| 2004年08月31日(火) |
040831_郵政民営化とは |
【郵政まちづくり懇話会】
年に一度、市内の郵便局長さんたちと市の幹部が意見交換会を行う、郵政まちづくり懇談会を行った。
郵政事業と言えば、郵政民営化の渦中にあって大変な状況なのだろうと思うが、郵便事業と地域連携を果たす意味で、市役所と郵便局長さんたちが意見交換をするのは良い機会である。
郵政民営化については、国民もなぜ必要化やどうなろうとしているのかが全くよく分かっていない、と言う印象である。政府はともかく、自民党の中でも「拙速だ」とか「総理はちゃんと説明して欲しい」という声が出ているくらいである。
郵便貯金の資金を様々な公共事業に使うという財政投融資の事業はすでに２００６年に向けて改革が進んでいるのであって、小泉首相も昔は「財投を改革しなくてはいけない」までは言っていたが、「郵政民有化」はごく最近の政治課題となってしまった。
正直言って、もう少し説明をして欲しいものだ。
※ ※ ※ ※
最近の話題として、ゆうパックがローソンと契約したということがあった。その結果、クロネコヤマトがローソンから撤退したのだが、このことに関して８月２６日・２７日の全国紙に全面広告を打つ、という作戦に出た。
要はローソンがゆうパックと契約したことがクロネコヤマトとして許せない、という主張であるが、これはヤマト運輸のホームページにも出ている。アドレスは下記のとおりである。
http://www.kuronekoyamato.co.jp/news/h16_30_00news.html
ヤマトの主張は、同じ土俵で公正な競争をしたいのだが、郵政公社は独占部分を有していて、そこでの利益を元にして事業を行っている点や様々な税制優遇があることで、全く公正な競争になっていないのでローソンから撤退をする、ということである。
ヤマトが撤退をしたのか、ローソンが契約を打ち切ったのかでニュアンスがだいぶ変わってくるが、真実はヤマト側が一店一契約という方針なので、ゆうパックと契約するならばうちは降りる、という判断をしたようだ。
ちょっと広告の見出しのニュアンスと違うような気もするが…(u_u,)
あくまでもヤマト運輸は国の規制や優遇に対して敢然と立ち向かう姿勢を前面に出しているようだ。
郵便局長さん側の説明では、「国際的に郵便はユニバーサルサービスをするもの、という取り決めがあるので、それには日本も逆らうことはないのですが、世界の常識としては、８０ｇなど一定の重さ以下のものは政府組織の独占で行っている、というもので、『親書か否か』ということを基準としてあとは経済原理で進めようと言うのは日本だけです」とのこと。
民間の参入と国が保障すべきものとの違いをどの辺に線を引くかは難しいところだ。
しかし、郵便局側にも親方日の丸的な感覚が職員からうかがえて、「サービスが悪い」、「愛想がない」という印象を持たれていることも事実だろう。改革の灯火が消えた瞬間に、安心と停滞が始まるのであって、不断の努力がなされるような制度やシステムが大事なのだろう。
そしてそのことをもっとも強力に進めているのが、競争に敗れれば倒産してしまうと言う恐怖を感じている民間企業というわけである。
倒産の恐怖を想像して、それに打ち勝つような自己改革が進められるかどうかが外への印象の鍵になるような気がします。改良をどんどん進めて欲しいものです。
※ ※ ※ ※
最後に、「葉書が売っているところが判らなくて…」と言ったところ、「コンビニにも売っていますが、電話をいただければ配達員がお持ちしますよ」とのこと。
助役だから特別なことを言っているのかと思いきや、そうではなくてその手の売れるものを配達員が携帯して持ち歩くことがあるのだそうだ。
「500円の専用封筒で全国どこでも送ることができるワンコイン小包の「エクスパック500』なら大抵は持たせていますよ」とのこと。配達員さんが商売もするとは時代が変わったものだ。
掛川では東山などの人数の少ないところでは新聞も郵便配達員さんが配達をしているのだそうだ。新聞販売店もそこまで面倒を見られないと言うことなのだろう。
それを補っているのが郵便配達員で、朝刊も昼くらいになったり前日の夕刊が翌日の朝届く、といったくらいの時間差が出るが、それでもサービスを何とか担保しているのだそうで、おまけにそれらは「３種とか４種であれば普通の郵便とは違って大幅に割り引いていますからね」とも。
なるほど、経済原理などで簡単に割り切れる話でもなさそうだ。都会の人たちはその変化を実際に経験することはないかも知れないが、どうも田舎の地方都市ほど影響が大きそうだ。国民ももっと勉強しなくちゃね。
| 2004年08月30日(月) |
040830_ワイの財産やー |
【部課長会議】
週の初めの部課長徹底事項より。
先週第４３回掛川市森林組合総会が行われた。市内の山の材積が１６０万立米を超えたとのこと。
これは１ヘクタール当たりの木材の量が１５０立米ということで、森林関係者から見ればこれは「それなりの森」ということになるのだそうだ。
今日本の山には有史以来最も多くの木が生えているのであって、山は乱開発によって荒れるのではなく、間伐や草刈りをしない「森林施行の放棄」によって荒れていると言っても過言ではないのだ。
新たな林業森林作業員の素養としてはパソコンとチェンソーと林学の三つを持った人物が望ましい、と市長は言うが、如何せん雇っても終身雇用をしてあげられるだけの自身が雇用主の方にないので雇えないのが実情である。
山は辛い。
※ ※ ※ ※
また別の日に、市長は県の介護サービス室へ行ったのだそう。そこでは「当初在宅支援というつもりで導入した介護保健制度が、利用者の施設希望偏重によって給付が破綻しかねない」と言われた、とのこと。
担当課長の説明は、「要介護度が３くらいの方は大抵施設を希望するのでやはり将来の給付が心配だ。問題なのは要介護度の１〜２くらいの人たちの介護度がリハビリなどをしても改善せずに逆に悪化する方が圧倒的に多いということです」とのこと。
介護度が低いうちにリハビリを重ねることによって要支援程度に軽くなってもらって、ふたたび給付を受けないようになってほしいのだが、実態は逆に働いているという。
これから先は、介護を受けるようになってから給付をするのではなく、介護を受ける前の介護予防に体系的に力を注ぐことで、結果として給付額を減らすような政策が必要になるということだろう。
要介護になってからの施策体系はできあがったのだが、今度はそれを「簡単には使うまいぞ」という個人レベルの価値観にまで届くような政治が必要なのだ。
「一世紀一週間人生のすすめ」などは面白くてちょっとブラックな感じが市民の心に届きやすいと思うが、そこから先に一人一人が自分のことと思う強い気持ちも必要だ。
施策の最後の最後の鍵は実はそのあたりにある機微なのだが、これが難しいんだなあ。何か良い知恵はありますかねえ(u_u,)
【今日の榛村ゼミ】
創発調査がもらえたら、合併後のまちづくりのモデル提案を行おう、と考えていてその準備をしているのだが、そのためにはまず「掛川のあり方を参考のベースにしよう」ということになっている。
掛川が提案したのだから当然と言えば当然なのだが。
そのためには今後、担当スタッフが我が市を訪れて改めて市長さんや担当職員などにヒアリングを行うこととしていて、夜時間が空いたのでそのことについて市長さんと問答をする。
「…市長さん、そんなわけで掛川の事例調査と、さらには全国の中でも面白い自治体から話を聞こうと思っているのですが」
「それはやった方が良いよ。それなりの首長には何らかのまちづくりに関する常識的な原則があると思うからねえ」
「市長さんはどの辺にそのコツを見いだしますか？」
「行政の登場人物との関係の持ち方だろうね。」
「関係の持ち方ですか…、また登場人物とは？」
「登場人物は、�ゝ腸顱↓∋埒Π�、��市民、�す顱Ω�、と言ったところでしょう。それぞれに上手な関係を結ばないと、安定した行政は出来ないからね。」
「議会との関係はどうあるべきですか？」
「政策形成過程だけの参画ではなく、政策執行過程も報告することがポイントだよ。全員協議会が大事だ」
「市職員との関係はどうあるべきですか？」
「職員一人一人の信頼を得てやる気を起こさせなければならない。それには、共通した意思伝達による激励と、一人一人の個性に合わせた叱咤激励の両方が必要だ」
「市民との関係はどうあるべきですか？」
「すべては戸別訪問だ。日常から市内を巡って回村をして地域をよく知ることと併せて、なんだかんだいっても市民の家を訪ねて覗いてみることだよ。そうすれば市民の暮らしぶりも分かるし、何より投票で誰の名前を書くか、というどたんばの時に『あの人はうちを知っている』という思いが個人票となって出てくるものだ。選挙の時だけ地域を回るような人は三回は当選しても四回目には落ちるよ」
「国や県との関係はどうあるべきですか？」
「国と県は似ているようで、ある瞬間は反対に作用することもあるのだけれど、人脈、発言力、影響力を持つということが大事だ。さらに言えば、国や県の官界に加えて、政界、財界、学会、言論界、労働界という６者に重んじられるようになると良い。しかもこれらは相互に関連しあっているので、官界で知られるようになると学会でも知られるようになり、それが財界に繋がり…という風になる。まあそれにはいろいろな人とつきあってみることですよ」
「なるほど…それでいて、一人の政治家として大事なことは何ですか？」
「それは歴史を知ること、自然との関係を知ること、できれば科学技術を知ることかな。私の場合は森林組合を長くやっていたので、霞ヶ関の超大物からは、『あなたから聞く森林の話は林野庁から聞くのとずいぶん違うので参考になりますよ』と言われたことがあったよ。まあ森林を通じた自然との関係がふつうの市長よりは分かっていたと言うことかな」
「なあるほど…ほかにまだありますか？」
「うーん、そうそう…全部を通じて必要なのはねえ…」
「なんでしょ？」
「女性ですよ。女性に信頼されて好かれるということが大事だな。世の中の半分は女性なんだからねえ」
なあるほど…、本当はまだまだ問答が続いたのだが、書ききれないので今日はここまで。
この切り口とそれを実践しているのが面白い。まあ理論は理論として要は「実践できるかどうか」ということが全てなのですがね。
【娘の誕生日】
今日は次女の誕生日。誕生会をしようと言うので実家周りの家族が昨日集まってパーティをしたのだが、そこへわが弟が婚約者を紹介したいというので、集まりの趣旨が誕生会なのか婚約者紹介なのか分からない渾然一体とした宴会になったとか。
私の妹と長女から「ほんっとに、Ｓちゃん（弟の名前）で良いんですかっ！」という念押しがされたが、「いいんですよー」と笑っていたとか。
婚約者のＡ子さんは、これまた明るくて朗らかな人なので、わがゲラゲラ家族にもとけ込んでくださっていたとか。いいなー、その場にいたかったなー(^-^;)。
たいした財産なんかなくても、家庭には笑いがあるのが一番です。子供の頃の我が家も、電話も車もなかったけれど笑いだけはあったなー。あの頃あった自分の宝物も今ではなくなってしまったけれど、笑ってばかりいた記憶だけは残っているもんね。
後々まで残るものって要はそんなもの。モノに固執するのはやっぱりあほらしい。思い出と蕎麦打ちの腕だけがワイの財産やー！（関西人？）
| 2004年08月29日(日) |
040829_浜松の超デカイオン |
【久々の献血】
一日空いたので、久々に浜松まで献血に行く。昨年の秋以来行っていなかったが、昨年は二度続けて白血球が少なくて献血を拒否されたのだった。
今回は少し時間がたったことで、おそるおそる行ってみたのだが、白血球数は無事基準を超えていて採決オッケー。
血小板の成分献血が出来て良かった。たまに献血をして、血液成分の状況を教えてもらうと健康状態が判るので、そういう意味でもやると良いですよ。
【アクトタワー】
献血でもらった駐車券で止められる時間に余裕があったので、献血センター向かいのアクトタワーの上に行ってみた。
１９階から２７階までがオフィス街と言うことだったが、各階を覗いてみたが日曜と言うこともあって人気がないのと同時に、やはり結構空いているようだ。
６階から下はお店になっていて、ここにはそれなりにお客さんもいた。「遊べる本屋『ビレッジ・ヴァンガード』」が、六本木ヒルズから撤退した、ということが話題になっていたが、ここアクトタワーにもビレッジ・ヴァンガードが入っていた。
主にサブカルチャー系の本がたくさんあるのと、遊びグッズがたくさんあるショップなのだが、確かに面白い空間である。まあ品物がどれくらい売れるかということになるとなかなか難しそうだが、まあ楽しい空間になっているのは確かだ。
典型的なバブル時期の再開発事業だが、単に土地の有効利用以上に町にとってのシンボリックな意味があるから単純な比較は出来ないが、もったいないなく思うのも事実だ。次はホテル棟の最上階にも行ってみたいものだ。
【イオンモール志戸呂店】
せっかくここまで来たので、もう少し足を伸ばして、８月上旬に浜松市街の西側にオープンしたという巨大ショッピングモールのイオンへ行ってみることにした。
地図には出ていないが、なんとなく近くに行けば判るだろうと思い、とにかく西へ向かって出発だ。途中でジャスコを見つけたので、ここかと思い駐車場まで入って係の方に「ここが新規開店のイオンですか？」と訊いてみたところ、「それはもう４キロほど西にできたものです」とのこと。
駐車場から出て再びそちらへ向かうと、田んぼなのか畑なのか、回りにほとんど何もないところに巨大な建物が見えてきた。あれがイオンモールか！
とりあえず、立体駐車場に入れることにして前の車について行ったが、５階の上の屋上まである駐車場が各階とも満車状態。ぐるぐる回りながら荷物を下げて帰りそうな家族を見極めながら走り回るというのはなかなか情けない状態だ。
※ ※ ※ ※
駐車場に入ったのが１２時半くらいで、来場者が食事などで一番動かない時間帯だったかも知れないが、駐車場が３５００台では全く足りないと言うことなのだろう。
帰ってきてからホームページで調べてみたが、このイオンは、運営管理がイオンモール株式会社で、面積は敷地面積が約68,126�屐⊂Χ隼楡潴明僂呂覆鵑般�65,322�屐�！！
駐車場台数が約3,500台という規模である。
以前に旭川に出来たイオンモール旭川西に行った話を書いたことがあるが、基本の構造は全く同じである。片側にジャスコを持ってきて、そこから専門店街を横に長く延ばしてジャスコの対角には大型店を持ってくる。
大型店は一階がEIDEN、二階がスポーツ・オーソリティ、三階には谷島屋書店とPLAZA_CAPCOMとなっていて、その間で商店街を形成しているのだ。
商業店舗は三階建ての構成になっているが、一階は「食料品と美と健康のフロア」、二階は「ファッションのフロア」、そして三階が「キッズ共和国とホームファッションのフロア」というコンセプトだ。
こう言うところへ来ると、普段はなかなかお目にかかれない商品がどれくらいあるものか、という自分なりのインデックス商品を見ることにしている。
本屋で言うと、英語の教材に「茅ヶ崎メソッド」の教科書とCDが売っていた。これは小さな町ではまずお目に掛かることのない商品だ。これがあるとはたいしたものですぞ。
あとは八重洲のブックセンターでも揃っていなかった「と」学会のトンデモ本シリーズもある。うーむ、侮れない。
※ ※ ※ ※
ジャスコの食品売り場を見てみたが、確かに安い。ここではものは買わないようにしようと思ってぶらついていたが、な、なんとデュラムセモリナ粉が売っているではないか。
これがあればパスタを自家製で作ることが出来る。思わず買ってしまった…(u_u,)。
これ以外にも面白いお店がたくさんあるし、飲食店も充実している。しかしあまりにもお客さんが多いのでとても列に並ぶ気にはならないのが難点である。
売り場面積約65,322�屬箸いΔ里蓮�旭川の５割り増し。まあすごいお店ですわ。一度行く価値があると思いますよ。
【その他ネタ】
オリンピックハンマー投げで室伏が繰り上げ金メダル。ドーピング疑惑に対しては毅然とした態度を示さないといけませんな。
隣接する森町、袋井市、浅羽町による合併に対して森町が行った合併住民投票の結果が出て、合併反対が多数を占めたそうである。
もともと投票率が５０％を下回れば開票はしない、という前提で実施したが、期日前投票を含めた投票率は７０％を越えたそうだ。
反対の機運から住民投票を行えば反対の人は行くし賛成者はサイレントマジョリティになりがちなので、反対票が多くなるだろうなと思ったが、やはりそのとおりになった。
なかなか住民の気持ちは一つにはならないようだ。担当者のご苦労が知れるので辛いところである。
| 2004年08月28日(土) |
040828_深紅の旗の津軽越え |
【創発で東京へ】
調査スタートに備えて、必要な仕事の割り振りと事前準備の打ち合わせで東京へ向かう。
１時から８時まで途中休憩をはさみながら議論と意見交換。頭も焼けますなあ。
※ ※ ※ ※
北海道の知人から、「駒大苫小牧の選手達が飛行機で北海道へ戻るとき、津軽海峡上で機長が「只今、深紅の大優勝旗が初めて津軽海峡を渡りました！」とアナウンスしたそうです。
機内では大拍手、泣く人が続出したらしいです。
…というメールが来ました。なかなか粋な機長ですが、「津軽海峡上空でやってやろう」と考えていたんでしょうねえ(^-^;)
【アテネオリンピック】
アテネオリンピックもそろそろ終わりに近い。日本はリレーでも４００ｍ×４と１００ｍ×４がそれぞれ４位と、これまでの最高成績。素晴らしい成績の連続で、心はハッピーです。
新幹線で夜に帰ると寝てしまうので、帰ってからが寝られないのですが、深夜の番組があるときは助かりますね。
さて明日は最終日。あとは男子マラソンでしょうか。精一杯応援しましょう。
| 2004年08月27日(金) |
040827_竹の丸自習室 |
【中心機能まちづくり特別委員会】
中心機能まちづくり特別委員会の５回目が開かれた。９月議会の時期に向けて、まちづくりの中でも特に再開発事業についての意見を表明することについての議論を進めた。
意見書をこの委員会としてまとめようと言うことで、委員長からたたき台の文章が示されてこれを委員と当局側も交えて意見交換をした。
たたき台の文章なので委員諸氏から多くの意見が出されて、それらをまとめようとしたが、一人一人の表現意見を取り入れていたのでは時間ばかり掛かるが、統一の取れた文章にはなかなかなりにくいものだ。
意見表明の出し方については今後調整をすることにして、表現は委員だけで更に調整を進めることとした。
一部の地権者に事業不同意者が出ている再開発事業だが、関係者間で意見をとりまとめている最中だ。努力を見守りたい。
【竹の丸自習室】
お城の北側にある、市内御三家と言われた豪商の残した豪邸が竹の丸である。最近は建物の老朽化も進み修繕が必要な箇所も多いのだが、広い畳の部屋は各種の会合に好んで使われており、市としても市民の要望に応える形で利用にあまり制限を加えてはいない。
市民からはこれに愛着を持っている人も多く、何とか再生をして欲しい、という要望も多いのである。
そんななか、市内を活動の中心とする若手の建築家集団が自分たちで勝手に竹の丸再生のための計画を作ろうと、毎週金曜日にこの竹の丸の中で自習を始めたのである。
どんなことをしているのかと気になって覗いてみることにした。建物の中には男性３人、女性１人の建築家たちがいて、図面に積み木を置いて立体化したりして構想を話し合っている。
建物の再生計画を話し合うのに、建物とは別な場所で議論をするよりはこうしてその建物そのものの中で話し合うというのは素晴らしいことだ。
※ ※ ※ ※
この竹の丸には、鈴木健さんという熱心な方がいて、かつて大学の卒業論文でこの竹の丸を取り上げて、様々な資料を集めて貴重な写真や資料を残して下さっているのである。
今回の調査を進めるに当たっても大変助かったのだが、この建築家集団は鈴木さんと連絡を取って彼の思いも十分にくみ取っているようだ。
この手の建物は復旧しても、その後にどういう維持管理をする仕組みができるかということも大事な課題だ。
建築家たちも「拝観料を取るような建物にはしたくありませんね。やはり使ってあげることが建物にとっても良いことだと思いますから」と言う。
彼らの思いがそのまま実現するとは限らないが、「まあ思わないとできませんわな」という松下幸之助の言葉を借りれば、思いと情熱があることはなにがしかの影響を外に及ぼすことだろう。
こういう時間も良いものだ。
| 2004年08月26日(木) |
040826_浜名湖花博見学 |
【浜名湖花博見学】
今日は朝から県内市の助役会議のために、浜松へ向かう。午前中の会議に引き続いて、午後は浜名湖花博を行程に組み込んでくれたので、喜んで参加した。
浜名湖花博は今年の４月８日から１０月１１日までの１８７日間の会期で、浜松市村櫛町にある浜松ガーデンパークで開催されているのである。
国際博覧会にはいろいろな分類があるのだが、今回の浜名湖花博は「国際園芸家協会が承認する国際園芸博覧会」ということになっていて、日本では大阪花博、淡路園芸博に続く三つ目と言うことになる。
今日は猛暑も少し和らいで、外回りもそれほど苦にはならない。天気もほどほどによいのでよかった。
※ ※ ※ ※
さて、会場面積は約５６haということで、なかなか広い。参加者一同は園内の休憩所に集合して、まずは展示館の一つ浜名湖館フルレへと向かう。ここの売り物は浜名湖の自然や歴史のイメージを、直径１０ｍの巨大な円形の水盤に写し出す「水鏡シアター」。
天井につるされた何台もの映写機と水盤から蒸気や波が出るのとがシンクロして、なかなかの見せ物になっている。OA機器とパソコン、そして水回りの仕掛けなど、映像で表現する能力はどんどんと充実していると実感した。
そのことは、こういう機器で一瞬は話題になってもすぐに陳腐化すると言うことでもある。機械の出来で驚かすのではなくて、ソフトの出来で感心させるようにしなくてはいけませんな。
さてその後は、余り滞在時間も長くはなくて一時間と言うことだったので、会場巡りを一生懸命にしました。
会場の一番遠いところに、モネの睡蓮のモチーフになったフランスのジヴェルニーのモネの庭園を再現した池があって、そこまで歩いたのだ。
その途中に、市町村の出展による庭園があって、掛川の庭園もあったので見てきました。証拠の写真も撮りました。
掛川の庭園は、当初あまりお金を掛けずに造ったので、「他の市町村の庭園と比べて見劣りする。情けない」という批判が数多く寄せられたのだった。
その後に少し手直しをして、銅賞を取った、という話も聞いた。見る限りさして見劣りをするほどのこともないと思ったので良かった。
※ ※ ※ ※
園内のテーマ展示館などには全く行く余裕が無くて、残念だった。特に昭和天皇自然館は是非見たかったのだが、同時に入れる人数に限りがあるので、まだ待っている一団があって、とても入れる状況ではなかった。
既に４回行っている、という知り合いの助役さんの一人は、「園芸文化館に、宮内庁から借りてきたという盆栽があって、これがすごいから是非見た方が良いよ」と言われた。
そう言われたのだが、やはり見る時間がなかった。とりあえず今日のところは園内がどんな雰囲気かを味わうだけだったので、中をもっと楽しむにはもう一度来なくてはなるまい。
そのときはゆったり時間を取ってやろうと誓うのでありました。ちょっともったいなかったなー（゜ε゜;）
さて、公式ホームページでは、今日の入園者数は14,316人で、 総入園者数は 3,686,333人だそうだ。
今年の夏は猛暑で一時入園者も少なかったのだが、そろそろ涼しくなってきたのでまた最後の追い込みもあることだろう。
目標とした５００万人はちょっと難しいかも知れないが、少しでも多くの人に楽しんで欲しいものだ。
| 2004年08月25日(水) |
040825_長嶋ジャパン銅メダル |
【財産区勉強会での講演】
財産区の関係者による勉強会で、掛川奮闘記と題した講演をする。
内容はさしたる事もないので書くほどのこともないが、話題が蕎麦の話になると自分で力のはいるのが判るなあ(^-^;)。
【長嶋ジャパン、銅メダル】
プロ野球選手でがちがちに固めた長嶋ジャパンであったが、今日はカナダに大勝して銅メダル。前回はメダルも取れなかったことを思えば、一歩前進なのである。次の大会に期待は更にふくらむが、次回の北京オリンピックに野球という種目が残るのかどうかも定かではない。
おまけに日本のプロ野球も１リーグ制になるとすれば、一体全体どういうことになっているのやら。
選手の皆さんはよくやってくれたので、本当にありがとうと言いたいですね。
しかし、一流のプロ野球選手たちが一本のホームランに大喜びしたり、ベースに向かってヘッドスライディングをする闘志は本当に見る者の心を打ったのだが、こういう感動が普段のプロ野球にあったかどうか、ということを改めて考えさせられるシーンでもありました。
結局見る者に感動という幸せを見せられなければ、プロスポーツは役割を十分に果たしていると言えないのでは無かろうか。
ファンサービスということを徹底的に行わなければ、どんなスポーツも衰退するような気がする。市民サービスを徹底するという点では市役所行政も同じなのだけれどね。
まだまだ続くアテネオリンピックでの日本の快進撃。頑張ってくりや〜！
明日は助役会議でやっと花博が見られます。
| 2004年08月24日(火) |
040824_松本〜白馬 |
【塩の道会議の幹事会】
日本で一番長い塩の道による「塩の道会議」の幹事会を松本市で行うために、朝からワゴン車で松本に向かう。
途中で休憩を入れながら東名で名古屋方面へ向かい、北上するルートを選択。途中は順調で掛川を朝７時に出発して松本には１１時に到着した。
電車を使っても松本までは４時間くらいは掛かるので、車でも同じくらいの時間でいけるのだ。五人で移動して高速代は２万円しないくらいだから、やはり車での移動は安いものだ。
松本には早めに到着したので、国宝松本城を見学。現在国宝のお城は日本に４つであり、それらは姫路城、犬山城、彦根城、そして松本城である。
お城の中には我が国の鉄砲の歴史展示などもあって、見応えがある。実は松本城も明治期には民間売り払いの危機があったのだが、篤志家の活躍で買い戻されて、その後国宝に指定されたのである。
物事はある特定の人物の情熱で行われるものだ。
※ ※ ※ ※
松本では塩の道会議の今後の進め方について幹事である自治体の担当者に集まって頂いて、意見交換をした。
塩の道も今年小笠町で行われるのが第１０回となった。太平洋の相良町から日本海の糸魚川市まで、最初は４８市町村の構成で始まったこの会議だが、市町村合併で４７市町村となった。
しかも昨年から、合併をしない決断をしたある村からは「もう負担金（２万円）が払えない」という申し出もあった。地域連携を行う志はよいが、財政的な面から、なかなか継続が難しいという個別事情もありそうだ。
幹事会の各市町村からも、年に一度のサミットの進め方や会合ももっと開催自治体の負担が少ない形でやれないか、といった提案が出された。
一同、この会議を継続するという方向はよいが、継続することの目標や意味をより強く確認する必要があるだろう、という意見で一致した。
しかしこの会議も市長の強い思い入れから始まったものなので、市長がもしいなくなった後のこともいずれは考えておかなくてはならないだろうなあ。
【白馬村まで】
松本での会合を終えた後で、「ここまで来たのだから」というわけで、白馬村まで足を伸ばして、役場に挨拶に行く。
実は塩の道の来年度開催地を白馬村にお願いしたい、ということを市長から白馬村村長にお伝えしてあったのだが、そのことの確認やらも含めた挨拶に行ったのである。
白馬村はスキーの村で、幾つものスキー場があって駅前などもどこかスイス風のお店が建ち並んで、スキーリゾートの雰囲気は満点である。
役場をお訪ねしたものの、残念ながら村長さんは不在だったために変わりに助役さんとお会いをした。
来年のことも村長さんから受ける方向で考えていると聞いていると言うことだったので、安心する。
白馬村は北隣の小谷村（おたりむら）との合併協議を進めていたが、小谷村の住民投票で反対が多数だったために成立しなかったのだという。
白馬村なら村の名前とスキーリゾートで充分やっていけるのではないか、とも思ったが、ご担当の方に伺うと、「スキー客数では平成４年をピークに、今ではその半分くらいに減りました」とのこと。
団塊の世代がスキーリゾートから去ったと言うことなのかもしれないが、リゾートの世界も厳しそうである。
白馬の空気は本当に澄んでいて、下界とは違うということが判るくらいでした。たったこれだけのために行くのはもったいなかったなあ。
| 2004年08月23日(月) |
040823_狐が元気だった頃 |
【神子の園見学】
市内に神子の園（みこのその）という介護老人保健施設（いわゆる老健）があって、雨の中を見学してきた。
名前からてっきりキリスト系の福祉法人による施設だとばかり思っていたが、「神子」というのはこの施設がある周辺の地名だという。今でもすぐ前の川に架かる橋は「神子地橋」という名前なのである。
聞かなければ判らないことって多いものだ。
老健というのは、「病状が安定している人に対して、医学的管理の下で、看護、介護、リハビリを行う施設で、医療上のケアやリハビリ、日常生活介護を一体的に提供して家庭への復帰を支援する施設」ということになっている。
基本的にはリハビリをして家庭に戻ってもらうための支援をする施設ということだ。
さて、ここ神子の園は１００床の規模で、痴呆専門が５０床と一般が５０床である。
※ ※ ※ ※
ここの施設の面白いところは、いわゆるパワーリハビリという、健康運動器具を使って来園者に筋力トレーニングができるということである。
運動器具はボディビルにも使えそうな、上半身、下半身、腹筋などを鍛えるのと一見ほとんど同じに見えるのだが、担当の理学療法士さんに伺うと、「考え方は同じなんですけど、セッティングできる重りがお年寄り向けになって居るんです」とのこと。
「それはどういう点ですか」
「健常者が鍛えるものですと、重さが５キロ単位とかおおざっぱで重さも相当の重さまで行くのですが、この機械は、単位がもっと軽いところから始まるのと重さの刻みが細かいので、微妙に負荷を上げることが出来るのです」とのこと。
一ランク程度を上げることがかなりのステップアップになるということなのだそうだ。若い健常者にはなかなか理解の出来ないところだろう。
また、重い負荷を掛けたときには主要な筋肉しか使われないのだが、負荷を軽くすると普段は使われない筋肉が使われるということが検査の結果判ってきたこともあって、軽い負荷の運動もそれなりに効果があるのだそうだ。
またこういう形で運動をすると、少しでも上に行きたいというモチベーションもわくようで、これがまた運動を継続するよいきっかけになっているのだそう。
まだこちらにも三種類しかないのだそうだが、これから増やして行く考えはあるそうだ。こういうことが判っていれば、若いうちから継続した運動の習慣をつけておくことが大事に思うね。
※ ※ ※ ※
それとやはりこちらに来る方の多くは何らかの痴呆症状を持っている方で、通所リハビリという通いでこの施設を利用する方では約７割に痴呆症状が見られるのだそうだ。
痴呆症状が出ると、家族の介護にも精神的な苦労が増えるのだが、現在の介護認定制度では身体障害はそれなりに評価されるけれども痴呆は評価が軽目に出るそうで、要介護度があがらないということなのだそうだ。
お年寄りの介護も事情は多様で、これらを要介護度に振り分けるのもなかなか大変なことである。
まだ家族の介護経験がない身としてはなんとも言えないことも多いが、こういう社会的現実を見ることで、せめて自分だけはこういう施設にお世話にならないように日常生活に気をつけたいと思ったのである。
そういう意味で、老健や特養、さらにはグループホームなどのお年寄りの施設の現実を、より多くの市民が感心を持つようになって欲しいものである。
百聞は一見にしかずで、いろいろなことが頭に浮かびますよ。
【街なか若手の会】
中心市街地の活性化や再開発事業に関する意見交換会を、街中に住む若手の皆さんと行う。
皆問題意識は高いのだが、ではどうしたらよいかという点でなかなか答えが見つからないようだ。
再開発事業の中身についても、本当の意味で本気になったのはつい数ヶ月前だというから、やはりなかなかその意味は関係者にも伝わらないわけだ。
※ ※ ※ ※
二次会の懇親会では、なぜか「狐にバカされた話」に及んで、森町のSさんから、「数十年前に、私のお爺さんが掛川へ飲みに行って一週間くらい帰ってこないことがあったんです。それでやっと帰ってきたときに、婆さんが『どうしたの？』と訊いてみると『いや、狐にバカされてお金が葉っぱになっちまった！』と懐から葉っぱを出すのを見て『あらら、気をつけないと駄目だねえ』ということで納得しちゃったっていうんですよ」ということがあったとか。
一同大爆笑したのだが、ほんの数十年前までは狐や狸もまだまだ元気で人間を大いに化かしたようだが、今ではとんと元気がなくなってしまったようだ。
それなら「掛川の伝説やうわさ話を集めて集大成してはどうか」と夢がふくらんだので、今年のスローライフのテーマは「掛川の伝説」という事にしようかと思います。
面白いネタがあったら、集めたいと思いますので用意しておいて下さい。
そうそう、掛川の心霊スポットも探そうということになっているのだが、これはやりすぎるとそこいら中にありそうで怖いね。なんでもH高校がすごかったそうですけど、知っている方はいますか…ひえー（ﾟε゜;）
| 2004年08月22日(日) |
040822_甲子園苫小牧優勝！！ |
【駒大苫小牧！甲子園優勝！】
やったーっ！！ついに、ついに、ついに！深紅の大優勝旗が津軽海峡を越えたーっ！！！！！！
春制覇の斉美を向こうに回して、堂々の試合。リードされても打ち返して打ち返して１３ー１０という素晴らしい試合だーっ。
最後にツーアウトランナー二人で鵜久森の瞬間はテレビの前に座り込んで応援をしました。勝った瞬間は涙が出ました。よくやったーっ！
すごい！感動だあっ！
【ふれあい・いとくり祭】
夕方、大東町のいとくり通りで行われた「ふれあい・いとくり祭」をお訪ねする。以前講演会の講師として招いていただいた、大東町の経済研究会の皆さんがお誘いしてくれていたのである。
いとくり通りは、酒屋さんやインテリアショップ、本屋さんなどが２００ｍに渡って点在する商店街風の通りで、私は掛川の連雀通りのようにかなり以前からある商店街だと思っていたのだが、実はそうではなく、ピアというショッピングセンターが出来る前は田んぼだったのがすこしずつ店が出来てきた通りなのだそうだ。
そしてここの店主の皆さんなど２２人が集まって始めたのが「ふれあいいとくり祭」である。
沿道には露天も出たり、役員や関係者によるお店も多数出て賑やかだ。
すぎむら酒店やおかしのたこ満の前の駐車場は、何か催し物をするのには格好の沿道広場になっていて、ここでいろいろな出し物が出される。
見ているときには小学生のダンスや剣舞などが行われていた。子どもが演じると親が来るという法則はどこにでも通じるのがよく分かる。
お祭りの実施時間は午後４時半から８時半までなのだが、夜になればなるほど人が増えてくる。参加者も楽しそうにしているなあ。
※ ※ ※ ※
出店の中には手打ち蕎麦コーナーもあったので、早速お訪ねをする。聞けば金谷町手打ち蕎麦の会だという。会員は３０人くらいだというが、月に二回くらいイベントに参加して会員が蕎麦を打つ機会にしているというから、熱心なことだ。
会員がどれくらいの蕎麦打ちの技量かと会長のYさんにお尋ねしてみると、「まだ皆５００ｇで打っています。１Kgで打てるのは３人くらいでしょうかね」というから、まあ我が掛川蕎麦研究会と同じくらいか。
でも会員数で圧倒されていますねえ。
「どなたか先生はいらっしゃるのですか？」と訊いてみると、「特にはいませんけど…、まあ強いていえば森町のTさんですかね」
「あのチンドン屋さんのですか？」
「そうですよ。今そこの建物の中にいますよ」…おや、いたいた！
Tさんとは、この当たりの地域づくりの旗振り役として有名な方で、チンドン屋をやったり、貧乏神社の神主をしたりと面白おかしい発想で地域に笑いと元気を振りまいている方である。
早速お会いして、世間話などをする。実は今私が使っている蕎麦のこね鉢はこの方から売って頂いたもので、お値段の割に実に使い勝手がよいのである。
そんな話をしたのだが、そういうTさんの出で立ちは全身青色の神主の装束。後ろに控えているのは大東町の女性チンドン屋の一団だとかで、皆さん道化姿である。
こうしていろいろと多くの集団が参加してこのイベントを盛り上げている。掛川にこういう催しはあるのかなあ。もっと規模が大きなものがあると言えば言えそうだが…。
※ ※ ※ ※
出店の中には、手打ち自家製麺によるラーメンの出店もありました。早速食べてみたけれど、結構いける。手打ち麺のラーメンも面白いね。
手作り感があって賑やかなイベントでした。
さて、今夜もオリンピックを応援するとしますか。今夜は女子ソフトとレスリング、そしてなんといっても女子マラソンですぞ。
日本ガンバレ！
| 2004年08月21日(土) |
040821_あづみの公園のコラム |
【東京への電車の中で】
創発調査関連で、東京で打ち合わせをすると言うことになり朝から東京へ向かう。
出発するときに駅で日経新聞を買い求めて、車中で読んでいたら、あるコラムが目にとまった。
それは「まなび再考」というコラムで、タイトルに「公園で自然体験」、『学校的な「できすぎ」に違和感』とある。執筆者はお茶の水女子大学教授の耳塚寛明さんという方である。
目にとまったのは、この内容が安曇野に一部開園した国営アルプスあづみの公園について書かれていたからである。内容は下手に要約すると文意を損ねかねないので、日経新聞の８月２１日号の文章を紹介する、ということを明記した上で全文をご紹介しよう。
ｰｰｰｰｰｰｰ 〈コラム まなび再考〉 ｰｰｰｰｰｰ
信州松本駅から来るまでおよそ三十分、この七月に一部開業した国営アルプスあづみの公園（堀金・穂高地区）を訪ねた。北アルプス山ろくに位置するこの公園は広さ約百�如６綵淑�ほどで一巡りすることができる。園内にはガイドセンター、木造校舎のようなテーマ展示館、凝った作りのレストハウス、花畑、野原、池などがある。
よくできているのだが、違和感にとらわれ続けた。大都市にある国営公園の場合には、少し自然に近づいた気になる。ところがあづみ野は、北アルプス山ろくに位置するがゆえに公園の人工性が際だってしまう。
それも道理で、帰省を終えて調べたら、この公園は「自然と文化に抱かれた豊かな自由時間活動の実現」を基本テーマとする「都市公園」なのだそうだ。あづみ野の自然と文化を入門的に体験するための、いわば「学校」である。
もっとも子どもたちにとっては公園のコンセプトなど関係がない。野原でバッタを追いかけ回し、せせらぎを見つけては衣服を水浸しにし、親に公園の哲学をする暇を与えてくれない。
小学校時代、今は公園となったこの辺りで野営をした思い出がある。烏川の水は凍えるほど冷たく、動物たちの気配や森の濃い闇におびえた。夜には無数の星が降ってきた。だから天の川というのだとわかった。
公園は貴重な体験の場ではあるのだが、やはり学校的にパッケージされた自然体験は、人工的だと思った。
（お茶の水女子大学教授 耳塚寛明）
※ ※ ※ ※
…以上が日経のコラムである。この事業に深く関わったものとして、ある種の感慨を持ってこの記事を読んだ。
というのは、まずこの公園に関心を持って下さる方がこうして論評をして下さったということに感謝をしたいと思う。関心を持って頂くことは、改善や改良のモチベーションになるものである。
この公園を作るにあたって、平成８年の１０月から２年半を公園建設事務所三代目の所長として過ごした私にとっては、当初のやや施設過剰な計画をどういう形で現実的なものに落とし込むか、ということが最大の課題だった。
バブルのリゾートブームの時期に描かれた過大な計画をいかに地元の納得を得られる範囲で規模を縮小しつつ、「良いものが出来た」という形に出来るか、というそのことに初代、２代目の先輩所長が随分と苦労をしたものである。
最初は東京のコンサルタントが東京の発想で描いた図面を地元に説明するという形で事業が進められたが、地元に事業に対する反対者も出たりして、公共事業反対運動のやり玉にも挙がったこともあった。
そんな中で、やはり地元の人たちが公園以前にどのような地域の理想を描き、どういう夢を持っていて、どういうことに情熱を燃やす人々がいるのか、ということを、呼ばれるいろいろなイベントに参加したり様々な人たちと直接会ってお話を聞く中で感じられるようになっていった。
それはやはり「自分たちの郷土・自然・歴史への誇り」であり「自慢」であり、そのためには売ってしまった土地だから仕方ないにせよ、残すものは残して欲しい、といった感情であったように思う。
そしてそのためには自分たちがそれを外から来る人たちに伝えてあげてもよいし、そういう場所を作って欲しい、という流れも出来た。
そこで、そういう人たちの夢や思いをどういう公園を作ることで解決するか、ということを考えに考えてたどりついたのが、「あづみの学校」というコンセプトであった。
安曇野で学校と来れば、その建物イメージのお手本は松本の旧開智学校であり、旧制松本高校ということにつながるし、なにしろ「教育県信州」ということや議論好きの県民性にも親和性があるだろう。
建物や外観のデザインコンセプトやイメージは、その方向で進めばよいとして、ここでの一番のポイントは、安曇野の誇りや自慢を来園者に伝えて下さるのが地元の有志であるということである。
これがシナリオを用意した公園の職員ということになればまさに公園が用意した、予定した範囲のソフト提供ということになるのだが、ここでは公園パートナーとして地元の皆さんが順番に担当をして下さっているのである。
その中には、地元の農業用堰の歴史に詳しい先生や蝶の専門家、魚の専門家、生活史に詳しい方などがいて多彩である。
この地元の人たちが喜んで参加して下さるシステムがなんとかスタートした、ということがこの公園で一番面白いところなのだ。
もっともそこに素人のつたなさなどが感じられるとしたら、それはまた考えなくてはならない課題だろう。上記の課題はあくまでも公園という場を提供する側の苦労であって、受け取る側に幸せが伝わらないとすればその原因をしっかりと考えて普段の改善を加えなくてはならないだろう。
立ち止まっていてはいけないのだ。
※ ※ ※ ※
結局この方にはこの公園の提供する内容は満足が得られなかったのだろう。
与える側の自己満足に陥ってしまってはいけないという事だと思う。公共事業であるとか都市公園であるとかいった先入観にとらわれずにこの場を楽しんで欲しいものだと思うが、まだまだかな。
開園までも大変だが、開園してからもまだまだ大変である。頑張って欲しいものだ。このコラムの筆者を次には見返す内容をどんどん付け加えて欲しいと思うのです。
| 2004年08月20日(金) |
040820_和田岡古墳群 |
【和田岡古墳群考古学公園整備基本計画策定委員会】
長い名前の委員会だが仕方がない。文字通りの委員会が開催され、私も委員の一人として参加をした。
和田岡古墳群とは、市内の和田岡地区に点在する「大塚古墳」、「行人塚古墳」、「瓢塚古墳」、「金塚古墳」という４つの前方後円墳と、「春林院古墳」という円墳一基が、「和田岡古墳群」として平成８年３月２９日に国史跡に指定されたことから始まっている。
この古墳群の特徴は�‥貔礁鵤隠襭蹇�南北約２．５ｋｍの範囲内に、いろいろな形をした大小様々な大きさをもった、５世紀代に属する古墳群が、全部で３６基発見されていること。
��大きさでは直径６０ｍを越す金塚古墳と瓢塚古墳、５０ｍ前後の大塚古墳と行人塚古墳、３０ｍ程の春林院古墳、２０ｍ前後の古墳、１０ｍ、５ｍ。長机くらいのものまで様々あること。
�７舛任蓮∩以�後円墳、方墳、円墳、土壙墳と多様性に富んでいて、古墳の系譜を追うことの出来る遺跡であること。
�じ妬�主体部の内部構造では竪穴式石室から木棺直葬などがあり、５世紀前後の遺骸埋葬様式を知ることが出来ること。
�グ幣紊里海箸鮴依�して、それぞれの古墳は築造年代に差が認められ、このことから５正規だ井における掛川市域を治めた人々の継承関係をすることが出来る古墳群である、ということになっている。
※ ※ ※ ※
そして平成８年に和田岡古墳群整備基本構想が作成されて、この中で「古墳群そのものを和田岡地区の『まちづくり資源』として捉え、構想対象地区全体を「和田岡古墳歴史の里（仮称）」として屋外博物館的空間を想定し、それぞれをルートによりつなげて、ネットワーク化することが提案されている。
なおそのなかで、和田岡地区内を４つのゾーンに分けて考えて、�餡論逎勝璽鵝��鮖確咼勝璽鵝��鹵稟�ゾーン、��集落ゾーンという考えも導入している。
今回のこの基本構想を一歩進めるべく、基本計画策定委員会として委員長に明治大学名誉教授の大塚初重先生を迎えて、委員会を構成したのである。
内容としては委員の紹介の後で、資料の説明を行い、現地視察に赴いた。こちらの方がよほど楽しいのである。
【古墳群現地視察】
委員のお一人に、静岡大学で考古学を教えておられる滝沢助教授がいらっしゃったので、「前方後円墳はなぜ、方が前で円墳が後ろとされているのですか」と訊いてみた。実は前々からなぜだか知りたかったのだが、判らずにいたからである。
すると滝沢先生は「それはですねえ、江戸時代の考古学に当たる古物学のなかで、この形が話題になったときに『宮車ではないか』ということになって、それなら引っ張る部分の四角が前で車輪の円墳が後ろだろう、ということから前方後円墳ということになったんですよ」と教えて下さった。
「へー」
長年の疑問がこういうところで解けるとは思わなかったなあ。
※ ※ ※ ※
またかつての古墳調査と言えば、円墳部分のからの出土品を調べて「○○が出た」とやっていたのだが、最近は古墳の周囲に時折見られる周堀と呼ばれる部分を調査することで新たな発見があるのだという。
たとえばこの周堀から木製の祭具などが出土して、新たな祭祀の様子が分かったりしているらしい。
また前方後円墳というのは日本に特徴的な様式と言われていたのが最近韓国の全羅南道で明らかに前方後円墳が１３基も見つかって、現在韓国と日本の学会でこれをどう考えるかということが問題になっているのだという。
こういう考古学会のダイナミックなお話を聞く方が、よほど面白かったりするのだが、考古学を面白くなくしているのは考古学自身のプレゼンテーション技術の問題だったりしそうである。
さてこの委員会は下に地元の住民の皆さんたちによるワーキンググループも設置して、様々な声を吸収する手法をとることにしている。こういう取り組みの中で、地域に愛されるような形にして行きたいものである。
| 2004年08月19日(木) |
040819_アテネオリンピックの見過ぎ |
【市議会全員協議会】
議会のない月は議会の全員協議会の場でさまざまな報告事項や市政の話題について意見交換をする。
今回はPFI調査の結果について報告をしたが、説明をしていても単語が聞き慣れないのとその原理に馴染みがないので、説明をするのも難しいのである。
それでも一応議会として内容報告として理解して頂いたので、いよいよ明日は新聞記者さんたちに公表をする運びとなっている。記者さんたちもなかなか理解するのが難しいかも知れないが、判りやすい資料を作っておくことが大事だろう。
明後日以降の新聞が見物、ということ。発表になれば後は興味を持ってくれている企業やコンサルタントなどと勉強会を開いて行きたいものだ。もうこちらもこれ以上調査をするだけの予算体力がないので、あとは他力本願ということになる。
それでも一番最初に進めていれば、興味を持つ人も多いだろう。先んずれば人を制す、なのである。
【スローライフ飲み会】
スローライフまちづくりメンバーと建築士のO兄と夜遅くまで飲み明かす。相変わらずのO兄節が炸裂で、事務所を訪ねたところ、飲みに行くまでに１時間を要してしまった。
それでも日本の建築家の系譜や近代建築の思想的流れなどをよく知っている方なので、聞いていて飽きないのである。
飲み屋一軒で５時間とは粘りに粘ったものだが、長くいたという気がしない。楽しい時間は短く感じるものである。さてさて、まちなかの賑わいもどう創出したものやら…。
結論のでない議論ほど時間の掛かることはないね。いくら話をしても終わらないわけだ。
【アテネ五輪】
連日のアテネ五輪放送を夜中まで見ているのでなかなか大変だ。それでもメダルラッシュは心躍らせる。
心躍らせるのはよいが、おかげで奮闘記を書く時間もない。では今日はこの辺で。いいのかそれで！
| 2004年08月18日(水) |
040818_穂高町まちづくり条例 |
【東遠広域都市計画連絡協議会研修２日目】
東遠広域都市計画連絡協議会（以下「東遠協」と言いましょう）の２日目の視察。今日は穂高町と国営アルプスあづみの公園の視察である。
穂高町は現在の平林町長が就任されてから、それまでの虫食い的開発に歯止めを掛けるべく、まちづくり条例を策定に努力してきた。
町長と掛川の榛村市長が同じ早稲田出身という関係もあって、条例策定の勉強には掛川へも訪れて、随分勉強されたとのこと。
今日の視察も、わざわざ町長さん自らが研修に参加して下さって、１時間半に渡り直々に経緯やご苦労を説明して下さった。
※ ※ ※ ※
そもそも穂高町というところは安曇野にあって田園景観豊かな町であった。それがバブル期以降、開発行為の届け出が必要な３０００�岼焚爾離潺紡霖漏�発が多く始まり、住宅開発が散発的に行われるようになり、これを止める方策が無かったのである。
上記のような虫食い的な開発は、水道管の布設や下水道の整備、道路の整備などが計画的に行われていないところだと、設置のための予算も割高になるのである。
またそれらの多くは農振白地と呼ばれる、開発可能な農地で行われたために、農業景観をも損なう結果となり、社会的な損失が大きいと認識されるようになった。
一方農地所有者にとっても、農業や米作りが衰退する中で「土地を売り払ってお金にしたい」という考えも強くなり、出来れば売りたいという農家も多いのである。
※ ※ ※ ※
一方で、これらの開発を事実上規制する手段というのは極めて弱い。
憲法は第２９条１項で、「財産権はこれを侵してはならない」として、土地の所有に対しても強大な権利を保証している。そしてこれを制限できるのは、「公共の福祉」のため国が定める「法律」によらなければならない、としているのである。
地方自治体が条例で開発行為を規制するということは、土地所有者全員に公平に保障されている土地所有権に対して強制的にコントロールすることなので、この点で憲法や法律に抵触する恐れもある。
しかも都市計画法や建築基準法では十分とはいえない。また、開発指導要綱では法律や条令とは無関係なので、外部的な法的拘束力を持たない。
そこで、穂高町ではまちづくり条例を策定して、適切な土地利用を誘導しようと考えたのである。
新住民と旧住民、土地所有者並びに開発者と風景の後輩に危機感を持つ住民といった対立軸を、住民の理解と納得で進めようとした手法はやはり適切で、今日日本中の手本の一つとなっている。
私も当時あづみの公園にいたけれど、この条例がそんなに重大な者だという認識はなかった。あまいものだ。
※ ※ ※ ※
今回も町長さんにお会いすることが出来て嬉しかったです。また午後のあづみの公園もとりあえず盛会のようで良かった。
知らないことを知るというのは実に興味深いものである。参加者にとって有意義な視察になったことは請け合いである。
| 2004年08月17日(火) |
040817_小布施町の視察 |
【東遠広域都市計画連絡協議会研修】
今日から一泊二日で長野県へ視察なのである。東遠広域都市計画連絡協議会（以下「東遠協」と言いましょう）は、掛川と菊川町、小笠町という一市二町が東遠広域都市計画区域を構成していると言うことで、主に都市計画課を中心としたまちづくり担当職員が合同で勉強会を行っているのである。
今回は総勢２６名での視察である。
※ ※ ※ ※
静岡から長野へ向かうのはなかなか大変で、今回はまず東へ向かって、西富士道路から富士山の西側を通って朝霧高原経由で中央道へ入る。
そこから北上して諏訪から長野道でさらに北上するのである。昼食は長野市の手前の松代インターで下りたところにある「おぎのや」さんで釜飯を食べる。
「おぎのや」は信越本線横川駅での駅弁として有名だったが、長野オリンピックが開催されて長野新幹線が開通したときに、在来線である信越本線は縮小の憂き目にあい、並行在来線の横川駅〜軽井沢駅間は廃止され、軽井沢駅〜篠ノ井駅間は第三セクターのしなの鉄道に経営が移管されている。
横川〜軽井沢間はバスで移動が保証されているということだが、鉄道旅行の楽しみは失われたと言えるだろう。
おぎのやの釜飯は陶器製の釜もユニークで、持って帰りたいところだが、そうもいかず置いてきました。うーん、久しぶりで美味しかった。
【小布施町のまちづくり】
小布施では、まちづくりのために作られたア・ラ・小布施という３セク会社の社長を務める市村良三さんのお話を聞くことが出来た。
市村さんは、観光カリスマに選ばれた一人で、カリスマ名称は「賑わい町おこしカリスマ」とされている。
選定理由は、「民間の町づくり会社『ア・ラ・小布施』を立ち上げ、住民の町おこし運動の中心的人物として、栗どっこ市や小布施映画祭、国際音楽祭など、様々な企画イベントや事業を成功させるなど、小布施の名を全国的に高めた」とされている。
カリスマの話は楽しみである。
※ ※ ※ ※
市村さんとのお話しは、駅舎の中にある多目的ホールで行われた。実はここも以前は平安堂という県内では有名な本屋さんが入っていたのだが、儲からないと言うことで撤退した後を、こうしてまちづくりスペースとして引き受けてなんとか使っているとのことだ。
小布施町で有名な、北斎館などを中心とした歴史的景観エリアは長野電鉄小布施駅からは少々離れている。駅前の商店街もぱっとしないのだが、駅が賑わいの拠点になると言う地域の信頼が得られれば、駅前商店街も少しは変わるのではないか、という期待があるという。
小布施町は人口１万２千人、面積は１９平方キロという小さな町。しかしここは江戸時代に、北前船からの物資を千曲川沿いに舟運で内陸まで運んだときの最後の船着き場として栄えたのだそう。
そうして力をつけた豪商の中の高井鴻山と葛飾北斎に交友があったことから北斎が晩年の四年間をこの地で過ごし、今は貴重な北斎の肉筆画が多く残されているのだそうだ。
小布施町がまちづくりを始めたのは約３０年前だそうで、そのころの町長が北斎記念館を立て、やがて高井鴻山記念館を作ろうというときから、この地で栗のお菓子を作ってきた小布施堂の社長である市村さんが、地権者と地域に働きかけて、町並み修景事業に取り組んだのだ。
市村さん曰く、「基本はまちづくりです。その結果としての観光があるのであって、よくあるような大河ドラマがやってきたときに「○○饅頭」などを売り出して２年くらいは景気がよいけれど、その後はさっぱり駄目、といった事をしてはいけないんだと思います」 うーむ、うちも大河ドラマなんですけど…。
「小布施のまちづくりには４つのポイントがあるのですが、�）椋愆曄↓�栗と栗菓子という地場産業、�Ｄ�並み修景事業、�げ屬猟�づくり、ということです」
「まちづくりのために作った『ア・ラ・小布施』は、イベントを行いますが、儲かっても株主に配当はしない、と言うことで納得してもらっています」とのこと。
いずれにしても、やる気のある人だけが集まって楽しんでいる、と言うのがポイントのようだ。若くてやる気のある、ということがポイントかな。
キーワードはやはり「人と情熱」のようだ。
【渋温泉】
今夜のお泊まりは、「お猿の温泉」というキャッチフレーズで知られる、古くは奈良時代に僧行基によって発見されたということで、約１２００年以上の歴史を誇る渋温泉である。
世間ではニセ温泉が話題になっているが、ここはそんな話題は笑って吹き飛ばす勢いである。
温泉街で面白いのは、外湯として九つの湯殿が用意されていること。各温泉宿には九つの外湯の名前を印刷した手ぬぐいが置かれていて、お風呂に入るたびにスタンプラリーよろしく、手ぬぐいに朱印を押して行くのである。
九カ所全ての外湯を回って朱印を押して、最後に渋高薬師さんで印綬を受けると満願成就で九（苦）労を流し、厄よけ、安産育児、不老長寿の御利益があると人気があるのである。
宴会の後に温泉街に飛び出して、回れるだけのお湯を回ってみようと試みたが、四カ所のお湯を回ったところで夜１０時までのタイムアップ。
各お湯を１分だけ入るという気ぜわしい回り方だったが、ここまででありました。残りは今後の人生の宿題にしようと思います。
| 2004年08月16日(月) |
040816_地域の情報化とは |
【中心機能まちづくり特別委員会】
駅前東街区再開発については、市長が「８月中に結論を出したい」という意向を示したことから、その活動を前倒しで濃密に行っている。
今日も第４回の委員会の開催となった。先週の藻谷さんの講演会はほとんどの委員が参加しており、いろいろと思うところも多いように思われる。
今日も最初は当局側からの情報提供で始まるが、再開発事業の地権者２１人のうち、数名から事業に不同意の意向が示されていることが報告された。また転出を希望している地権者も何人かいるようで、転出者が多くなると、売ったり貸したりしなくてはならない床面積が増えるので、事業採算性が苦しくなる。
準備組合側でも翻意を促している最中ということのようだ。
今後の委員会の進め方についても意見交換をしたが、私としては、「これまで多くの情報を提供して、市民の中でも最もこの再開発事業についての見識が高い組織であろうということから、９月議会中にでもなんらかの意見の表明をしていただくことは、市民に対する様々な角度からの説明になると思う」
「そこで、市長や当局とはまた違った角度からの意見を表明して頂けるとありがたい」と述べました。
多くの意見交換がなされて、問題意識が高まることを期待するものです。
【地域情報化検討委員会】
掛川市の情報化・IT化を今後どう進めるか、ということを検討する地域情報化検討委員会の第四回目が開催された。
事務局からの説明で、７月３１日付の日経新聞で、掛川市が電子自治体ランキングで全国１１位とされたことが紹介された。
実際のところ、全国１１位というのは少々評価が高すぎるのではないか、と思っているのだが、IT推進課の説明では、�｜楼萓験恭惱�センターにホームページがあり、地域の住民が更新していること、�⊇惨陬�ードを利用した独自サービスを導入しつつある、��セキュリティ・ポリシーが策定されて、全職員を対象にセキュリティ研修を行っていること…などの理由が挙げられた。
さすが、と思ったのもつかの間、「…実はこのアンケートは５月頃に届いて約１００項目の内容について『実施していますか、いませんか』というチェックをつけるようなアンケートです。一昨年、昨年とランキングは１００位よりも下にランキングされていたのですが、内容はともかく、アンケートに『やっている』と答えられるように施策を進めてきた、ということもありますが…」と暴露。なるほど、アンケートの結果がよいはずだ。
しかしそれにしても、やることはしっかりとやっているのだから、決してズルをしていると言うことではないので、それなりに評価したいところである。
特に、一人一台のパソコンとメールアドレスがある、というあたりだって、大きな都市では実現していないところがいくつもあるし、セキュリティ・ポリシーについてもまだまだ意識の低い自治体が多いところだ。
進んでいることは確かに進んでいるのである。
※ ※ ※ ※
当委員会では先進地視察として藤沢市を視察したが、それを参考にして、掛川での提案もとりまとめた。
委員からは、市民にパソコンの使い方を指導してくれるITサポーターを充実して欲しい、と言う要望が強かった。また、地域生涯学習センターでのホームページもいろいろと苦労があるという話も聞かされた。
「そもそも市が地域のホームページに何を期待しているのか」というと言う問いかけがあったが、これに対しても職員の中で意識が統一されていなかったりして、まだまだ職員の中の情報化意識も温度差がある。
私としては、地域の情報というのは単に地域の情報なのではないと思う。たとえば、倉真の百観音や温泉などは地域の情報紹介でもありながら、立派に市の観光情報としても有用である。
このように情報には地域としての性格もあれば、観光を始めさまざまな性格をもつものなのだ。「そのような意識で地域のホームページを作って下さい」と言えばよいと思うのだが。
地域の中でも温度差もあるし、人材の偏在もある。まだまだやることがありそうである。
【一言メール】
実弟から「決まったよ」という一言だけのメール。どうやらここ何ヶ月かお付き合いをしていたお嬢さんとの結婚のことらしい。
北海道へ帰省していた間に紹介もされたが、素晴らしいお嬢さんでこちらとしては早く決めて欲しかったものだ。
はいはい、早く日程を決めて下さいな。
【出張】
明日〜明後日は長野〜小布施〜安曇野と出張です。あづみの公園はその後どうかな。
| 2004年08月15日(日) |
040815_戦没者追悼式 |
【萩間地区の夏祭り】
１０時から始まる、原泉は萩間地区の夏祭りに出かける。以前から区長さんを始めあちらこちらから「来て下さいよ」と声が掛かっていたのだ。
掛川生活も２年４ヶ月を経過したが、縁ができて割と行く機会がある地区とそうでないところが出てくるもので、原野谷川の上流の萩間地区は良く行く地区の一つである。
夏祭りの会場は原野谷川の河原にあるキャンプ場である。原野谷川には下流の水位上昇をコントロールする防災ダムがあるのだが、防災ダムを満水にしたときに最高水位が上がってくるくらいのところにあるのだそうだ。
原野谷川は防災ダムの上流部分では水がきれいで、「川の源流部」という表現がぴったりの風景が広がっている。
キャンプ場から下りた河原では、関係の皆さんが昨日から準備をして石を並べて水が溜まるようにしてある。ここで子どもたちは水着で楽しそうに泳いだり、水遊びをしている。
川面に掛かる大木にはハンモックが縄のようにぶら下げられていて、子どもたちがターザンごっこに興じているし、別の溜まりでは鮎のつかみ取りも始まった。日本の夏がここにある。
※ ※ ※ ※
地区の皆さんからは次から次に食べ物を勧められるが、食べきれるものではありませんがな。かき氷のサービスもあって、手動でがりがりと削るさまは実にスローライフだ。
次回は秋の芋汁だそうだ。今日はありがとうございました。
【戦没者追悼式】
午後１時半からは、掛川市主催による平成１６年度掛川市戦没者追悼式が生涯学習センターで行われた。
私の役は開会の挨拶。その要旨は、「現在アテネオリンピックが始まって、柔道で金メダルが二個取れました。日の丸が振られ君が代が歌われるときに考えていることも、世代の間で変わっているように思われます」
「今朝のテレビでは、『今日大学生の中に５０年前に日本とアメリカが戦争をしたということを知らない者がいる、そんな時代になった』ということを言っていましたが、改めて我々が子孫に何を伝えて行かなくてはならないか、と言うことを考えさせられるお話しでした」
「世界を見れば、イラクだけではなく戦争があちこちで続いています。平和の尊さを伝えて行くことが我々の使命だと思うのです」といったもの。
年々、遺族の方も少なくなって行くし遺族の世代も変わって行くが、戦没者の問題を遺族会の皆さんのことと矮小化するのではなく、改めて６０年前の我が国の近代史に何があったのか、ということを客観的に知らせる機会とする考えが重要だろう。
なぜ日本が戦争を始めなくてはならなかったのかというその時代の訳や、東京裁判の真の意味、そして太平洋戦争後の世界の変化など、大人が子に語り継ぐことはたくさんある。問題は大人自身がそのことをもう知らなくなっているか知る必要がないと思っていることではないか。
アテネオリンピックで日の丸を見ながら、誇りある国とは何かを考えてみるのも良いのではないかなあ。
【森町の花火】
夜は森町に住むSさんから、「森の花火に来ませんか」というお誘いがあったのに乗っかって、森町のSさんのお家へ行く。
行きはスローライフの井村さんと一緒に伺って、ビールを飲みながら花火が始まるのを待つ。
Sさんの家は、天浜線の森町駅のすぐ近くにあって二階の縁台にゴザを敷いて眺める分には、川から打ち上げられる花火が丁度正面に高く見えて絶好のビューポイントなのだ。
森の花火は一発打ち上がってから次が上がるまでに随分時間があって、そこが「スローな花火」的要素に満ちているのだ。
数少ない花火で２時間たっぷり楽しませるには、無駄に打ち続けてはいけないのだ。そうかと言ってあまりに時間が離れすぎると観客の不満も溜まるので、そのぎりぎりをねらっているとしか思えないタイミングで、花火が打ち上がるのである。
Sさんちの二階には友達も段々集まってきて賑やかになる。花火をゆっくりと堪能して、「日本の花火大会ってこんなものだったよね」ということを改めて思い出す。
一体いつから大量の花火を打ち上げて何万人もの観客を呼ばないと行けないイベントになってしまったのだろうか。まさに大量消費型のイベントではないか。
無駄な玉を打たずにゆっくりと楽しむ風情があっても良いように思うね。
帰りは天浜線の掛川行き最終電車に揺られて帰る。今日は朝から気温が下がって涼しい一日となった。
まだまだ暑さがぶり返すこともあるだろうけれど、夏も盛りを過ぎたことを示すような涼しさだった。子どもたちよ、夏休みの宿題は終わったかな？
| 2004年08月14日(土) |
040814_まちなかの整体 |
【すろう店舗の整体】
まちなかの商店街に、空き店舗二つ分を利用して将来の商店主を育成しようというチャレンジショップがあって、これを「すろう店舗」と名付けている。
始まった当初には、インドネシア雑貨屋さん、メロンジュース屋さん、ステンドグラスショップの参加であったが、最近になって整体屋さん、サーフィンショップ、インディーズのCDショップが加わり少し賑やかさを増している。
最近肩が凝っているので、整体をしてもらおうと午後にすろう店舗を訪ねた。連絡もせずにお店へ行ったが、整体コーナーにはいない。
「あれ？整体はやっていませんか？」と他のお店の肩に訊くと、「普段も結構遅かったりしますよ」とのこと。
予約の連絡を入れてあるわけでもないので、看板に掛かっているフリーダイアルに電話してみた。
「もしもし？あのう、今日は整体はやっていただけませんか？」
「あ、ええ…、じゃ行きます。今ちょっと、草刈りをしてたもんですから…」
あらら。
※ ※ ※ ※
約１時間後にやっと到着してくれて、準備を整えて整体開始。準備としては、電気で暖かくしたマットの上に寝て施術をするのだ。
整体はいろいろな道具を使う場合があって、一見胡散臭そうなものを使うときなどは、新興宗教の香りなどもして微妙な感覚を感じることもある。
今日の整体は基本的には指による指圧と揉みほぐしである。
揉み初めてすぐに、左肩にある筋肉のコリに気づいたようで、「ここは何か痛めましたか？」と訊かれる。
「スキーで転倒して痛めました」と正直に答えると、右の腰から足を入念に揉み始めた。どうやら肩からつながっているのがそちらの部位のようだ。
暖かい電気マットの上でタオルを掛けて施術するので全身が汗ばむ感じで気持ちがよい。体を冷やすのはやはり神経系には良くないようで、「暑いときに体を冷やすのでも、背骨は冷やさない方がよいですよ。冷やすなら体の前の方にしましょう」と言われた。
うつぶせに寝ているときに背中の上で仏壇の前にあるような鈴を鳴らすのがちょっと気になったが、別にそれでどうこうするものでもなさそうだ。
※ ※ ※ ※
結局、なんだかんだで２時間も付き合って頂いた。随分とサービスの良いことだ。これで料金は三千円と格安。
おかげで背中の痛みも随分と楽になりました。これからは電話をしてから訪ねることにしようっと。
帰る間際に、「健康生活の原理〜活元運動のすすめ」という本が面白そうだったので、ついでに買っちゃいました。
好きだな、私も。
【アテネオリンピック】
女子柔道４８ｋｇ級の谷選手と男子柔道６０ｋｇ級の野村選手がそれぞれ金メダルを獲得！やったぜ！
放送も今日くらいの時間帯でやってくれると生で見られるが、夜中の放送はつらいね。
女子バレーと女子ソフトはちょっと残念。でもまだまだ次がある。
日本ガンバレ！
| 2004年08月13日(金) |
040813_創発の準備 |
【創発の予習】
東京で創発資料の作成に協力してくれているコンサルタントのNさんが来掛して、「本当に創発調査がもらえた場合」の予定と調査計画について意見交換を行う。
とりあえず今日来た目的を果たして、市長に挨拶を、と思い時間を取ってもらったところ、そこから榛村ゼミが始まった。
これまでの市政運営から得た様々な皮膚感覚を熱心に教えてもらい、Nさんもびっくり。
※ ※ ※ ※
たとえば市内で事業を行う際に、日本では用地の取得が難しいために相当のロスをしている、と言う。
「中国が開発をどんどん進められるのは、土地が私有制でないからなんですよ。だからどんどんものが作れる」
市内でも事業を行おうとすれば、多くの地権者の中に最後の最後まで土地を売ろうとしない人が一人くらい残ることがある。
そうすると一般的に役人は、「ゴネ得にしてはいけない。先に率先して売ってくれた人に申し訳ない」と思うものだ。しかしこの結果、お互いに交渉が暗礁に乗り上げてうまく行かない、ということも良くあることだ。
市長に言わせると、「そういうときには気持ちを治めるためにいくらかお金を上マシしても良いんですよ」ということだ。
「それは用地費を増額すると言うことではなくて、そうやって最後まで残るというのは一種の病気だと思う方がよい。だから増額分は病気見舞いだと思えば良いのですよ」とも
「だから、回りが『あの人は粘って得をした』ということではなくて、可哀想な人に病気見舞いを上げたのであって、名誉なことではないのだ、と説明すればよいのですよ」と言う。
こういう、発想自体が常識を飛び越えて現実問題を解決して行くのが市長の面白いところである。
結局、榛村ゼミは有に２時間に及び、たっぷりとお話を聞けました。本を何冊も読みつつ、こうして直に問答ができるのが良いところだ。
※ ※ ※ ※
創発調査の内示は、ついたとしても９月補正の資料作成には間に合わないようだ。対応を考えなくちゃ。
| 2004年08月12日(木) |
040812_行く道ぞ… |
【介護老人保健施設の視察】
これまで何度も、介護老人保健施設の話題について話を聞いていたのだが、なかなかその単語の意味が掴めずにいたので、今日は老人施設を見学させてもらった。
介護老人保健施設には入所する施設が三種類ある。「介護老人福祉施設」というのはいわゆる特別養護老人ホーム（特養）のこと。
「介護老人保健施設」というのはいわゆる老人保健施設（老健）のこと。
そして「介護療養型医療施設」というのはいわゆる療養病床（老人病院）と呼ばれるものである。
※ ※ ※ ※
今日は市内にあるそういった施設のうち、まずエバーグリーン掛川をお訪ねした。
特養は、寝たきりや痴呆で常時介護が必要で、自宅では介護が困難な人が入所するもので、食事、入浴、排泄など日常生活介護や療養上の世話が受けられるもの。
ここエバーグリーンでは入所定員は１００床で、一般棟５０床に痴呆性棟５０床というもの。また通いでサービスを受ける通所定員は一日３０人と言うことになっている。一般に特養は８０床以上あれば安定的に経営ができるといわれているのだそうだ。
施設を利用する人数中男性は１６％で女性が８４％、男性の平均年齢は８０．３歳だが女性は８６．０歳で、ここの世界は圧倒的に女性上位である。
様子を拝見していても、男性はじっとうつむいたままほとんど動かない人が多いが、女性たちは集まってはぺちゃくちゃとお話しをしている。やはり社交性があるのも女性のようだ。
何か悩みはありますか？と訊いてみると、「やはりスタッフが集まらずに困っています」とのこと。
日本人で養成も進んでいるのではありませんか？と尋ねると、「いえ、看護士さんは急性期治療の病院へ行ってしまいますし、グループホームが増えているために介護福祉士もそちらへ取られてしまいがちなのです」
「どうしたらよいのでしょう？」
「現在国もそれが深刻であると言うことに気づき、中川経産大臣と川口外務大臣の間で、本気で外国からの看護専門職を認める動きが出ています。私としてはフィリピンやタイからの支援を受けるというのが現実的だと思っていますが…」とのこと。
福祉の最前線は大変なことになりつつあるようだ。
【さやの家へ】
続いて天竜厚生会が経営する「さやの家」を見学する。ここも特養１２０床とショートステイが２４人の施設。
ここは県内でも質の高さで有名な社会福祉法人で、考え方や死に向かうお年寄りに対する哲学が実にしっかりしている。
聞けば、やはり入所者の７０％以上になんらかの痴呆症状がうかがえるのだが、痴呆は対応をしっかりとすることで「進行を遅らせることは出来る」と考えている。
そのためには「とにかく本人ができることはやってもらう、やらせることが大事です」なのだそうだ。
「たとえば当所では、入浴の際に洗濯物をネットに入れて持ってきてもらうのですが、これを入浴中に洗濯してあげて帰りには部屋に持って行ってもらいます。部屋には床置きの洗濯物干しを買ってもらってあるのですが、ここに干してもらい、乾いたらタンスにしまってもらいます」
「なるほど」
「『そんなことくらい』と思われるかも知れませんが、最初は濡れたままタンスに入れてしまう入所者もいます。しかし慣れればちゃんとできるのです。やれることをやらせずにお客さんにしてしまうとどんどん痴呆が進行してしまいます」
「そうかもしれませんね」
※ ※ ※ ※
さやの家が面白いのは、平屋で立てられた施設のうち南側にある施設には【みなみの町１丁目】から【みなみの町４丁目」まで番地が振られていること。
「いわゆる『町の中に住んでいる』という生活状態にあるような工夫です」
部屋は一人用の個室だが、部屋を出るとすぐに食堂と居間になる共同のスペースがある。聞けば、部屋から出て広場まで廊下を通るような設計は部屋にこもるようになるので今は少なくなっているとのこと。
部屋を出るとすぐに誰かがいるスペースというのが安心なのだそうだ。
※ ※ ※ ※
見学の時間が昼を過ぎて、広場の食堂では昼食が始まった。見ていると食器を配る人や飯を盛る人などに役割が分かれている。
「次第に役割が決まって来るみたいですね」
ここでも、やれることはやってもらう考えが貫かれている。
※ ※ ※ ※
「施設の中で亡くなる方も多いのではありませんか？」と聞きづらいことも訊いてみた。
「はい、しかしここは特養ですから医師も常駐していないという、医学的治療支援の限界もご家族にお話しをした上で、納得して入所をして頂きます。具合が悪くなった場合はそれぞれのお部屋に簡易ベッドを置くことも出来ますし、亡くなられたときには一夜をご一緒に過ごすことのできる家族宿泊室もあります。死をタブー視してはいけないと思います。亡くなられたときにご遺族が満足できる関係を作れればよいのだと思います」
「そうですね」
「痴呆の方が多いと言いましたが、亡くなられたときにはその丁目の方たちとお別れ会をします。そんなときは普段安定しない方でも大人しく手を合わせてじっとしていますし、ちゃんと玄関からお見送りをすると、『わしもあんな風にお別れ会をしてもらいたい』という方もいます。いつのまにか居なくなった、というのはやはりどこか違うのだと思います」
「しっかりとした考え方ですね。それを実現するのに大事なことは何ですか？」
「やはり職員の教育です。職員には自分たちも入所者の気持ちになるように指導を繰り返しています。入所者の食事を一緒に食べてみることもありますし、オムツを自分で履いて実際に用を足してもらいます。そうするとその後がどんな様子でどんな気持ちがするか、ということが実感として判ります。それが判ればこそ、放っておけない気持ちも強くなるのです」
※ ※ ※ ※
「死をタブー視しない…」、「入所者の気持ちになるように…」、といった考えを実際に行動に移しているのが素晴らしい。
願わくば最後にはこういうところでお世話になるのも良いかな、と思ってしまうのだが、現在入所待機者が３００名以上もいるのである。
しかしながら空きが出来て登録されているかたに連絡をしてみると「ええ、まだなんとかなりますのでまだ結構です」という方も半分くらいいるようで、仮登録の人も多いようだ。
また、施設介護となるとどうしても介護保健全体に対する負担も大きくなることから、県全体でベッド数を規制していてむやみに増えないように指導を行っている。
施設が増えればありがたいが、介護保険料が増大するのはあきらかである。このジレンマがこれから年々襲ってくるのが少子高齢化社会の実像である。
生涯学習を実践することで、こういうところにお世話にならないことが自分の美学であるという風な考えが広がると良いのだが。
それにしてもこの年齢層になると車いすの多いこと多いこと。いろいろと考えさせられる見学でありました。自分の親にはいつまでも健康でいて欲しいものである。
「子ども叱るな来た道ぞ、ジジババ笑うな行く道ぞ」か…。
| 2004年08月11日(水) |
040811_プラシーボ効果 |
【病院の経営】
第一四半期の病院経営会議を行った。
何回も書くけれど、地方都市の病院にはなかなか医師が来てくれない時代になった。来てくれても、数が充実していないといきおい一人当たりが診察する患者数は増大して行く。
そうなるととにかく外来診察に時間を割いて、自分自身の専門性を養うような機会がもてなくなってしまう。そのためいよいよその病院に勤めることに対するモチベーションも下がってしまう、ということになるようだ。
病診連携と言って、ちょっとした体調不良であれば町の開業医に診てもらい、主治医になってもらうことで日常の体調情報をそこに蓄積するというのが理想である。
そのうえで開業医の手に負えない症状になったときには、これまでのいきさつや今回の症状などの情報を市立病院側に提供することで、より高度な医療による治療を試みる、と言うのがある意味理想的な役割分担だという。
しかし、ついつい他の科にも診てもらう併科がしやすいことや、高度な医療器具への信頼などがあって、軽い症状でも市立病院へ来たくなるのも人情であろう。
軽い症状でもついつい高度の医療技術を持った病院へ行きたくなる気持ちを抑えられずにいると、それが逆に高度の医療技術を有効に活用することを妨げることにつながるとすれば、皮肉なことだ。
しかし一方で、質の高い医療を安価に提供するというのも市立病院の重要な役回りであって、そのことも目標にするのは当然でもある。
この両者のバランスを上手に取らなくては、結局虻蜂取らずになってしまうこともありえるのだ。
私も身近な町のお医者さんを探して主治医になってもらおうかなあ。
【ニセ温泉】
プラシーボ効果という言葉がある。薬の効果について検証をする場合に、「薬ですよ」と言って実は全くのニセ薬（プラシーボ）を患者に投与するのであるが、全くのニセ薬であるにもかかわらずこれが功を奏して病気が治ることがあるのである。
思いこみというのはすごい力を発揮するものだが、最近話題のニセ温泉も、「これが有名な温泉かぁぁっ！」と思えば効果が感じられて体調不良も直ってしまうことがあるのだ。
全く脳の思いこみというのはすごい力を発揮することがあるものだ。
※ ※ ※ ※
もう一つは結局利用者の側に、本物を見分けて見抜く力がなくて、提供者の言い分や情報誌の主張をそのまま信じてしまうしかない、ということだろう。
テレビを観ていると、「本物の温泉につかりたければ、事前に宿に説明を求めて、親切に教えてくれるかどうかをチェックするのがよい」などと言っている番組があったが、どうかなあ。そこまでの努力を普通はしないわね。
最も悪いのは不当表示の旅館側、ということになるのだろうけれど、消費者側ももう少し眼力を身につけた方がよいし、眼力がないために騙されたとしても、「あちゃー、そうかー、やられたー」と『まんが日本むかしばなし』の常田富士男風にお茶目に悔しがる程度でいいのじゃないかな。
そのことが気に入らなければ、もう行かなければ良いのだし。それほど目くじらを立てるほどのこともないと思うけどね。日本は幸せなんだな。
| 2004年08月10日(火) |
040810_辛口のまちなか再生 |
【まちづくり講演会】
日本政策投資銀行の藻谷浩介さんという方の講演を聴いた。
藻谷さんはまだ４０歳。東大卒で、日本政策投資銀行にお勤めの方なのだが、日本全国を自転車で駆け回り、全て自費で国内の平成合併前の自治体の９９．９％を回り、現在まだ行ったことがない自治体が三つだけになった、という強者である。
NPO法人地域経営支援ネットワークの理事を務め、課外活動と称して、財務省・国交省・内閣府・文科省・中小企業総合研究機構などの各種委員会を歴任。
内閣府観光カリスマ百選選定委員会委員、文科省地域振興アドバイザーなども務めているスーパーマンである。
頂いたプロフィールに、「ものを考える際の信条」という項目があって、そこには、
�‥�計数字と実例から帰納した仮説を、経営理論からの演繹と照合しつつ論じる。
�⊂鐚韻狼燭ぁ�慣用句は用いず、先入観は排し、反証のある社会通念には従わない。
�８⇔詫漾�他人/他国に対する優越感/劣等感、学歴/学術/技術信仰に左右されない
�さ掴澄θ�言の中で臆さず自説を示し、指摘された誤りは悪びれずすぐ修正する。
…というもの。やはりただ者ではない。
※ ※ ※ ※
一応、再開発事業を行おうとしている町という前提をお伝えした上でお話しをして頂くことにしていたが、ご本人は「再開発を止めろともやりなさい、とも言えません。ただ、何もしなければどうなるか、ということもお話しします」という前置きでお話しを始めました。
【土地が担保にならない…】
開口一番、「再開発事業の９８％は見た瞬間に『出来るわけがない』とわかります」と言う。
東京で再開発が進んでいる地域の、丸ビル、汐留、品川、そして六本木ヒルズにあって、まともに土地代を払って事業を行っているのは六本木ヒルズだけ。
丸ビルは三菱地所の自前の土地、汐留と品川は国鉄清算事業団の土地。六本木ヒルズだけが土地を取得したものの、土地は担保に入っていないのだという。なぜかというと、上の建物が大きすぎて事業が破綻したときに土地をもらっても、建物を撤去する費用が出ないからで、従って土地を担保にしていないのだそうだ。
これまたすごい話なのだが、今や日本では土地代を払って成立する再開発事業はないのだ、という。
まちなかが廃れるのは、「景気が悪く、駐車場が無く、道路が悪いせい」となんでも外部のせいにする人が多いが、では景気が良くて駐車場があって、道路が良ければまちなかは賑やかになるのか？
日本経済の現状が不景気だとして、景気が良くなればものが売れて、全てが解決する、と考えるのは「経済の宗教新聞を信じて現実を観ていない」と手厳しい。
※ ※ ※ ※
お話しの内容は多岐に亘るのでその内容を要約すると以下の通りである。
�‘�本の戦後の経済復興は、昭和２０年に７千万人だった人口が５０年後に１億２千万人になったという、ひとえに人口の爆発的な増大に支えられたものであることを直視すべき。
�△修凌邑�が今後減少に転じるということになると、人口動態から言って２０世紀型のスキームは、これまでどおりには行かなくなるのは至極当然だ、ということを自覚すべき。
�Ｃ羶柑坡甲呂録諭垢凌患戮泙覿�間として必要だし、それはただ放っておいてはどんどん衰退するのみ。
鍵となる存在は商店主と言うよりは「地権者」であって、�屬△燭蠅い�らくらいの賃借料が取れるはずだ、という思いこみで、有効に活用することを優先せずに、儲からなければ店を閉じて平気であるという姿勢が中心市街地を駄目にしている。
�づ效呂�どれくらいのお金を生むはずだ、という発想はかつて米さえ作っていれば田んぼがお金になった昭和２０年代の米農家と同じ発想。
農家だって、良い米を作らなければ売れない、お金にならないことにとっくに気づいている。気づいていないのは、土地神話に毒された地権者だけ
…という厳しいものでした。
※ ※ ※ ※
講演は朝１０時から２時間、という予定であったが息もつかせず一気に３時間の独演会で、会場には心地よい緊張が走っていました。また、昼食も用意してあったのだが、食べる間もなく次の予定へと向かわれました。
以前から藻谷さんのお話を直接聴いてみたいものだと思っていたのだが、やっとそれがかないました。噂に違わず面白い講演でありましたし、町中の商店主やまち作り関係者の多くにとって有意義なお話しであったように思われます。
人口が減る社会というのは、土地やオフィス、ものに対する需要を大幅に減らし、逆に老人向けの需要が増える社会と言うことになりそうだ。
行政もそこにいち早く気づけば有効な手を打てそうですが、わからずに「景気さえ良くなればものは売れる」という景気教の信者でいる限りは現実を直視することができずに誤った施策を打ち続けることになるだろう、という藻谷さんの指摘は耳が痛い。
われわれも本気で２０世紀型のスキームと発想から脱出しないと大変なことになりそうだ。
【ユージン第２７次訪問団壮行会】
夜にはこの２１日からユージンを公式訪問する、第２７次ユージン訪問団の壮行会が開かれた。第２６次の訪問団団長として昨年ユージンを訪問してからもう１年になるのだ。早いものである。
今年の団長は教育委員長の太田先生で、昨年の団長である私よりはずっと頼りになるに違いない。
昨年の団長から激励の言葉を、と促されて私が述べたのは「何かテーマを持ちましょう」ということである。
毎回、中高生や訪問する市民の皆さんの感想文を読ませてもらっていて気づくのは感想として「とにかく英語が出来なくて困りました」という点に終始している点である。
もし英語が出来ればそれはそれで楽しいし、より充実した視察にもなるだろうが、英語によるコミュニケーションが難しいなりに、一つのことに注目してアメリカという国を見続ければ何かが見えてくるのではないかと思うのである。
※ ※ ※ ※
私の場合は、ユージンがアメリカでも有数の自転車政策の進んだ町であると言うことを知っていたので、ユージンでは自転車を観てみようと思ったのである。
市役所を訪問した際には、自転車政策についての資料をいただいたし、ホストファミリーと過ごす時間ではサイクリングに連れて行ってもらった。
蕩々たる流れのウィラメット川のほとりを親子四人とホストファミリーでサイクリングしたのは素晴らしい思い出になった。
何か一つ、そういった目で貫いてみることでかの大国から得るものは大きいように思われる。
昨年参加した仲間も駆けつけてくれて、昨年の反省やら思い出を語ってくれました。昨年を超えて、訪問が有意義になるようお祈りをしています。
では良い旅を。
| 2004年08月09日(月) |
040809_「学力の商人」 |
【部課長会議】
月曜の朝は部課長会議。今日のお話しの最初は、「健康づくり推進協議会」で、９５歳以上で介護保健の世話になっていないお年寄り４３人に対して健康の秘訣について訪問聞き取り調査を行うというお話し。
４３人の内訳は男性１１人で女性が３２人で女性の方が優位だが、ここまで健康な方たちの食生活、生活習慣そして人生に対する考え方などを伺おうというもので、健康に生きるとはどういう事かを達人に学ぼうというのである。
９５歳以上はお一人ずつ訪問するのだが、同様に介護保健を使っていない９０歳以上の方には郵送アンケートを、８５歳、８０歳のかたには年輪の集いで集まって頂いたときにアンケートを行うことにしている。
実はそのコツは判っているのだが、要はそれができる人とできない人の差なのかも知れないけどね。
しかし、どうするとそれが出来るのか、というのが案外コツだったりして、本当のコツはどこにあるのかなあ。
※ ※ ※ ※
東京混声合唱団の公演が８月２２日の午後２時から生涯学習センターで行われる。この合唱団は日本で唯一、合唱で飯の食える合唱団だという。
実はこの合唱団を招くのには国からも文化補助をいただき、市からも３００万円の補助が出されているにもかかわらず、まだ券がたくさん売れ残っているという。
今回を逃せばおそらく二度と聴くことが出来ない、絶好の機会だろう。是非とも生涯学習センターに申し込んでいただきたい。ちなみにチケット代は、大人２５００円、中高生１５００円、小学生５００円です。
※ ※ ※ ※
市長が８月３日に講師として行った教育講演会の話題。タイトルは「教育と人生とまちづくりの関係を考える１５講」というもの。
「１．少子化・高齢化・都会化の子育ては」に始まって、「１５．新掛川市は実にテーマの豊かな都市」までの１５講には、これまでの市長のまちづくりそのものがぎっしりと詰まっている。
中でも、現在の都会における私学人気と公教育との違いについてのお話しは興味深い。
実は市長がかつて中教審の委員として出席していたときに、初めて文科省が塾の代表者を委員として迎えたときがあったのだそう。それまで文科省は塾というものを認めていなかったので、教育審議会に参加してもらうと言うことはなかったのだが、このときに初めて塾を認める形にナット言うことなのだ。
そしてその場で会の場で「なぜ塾が必要か」という論争があって、塾経営者が「社会のニーズに応えていると言うことです」と答えたときに、公教育擁護派の委員から「ニーズがあるから応えるというのでは、武器を売る死の商人と一緒ではないか」と応じ、それに対してまたまた塾経営者から「学力の商人のどこが悪い！」と気色ばんだ場面があったのだそうだ。
言葉を面白がる市長としては、「学力の商人」という言葉が印象的だったようなのだが、要は「知・徳・体のトータルバランス」を教えなくてはならない公教育と、一点突破の学力を身につけさせるという私学との永遠の争いなのだという。
※ ※ ※ ※
しかし私が思うに、採用になれば簡単にクビにはならない公教育の教師と、移り気な学生を相手にして頼られて生徒が集まらなければ倒産するという恐怖を日々感じながら教育を売っている塾の先生とどちらに必死さがあるかと言えば答えは歴然としている。
評価と言うことが伴わない仕事の成果は往々にして質が落ちるし、逆に言えば質の高さを適切に評価できるシステムを持っていないことも問題だ。
これは学校教育の世界に限らず、公務員世界全体につきまとう問題である。ある自治体では自治体業務全てを民間に委託しようとして、様々な軋轢の中で断念したということがあった。
時代が変わってこのようなことが本当に行われるようになれば「公務員という身分にのみ許される特権的役回り」などはたちまちぼろぼろの袈裟になることだってありえるのだ、という恐れを心のどこかに抱くことは有意義なことのように思われる。
常に畏怖の念を持って自己を磨き、最善を尽くす気概をもつものだけがやれるのが公務員や教師、ということになる時代が来そうな気もする。
油断だけはしないほうが良い。そういう姿勢は必ず外に伝わるはずである。
【道路推進協議会設立】
市道なのだがもう何年も手がつけられずにいた、市道桜木細谷線の推進協議会が設立された。会長は市議会議員の豊田勝義さんに決定。
この路線は農道と国交省道路とのせめぎ合いの中で一定の整理を行い、ここまでは農道として整備をしてここからは国交省道路事業で整備をすると決めたのだが、農道だけはどんどん進捗して終わってしまったにもかかわらず、道路事業としてはほとんど手が着いていない状態が長く続いていたのである。
今年になって調査費を計上して、基礎調査などを行うことにしたのだが、これに関連して地元として様々な調整を行ったり要望活動を行うための組織を設立する動きとなり、今日に至ったわけである。
これからは互いに連絡を取り合って協力しながら事業進捗を進めたいものです。よろしくお願いします。
【万年筆】
万年筆を買ったのが嬉しくて、せっせと残暑見舞いの葉書を書いていたが、たった２日でカートリッジ一本を使い果たしてしまった。
さすがは太字の万年筆で、太く大きな字が書けるのはよいのだが、反面インクを大量に消費すると言うことが判った。でも字を書くのが楽しいというのはよいことだ。
良い道具を買うということには、物欲を満足させる以上にその道具を使うことに対する喜びを倍増させる効果がある。
やっぱりワープロの文字よりは下手でも自筆がよいのでしょうね。自分で良い道具を買う、というのはやっぱり良いことだ。
| 2004年08月08日(日) |
040808_スローな花火大会に感動する |
【万年筆】
帰省中に多くの人と会ったので、お礼状を書こうと思ったのだが良い筆記具がないことに気づいた。
この年になって、ボールペンやサインペンも無いだろうしなあ、と思い万年筆を買うことにした。街なかで仕事をしているSさんを訪ねて、「万年筆を買おうと思うんだけど、どこがよいかな」と訊いてみると、「それならS堂でしょうね」とのこと。
早速一緒に行ってもらって万年筆を選ぶ。お値段は大体１万円〜２万円といったところ。中学生になるときに自動巻の腕時計と万年筆を買ってもらったが嬉しかった思い出があるのだが、中学生では万年筆など使うシーンもなくいつのまにかどこかに行ってしまった苦い思い出がある。
結局自分のお金で買わないと本当にはものを大事に思えない、ということかもしれないけれど、親には申し訳なかったと思う。
今回はできるだけ太字のものを選ぼうと思ったら、「それならミュージックが良いですよ」とSさんからのお勧めがあった。
ミュージックとは音楽の譜面を書くのに適したように、ペン先の幅は広いのだが、横に引くと細い線が書けるようになっているのである。
インクは黒のカートリッジをつけてもらった。これで少しはましな文章も書けるようになるだろうか。
【スローな花火大会】
夜にお城側の広場にて、NPOスローライフ掛川誕生記念の花火イベントが行われた。
４月から準備を始めて、県にNPO法人の登録申請をし、７月末にそれが認められたのだ。これで今まで１１月のスローライフ月間を行うためだけの実行委員会だったのが、年間を通じてスローライフを普及啓発することが出来る組織となったわけだ。
今回のイベントは、それを記念する形で「何かしたいね」という声から始まったもので、最近中国製ばかりになってしまった線香花火を国産のものでやりたいね、ということになったのだ。
そこで事務局長の山下君が走って走って走って…(^-^;)、三種類の国産花火を探し当て、ついでに花火情報を収集するうちに、地元島田市の井上玩具花火店製造の３分間スパーク花火という日本一長く続く花火があることを発見して、これも売り物に加えたのであった。
これらを取りそろえて、来場者に買ってもらって会場である逆川の高水敷きで火をつけて楽しもうというのである。会場へは「スローな服装でお越し下さい」とあったけれど、結構浴衣姿の女性も多く、わがNPOの女性陣も艶やかな浴衣姿を披露して下さいました。
※ ※ ※ ※
花火の前にはレーゾン・デートルというバンドの二人が生演奏を聴かせてくれて、これがまた逆川の堤防にこだまして雰囲気を盛り上げてくれた。
井村会長と榛村市長の挨拶の後でいよいよ花火の始まり。参加者約３００人の親子連れが、思い思いに線香花火に火をつけて日本の花火を楽しんだのだ。
思いの外絵になったのは、３分間スパーク花火をもった人たちが一斉にスパークをともして、これにライブ演奏が同調して周辺が一体になったこと。真っ暗な中で、たくさんのスパークが川面に映り、歌にあわせて左右に揺れる姿が心に染みる花火大会となりました。
なんだか知らないけれど感動しました。
※ ※ ※ ※
御前崎から駆けつけてくれた茶商のNさんも、「いやあ、いいわ！なんだか感動した」と諸手をあげて喜んで下さいましたし、参加者の皆さんの笑顔が印象的でした。
地元SBSテレビも取材に訪れてくれて、昨日の遠州袋井の花火と今日の「スローな花火」を織り交ぜて、１１日の夜１８時２０分頃から放送をして下さるそうです。是非ご覧下さい。
大きな花火大会ならば夜空に浮かぶ一発分の予算で、心にぐっと染みるイベントができてたというのも面白いですね。
参加して下さった皆さん、ありがとうございました。これが夏の恒例になるかな。スタッフ一同、感動に浸りながら夜遅くまで飲み明かした一日となりました。
スローライフって浸ると止められましぇん(^ｰﾟ)b
【「窓」完結】
地元のコミュニティ新聞の郷土新聞に月一度、全１２回連載していた「窓」欄が完結しました。最終回のタイトルは「掛川との出会い」です。
ホームページの本体からお楽しみ下さい。ホームページ本体のアドレスは、http://www2u.biglobe.ne.jp/~komamasa/です。最近は奮闘記だけ携帯で読む人が増えたので、本体のカウンターが伸び悩んでいますねえ…(^-^;)
| 2004年08月07日(土) |
040807_アジアカップ優勝！ |
【家事をしながら】
五木寛之の確か「大河の一滴」だったと思うのだが、そのエッセイ集の中で、「自分は足の指をきれいにしてあげることが大事だと思って、風呂では一生懸命足の指を洗っている」という下りがあった。
そこでの主張は、体も社会も末端が大事で、汚れもゴミも不幸もみんな溜まるのは末端であるのでそこに注意をしなくてはいけない、というもの。
社会でもおおかたはそこそこ幸せに生活をしている社会になったが、やはり不幸な部分もあって、そこは大概社会の端の方なのだ。木で言えば葉っぱの先みたいなもので、大木の一枚や二枚の葉っぱが腐っていてもたいした気に止めないということだろう。
このことは当たり前と言えば当たり前で、大木の木の幹が異常になれば皆が気づいて「なんとかしなくてはなるまい」という力が働いて直す努力をするだろう。
社会でも、大きな社会問題ならばマスコミも取り上げるだろうし、政府や当局も放っておけずに改善措置を講じることだろう。
しかしそういう中にあって、目立たない隅っこにこそ実は解決しきれない問題が転がっているのであって、我々も対局を観る目と細部への関心の目の両方を併せ持つようにしないといけない、というお話し。
※ ※ ※ ※
さて、一週間ぶりに家に戻って、家の掃除や洗濯をする。普段はなかなか出来ない大物の洗濯などもして、気分も一新。
さて掃除という段で、久々に部屋の隅っこなどに注目して掃除をしようとしたが、これが実に汚れている。ふだんなかなか目も届かず手も届かなかったため。
挙げ句の果てはわりと新しいアパートなのに、家の中に小さな蜘蛛が巣を作っていて、食べるものが虫もいなくてそのまま死んでいたりもした。こりゃまた随分と目が届かなかったものだ。
改めて押入の中を見ると、今までに買った雑誌なども無造作に積み上げられていて、これまた乱雑。
物事全てに関心をもとう、というのが生涯学習の本旨だ。そう考えると家の掃除とはなにか、と考えるのも生涯学習なのだがなかなか実践は出来ないな。
とはいいながら、もういらないものもはっきりしてきたし、ぼちぼちやりますか。それにしても今日も暑いね。
【アジアカップサッカー大会日本優勝】
いまさらの感もあるけれど、日本がアジアカップサッカー大会で中国に勝って優勝。嬉しいものであります。
中国国内での試合ということで、反日気分の蔓延する完全アウェイでの試合の連続。おまけに決勝がホスト国の中国とあっては相当のプレッシャーが掛かっただろうと思うけれど、よくぞ耐えて優勝をしてくれました。
準々決勝、準決勝と「もう駄目か」というぎりぎりの状態からでも諦めずに追いつき、勝利をもぎとることが出来たことで、素晴らしくタフなチームになりました。
地元中国のこれまでの政治姿勢や国民施策の中で「反日」ということが改めてクローズアップされて、中国サポーターの反日行為が日中以外の他の国にも異常に写ったとすれば、中国自身がこれから世界の中の枢要な一員という立場を貫くにはマイナスになったことだろう。
それにしても、日本の国旗を燃やしたり公使の車のガラスを割るなどと言うのは、これが逆の立場になったら中国側がどういう態度を示すか、と言うことを想像すると、日本側の態度は大人しく感じる。
国際関係の常識に照らして、言うべき事ややるべき事をきちんとする姿勢が大事だな。中国だってみんなが反日だったり悪いわけではないし、日本人だって同じ。要は常識に照らしてバランスを取るということが大事。
もっとも今は常識も揺らいでいるし、バランス感覚も危ういことが多いけれど。
※ ※ ※ ※
上智大学名誉教授の渡部昇一さんが、正論８月号に「昭和天皇が体現された『適者生存』の法則に立ち戻ろう」という論文を書いているが、そのなかに「…進化論は適者生存のバランスをとり続けることであり、イデオロギーはバランスを考えずに一つの目的を追求することである」という一節があった。
彼によれば私有財産憎悪に始まったマルクス主義はその典型だし、その影響で台頭した戦前の「右翼」だって同じ。「昭和の右翼運動は皇室を担いだ共産主義だった」ということになる。
渡部氏の同論文では、「ソ連のコルホーズもソホーズも、中国の毛沢東下での極端な平等主義も結局は駄目になり、元に戻ってしまった。元に戻った結果、百年以上前の資本主義の一番悪いところに先祖返りしてしてしまっていて、労働組合もなければ労働者保護もろくにないところまでもどってしまっている」という。
「…世界中から社会主義国家は北朝鮮やキューバなどを除けば消えてしまった。しかしそのイデオロギー的要求は常に危険な要因として残っている」ともある。
※ ※ ※ ※
渡部氏は「マルクス主義を殺した哲人」と言われたハイエクの晩年の通訳をした方だが、その名著「隷従への道」の中の最終版につけた序文を紹介している。
「産業の国有化をやろうなどという国はなくなったが、まだ社会主義イデオロギーの要因が残っている。それは今の税制であり、更に福祉政策というものである。これらは国有企業のようにすみやかには崩壊しないであろうが、いずれ崩壊するであろう。同じイデオロギーが根っこにあるからである」と…。
バランスを失えば生物は滅びるものなのだが、しばしばバランスを失っていることに我々は気づかない。聞こえの良い正義に見えるあらゆるイデオロギーから卒業することが必要なのだ。
…なあんて、サッカーを観ながらビールを飲んでいて思い出しました。夏休みの間にもう一度ハイエクとスペンサーでも読んでみようかなあ。渡部昇一さんの解説本でもいいけどね。
| 2004年08月06日(金) |
040806_亀戸と巣鴨 |
【研修２日目 〜亀戸サンストリート】
今日の研修は主に現場視察。最初に亀戸のサンストリートという時計のセイコー社の工場跡地の再開発事業を見学した。
場所はJR亀戸駅の南側約２．４haの敷地であるが、ここは再開発と言っても高層のビルによらずに低層の商業施設と広場を組み合わせた珍しい施設構成となっていて、これがまた極めて人気の高い施設になっているのだ。
ここもプロジェクトの始めは３６階建ての超高層ビル計画だったのだが、バブル崩壊によってその構想は消えた。そこで、総合プロデューサーとして有名建築家である安藤忠雄さんの双子の兄弟である北山孝雄さんに相談したのだ。
そこで北山さんは「町の人々が何を必要としてるのか、亀戸という町の身の丈にあった開発とは何か」という発想で、超高層案と全く逆の低層商業施設を提案したのである。
北山さんはこの店舗を「町の人々の暖炉」と位置づけたとか。そこから先は鹿島建設の仕事として、さまざまな提案がなされたのだそうだ。
※ ※ ※ ※
最終的に「豊かさ」とは何かと考えて行くと、物理的なリッチさもかんがえられるが、本当に必要なものは「場所」としての空気の質のリッチさであり、様々な時間を許容しうる空間のしつらえの工夫にあると思われる…とはいただいた資料のなかの言葉である。
しかもこの事業自体は１５年計画の暫定事業であると言うからさらに驚きである。このまま永久に続くなどとは思っていないので、１５年後にはまったくゼロからやり直すと言うことを前提としたまちづくりが行われているのである。
「もし１５年後にまだやれるようならば続けると言うことはあり得るのですか？」と訊いてみたところ、「それはあり得るでしょう」との答え。施設も必要なメンテナンスを行えば、持つ構造になっているとのことである。
この地区全体は株式会社タイムクリエイトというところがテナント管理やイベントなどのマネジメント一切を行っており、年間に６００ものイベントが行われているという。これは「常に何かやっている期待感」を醸成することにつながっている。
そもそもイベントの意味は、店の客でなくても良いから賑わいを演出するために人を集める「集人」という概念から、リピーターを増やす「集ファン」、そしてその中から一定の割合がお客さんになって下さる「集客」という事につながるのだ、という考えがあるのだ。
だから最初から「集客」だけを目指すような商売とは違って、「普段は地区の皆さんの居心地の良い場所」を目指しているのである。
もっとも、３ｋｍ圏の人口が４５万人で、５ｋｍ圏の人口が１１０万人というところだからこそとも言えるのであって、これがそのまま地方でマネの出来るものではない。
最後にこの施設の考えとして、（時間×手間×工夫×意欲）−（いわゆる常識）という式が示された。そのままマネは出来なくても、成功するには成功の理由があって、そのなかのいくつかは普遍的な事柄のようにも思える。
これって商売だけじゃなくて、生き方そのものでもあるのじゃないかなあ。
【巣鴨地蔵通り商店街】
次に昼食時間とその後を巣鴨地蔵通り商店街で過ごす。ここは昭和６０年に「お婆ちゃんの原宿」というコピーで紹介されて依頼、お年寄りに人気のスポットとして有名な場所である。
ここはとげ抜き地蔵があることで知られる高岩寺の門前町としてできあがった商店街なのだが、最初の頃から最新の商店街づくりを諦めてしまって、古い昔ながらの商店街で生き残りをかけたところ。
とげ抜き地蔵への参詣が増えて、商売も儲かっているようだ。信仰心というものの力強さが感じられた場所でありました。信仰となんでもありの猥雑さとが一体になっていないと賑やかさが少ないのですな。
※ ※ ※ ※
賑わいというのはなかなか演出できないものだが、門前町の巣鴨と新しい賑わいのサンストリートの二つが観られて有意義な視察でありました。
【国交省会議】
その後は国交省にて出向者による会議を行って情報交換。来年度要望の新規施策などを聞いて勉強になりました。知人が大勢遠方から来て会えると言うことは嬉しいものだ。
世界が広がって、会う人間の数が増える分、個々人に会う機会はどんどん少なくなるものだ。かつては毎日会っていたような友人も、１年に１度しか会えない関係になってしまっている。
ほんのひととき、お互いに無事で頑張っていることを確認できるだけで幸せというものだ。まさに「友あり遠方より来たる、また嬉しからずや」の心境だ。
友達って大事よーん。
| 2004年08月05日(木) |
040805_東京研修初日 |
【東京へ】
短かった夏休みも昨日で終わり。今日は議会と一緒の東京研修へ合流するため東京へ向かうのだ。
朝一番で家の近くの停留所から千歳空港へ向かう高速バスに乗る。札幌市内は何カ所かのバスターミナルから千歳空港行きのバスが出ている。
せこいようだが、私の家からJRで千歳空港へ向かおうと思えば１１８０円かかるところが、高速バスならば８２０円なのだ。アメリカ風に言えば「３０．５％もお得！」というわけで、移動の足がJRからバスに移るのも当然である。
※ ※ ※ ※
東京は相変わらず暑い！暑い中を乗り継いで集合場所である都市センターに到着は予定の１１時半ジャスト。ここで今朝掛川を出発した皆さんと合流して、午後は研修なのである。さて、やるどー。
【研修会 その１】
研修会は講演が二つ。最初は東大の経済学教授の西村清（右下は円の清）彦先生で、お題は「日本経済の今後を読む」で副題は「都市再生〜日本経済の付加価値生産性を高める」というもの。
西村先生は、まだ５０才だが昨年１０月から内閣不経済社会総合研究所総括政策研究官という立場も併任していて、現在国に対する経済政策アドバイザーという立場なのだが、大学の教官と政府機関職員という立場の併任にはかなりのドタバタがあったらしい。日本の人事システムの情けないところだ。
さて、先生の主張のキーワードは「社会投資ファンド」というもので、現在少しずつ事業が行われ始めたPFIよりもさらに民間活力を使った事業システムなのだという。
「ファンド」ということで、金融の知識とリスクの管理、さらにはやる気の出るインセンティブを与える社会システムが必要となるのだが、最新の事業システムだと言えよう。
西村先生の問題意識は、労働の形の変質にもあって、正社員を減らして固定経費を少なくすることで企業利益を上げようとする指向があることで、フリーターが増大することと、熟練と経験を積む「キャリアパス」を喪失しているということ。
身分を安定化することでキャリアを積むということから、社会投資ファンドによるプロジェクトを渡り歩くことでキャリアを積むという発想なのだ。なかなか難しそうだが、「新しい反映には新しいスキームが必要です」とも。
なかなか面白い。今まで通りで安心、というわけにはなかなかいかないんだな。
※ ※ ※ ※
今の日本が沈滞化しているのは、それぞれの役回りにいる人たちが安心してしまって、そこから先へ進むことをさぼっているからではないかな。
公務員も一度試験を通って採用されてしまえばクビになることはないし、医師も医師免許を取得すれば一生オッケー。
夫も妻も結婚してなおより良き夫や妻になろうとする人がどれくらいいるかな？自戒も込めて、自分の立場に安心して慢心してはいないだろうかと自問自答してみるのでありました。
【研修会その２】
研修会の二つ目は、厚生労働省少子化対策企画室長の度山室長さんから「少子高齢化と社会保障」について。
年金改革の最前線で活躍されている室長さんだが、改革の方向について国民からの批判がある点については、「多くの国民にとっては年金制度がよく分かっていないなかでの批判になっているよう」ということで、今後は国民一人一人の年金の状況がどうなっているかということをお知らせする通知を出すことになっているそうだ。
知らずに払っていない人も、それを知らせる通知が来て改めて気づくということも多いそうだ。そのうち年金の通知文がくることでしょう。
年金給付は今や高齢化率の高い県では家計消費の約２割を支えているとか。また米の生産額と比べてみても、年金給付の額は新潟県で米生産額の３．６倍、北海道で９．４倍、福島県で４．９倍なのだそうだ。すごい額ですな。
※ ※ ※ ※
今日も面白い話をたくさん聞けた研修会でありました。市長にこれはいつから行われているのかと訊いてみたところ、市長が就任したときには既に始まっていたと言うから、先見性のある事業をずいぶん前から行っていたのだなあと感心しました。
夜の懇親会では掛川の歴代助役さんや教育長さんたちが駆けつけてくださって、楽しいひとときとなりました。
来年以降、新掛川市となっても続けて欲しいものですね。
| 2004年08月04日(水) |
040804_栗山町訪問 |
【栗山町長さんに会う】
創発調査が取れた場合に備えて、栗山町長さんと合併事務局のお二人にお会いする。
創発調査を要望するに当たっては、多くの自治体が関心を持ち参加してくださると言うことはアピール性が大きかったのだが、栗山町・由仁町・南幌町という北海道の三つの町は、北大のK先生からご紹介をいただいて仲間に加わっていただいたのだが、まだ挨拶も調査の趣旨説明もお願い事項などもお話をする機会がなかったのだ。
今回帰省するに当たってなんとかこの三町の合併関係者にお会いしたい、と北海道で事業協力をしてくださっている方にお願いをして今回の訪問となったのである。
栗山・由仁・南幌の三町合併では栗山の川口町長さんが合併協議会の会長をされている。また由仁・南幌の両町から合併事務局に派遣されているお二人にも同席をしていただいて、調査趣旨の説明を行う。
川口町長さんからは、「合併の趣旨は食える町を作ると言うことですよ」と合併の趣旨を明確に説明してくださった。
「新市の名前は『東札幌市』とする方向で進めています。札幌【を】意識すると言うことよりも、札幌【が】意識するような町でありたい、ということと、やはり地域ブランドとしての【札幌】は大事だ、という思いからです」
「なかなかコンセンサスを得るのも難しかったのですが、事務局の情熱でここまでやってきましたよ」とのこと。合併はどこも大変なのだが、志の高い町長さんで、お会いできてよかったです。
※ ※ ※ ※
「今回の創発調査では合併の悩みや合併後のまちづくりの課題などをヒアリングなどによる調査を行うことで抽出し、新市のまちづくりに向けたモデル提案をしたいと思っていますので、調査部隊が訪ねてきたときにはぜひいろいろなお話を聞かせてください」とお願いをして快諾をしていただきました。
調査費が取れたあかつきには、ヒアリングに伺いますのでよろしくお願いします。
【北海道報徳社】
栗山町を訪ねた後で北海道報徳社をお訪ねする。こちらの常務理事のSさんは、東京で開催された日中韓二宮尊徳思想学会のシンポジウムにも参加していただいたのだ。
最近の北海道の報徳の状況をお尋ねしたが、「支える人たちの高齢化が進んできていましてね。東京でのシンポジウムでも中国の先生から『なぜこの場に若者が少ないのですか』と言われてしまいましたよ」とのこと。
「道内の協賛金の状況はどうですか」と訊いてみたが、「支出を取りやめたいというところが増えています。５万円を３万円にして欲しい、ということであれば印刷物をお届けすることもできますが、ゼロにしたいと言われてしまうと何も差し上げることもなくて関係が切れてしまいますので、それは避けたいのですが…」とさびしい話。
「雪印は今どうなっているのでしたか？」と尋ねてみると、「雪印は乳業部門を切り離して、チーズ･バターなどを中心とした企業に変わりました。アイスクリームも止めたのではないでしょうか。でもいまだに報徳へは賛助金を下さっています。やはりどこかに報徳を大事にするという思想がまだ企業内に生きているんでしょうね」とのこと。これは嬉しい話である。
※ ※ ※ ※
「実は掛川の市長さんにもご相談して、報徳を進めるためには二宮尊徳さんを大河ドラマにすることにアドバイスをいただこうと思ったのです。しかし『大河ドラマは数年先まで決まっているよ』と笑われました。でも一過性のドラマではすぐに話題も消えてしまいますから、なんとか大河ドラマにでもなればよいと思うのですがねえ…」
「ぜひがんばってください。思わなければ前に進まないでしょうからね」と言ってお別れしました。
北海道が復活するためには道民一人一人の心の中に報徳の「分度･推譲」の精神を説くのが良いと思うのだが、いまや学校に二宮金次郎の銅像があるところも少なくなってしまった。
なんとかしたいものだなあ。
【夏休み終わり】
今日で夏休みも終わりました。明日からは東京で研修会に参加です。北海道も暑かったなあ。
| 2004年08月03日(火) |
040803_家回りの一日 |
【家の修理】
一日家の修理。午前中に我が家を立ててくれた建築会社の担当者が来てくれて、ドアや排水回りを点検し、一部不具合を直してくれた。
私は私で家の回りの木の塀に防腐塗料を塗りまくる。
二年ぶりの手入れだが、まだそれほどひどいことにはなっていないので、作業も楽に済んだ。やはり早めの手当てが良いと言うことだろう。
【サッカーアジアカップ勝利】
サッカーのアジアカップは奇跡の勝利で、テレビの前で燃えました。日本も随分と逞しいチームになりました。
１点ビハインドで、なおかつ１０人対１１人というハンデマッチになってしまったが、冷静でなおかつ決めるところは決める熱いプレーに酔いしれました。今日はそんな一日でした。
さて、明日は栗山町を訪ねて創発調査の説明をしてこなくては。
| 2004年08月02日(月) |
040802_草原と海 |
【草原と海】
上の娘は今日から大学の夏期集中講義ということで旭川でお別れ。我々は札幌へ戻りながら、下の娘と一日だけの夏休み。
娘が「草原と海が観たい」というなかなか難しいリクエストをしてきたので、まずは旭川から美瑛町へ向かう。
美瑛町は丘の町。相変わらず、刈り取り寸前の麦やかぼちゃ、そのほか牧草などが広がり、緩やかなカーブの稜線の連続は広大で美しいものだ。
最近は沿道にさまざまなショップや花畑を設けた土産屋などが増えて賑やかになりつつある。知人の一人がここ美瑛でまちづくりを手伝っているのだが、問題なのは、これだけの農業景観が農業者の所得にはならないということだという。
沿道に無粋に建築物を建てて沿道からの丘の景観を阻害していて、なおかつ通行客からは収入を得ているのに、地元の農業者とはあまり関係をもたずに独立した商売をしてしまっているというのだ。
仕方がないのでこの知人が農業者と商売者と役場などの関係者を集めて初めて会合を持ったときにはお互いの立場が相容れずに怒号が飛び交ったと言う。
「でも良いんですよ。そうしないと次がないから」とこの知人は平然としている。怒号でも何でも対話がない限り、次の知恵には結びついてこないものだ。
「これからですよ、これから」
私も機会があれば、その輪の中に入ってまちづくりを応援したくなりました。それだけの価値のある風景である。これがなんとか地域経済に貢献するような仕組みを考えて実現してみたいものである。
※ ※ ※ ※
この美瑛の丘の中に、かつて日産の「ケンとメリーのスカイライン」の宣伝に使われたポプラの木があって、「ケンメリの木」として知られている。
三年ぶりにこの木を訪ねてみたが、ポプラの木のすぐ側で営業しているペンションでは建物の周りを塀で囲ってあって、隣接する売店で「３００円以上お買い求めいただいたお客様は中へご自由にお入りください」と看板がかかっていた。
買い物をしない客は囲いの中に入るのに「入場料１００円」と書かれている。どうも北海道らしい大らかな商売、と言うわけには行かないようで、世知辛い世の中と感じさせる。
来訪者がお金を「渋々」出すのではなく、「いそいそ」と出すように仕向けるのが上手な商売と言うものだ、というのが市長の弁である。これが「ぷりぷり」出すようになるとこの商売は失敗だ。
市長の言うお金を出したい度合いの五段階とは、お金を「いそいそ出す」→「ほのぼの出す」→「しみじみ出す」→「しぶしぶ出す」→「ぷりぷり出す」の五つであるが、日本語のニュアンスを上手に表現して余りある、と言えよう。
さて、我々はソフトクリームを買うのに出したお金はこのどれであったでしょうかね。どうも「いそいそ」ではなかったような気がしましたが…。
【海へ向かう】
美瑛町を過ぎて車は中富良野〜富良野へと向かい、富良野で止まりもせずに滝川方面へと西進。
途中滝川で昼食を取って、さらに車は西へと向かって山の中を浜益村へと向かった。北海道の峠道と言うのはまさに家が一軒もない区間が何キロも続く。本州では峠と言ってもたいていは家があったり何かしら休憩所があったりするので、こういうところが本州の風景とは違うところである。
冬に峠を走っていて、「もしここで車のトラブルがあったら通る車もなくて、助けも呼べない」と恐怖を感じるものだ。しかもしばしば携帯電話も圏外になるのである。北海道の冬道恐るべし、である。
…とまあ脅かしておいたところで、今日は何もなく無事に浜益海岸へと出られました。
浜益海岸で駐車場に車を停めて、三人で砂浜を歩く。真夏だと言うのにこのあたりの海は冷たい。やはり寒流だけのことはある。
せっかくここまで来たので海の家でカキ氷を注文。調子が悪いのか海の家の老夫婦が氷の機械を叩きながら必死に氷を作ってくれた姿が微笑ましかった。
浜益海水浴場を後にしてあとは一路札幌へのドライブ。短い夏休みもこれで実質おしまい。
明日は家の手入れと掃除などが待っているのだー。
| 2004年08月01日(日) |
040801_メガSCの破壊力 |
【墓参り】
今日は墓参りの予定。墓参りと言っても、母方の養祖父母の墓が洞爺湖の向こう側の虻田町で、実の母方のご先祖さんは岩見沢という遠隔地である。
おまけに今日は上の娘を連れて旭川へ戻りそのまま一泊と言うコース予定なので、長い一筆書きのドライブコースとなる。
まずは国道２３０号線を南下して虻田町へ向かう。有珠山の噴火で疲弊した湖畔の温泉街であったが、国道が噴火でずたずたにされてしまったために、復興では道路そのものを大幅に西にずらして二度と噴火の影響を受けないような位置にしてしまった。
そのため、車を運転していていつのまにか記憶の中の道路とは違った道に出てしまっていて、なんとも不思議な感じである。
湖畔の宿へ行くほうが枝道になってしまって、本線はそのまま国道３７号線へタッチする方向に抜けてしまっているのだ。
ぼんやりと運転していては、何時湖畔の宿に向かうほうとの分かれ道があったのかも分からなかった。
かつては湖畔の宿の中を通ったあとに薄残のふもと付近の峠を通って海へと抜けていた道だが、それはもう完全に記憶の中の道となってしまった。
あの道はもうないのは事実としても、記憶の中の道路だけは消されることはないだろう。とんだ浦島太郎である。
※ ※ ※ ※
虻田町での墓参りを済ませると今度は高速で舞い戻って岩見沢へ向かう。岩見沢市の市民墓地にある本当のご先祖さんのお墓にも線香をたいて手を合わせる。
私のご先祖さんは、その昔「札幌以北随一の建具屋」と言われた腕の持ち主だったらしく、あの札幌時計台の建築にも一役買ったと言われていて、三代下って縁ができたわけだ。
そんなわけでの墓参り。お盆とは日取りも全くずれているけれどご辛抱願いたい。これるだけでも感謝しているのであります。
【旭川イオン】
さて、無事に墓参りを済ませた後は一路旭川へと向かう。旭川では最近イオンジャスコがイオンモールという巨大なショッピングモールをオープンさせたと言うので、そこを見学に行く。
なるほど三階までの高さに、専門店街とジャスコ本体が有機的に連携している。
食堂街の一角にはラーメン横丁があって、昭和初期の町並みをモチーフにしたあしらいに５軒のラーメン屋がしのぎを削っている。
ラーメン屋さんは店内も昭和初期のつくりをできるだけ忠実に再現しようとしていて、椅子もテーブルも木造だったり、昔のポスターなどを貼り、電球は白色電球である。
こういう形で徹底した中に、味はしっかりしたラーメン屋が並んでいるのだから、確かに面白い空間になっている。とりあえず今は世間的に昭和レトロブームなので、そのあやかり商法と言えなくもないが、どことなく懐かしくその遊びを面白がる気持ちはあるので、同じラーメンでも、とりあえずはここの５軒を制覇したくはなるようにできている。
そこからさきにどこのファンになるかはひとえにお店側の問題だろう。まあとりあえずは大人がニヤっとする空間です。
※ ※ ※ ※
まあそれにしてもでかいお店である。正式名称は「イオン旭川西ショッピングセンター」と言うのだそう。
事前のデータでは、建物は鉄骨造４階建てで、延べ床面積８万５５５０平方メートル、店舗面積３万９４８６平方メートルとのこと。
営業時間は午前９時から午後11時までで、核店舗はジャスコ。ほかに専門店やレストランがテナントとして入店し、駐車場スペースは３１００台なのである。
私もざっと歩いてみて、服飾、アクセサリー小物、食品などなど、品揃えも実に豊富である。
イタリアの食材などはかつて旭川ではなかなか手に入らなかったものだが、ここの専門店の中には海外食材の専門店もあって、イタリア食材なども豊富にある。
とはいえ、人口３６万人にこれまでにも店舗面積が２万�屬鯆兇好妊僉璽箸�二つあり、１万�崢兇里發里癸犬弔呂△辰燭箸海蹐任△襦Ｃ聾犠Χ伐颪眄錙攻押垢量婿�ちだし、その破壊力はすさまじいようだ。
ホームページのアドレスはhttp://www.aeon.info/sc/asahikawanishi/ である。どうぞご覧ください。
現在はもう店舗面積１万�屬涼羞�ショッピングセンターは淘汰の時代に入ったといわれていて、面積４万�屬離瓮�ショッピングセンターが席巻する時代に入ったとか。
なるほど面積４万�屬�SCとはこういうことか、という見本ですな。確かにすごいが、これでは旭川の商業は大打撃に違いない。これをどう考えるかは消費者の心づもり一つであるが、地域の商店のためのことを考えた消費行動をとってくれるだろうか。
開店から１００日イベントというのを実施していたイオンだが、今後の動向に注目したいところである。しかし確かにすごいわ、うーん…。
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