■ 豆文 ■
 2004年01月07日(水) 【 取扱説明書4・予告編 】

(※今までのシリーズのノリが良い方にはきついかもしれないです)

   *  *  *

「ねぇねぇロー君ちょっといい!?」

 それは、気付けなかった異変だった。

「うんいいよ、なぁに? ハッちゃん」

 少女は手を引き、青年を連れてゆく。閉じた部屋での秘密の会話。

「ロー君はあたしと同じでしょう。だから何かあるでしょう」
「……そっか、そうだね、同じだね」

 彼らにしか分からない、秘密の会話は聞こえない。

「でも、でもさ、あたし達は『何も無いひと』だよね」
「そうだよ、俺達は『何も無いひと』だ」

 彼らの決意は、聞こえない。

「考えよう、ハッちゃん」

 隠されたそれは、姿を見せぬままだった。



 忘れている事への安堵
 それが当たり前だと思っていてくれている事への感謝



 思い出さないでと言う、悲痛な願い


   +  +  +


「てめぇを殺す為に! その為だけだ! 理由はそれだけだ!」

 たった1つの行動理由。
 諦めきれなかった1つの思い。

「行くと言うのなら──その望みを叶えてからにしなさい!」

「俺は一生──てめぇを恨み続けるだろうよ」

 彼は最後に呟き、

「…………やっと、"   "」

 そして笑った。


   +  +  +


「──あなたに、隠している事がありました」
「え……?」

 やがてそれはやってくる。

「許してくれとは言いません。これは、私達の総意です」
「なっ……」

 少年は、嫌だと声を張り上げた。

「ふざけるな! ふざけるなふざけるな!」
「では、あなたに分かるんですか!? あの子達が、どちらの道を選ぶのか!」
「知らねぇよ! でも……嫌だ、嫌だ!!」
「それでどうにかなるのなら、私はとっくにそうしていた!!」

 その人は、自分を恨みただ泣いた。


   +  +  +


「……なぁ、お前は、どうしていつも笑ったままで、どうして俺に何も見せてくれなくて、どうしてそのまま、そうやって……」
「──そう言う生き方しか出来なくなってたから……だから、ごめん」
「なぁ、やめろよ、お願いだから」
「ごめん、認めて。お願いだ」
「嫌だ」
「純平」
「お前は俺の親友なんだろう!?」
「それでも俺は──出来るなら会いたいんだよ!!」

 それを見せられ、少年は息を飲んだ。
 止められやしないと痛感させる、綺麗な綺麗な彼の闇。初めて見せた本当の姿。


「──だから、さよならだよ、純平」


 彼の手は少年から離れ、少年は、認める事を余儀なくされた。







 取扱説明書シリーズ完結編・取扱説明書4

 現在準備中
 (このままになるとは限りません)(完結後追記:なってません/…)






 ──願ったのは、"  " 事。


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