風にふわりと 〜こころのすきま〜
酷く自虐的な気分になる時がある。 気分だけでなく、行動に出てしまった時は厄介だ。 誰かにすがりついて泣きたくなり、 そうできない自分とわたし以外誰もいない部屋を、 さらに傷付けたくなる。 自虐的な気分になった理由を考えてみる。 自分の行動の一つ一つを思い起こしてみて、 ある原因に思い当たる。 その原因は見つけてしまうと、 わたしの服の裾を捉えて放さなくなる。 振りほどこうとしても、解放してはくれない。 部屋の隅でうずくまって泣いてみる。 服の裾にしがみついたままの原因が、 恨めしそうにわたしを見上げる。 こぼした涙がその瞳に落ちる。 原因の色が変化する。 夜が明けて朝陽が眩しい。 それは何度目かの変化を終えたところだった。 相変わらずわたしの服の裾を捉えている。 仕方がないからそのまま出掛けることにする。 ただ、色が変わったそれは、原因でなくなっていた。 服の裾は濡れて朝陽によって輝かされた。 どこまでも、それはわたしの御陰ではなかった。 2003年02月20日(木)
雨の音が聞こえてくる 窓を開ければきっと 水の匂いが入ってくるだろう いつもは好きなそれを あえて今日はしないのは 気温が低いせいじゃない 毛布の中で 昨日の匂いに包まって わたしは泣くだろう 窓を開けようとしないのは 気温が低いせいじゃない 窓を開けたらきっと 昨日の匂いは吹き飛んで 冷たい今日の水の匂いが わたしを見えなくしてしまう 毛布の中で 昨日の匂いに包まって わたしはじっと動かない 2003年02月16日(日)
昨日浮かんだ君へのことばは、 朝になったらはじけていた。 部屋の隅には、かけらが浮いていた。 部屋の隅に浮かんだかけらを、 手を伸ばしてつかもうとしてみる。 拍子に空気がふわりと動いて、 かけらはひょいと逃げていった。 ひょいと逃げていったかけらを、 今度ははしごにのぼって、 そっとつかもうとしてみる。 拍子にはしごがぐらりと動いて、 わたしはふらりと傾いた。 ふらりと傾いたわたしを、 後ろからがっちり君が捕まえた。 そしてわたしは君へのことばを、 今日また新たに思いつく。 2003年02月09日(日)
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