どもが主役の映画のよう、いったいこれのどこにショーンが〜〜!!と速攻借りてきましたよーー。
いやぁーーー!!面白かった。 たしかに子どもも観れる、家族でもOKの1本でしたよ、でもお子様向けなんて言っちゃうにはもったいない!!ハラハラドキドキ、サスペンスでしたし、人身売買なんて出てきたりするハードさもあったり。 なにより、展開がとても面白いんです。 トムとトーマスのそれぞれの境遇の(トーマスの夢を交えての)描き方にも自然に引き込まれたし、二人が出会うようになるシーンも同じジャンパーを身に付ける設定とか、あの宇宙化学博物館の鏡のシーン!!印象的でしたね!! 二人が交互に授業に出席したり、家でもかわるがわる登場したり(服が違うよ!!パパショーン 笑)するシーンも面白い。 なにより、一人で二役演じたアーロン・ジョンソン君が可愛いし上手いですよね。それに、それに・・もうーー、言わせてください。 パパショーンがたまらなく魅力的でしたよ!! ショーン・ビーンは、トーマスのパパ役です。夕食にチーズマカロニなんて作ってくれる優しいパパ、芸術家で画家なんです。目じりの皺も相変わらず素敵なんですーー!! あぁ・・なんていいんだろう(笑)やっぱり「いい男バトン」でだんな様に指名した私の目に狂いはなかったです(爆) なんだかもう・・この映画の素敵なパパぶりにメロメロになっちゃいましたよ(笑)今すぐ、私押しかけていきたいくらいです!!
そんなこんなで、かなり楽しめました、この作品。 クリスマスの街の様子も可愛い(ってことでクリスマス映画に挙げようっと) トーマス君のクラスメート役のエマ・ワトソンちゃんにそっくりなあの女の子、あの子もと〜ってもキュートでしたね。 ラストシーンの、あのサイドカーが微笑ましい〜(笑)後ろに乗るショーンがまた・・素敵です(もう・・ダメだわ・・バタン・・)
吹き替えで観たのですけど、アーロン君は声もちゃんと演じ分けていたとか!!そのあたりも字幕で確認したいですね〜。
2006年12月17日(日) |
「シンドバッド 7回目の航海」 |
1958年 アメリカ 特撮 レイ・ハリーハウゼン 監督 ネイザン・ジュラン 出演 カーウィン・マシューズ キャスリン・グラント トリン・サッチャー リチャード・アイヤー
我が家のレトロ王子は、今50〜60年代の映画にはまっているらしい。 しかし・・シンドバッド!!いいじゃないですか、懐かしい。 一つ目巨人サイクロップスに巨大怪鳥、そしてあんがい可愛らしい顔のドラゴンに魔法のランプ・・と。 なんでしょうか・・ワクワクしちゃいましたよ。 お姫様に、怪しい魔術師、嵐の船旅に船員たちの反乱と・・これはね〜、冒険ロマンの古典ですね、まさに。「パイレーツ」の世界がすでにここにはちゃんとあるわけですね。 そして古典ですから、主人公もシンドバッドですから!正統派さんなわけですよ、なかなかハンサムでお姫様を救おうと・・それだけのために一心に・・ほらぁ・・誰かさんみたいでしょ(笑)衣装もちょっと前がはだけてたりしてね・・。ターバン姿も似合ってました。 でも、そんな正統派主人公のまわりの人々・・結構個性的で面白かったですよ。魔術師は・・強いのか弱いのか・・いったいどっち??といいたくなるような方で(手を貸してもらいながら崖を登る姿なんて・・どうなん?)そんなにすごい魔術を使ってドラゴンを手下にしているのなら何もわざわざシンドバッドに手伝ってもらわなくても・・と絶えず突っ込みを入れたくなるし。 ランプの精のジニーが・・また!なんでしょう。元気のない男の子なんですよ。「やってみます・・」と弱気な返事(苦笑)しかも出してくれる魔術は・・え?すごく現実的じゃ?っと。きっとランプの中の生活に飽きてたんですよね?最後の笑顔は可愛らしかったし(笑)
もちろん、今のCGとは全然違うものですけど、迫力なんかもありませんけど。 ストップモーション・アニメーション・・っていうんですか?いいですね〜、想像力を掻き立てるものがありますよね。 怪物たちが出てくると思わず「うわ!!出たよ、出たよ!」とワクワクしたり。 サイクロップスが迫ってきたりすると・・ドキドキしたり。 シンドバッドとスケルトンの剣での戦いも見事だと思います。 あ、でもね、私が一番ドキドキしたのは、あのシーン。魔術師の魔法にかけられたお姫様の手のシーン。注目ですよ〜!!
特撮のレイ・ハリー・ハウゼンさんは、その世界で有名な方なんですね。 特典で語ってらしたんですけど、少年の頃からガレージでいろいろなものを作っていたけれど、両親は彼にあれこれ言わずにやりたいことをやらせてくれた・・しかも協力までしれくれた・・というお話にいたく感動しちゃったなぁ。 彼はあのレイ・ブラッドベリの親友でもあったそうですよ〜。
そうそう特典には主演のシンドバッド役のカーウィン・マシューズさんが当時を思い出して語る姿もありました。 お年を召しても、白髪のとても粋なハンサムさんで素敵でしたよ。
次は「アルゴ探検隊の大冒険」を観たいなあ。気分はすっかり、冒険少年だ〜(笑)いや・・年末押し迫ってますよ・・あなた。主婦逃避・・か?(爆)
2006年12月16日(土) |
「幸せのポートレート」 |
2005年アメリカ 監督 トーマス・ベズーチャ 出演 サラ・ジェシカ・パーカー ダイアン・キートン クレア・デインズ レイチェル・マクアダムス ダーモット・マローニー クレイグ・T・ネルソン ルーク・ウィルソン タイロン・ジョルダーン ブライアン・ホワイト エリザベス・リーサー
クリスマス映画だったよ・・と先に観た娘に言われレンタルした1本。 なるほど・・オープニングの映像もクリスマス絵本の挿絵のようで可愛い。 しかし・・本編は・・なかなかに考えちゃう・・映画でしたね。 え〜っと、まず私始まってからも・・誰がヒロインなのかしばらく分かってなかった・・という(苦笑) 携帯電話を常に離さないキャリアウーマンのメレディス(サラ・ジェシカ・パーカー)は、私がこれまでに見たワースト好感度のヒロイン。そしてまた彼女が連れられて訪れた恋人エヴァレットの家族たち。彼らも・・・日本人の私たちにはきっと考えられないような・・あからさまにオープンな家族なのですもん。 いったい誰に感情移入してこの映画は観るもの??と戸惑いながらの展開でしたよ。 ホントにホントにメレディスがヒロインなの?こんなひどい言葉ヒロインに言わせていいのか・・と思うような展開に驚きましたからねえ。(エヴァレットの弟たちに関する台詞)彼女が言いたいことは言葉に出すものとずれているのだろうけれど・・でも黙っていて〜〜今は・・と思ってしまいましたからねぇ。 そしてメレディスの妹ジュリーの登場。 結果的には、ここからそうなるんじゃないかしら〜〜という展開にはなっていくのですが・・。なかなかに見せ方が上手いですよね。そして役者さんたちも。
家族のあいだの秘密・・それがだんだんと姿を現してゆくにつれて・・この家族がどんな気持ちでこの年月を過ごしてきたのか・・そういうのが見えてきたり。 エバレットとジュリーが語り合いながら街を歩くシーンは、この映画の中で一番ロマンチックなシーンだったり(クリスマスの飾りつけをしたウインドウが素敵!) 反対にヒロインなのに・・なぜかどんどんとくずれてゆくメレディスにベン!!出番でしょ!!と応援したくなったり。 雪の道を手を繋いで歩くサッドとパトリックの姿に胸が痛くなったり。
最初はどうしようか・・と思ったこの映画がなんだか好きになってきているのに気付いて。
ラストシーンは、次の年のクリスマス。 新しい顔も見え、そして・・・それぞれの隣にいる人は。 ポートレートが見守る・・クリスマスツリーの飾り付け。 気がつくと、思わず自然に涙が流れてきていました。
原題は「ファミリー・ストーン」なんですね。ストーン一家。 家族の名前ともしかして・・あの石?祖母から譲り受けた指輪(素敵でしたよね・・でもメレディスにはあの指輪のよさが分かってなかったみたい?)をかけてるのかも・・とか想像してみましたけど。 邦題は・・そこに持ってきましたか・・と言う感じのポートレート。たしかにあのポートレートは素敵でしたよね。
2005年アメリカ 監督 ゴア・ヴァービンスキー 出演 ニコラス・ケイジ マイケル・ケイン ホープ・デイヴィス ニコラス・ホルト、
コピーなんか読んでると、もっとほのぼのしてる・・人生を取り戻す男の話かと思ってたんだけど。 違いましたね。結構苦味の残るお話でした。 シカゴのお天気キャスターを勤める主人公は、そこそこ人気もあるし稼ぎだって悪くない。でも私生活は上手くいかず、未練の残る妻には愛想をつかされ、子ども達はそれぞれに問題を抱えている。 尊敬する、著名な小説家である父親にも恥ずかしくない自分を見せたいと日々願う彼なのだけれど・・・やることなすことはいつもから周り。 そんな時、父親が余命いくばくもないことを知り・・・・
え・・とね、この主人公、しょちゅう車からモノを投げつけられたりしてるんです。 そこまでされることはないと思うけど、でもなんだか普段の態度とか見てると好感もたれるタイプではないことは確かなんですね。 いつも怒ったり、怒鳴ったりしてる。自分で自分の生き方を苦しくしてるように見えたりもするんですね。 そんなに悪い人生じゃない・・と思う、心配してくれる素敵な父親もいる(でもその立派さが彼を悩まさせているっていうこともあるけど)別れた奥さんだって一緒にカウンセラーに行ってくれたりもする。 なのに・・なんでかなぁ・・汚い言葉の連発で・・ちょっと滅入ってしまいましたよ。 あれじゃあ奥さん怒ってもしかたないと思う。 やるせない・・ニコラス・ケイジの表情はいつもながらに助けてあげたく・・なるんだけど(苦笑)
父親役のマイケル・ケインは素敵でしたよ、そりゃあもう。ニコラスじゃないけど・・叶わないな・・って感じです。 そんな彼が言います「人生には捨てなければいけないものもある」って。 誰でも、何一つも捨てたくはないですよね、もちろん。 でも欲張って何もかも手にしようとすると・・すべてが手からすりぬけてしまうのでしょうか。 捨てる勇気もまた必要・・なかなか苦いことですが。
スーツ姿にアーチェリーの弓矢を抱えて歩くニコラス・ケイジの姿はなかなか印象的でしたね。 映画の印象はお天気で例えると・・曇り空、嵐が起きて、晴れ間が少し。 そして曇り、時々晴れ・・って感じでしょうか(笑) でもまだこれから・・・ どんなお天気が彼を待っているのか・・予想するのはできませんもんね。
2006年12月12日(火) |
「ヘイブン 堕ちた楽園」 |
2005年アメリカ 監督 フランク・E・フラワーズ キャスト オーランド・ブルーム ビル・パクストン ゾーイ・サルダナ アグネス・ブルックナー
カリブ海ケイマン諸島。美しい海、地上の楽園。 そして、住民から税金を免除するタックス・ヘイヴン (tax haven)として有名な島。税金対策のために世界各地から金持ちが集まるこの島は・・はたして誰にとっての楽園なのか・・・
マイアミで暮らす有能なビジネスマンのカールは脱税の容疑をかいくぐり、最愛の娘ピッパを連れて彼の脱税を手伝った弁護士アレンの住むケイマン諸島へとやってきた。 一方、この島で働く青年シャイは、ボスの娘アンドレアと愛し合っているが二人の仲はアンドレアの家族によって引き裂かれてしまう・・・
この2つの物語が島で急展開してゆく2日間を描いた物語。 ただ最初始まったときはカールのお話ばかり・・で、途中でシャイの話になるとカールのお話は出てこないし・・で。そういうストーリーの絡まり具合がちょっと物足りないかな・・って思いましたね。 でも島の中で彼らはいろんな風に出会っている、たとえ気が付かなくても。横7マイル、縦40マイル・・というとどのくらい小さい島なのでしょうか・・いろんな風にすれ違っている彼らが、13日の金曜日のあるパーティで結びついてゆく・・ ラスト20分近くで、さまざまな事件が絡み合う・・あのあたりはいったいどうなるのか〜ってドキドキしましたよ。
シャイ君は・・なんていうか今時こんなに純粋な青年いないよね・・っていうくらい、一生懸命に愛したり悲しんだり、怒ったりしてましたね。 デートに出かけるためにおめかし・・する姿なんて・・あまりに可愛すぎて私直視できないくらいでしたよ(笑) あのきらきらした笑顔が、あんなに激情にかられる姿に変わろうとは・・。純粋すぎるほど・・愛の痛手は激しいのでしょうか・・。
彼女とアンドレアの間にどんな出会いや年月があったのか、そのあたりが分からないし、仲が裂かれてからの彼女の行動があまりにあまりだったので・・どうしてあんなに彼女が好きなんだろう・・っていうのはたしかにあの友人パトリック君の台詞じゃないけど・・思っちゃいますよね。 それに・・ね・・シャイ君・・(大きい声ではいえないけど・・)やっぱり友だちに起こしてもらおう・・なんて・・ダメダメ!(苦笑)「おまえのエッチのために徹夜できるかよ」・・は全くそのとおりだと思います(苦笑) でもシャイ君が最後にハンマーに言った「傷ついたのは僕じゃなくて彼女のほうだ・・」あの台詞には、胸を痛くさせるものがありましたよ。
しかし・・ハンマーはなぜ、あんなにシャイ君を憎むのでしょうね。あまりの憎しみに、私思わず彼は妹に禁じられた思いを抱いているのか・・とまで思ってしまいましたが・・彼女に対する言葉(シャイに向かって言った)を聞くとそれも違うと思いますよね。 とすると、やはり狭い島の中・・・これまでにいろいろ蓄積したものでしょうか。パパに認められていなかったようだし(一方シャイ君は仕事も結構しっかりやれてたみたいだし)そういうのもあったのでしょうか。
この映画には、島の青年たちがいろいろ出てきますけど、境遇もそれぞれ違うし、彼らが観光客にたいして抱いている思いにも、さまざまなものがありましたね。 タックス・ヘイブンがもたらした、お金を持つ人々がこの島に持ち込んだもの(ヤクとかもそのひとつかもしれません)は、この島の若者達をどんな風に変えていったのでしょうか。 そんな風に変わっていった若者達のひとりにフリッツがいるのかもしれません。彼とピッパの話も私はもっと見たかったのですけど。
若者・・といえば・・パトリック君!!シャイ君のまるでアッシーのような彼に、私はかなり心の中で声援を送っちゃいましたよ。 だって・・なんだか一番切なくみえません?(外見も母性本能くすぐるかんじでしたよね 笑) シャイ君とアンドレアとのラブシーンより、シャイ君に「人を好きになったことがある?」と聞かれた彼がとりかけたあの行動の方にドキッとしちゃいました。私がパト君だったらなぁ・・もっとすばやく・・(爆)
ラスト、カールは渋かったですよね。中盤出てこなかったので物足りない部分はありますが・・お金をめぐるやりとりには分からない部分もありますし。 でも娘を思う気持ちだけは・・しっかり伝わりました。 そして桟橋でのシーン。 このシーン、いいですよね。思いを告げるアンドレアにシャイ君の悲しい言葉・・そして起こった悲劇の真相。
みんないったいどうなるんだろう・・カールもアレンも、フリッツも。アンドレアも(アンドレアのパパの「ごめん・・」はいったい何に対しての言葉だったのか・・)パトリックも。 そしてシャイも。(それにしてもシャイ君のママが気の毒すぎて・・あんなに素敵なのに・・) この楽園にどんな明日が待っているのか・・いろんな余韻を残す・・この終わり方は良かったと思います。
そして特筆すべきは、音楽!! いいですよーー、サントラ・・ってないんでしょうか。
2005年アメリカ 監督 ベネット・ミラー キャスト フィリップ・シーモア・ホフマン キャサリン・キーナー クリフトン・コリンズJr クリス・クーパー ブルース・グリーンウッド
「ティファニーで朝食を」 中学の時、このお洒落な題に惹かれて初めてカポーティの作品を読んだ。 でも日本の、しかもと〜〜っても田舎ものの私にティファニーはあまりにも程遠かったし、ホリーの魅力もよく分からなかった。 でもそれでもカポーティを読みつづけたのは、同じこの本に載せられていた「クリスマスの思い出」こちらがとても好きだったから。 おばちゃんとのクリスマスの思い出。フルーツケーキ、互いに贈るプレゼント。でもそれは暖かいだけじゃない、少しもの哀しく切ない。以来いろいろ読んでみたけれど、「冷血」ははっきり言ってビックリした作品だった。それまで読んだ作品とは全く違っていたから。
この映画は、彼がその「冷血」を書き上げた日々、ペリー・スミスとの日々。そして後々までおそらく一生忘れることがなかった日々を描いている。 作家としての興味からカンザスでの一家4人惨殺事件を取材するカポーティ。 一見してあまりにも個性的な容姿とその高い声。最初は関係者にも相手にされないカポーティが、その得意の話術でどんどんと取材を成功させていく様子に・・・う〜ん、なるほど成功者にはこれほどの自信が必要なんだ・・と興味深く見ていたのですが・・しだいに、はたして彼は語るほど自分に自信があるのだろうか・・・ニューヨークで人々の注目の中、常に自分の話しか語らない彼に・・もしかしたらそれは彼がまとう虚栄のようなものではないか・・などと思いはじめたりした。 ペリーとの出会いは・・そんな彼が見せたくない・負の部分を刺激し、同じような境遇に共感を感じとったのかもしれない。 「一緒に育ったが、ある日彼は家の裏口から出て行って私は表玄関から出た・・」この言葉はとても印象的だ。 ペリーに友達と呼ばれ、良心の呵責を感じながらも・・恋人の指摘するとおりまさに「自分のため」に彼を利用するカポーティ。それはまさに小説家としての、成功を約束されたものとしての「冷血」さで。
ペリーにも、カポーティにも同情するつもりはない。同情し、悲しむべきは罪もなく殺された4人の被害者に対してだから。 けれども・・独房で刑を待ち、自分を餌に小説を書くジャーナリストを友人と呼ぶペリーに。 そしてそんな彼を成功の種にし利用しつつも・・その不思議な魅力にとらわれて苦しみを覚えてしまう・・カポーティに。 なんだろう・・なんともいいがたい、やるせないものが重くのしかかってくるようで。
スミスを訪ねて語るカポーティと、ニューヨークで大勢の人々の中で常に注目を浴びて笑うカポーティ。 交差して描かれる、まるで光と影のようなカポーティの姿。やがて、そのどちらが光で影なのか。彼の小説で描かれる、どこか不思議で幻想的な世界はどちらのほうなのか・・。
小説を完成させるために「冷血」でありつづけようとしたカポーティが、ペリーの刑の確定を聞きほっとしながらも、実際に彼に別れを告げる時に見せる、あのうろたえぶり。彼の死を実際に見なければならなくなった・・あの衝撃。 シーモアのカポーティは最初から最後まで見事でしたけど、このシーンの演技は・・なんともいえないものがありましたね。 ペリー・スミスを演じたクリフトン・コリンズ・Jr、この方も静かな中に秘めたものを感じさせて不思議な魅力をもっていました。 でもそんな中で私が一番魅力的に感じたのはカポーティの幼馴染ネルを演じたキャサリン・キーナー。男勝りの、さばさばした気性。でもカポーティを心配して歯に衣着せぬ物言いをする彼女・・ぜひ「アラバマ物語」読んでみたいし、映画も見てみたいですね。
「冷血」もまた読み返してみたい。他の作品も。
パンフレットには、映画を見た萩尾望都さんの文章が載せられています。いいんですよ・・これがまた。何度も何度も読み返してしまいました。
2006年12月02日(土) |
「ミッション・インポッシブル3」 |
2005年アメリカ 監督J・J・エイブラムス キャスト トム・クルーズ ヴィング・レイムス ケリー・ラッセルローレンス・フィッシュバーン フィリップ・シーモア・ホフマン サイモン・ペッグ ミシェル・モナハン マギー・Q ジョナサン・リース・マイヤーズ
実は・・このシリーズ見るの初めてなんです。しかも3からってどうだろう・・と思いつつだんな様が借りてきたのを横から観ましたよ。
1作目からのファンなら、あのイーサン・ハントが帰ってきた〜!!とそれだけで感動ものなんでしょうね、きっと。 でもこの3だけでも違和感なく、観ることが出来ましたよ。
しかし・・すごいアクションですね、飛ばしますねぇ。 最近こういう体を張った力強いアクションものを観ると息切れがしますわ、私(笑)鍛えないといけないかなあ・・
橋のシーンでは・・だからさっさと(悪人は)殺しとかんと!!と突っ込みを入れつつ・・迫力あふれるシーンに圧倒されてました。 でも・・すごすぎ・・って感じも。一般市民は大丈夫なのですか・・ きっとこの映画のアクション目玉でもある・・このものすごいアクションシーンよりその前のバチカンでの誘拐作戦、ああいう感じが好きだな。スパイ映画っぽいですもんね。顔の型を取ったり声を変える装置とか。 なにより、チームプレイが好きな人だから、私(笑) ジョナサンやマギーもいいよね。クールビューティなマギーのドレス姿にも目を奪われましたよ〜。そして車はたしかにもったいない(笑)
悪役のフィリップ・シーモア・ホフマンは期待通りの怖さ。その喋りだけで、底知れぬ怖さを感じさせるのはさすがだと。 でももっと活躍して欲しかったような気もしますね。結構あっさりと・・でしたもんね。
最後までどんでん返しもあったりして、まさにエンターテイメントな作品でした。 しかし・・一番頭に残ってるシーンは・・あのちょっとおかしな(?)トムの走り方・・(苦笑) ああいう走りなの?イーサンって、いつも。
2006年12月01日(金) |
「キングダム・オブ・ヘブン」DC版 |
劇場公開時にはカットされた、50分の映像を加えた3時間14分のディレクターズ・カット版。
やっと観れた・・という嬉しさと、劇場公開時からのいろいろな思い出がこみ上げてきて、観終わったあとしばらくは言葉も出ずに、感無量の思いでいっぱいでした。 でもね・・なんていうか、(ずっと聞いてはいましたが)本当にもったいない(涙)このDC版を劇場で観たかったなぁ・・。
加わったシーンによって、物語はより深く、そしていろいろな側面を私たちに提示してくれます。 劇場版を観た時には、脳内で想像を付け加えても「ん?なんか唐突かも」という思いが拭い去れませんでしたから。 人物たちの背景もしっかりと見えてきましたよ。バリアンももちろんそうですけど、父ゴットフリー、そして何よりシビラ!!彼女が全く違ってきましたね。
まず冒頭、バリアンの妻の埋葬シーンからして・・すでにいろいろなセリフのやりとりが続きます。 なぜバリアンが妻の埋葬の時にいなかったか、彼の村での立場がどんなものか(ここでちゃんと彼が武器を作れる職人であることが語られてますよ、ただの鍛冶屋がおかしいじゃん〜〜って言わせないし!)そしてあの司祭との関係にいたるまで・・・・ ゴットフリーと領主との関係も明らかにされて、後に森で襲撃される伏線もちゃんと見えます。(バリアン連行の裏に隠されたわけ) でも、でもなにより、この冒頭シーンでは、私、バリアンの表情に心奪われましたよ。それは悲しむ・・を通り越して、喪失の表情・・・なんです。 庭で樹を植える妻(ラストシーンに繋がる樹ですね)を見守り優しい笑みを浮かべる表情から、やがて遠くを見つめて力なく微笑む・・あのなんともいえない表情への変貌・・・この表情観るだけでこのDC版を買う価値はあります。ええ・・言い切りますとも!!
エルサレムへ着いてからの「タオルをくれ」の入浴シーンももちろん楽しみでしたけど(そりゃあそうでしょ 笑)王との対面、会話、こちらもより素晴らしい。 そして私の大好きな、イベリンでの暮らし。ここでもはっきりと時間の経過が感じられましたね。水が引かれて乾いた土地が潤い、やがて緑の大地と変わるまで。 シビラはずいぶん長く滞在してたわけですよね。小船を拾って流しながら、水路に添って歩くバリアン、自分の土地を愛し確認するかのようなシーン、いいですね。
シビラとのラブシーンもちょいと長くて、思わず見とれる見事な背中(きゃーー)なのですが・・実は直接的なラブシーン(?)よりもその前後のふたりのシーンの方がよりドキドキしました。そういうのってありません?(と聞いてみる・・) 土で汚れたバリアンの顔を拭こうとするシビラの腕をとって思わず止めるバリアン。 愛し合った翌朝には、指に入れたたくさんの指輪からシビラが「あなたに会った記念の・・」といってひとつの指輪を抜き取るシーン。このときの指輪が、あの指輪なんですもんね!!
そして後半の展開では、なんと言ってもシビラの息子のシーンの復活!!う〜ん、しかし、なんとも・・・王の後を継ぐ、息子のシーンをすべてカットしてしまうとは・・劇場版は今思うとなんと大胆なのでしょう〜。 この息子が、また愛らしいですよね、そしてシビラの見せる母親としての顔。劇場版ではいまひとつ、よくつかめなかった彼女のキャラクターが、とても魅力的に甦っていました。
魅力的に甦った!といえば、もちろん、忘れてならないのは、エルサレムでの激闘のあと、ギーとバリアンのソードファイトですよーーー。 渾身のこのシーン、これはもう、ただただ・・観て欲しいです。最後にバリアンがギーに向かっていうあの言葉、あれこそが、ゴットフリーが息子に残したもの、騎士としての言葉だと思います。
細かいところ、こういうところがこういう風に繋がってたんだ・・とか思うところはまだまだい〜〜っぱいあるのですが。 とにかく!!一人でも多くの方に・・・劇場版で観た方も、まだ未見です〜っていう方にもこのDC版を観ていただきたい!!その思いでいっぱいです。
劇場公開時に問題になった字幕は・・ずいぶん変わっていましたね。 とても分かりやすくなっていたと思います。
|