Spilt Pieces |
2007年12月17日(月) 痛み |
10年続いた関係を、自分から切ってしまった。 言いたいことがきちんと言えないのは、とても怖い。 一人で我慢している気がした。 気がついてもらえないのが苦しくなった。 悪い癖が出た。 友人に話したら、病院に行ってごらんと言われた。 そうしたら少しは楽になれるから、と。 けれど、一年ほど前に行った病院では、逆に心をえぐられる思いをするだけだった。 出口が見えない感じがする。 一日中、胸が痛い。 望まないことをしたのか、それとも潜在的に望んでいたことなのか。 柔らかい、ただうわべだけの関係が、突然無性に嫌になった。 今悩んでいることを知っているのに、「いじるの楽しい」と言って、土足で踏み込むようなことをした。 それでもなお、「親友」という言葉を使われることにうんざりした。 その場限り、合わせて笑っていれば済んだことなのに。 どうしても、そんな気分になれなかった。 どうして自分だけが責められるのかも分からなかった。 分かろうともせず、知ろうともせず、ただ一方的に悪感情を露にすることは、自己中心的だと思う。 だからやり返してしまった…というと、相当私が幼い気がする。 いや、幼い。 それを痛感したから、もう会いたくないと思った。 昔の記憶を思い出してしまった。 苦しんでいる姿、知っていたのに、誰も手を差し伸べてくれなかった。 あの頃私は、一人で抜け出す力がなかった。 ほんの少しでよかった、助けてほしかったのに。 「大変だったね」と、後から言葉をかけるだけで。 今も変わらぬ顔をしている。 私は忘れっぽいから、過去の記憶を忘れて笑っていた。 でも、気がついてしまった。 現在進行形で続いている、私に対するキャラの押し付けや扱い方は、あの頃を嫌な意味で思い出させる。 「態度が悪い」と、言い捨てるだけならそれはそれは簡単で、10年前と何も変わらなくて。 どうしてそうなったのか、一言でいい、理由を知ろうとしてくれたなら。 10年前も、今も、きっと、私はこんなにも苦しくなかった。 そんな悲しいifを思った、過日の同窓会。 緊張すると、話しすぎてしまう。 人数が多くてもそう。 どうやって話したらいいのか、いい年して未だに分からない。 だから基本的に、少人数でゆっくり話せる空間が好き。 以前彼氏に「誤解されてしまうよ。自分が苦しいだけだから、馬鹿なことばかりしてごまかすのはやめなさい」と指摘された。 頭では分かっているのに、どうしようもない。 「騒ぐだけ」のキャラになってしまったのは、自業自得だと分かっている。 だけどみんなも、それ以外の部分を出そうとしても、受け入れようとはしてくれなかった。 10年は大きい。 たくさんのことを経験して、見て、乗り越えて、生きてきたつもりなのに、それでもなお、10年前の自分の位置のまま、続いていく。 それがとてつもなく長く思えた。 悲しみのフィードバックも、ずっと続くのかと。 大切だと思っていた。 でも、分かろうとしてくれないうわべの「親友」に気を遣って、心を砕いて、結局得るものがないのなら、いっそのこと切ってしまえと、衝動的に思った。 我ながらひどいことをした自覚はある。 そんな私だけど。 本当に幸せなことに、一生に一人しか現れないだろう親友がいる。 夜中の三時だというのに、電話をかけてしまった。 迷惑がるどころか、「電話をくれてありがとう、頼ってくれて、心から嬉しい」と、穏やかな声で言ってくれた。 「何でもいいよ、話何時まででも聞くから、話して」 とりとめもない話、延々三時間。 気がついたら空が白み始めていた。 電話の間、何度も泣いた。 子どものようにぐずぐず言った。 それでも彼女は、ほんの一瞬でも嫌そうな声をしなかった。 「痛みを感じてしまうのは、優しいから。敏感であるということは、傷つきやすいことに繋がってしまうけど、その都度苦しんでも、逃げたくなっても、それでも私は感じられる人間でいたいと思った。やっと思えた。痛みを知っている分、それは誰かを愛せるということ。不器用な生き方でも、冷めたフリをしてソツなく日々を暮らす人たちより、私はあなたが好きよ。泣いていいから、その度何度でも、たとえ同じ話であっても、喜んで聞くから。他の誰が何て言っても、私はずっと味方。嬉しいことも、悲しいことも、共有しよう?それでゆっくり一緒に成長しよう?さとが誰かを傷つけても、そのことでさとが傷ついても、自分を責めても、私は絶対に責めない。大丈夫。それに、本当にさとを必要としている人なら、さとも必要としている人なら、どんな言葉を投げかけたところで、諦めずにそばにいてくれる。だからいいの、苦しさを理解することなく、「友達」なんて言葉、言う方が悪いんだから」 今までに、何回彼女を頼ったことだろう。 今までに、何回涙を止めてくれたことだろう。 「あなたに出会えただけで、私は生きていてよかったと思う。こんな出会いが一生に一度あるだけで奇跡だと思う。いつも、さとの存在に救われているの。だからどうか、自分をそんなに傷つけないで」 私は、その言葉を何百倍にもしてあなたに返したいと思った。 あなたに出会う前、自分がどうやって生きていたのか、今となってはもう思い出せません。 胸が痛い。 それは変わらない。 好きだと思っていた人たちだったから。 うわべだけだと、ずっと気づきたくなかったから。 そしてそれに気づいたからって、すぐに切り捨ててしまう、ひどい自分を知りたくなかったから。 胸が痛い。 でも、いつかは和らぐと信じて。 愛してくれる人が、少なくとも今私には二人いて。 それは、なんて幸せなことなのだろうと思う。 「あなたのためなら、命を捨ててもいい」と、思える人が現れることなど、私はただの一度も信じていなかった。 出会いの悲しさと。 それ以上の喜びと。 何のために生きているのかは、未だに分からない。 でも、生きていてほしいと願ってくれる人がいるうちは、たとえ笑い方が分からなくても、生きていようと思った。 そうこうしているうちに、笑い方を思い出せますように。 苦しみが、いつか薄くなっていきますように。 |
2007年12月12日(水) 未来 |
彼は、気がついていたと言った。 電話に出ない理由。 それでもあえて「おやすみ」と書いたのだと。 連絡があるまで、珍しく仕事が手につかなかったと。 本当に、彼らしくない。 突然拒否した私を、責めなかった。 ただ、「声を聞けてほっとした」とだけ、嬉しそうに言った。 プロポーズされたわけでもないのに、私は彼に思うがままのことを言った。 同居はしたくないこと、友達がいない土地へ行く勇気はとても持てそうにないこと、彼の家族とうまくいくかどうか分からないこと。 どうやって生活していくのか、子どもの教育はどうするのか、そんなことまで含めて。 まるで、もう結婚が決まった二人のように。 暮らし始めてからのお互いの名前の呼び方まで話した。 何だか不思議な感じだと思った。 ほんの数時間前まで、別れることしか考えていなかったのに。 「クリスマスは、別れ話をしに行くつもりだった」 そう言ったら、 「クリスマスは、楽しく過ごそう」 と返ってきた。 「電話に出ないんじゃなくて、出られないんだろうなって、薄々気づいていたよ。もしかしたら寝ているだけかもと、少しは思ったけど(笑)」 お見通し。 「正月に自宅へ戻ったとき、付き合っている人がいるという話をする気だった。でもそうすると確実に連れてきなさいと言うだろうから、さとがどう言うのか少し心配だったけど」 「けど?」 「けど、やっぱり、一度うちに来てみてほしい。会わないで、想像で、不安ばかりを募らせていても仕方ないし」 「でもね、仮に、いくら気が合ったとしても、私は同居はしたくない。同居できないなら結婚できないというのなら、お互い年齢を重ねる前に別れよう。それは、私も、譲れないから」 「いつか気持ちが変わるかもしれないし、今の時点であまり断言はしてほしくないけど…でも、さとが嫌だというのを無理強いする気はないし、同居じゃない形を探すよ。同じ町内とかでも嫌?」 「うーん…できればそこそこ離れていたい。そうしないと、正直、私の性格じゃ気を遣って疲れる」 「それなら、そういう風に話をしよう?話し合いもする前に、勝手に考えて勝手に落ち込まないでほしい。一緒に考えよう」 「もし、私とあなたのお母さんの気が合わなかったらどうするの?」 「それは、母ももちろん大事だけど、さとを守るよ。当たり前だろ」 「…ごめん。そんなことを言わせてしまう、こんな質問をする自分は、好きじゃない」 「大丈夫。それより、連絡がつかなくて、不安だった。寂しかったよ。もし今日も音信普通だったら、自宅に電話しようかと思ってた」 「まさか」 「いや、本当に、そう思ってた。さとのこと失いたくない。大事だから」 「私が喜ぶ言葉を学習しているね(笑)でも、その手には乗らないよ」 「そうじゃないよ。さととなら、ずっと仲良く笑っていられる気がする。うまく言えないけど…とにかく大事な人。結婚したいと思う」 「今日、ずっと、どうやって別れたら傷つかないか考えてたのに」 「ごめん、なんていっても、別れる気ないよ」 「いきなり連絡が途絶えても?こんなに毎回泣く女、うっとおしいと思うよ。それに、会う前から同居完全拒否だし」 「それでも」 「ストーカー?」 「そうかも」 「気持ち悪い」 「しょうがないじゃん」 何なんだろう。 話せば話すほど、彼が住んでいる環境は変わらないのに、私の不安もそのままなのに、少しずつ、別れる以外の道を探そうという気になってくる。 相談した友人が、「一人で決めずに必ず相手と話し合いなさい」と言っていた。 その意味が、何となく分かった。 言葉をもらうだけで、こんなにも気分が違う。 不思議。 消そうとしていた未来が、ほんわかと少しだけぬくもりを持った。 「さと」 優しく呼ぶ声を、やっぱり失う気になれなかった。 涙が止まらなかった。 一緒に乗り越えていくしかないのかもしれない、と思った。 どうしよう、また、好きが膨らんでしまった。 |
2007年12月11日(火) こころ |
何かに対して誠実であろうとすればするほど、歪んでいくのが今の世の悲しさ。 鈍感である方が、小さな痛みに逐一苦しくなることもないし、結局笑っていられるから、多少いいかげんでも周囲との関係はうまくいく。 ずっと、「気づきたくない」と言っていた。 でも今さらどうしようもない。 私以上に敏感で、敏感であるがゆえに優しくて、不器用な生き方を続けている友人は、「それでも私は人の痛みの分かる人間でありたい」と言い切った。 未だに泣く回数は多いけれど、なんて強いのだろうと思った。 私は…いっそのこと、何も感じなくなる日を、時々本気で願っているというのに。 口先ばかりの美辞麗句が嫌い。 愛想笑いで「ありがとうございます」という気にもなれない。 その代わり、自分は思ったことは発しようと思う。 素晴らしいと思えばそれを伝えたい。 違うと思えば、嘘で頷いたりはしたくない。 本当に、今の時代に合わないな、と、我ながら。 自分にとっての「常識」が、非常識であることを知った。 教育というのは怖い、と思う。 断りなく誰かの机を開けることは失礼だと思っていた。 考えるまでもなく。 だけど、それを言うと「うるさい人」という顔をされる。 人の後ろに立つこと、不躾な視線を投げることも、失礼だと思っていた。 だけど、やっぱり同じ顔をされる。 仕事上あまりに口うるさいことを言っていてはコミュニケーションが取れなくなる、と思って、黙った。 そういう風に育った人たちなのだろうと、諦めようと思った。 だけどきっと、それがよくなかった。 日々ストレスが溜まっていく。 自分のすべきことを他人に押しつけることを当たり前のように思っている人。 責任放棄を開き直る人。 逐一、腹が立った。 「気にするな」と言われた。 もしくは、言いたいことがあればきちんと言え、と。 だけど、同じことをしたくなかった。 たとえ誰がどんな態度を取ろうと、自分は自分を貫こうと思った。 でもそれは、心を健康なまま日々を暮らすために、私には向かない方法だった。 理不尽なことが多すぎる。 一つ飲み込む前に、また一つ、二つ。 溜まりに溜まって爆発した。 「気分屋だ」と、陰口を叩かれているに違いない。 波が、どんどん激しくなっていった。 ゆっくり笑うのは、難しい。 あったかい気持ちでいるために、何かをいちいち感じてしまう人間は、どこかで非情になるか、本気で諦めるかしなくてはいけないのかもしれない。 環境のせいにしたかった。 だけど、どうしてこんなにも自分は苦しいのだろう。 苦しい場所を離れても、苦しいまま。 笑えなくなった。 表情筋が動かない。 そんな、つまらない毎日を、それでも辛抱強く支えてくれたのが、彼。 尽きることのない愚痴を、突然泣き出す私を、呆れることなく何時間でも、辛抱強く聞き、そして励ましてくれた。 私は、彼以外の人と付き合うことなど考えられない。 それなのに、別れる以外の選択が思いつかない現状は、引き裂かれそうな気持ちだ。 心にそぐわないことばかりしてきた。 そして今、一番心にそぐわないことをしようとしている。 今朝も電話に出なかった。 メールも返さなかった。 どうすれば、彼をできるだけ傷つけずに終わりにできるだろう。 だけどどんな方法を取ったところで、自分がぼろぼろになることは目に見えていて。 別れなくない。 必要なの。 それでも、住む勇気がない。 たとえばこれから先40年、ひたすら介護ばかりを続けられるのだろうか。 首を縦に振ることなど。 どうして、こんなにも難しくなってしまうのだろう。 私が、一生を介護に捧げても平気だと思えれば、純粋に彼への気持ちだけを貫けるのに。 そんなことできない。 子どものように、ただ好きだという感情で突っ走れれば楽なのに。 何も考えたくない。 いっそのこと、もう目が覚めなければいいのにとさえ。 |
2007年12月10日(月) きれいごと |
「ラベルは気にしない」 ずっと、そう言っていた。 誰かを好きになるとき。 必要だと思うとき。 社会的地位とか、住んでいるところとか、学歴とか、そういうこと。 所詮はきれいごとだったんだなと、彼を好きになって思った。 年を重ねるごとに、感情だけでは走れないことに気づく。 好きなのに、必要なのに、必要としてくれているのに。 私は、今、別れる以外の選択肢が見えずにいる。 ごめん。 覚悟が決まらない。 今後も決まる気がしない。 誰か他に好きな人ができたわけじゃない。 大事にしてもらっていると思う。 あなたの声を一日聞けないだけで、こんなにも寂しいと思う。 それなのに、寝たフリしてしまった。 付き合い始めて以来ほとんど欠かしたことのなかった電話に出なかった。 手元でぶるぶると震えていた。 我ながら緊張した手つきで携帯を握り締めていた。 こんな感情のまま、通話ボタンを押す気になれなかった。 その後、彼からは「電話に出なさい」ではなくて「疲れて寝てしまったかな?ゆっくり休んで」というメールが来た。 今日来たメール、一度も返さなかったのに。 昨日、友人の結婚祝いに行った。 とても幸せそうな姿を見て、心が温かくなった。 台所で鍋の準備をしているとき、彼女が言った。 「いつか、今よりずっと好きな人ができるかもしれない、って、結婚を決めるまでは心のどこかで思っていた。それは、彼にとっても私にとっても、お互い様の話なんだけど。でもね、仮にそこまで好きな人が現れたとして、今隣にいる人を失ってまで手に入れたいほどなのかと問われたなら、好みがどうのこうのよりも、失うことがまず一番耐えられないことだと思ったの。だから、心を決めた。いつか、なんて、考えたってどうしようもないから」 きっと、激しい恋ではなかったのだろう。 だから「いつか」を考えた瞬間もあったのだろう。 それでも、安らげる自分の居場所を見つけた彼女は、どことなく背筋を伸ばして笑っている姿が魅力的に見えた。 羨ましい、と、一緒に行った友人たちと冗談交じりに言っていたけれど、本当は心の底からの叫びに近かった。 素敵だなと思った。 私は、彼のことを好きだと思う。 必要だと思う。 それでも、悲しいことに、彼が住んでいる土地のことを考えると、今のうちに別れた方がいいような気がする。 都会育ちの私には、限界集落に近いような彼の家で彼の親や祖父母と同居して一生を暮らすことは、考えがたい。 有期で住んでいたときは、好きな土地だと思った。 だからそれが自分の我儘だと思う。 一生ずっと、と思うと、思った瞬間、360度山に囲まれた集落に、息苦しさを感じた。 人一倍敏感な自分には、田舎の狭い空間での噂話にさらされ続ける可能性があることは、少し想像するだけでも泣き出したくなる。 そして高齢でやや痴呆が出始めているという彼の祖父母を、ご主人を早くに亡くされて苦労してきたお母さんだけで面倒見ることは現実的には考えがたく、おそらく「嫁」として私はそれなりに介護をしなければならないだろう。 そしていつかは、彼の母のことも。 会ったことのない人。 核家族で育った。 家の中が、どこよりも安らげる場所だと思いながら生きてきた。 外で気を回しすぎて息切れする性格の自分には、緊張を解ける空間である家はある意味生命線。 外に出続けていると、だんだん頭が痛くなってくる。 「同居」は気を遣うという。 うんざりするほど気を遣ってしまって自滅しがちな私には、同居は本当に苦痛。 正直、考えるだけでも嫌だ。 家族も親戚も友達も誰一人いない土地で、山に囲まれて、仕事をする場所もなくて、家事と介護と育児に追われて、脱走しない自信がない。 「やってみる前から」と、思わなくもない。 だけど自分に根性が全くないとも思わない。 相性の問題だと思う。 気を抜ける空間である家を前提として、外へ駆け回っていたいのだ。 要は我儘。 それでも…時折近くのカフェで一息つく空間が好き。 最寄のケーキ屋さんまで片道50キロある町で、一生暮らせる自信がない。 本当に…自信がない。 寂しさに耐えられる気がしない。 自宅まで、車で10時間。 彼は三男だけれど、お兄さんは既にお婿に行ってしまって、公務員である彼は地元に残っているから、そして彼自身が家を大好きだから、いつか同居したいと言っている。 今も部落の行事その他があると、一人暮らしをしているにも関わらず、その都度仕事をしに帰っている。 そのためデートの予定を組めなかったことさえ。 そんな彼の状況や性格を知っていながら、付き合い続けてきた私が安易だったのだとは思う。 それでも、別れられなかった。 穏やかで、地元を愛し、家族を大事にする人。 一度別れる前までとは、全く違う優しいまなざしを私に向けてくれる人。 どんなに私が泣いていても、愚痴ばかりでも、温かく受け止めてくれる。 どうしてやり直したのだろう。 断れば、以前のイメージのままで、私は、未練もなければ今苦しむこともなかった。 単なる気まぐれだった。 あまりに熱心に口説かれたので、つい調子に乗ってしまったのかもしれないし、どうせそんなには変わっていないだろうから無理ならすぐに別れようと思ったのもある。 彼にはそれも正直に言っている。 だけどなんだかんだとトータル2年。 いつの間にか、なくてはならない存在になってしまった。 「別れよう」なんて、言えない。 だって、自分が願っていないから。 必要な人だから。 「覚悟を決めなさい」 母に言われた。 「もしくは、別れなさい」 彼の年齢を考えても、と、言われた。 決めるなら早く、ということだろう。 私は…心は願っていないのに、未来への不安が別れ以外の選択はないかのように何かを訴えてくる。 彼の存在とか、彼のことそのものとか、そういうのではなくて、ただもう彼が置かれている環境…しかも「家」という、彼自身の普段の行いや人柄の評価とは切り離された、彼にとってはどうしようもないような、「ラベル」たった一つのために、別れたくなっている自分が、嫌だ。 これじゃ、「公務員と結婚したい」「東大卒がいい」と言っているような人たちと見方が同じだ。 だけど、どうしようもない。 環境が違いすぎる。 怖いんだ。 ごめん、電話に出られなくて。 最近、何を話していいのか分からなくなってきた。 あなたとのことを真剣に考えれば考えるほど、悩みが深まる。 遊びで付き合えればよかった。 未来のことなど考えずに。 そうできないから、別れたくなる。 こんなこと、仮に言ったところで、あなたには理解してもらえるんだろうか。 ごめん。 |
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