2005年06月25日(土) |
「ビフォア・サンセット」 |
2004年、アメリカ 監督リチャード・リンクレイター キャスト イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー
1995年公開の「恋人たちの距離」の続編です。 前作ではアメリカ人ジェシーとフランス人セリーヌはウィーンで出会い、翌朝別れるまでの時間を一緒に過ごしたのですよね、そして半年後に再会を約束して別れた・・ となると・・・気になるのはもちろん、彼らはその後再会したのか?そして9年後の今、彼らはどんな風になってるのか・・
前作がとても気に入った私、またあの二人に会えると思うと、もう楽しみで楽しみで。ワクワクしながら見ました。まず音楽が流れて、パリのカフェや街角が写ってゆく・・もうこれだけで素敵な感じでね。 9年前のあの出会いと別れを小説に書いたジェシーはその本の出版のプロモでパリにやってくる。 そこで再びセリーヌに出会って。
頬がほっそりとして少し憂いを帯びたセリーヌと眉間にシワが刻まれて男らしさが増したジェシー。 9年の月日は彼らの風貌をほんの少し変えたけど(でもやっぱり二人とも素敵だよね)出会ってからの二人の会話は相変わらずのあのテンションで。9年のブランクなんて彼らには全然関係ないかのような・・やりとりで。 いろいろ心に残るセリフ、今回もあって・・こちらはまたお気に入りに入れるつもりなのでそちらで書こうかな。 あの半年後の話から現在の近況から。時には激しく、そして笑って、やりあって。こんなに素敵に会話が成り立つのはやっぱりこの二人だからこそですよね。
でも今回は前よりもっと二人の時間は少なくて・・ ジェシーが飛行機で帰ってしまう夕暮れまでの短い時間。 パリの素敵なカフェから・・庭園の庭、セーヌ川、そして遊覧船と。 会話からは、最初は少しづつ、そしてだんだんと二人の本当の気持ちが見えてくるのですよね。 遊覧船のシーンで、船が橋の下を通るたび、影ができるのですよね、そしてまた過ぎると光が差してきて・・その様子がまるで二人の人生の楽しかったこと、悲しかったことを象徴しているようで印象的でした。
だんだん別れが近づいてくるのにつれて、彼らの会話にもそれぞれの気持ちがこもってきて、見ている私たちにも、もっと見たいのに、もっと彼らの会話を聞いていたいのに・・って思いが募ってくるのです。 別れがたくセリーヌのアパートまで送ってしまうジェシー。彼女のアパートがまた彼女らしくって素敵なところなのですけど、彼女がジェシーにせがまれて歌を歌うシーンまであるのです。その歌がまたすごく素敵なんですよね〜、ちょっぴり切なくって。
最後はね・・言えませんけど・・やっぱり前編と同じようにどうなったの?どうなるの?っていうところで終わっています。 あとは見ている私たちの想像にお任せっていうところなのでしょうか?それこそ、ジェシーの意見ではないですけどロマンチックな人なら甘く希望を抱き、現実主義者の人なら、辛口の別れを想像する・・ってところでしょうか? 私は・・甘党ですからねぇ(笑)
続編はないでしょうか?またまた9年後?(笑) いや、ぜひ作って欲しいなぁ・・またこの二人に会いたいの。なんだか一緒に年をとってるようなそんな錯覚を覚えます。
ジェシーが彼女のアパートでいれてもらったのはカモミールティー(はちみつ入り)でしたね。普通の紅茶じゃないところがなんだか彼女らしいなあ・・って気がしました。
2004年日本 監督 中島哲也 キャスト 深田恭子 土屋アンナ 宮迫博之 篠原涼子 樹木希林
下妻って、どこ?茨城? 本当にああいう感じなのかしら?田んぼの真中に牛!? 買い物はジャスコで〜(ジャスコ、連呼されてましたね 笑)
ふりふりのロリータのお洋服を着て、レースのパラソル。 桃子ちゃん(深キョン)可愛い〜〜!!すごい、なんか、もうこの役は彼女しか考えられないくらい、似合ってましたね。 喋り方とか、表情とか、はまってて。
ばりばりヤンキーのイチゴちゃん(笑)の土屋アンナちゃんとのやりとりが、楽しいのです。 突っ張っているけど、イチゴちゃんは少し寂しがり屋で。 見た目は甘えん坊だけど、実は一人でいることを厭わない強い桃子ちゃんを心の中ですごいと思っているんですよね。 教室とか、お昼ご飯とか、普通は一人だと寂しいし、友達もいない子だって思われるのもいやだなあ・・って誰でも思いますよね。でも桃子ちゃんにはもうそういう次元は超えてるのですよね。 なんだか清々しいほど「可愛い強い」のです。
二人の可笑しくて、風変わりな友情がとても素敵だったな〜。 イチゴちゃんを助けに田んぼの中をぶっ飛ばす桃子ちゃんに思わず声援を送りましたよ。
原作、読んでみようかな〜。
2005年06月18日(土) |
「ミリオンダラーベイビー」 |
2004年アメリカ 監督クリント・イーストウッド キャスト クリント・イーストウッド ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン
ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン、そしてクリント・イーストウッド、3人ともとても素晴らしい。 マギー(ヒラリー)のひたむきさ。お客の食べ残したステーキを「犬のえさなの」って持って帰り夕食にし、小銭を貯めてスピードバッグを買い、明かりの消えたジムで一人もくもくと練習する姿。 でも笑顔とか、とても可愛くて。 そんな彼女に最初に肩入れしたスクラップ(フリーマン)。彼はマギーとフランキー(イーストウッド)の中に立って二人を静かに、だけど、ちゃんと言うことは言って見守っている。フランキーのことも知り尽くしていて。 フランキー、彼もいろんなものを心にしまっている人間で女性のトレーナーにはならないといいながら、だんだんマギーに惹かれていく様子がとてもチャーミングだった。 お互いに家族に恵まれない二人・・あんなに送りつづけても手紙のひとつも受け取ってもらえないなんて。フランキーと娘との間にいったい何があったのだろう・・実の親子なのに・・ マギーの家族もね(唯一理解してくれてたお父さんは死んでで)家のことは、まあ行き違いがあったのだろうなあ・・って思ったけど、あの病室のシーンは酷すぎますよね。あそこまで・・
だからこそ、お互いにもう「あなたしかいない」と認め合うのだけれど。あのガソリンスタンドのシーンが好き。 幼い頃の自分を思い出すかのような少女を見て微笑むマギー。あの可愛い女の子はイーストウッドの実の娘さんだとか!!
全然、ストーリーとか知らずに観にいったので、後半の展開には(途中でちょっと気がつきかけたのだけど)ビックリしました。 このあと、ネタバレなので
あそこまで、あの状態にまでなってしまうなんて・・ 酷すぎますよね。マギーがあまりにもひたむきにやってきて、やっと輝いて・・なのに。 でも「自分を守れ」ってずっと言いつづけたフランキーの言葉がここでぐっと迫ってくるのですよね。そうして彼女を守れなかったフランキーの悲しみも。 でも・・でも、あんなにひどい状態になっても・・やっぱり生きていて欲しかったって言ったら・・酷いかなあ。 彼女が、フランキーだからこそ安楽死させて欲しいって頼めたのだし、彼もどんなに罪を背負っても彼女を愛していたからこそ、それをしたのだと・・思うのだけど。 でも・・でもやっぱり・・。輝いた人生だけを持って逝ってしまう・・っていうのはどうなのかなあ・・って。彼女なら、彼女だからこそ、生きていて欲しかったのですけど。 全然関係ないのですけどね「ジョニーは戦場へいった」を思い出しました。
あの「モ・クシュラ」の意味には泣けましね。その言葉の意味を聞いた時のマギーの涙が綺麗で。
この映画には、ひとつひとつのシーン、どのシーンもひとつも余分なもの、無駄なものがなくって、全部生かされていると思いました。 最初に出てきた(フランキーがトレーナーをつとめていた)ビック・ウィリーのエピソードも、スクラップの過去も。あのデンジャーも。
音楽もとても印象的で心に響いてきます。 「このまま死んでもいい」と思えるほどのレモンパイ、ほんものの。 レモンパイってアップルパイほど売ってる店とか少ないですけど・・食べてみたいなあ。作ってみようかな。
ラストシーンも忘れられないですね。
2004年アメリカ 監督マイク・ニコルズ キャスト ジュリア・ロバーツ ジュード・ロウ ナタリー・ポートマン クライヴ・オーウェン
なんだかね、どうなのかしらね? 大人の恋愛(コピーでしたけど)ってどういうのかしらね?大人な態度っていうと思うに、自分の気持ちを隠して相手のことを思いやったり、好きになった相手の幸せを思ったり・・っていうのかと。あるいは、カッコして嫌な自分を隠したりいいところしか見せなかったり・・って。でも違いましたね。特に男性たち。
というか、ダンなんてね。子どもみたいでしたね。好きになったら好きと速攻アタック、本当のことが知りたいとだだをこねて、真実を知ると怒り出す・・ なんて、なんて勝手なの〜って思いながらも・・すみません。ジュードなので許してしまいます、わたし(爆)だってーーーー、素敵なんだもの・・しかも冒頭メガネかけてる(メガネ好き)きっと、彼はそのとき、そのときは、本当にそう思ってるのじゃないかしらね?本当のことを知っても相手を愛せるって。でも聞いてしまうと・・そうじゃなくなってしまって。 最後のラリーの診療所での涙、これって男泣きって感じじゃなくって、子ども泣きみたいでしたよね。
ラリー、凄かったですよね。オーウェン、あんまり上手くて、上手すぎて。本当にああいう人かと(汗)チャットの時のあの嬉しそうに嫌らしい顔が目に、目に焼き付いてる〜。なりふり構わず嫌らしい言葉をアンナに投げかけるシーンもすごいですよね。娘と見てたのですよ、なので、もうどうしようかと・・・ でも彼のあの行動が計算づくのものだとしたら・・・・怖いですね、すごいですね。ダンが全然計算づくでないだけに・・。 だけど男性2人は、アンナを取り合うというよりはお互いに負けられない勝負みたいになってましたね。「君の後ろに彼が見える」なんてね。
愛が始まるところと終わりところが描かれていても、愛し合ってる日々が描かれていないのですよね、この映画。 前の日の続き・・かと思って観てると、1ヵ月後〜みたいな。そのあいだのことは見ている私たちの想像に〜。そういう設定は面白いと思いました。なので、余計に彼らの愛を信じられない・・ふうに思いながら見てしまうのかもしれませんけど。「愛してる」の言葉がこれほど信じられなく響く恋愛映画も珍しいですよね。
乙女な私としては、おんなじ嘘をつくなら、もっと素敵な恋を見せて欲しかったな〜って思いますけど。とってもやもやして、スカッと爽やかな炭酸飲料でも飲みたくなりました、見終わってから。 でも、これは後引く映画ですよね、逆にそういう意味で。だってほら、今だって感想もうあとからあとから書けちゃいますもん(笑)そして、いろんな人の感想を聞きたくなっちゃいますもん。
女性たちは・・アンナはなんだか一番微妙というか。流されている・・っていうのかしら。でもショックだったのは、彼女がダンとの情事の最中のことをラリーに話していた・・ってこと。ダンに責められた彼女がかわいそうかな・・って思ってたのですけど、これで一気にもういいかなっと(苦笑)
アリス、ポートマン頑張ってましたよね。ラリーとのあのからみ(オーウェン、すごかったね〜〜)で、彼女が名前を告げるシーンとか。一番大人じゃ(ダンとかは、彼女のこと子どもだって言ってましたけど)って思いました。でも・・・最後ね、最後はどうして〜〜。 うううう〜〜ん、分からない。 ネタバレになるので未見の方は要チェック
ダンはアンナに本当のことを聞いて彼女を捨てちゃいましたよね。でもアリスから本当のことを聞いて・・・すごくショックで、怒りましたけど、でも結局は彼女の元に戻ったでしょう。薔薇を持って。そこで、私はダンも少しは成長したのかな・・って思ったのですけど。でもそんなダンをアリスはもう愛してない・・って。アンナの心変わりの理由が分からないのですよ。だってダンがそういう人だってことを分かっててずっと好きだったと思うのに・・・・。
あぁ・・結局すごくひきずってますね、この映画。 みごとそういう意味ではやられちゃいましたね〜〜。
2005年06月06日(月) |
「バレエ・カンパニー」 |
2003年アメリカ・ドイツ 監督 ロバート・アルトマン キャスト ネーブ・キャンベル マルコム・マウダウェル ジェームズ・フランコ バーバラ・ロバートソン スージー・キューザック
アメリカの名門バレエ・カンパニー「ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴ」を舞台に、その華麗なステージとそれを支えるダンサー、振付師、経営者たちの日々の様子を見せてくれます。 主演のネーブ・キャンベル以外は、みんなこのバレエ・カンパニーの現役メンバーだそう。ネーブって踊れるのですね!!凄いなあ。「スクリーム」の彼女ってことしか知らなかったけど。
クラシックなバレエしか知らないのですけど、こういうすごい凝ったステージのバレエがあるのですね。最後のあの「青い蛇」のステージなんてビックリ。衣装もまるでミュージカルのようで。 その華麗なステージを支えるために、ダンサーたちは日々黙々と踊るのですね。 世界的に有名な振付師・・う〜ん、まさにこういう感じなんだろうなあ・・ってうなってしまう。自信たっぷりで、時には気まぐれで、でもカリスマ的なパワーを持ってて。ダンサーたちが、クリスマスの余興に彼の物まねをして見せるのが可笑しい。 ステージと、ダンサーたちの日々と。淡々と見せてくれるのですけど、あまりに淡々としているので、ドキュメンタリーって思ってしまうほど。 怪我をしたり、役を降ろされたり。家族とのこと、恋人のこと。 でも、どんなときも彼らの日常はバレエにかかわっているのですね。
ライ(ネーブ」がパートナーと二人で踊った野外劇場でのあの踊りが印象的だな。凝ったステージ設定もなくって、ただ二人で内なるものを表現するような。 風が吹いて、雨が降ってきて・・そういう中で踊る二人を見ててドキドキしたわ。
ライが主人公なんだけど、そんなに彼女だけにスポットをあててるんじゃなくって、群像劇っぽい感じで見せてくれるのでリアル感が凄くあるのね、でもそれが逆にあまりにも淡々としてて、何か一つインパクトのあるエピソードを用意してもよかったんじゃないかって思ったりもします。
「幕が上がる、人生が始まる」 キャッチコピーです。 その一瞬の短い、華やかな人生のために、長くひたむきな、毎日がある・・・
2005年06月03日(金) |
「モーターサイクルダイアリーズ」 |
2004年イギリス・アメリカ 監督ウォルター・サレス キャスト ガエル・ガルシア・ベルナル ロドリゴ・デ・ラ・セルナ ミア・マエストロ
キューバ革命の指導者ゲバラの若き旅の日々・・いわゆるロードムービー風ですよね。 おんぼろバイクで旅に出るエルネスト(ゲバラ)とアルベルト、旅の始まりから、バイクがふらふらしててね、荷物も多そうだしどうなることかワクワクしましたね。 ゲバラって医学生だったのですね・・なんだかね、革命の指導者って聞くと勝手なイメージがあって、貧しくて虐げられてて・・みたいな。ちょっと意外な感じがしたのですよ、裕福な家のようだし、愛情に溢れる家族で。 でも彼が旅のあいだにいろいろな人に感じる愛情・・みたいなもの・・を感じて。そういう人々に対する愛・・が彼をああいう人物にしたのかなあ・・ってそんな気がしました。 ダンスが苦手で、歯に衣着せぬっていうか、はっきり言っちゃうっていうか。そういう彼のキャラがすごく良かったわ。ガエル君っていいなあ。まず、目が好き(目力ありますもん!!) そういう彼と対照的なアルベルト、彼もとてもいいですよね。合わない二人がいいのですよね。あの15ドルを巡っての二人のやりとりもね、すごくリアルなのですよね。 アルベルトがスピーチするエルネストを見ているシーンがありました。その時に何かがエルネストの中で芽生えているのを発見したアルベルトの驚き、そして尊敬みたいなものが溢れた顔がとても印象に残りました。
生きて行く中で、自分の中で何かが芽生えて、変わってゆく・・彼にとってこの旅はそういう目覚めの旅だったのですね。 ラスト、年老いたアルベルトが空を行く飛行機をじっと見つめているシーンも心に残りました、あの旅の終わりを思い出すかのような。 旅の途中で出会った人々が1枚の絵のようにモノクロで挟まれるシーンも印象的でした。
パンフがまたいいのですよ。ノートブック風です。 旅日記みたいなのもあります。こうやって読むと、すごい旅ですよね。 広いなあ、南米。雪のシーンがあってビックリしたのですけど、アンデス山脈ありますものね。
あ、お茶飲んでるシーンもあったのですよ、マテ茶。ああいう風にストローで飲むのですね。 実際ゲバラはコーヒーよりマテ茶派だったのですって。
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