Spilt Pieces
2007年05月18日(金)  みどり
新緑が目に眩しい。
雨が降った後、木の下を通ると、
葉が透けて空までこの手が届きそうな気分になる。
空気が静かな、森の中。
いつ感じただろう、
気になっていた汗の匂いも心地よくなるほど、
空気を大きく吸って、
ただそれだけが、
すごく幸せだったのだと。
2007年05月17日(木)  わらう
人間は、笑うことができる高等動物だ、と言う人がいる。
我が家の愛犬の様子などを見ていて、
首をかしげたり、拗ねたり、喜んだり、
表情はないけれど、その豊かな表情から、
本当は犬も笑っているのでは、と思うのだが。
きっと、定義しているのが人間だから、
「笑う」の基準も、人間寄りなのかもしれない。
無学な私は、漠然とそんなことを思いつつ。


学生の頃、あまりにもよく笑っていたら、
母に「若さっていいわね」と言われた。
その当時は、笑うことなど当たり前で、
それと同じくらい泣いていたのかもしれないけれど、
とりあえず、
笑うことは容易だった。
感情…というより、環境によって。


今、笑うのは難しい、と感じる日が多い。
少し疲れ気味なのかもしれない。
泣くのは簡単なのに。
思うことが多すぎて、
それを防ぐ為に「スイッチオフ」を試みて、
やっぱりうまくいかなくて無理やり笑って、
それも続かなくなってはいきなり落ちて。
たぶん、周りは、
すごく扱いにくいと思っているんだろう。
自分でも、どうしたらいいのか分からない。
会社に来るのが苦痛。


何かをしようと思っても、
仕事の終わる時間が日によってあまりにも異なるので、
予定も組めないし疲れも抜けない。
言い訳だが、その結果、何もせずに寝てしまって、
そんな自分を嘆いてまた朝が始まる。
社会人になったら誰もが直面することだろう。
忙しくなくても、拘束時間の短い日があっても、
だからといって、心が疲れない証拠になんかならない。


どういう基準で、どれくらい我慢したらいいのだろう。
人間関係がこんなにも難しいとは思わなくて、
生まれ育った環境や常識の範囲がまったく違う人たちと、
話を合わせるのがこんなにも苦しいとは思わなくて、
我慢しているのはきっと、
私だけではないのだろうけれど。


笑うのは、とても難しい。
特に、笑えないことがたくさんある場合には。
何がなくても、何を失っても、
自分だけは満開の笑みの中で笑えるような、
そんなポジティブな人間になりたいと願う。
それが本当に「笑える人」である気がするから。
いつか、なれるんだろうか。
とりあえず今は疲れてしまって、
先が見えない。
見る気になれない。
社会人になっていまさら、
「登校拒否」したい気分が分かってきた。
転校直後の孤独でも、
何とか学校に行っていたはずなのに。


笑いたい。
2007年05月12日(土)  ことば
自分の書いたことばを読み返すと、
時々…というよりしばしば、
初めて見たような気になるから不思議だ。


発すると、過去になる。
表現した瞬間、自分の中から出て行ってしまうから。
同じことばは、二度と書けない。
データが消えてしまったら、自分でさえも思い出せないだろう。


それだけの思いがないのだろう、
むしろ、
思ったことを思ったときに
ゆるゆると綴っているだけだから。


心の底から吐くことばなど、
表出した自分自身も忘れられないことばなど、
執着できることばなど、
きっと、
一生のうちに一つあれば多すぎるくらい。


そうして今日も、綴る。
思ったままに、
思ったことを、
ただ徒然と。
2007年05月09日(水)  世渡り
個人的に。
顔に感情の出る人が好きだ。
邪推をしなくてすむから。
裏を読んで、勝手に苦しまなくてすむから。
だけど、それは、
我儘な感情を出しっぱなしにしていいという意味ではなくて。
根本には、優しさがあってほしいと思うのだけど。
それって、境界線が、難しい。
実際のところ、顔がよく喋る人は、世渡り下手な場合が多い気がする。
それをよさとして認めてもらえるのは、
よほど個性を大切にできるゆとりある空間、
もしくは、
成功したからこその、あとづけ。


前時代的な考え方だとは思う。
弱者の言い訳にしか映らないことも自覚している。
でも、私は、今の成果主義が苦手だ。
自分に主張できるものがないから、と言ってしまえばそれまでかもしれないけれど、
それとこれとは話を別にしてみると、
「自分の手柄を自分で声を大にして主張する」
ということを、格好悪いと思ってしまうから、
やっぱり、苦手なんだと思う。


「評価」っていうのは、同じ相手であっても、
誰がそれを行うかによって全く違ってくる。
主張する人間を好む人。
表に出てこないかもしれない努力まで含めて好む人。
私は、自己主張の強い人間だ。
愛されていたいし、必要とされていたい。
だけどどうしても、これだけは譲れないから不思議なもの。
自分が行ったことのうち、
自分自身でも評価できると思えるようなことほど、
黙っていたくなる。
たくさんの言葉を発しても、
口にするのは大抵の場合、
特に頑張った自覚のない、どうでもいいようなこと。
どうでもいいから、主張できる。
何も考えていないからこその、恥ずかしげもなく、という状態。


会社の面接のとき。
勤めている会社での内部評価。
黙っていても、何もいいことなんかない。
「アピール力」というのが、必要なんだろうけれど。
でも、何もアピールすることなどないし、
アピールする気にもなれないし。
何をしてきたかじゃなくて、
今何を考え、行動しているか、
それを大切にしたいと思うのに。
そしてそれは、私が「私」としてだけ生きるのであれば、
ことさらに間違ったことでもない気がするのに。
社会では通用しないんだよなあ。
分かっているのに、変えられない。


仕事だもの、
頑張ることは普通。
色んなことを我慢して、
生活のために続けていて、
賃金をもらっている身だから。
最低限、必要なことはしなくてはと思うもの。
工夫することも、
努力することも、
別にすごいことでも何でもないはずなのに、
そんな些細なこと一つ一つを、
「評価の対象にするから」って、
何でもかんでも点数化しようとして、
求められても。
隣の席の男の子に、
「ボーナスに上乗せされるらしいですよ」
って、何もしようとしない私に、アドバイスしてくれた。
でもね、する気が起きないものはどうしようもない。
ごめん、せっかく言ってくれたのに。
ありがと。


仕事って、窮屈。
感情を表に出せない。
…と、思っていたら、私はかなりポーカーフェイスが苦手らしく。
人間的にも社会人としても相当未熟なんだと思う。
ゆらゆらと生きてきたから、
あんまり、社会に受ける性格をしていない。
どうしたらいいものか。
かといって変える気もないし。
何だか不器用な会社員。


適当に頷いておけばいいのに、
理不尽なことには「はい」と言えない。
適当に合わせておけばいいのに、
考え方に賛同できなければ、反論してしまう。
ちょっと疲れる。
でもそれはたぶん、頷いたり合わせたりしたときに、
さらに増すであろう疲労感のおすそわけなのだろう。


にこにこ笑って話した後に、
悪口を言う人が昔から嫌いだった。
とにかく大嫌いだった。
そういう人は、結構世渡りがうまいからか、
集団内での地位もそこそこで。
私は、それに対して反発してしまうから、
いつもあんまり色々うまくいかなくて。
悪口を言うならその場で言え、って、
何回思ったことか。
嫌っているのに仲良いふりをするくらいなら、
最初から近づかなかればいいのに、って、
何回思って自分は実践してしまったことか。


生きていく上で、こういう性格は非常に不便です。
敵も作ります。
苦しくもなります。


だけど、どうしようもない。
少しずつ、社会人として、大人しいふりは身につけたいと思うけれど。
母が言っていた。
「あなたのおばあちゃん、あんなに温厚でできた人だったけど、
昔はね、それはそれはきっつい人だったんだって。
厳しくて、納得いかないことには絶対頷かないの。
おじいちゃんがいつも、「おばあちゃんは怖いぞ」って言ってたのよ。
お母さんは、そんなおばあちゃんを見たことがないから、
よく分からないんだけどね。
あなたの性格は、おばあちゃん譲りなのかしら」
…うーん。
ならば将来的には、私も祖母のような人になれる可能性がある、って、
思っていいものだろうか。
私が知っている祖母は、
愚痴も何も言わず、賢くて、常に周りに心を配り気を配り、
相手のやり方はやり方として認め、寛容で、
しかも多趣味で美人で優しい人だった。
何で自分は祖母の血を引いているはずなのにこんなんなんだろう、
そう思って嘆いた日もあるくらいなのに。
昔、祖母がきつかったというのは、きっと、
真っ直ぐな人だったから、
色々と許せないことが多かったからだろうと思う。
私は、そんなに透明になんかなれないし、
文句を言う割には何かを貫く根性もなければ芯の強さもない。
だから祖母にはどう頑張ったって近づけないと思うけれど、でも、
いつか色んな苛立ちが薄らぐ日が来るかもしれないという意味では、
若干の希望は持てた気がした。


話が脱線してしまった。
何を書きたくて日記を開いたんだっけ。


今週末、熱海へ。
2007年05月05日(土)  ネガティブ
たまに、思い出したように苦しくなる。


誰かに具体的に話せるような事柄があるわけではない。
何となく、25歳にもなってと思うけれど、
私は相変わらず自分との付き合い方が下手なのだな、と。
要するに、自信がない。
悲しいくらい。


最近、仕事ばかりしている。
転職したとき、求めたものは「定時で帰れること」だった。
空いた時間で自分のしたいことをするつもりで。
やりがいも、給料も、小さなプライドも捨てた。
ただ自分との対話をやり直したかった。
あの当時は、彼とも別れたばかり。
苦しさから逃げるためには、きちんと向き合うことが一番の近道だと思ったから。
忙しさを言い訳にして、何も見えない顔をするのにもう疲れていた。


だけど結局、世の中自分が望んだ通りになんてならないもの。
甘い考えだったと今なら思う。
確かにやりがいもなく、給料も安く、情けなくもなる。
それなのに、唯一望んだ時間も手に入らない。
朝8時から、休憩もほとんど取れない状態で、夜10時過ぎ。
事務職なのに。
パソコンの前に座りっぱなしで、目や腰が痛い。
タチの悪い相手とばかり話しているせいか、目つきも悪くなってきたし、
当然のように愚痴も増えた。
人が足りないから、辞めるに辞められない。
それに、もし辞めてしまったら、彼に会いに行く交通費すらままならない。
今はただ、彼に会うことだけが、目的のような毎日。


正直、遠距離恋愛はきつい。
精神的にも、金銭的にも、すごく。
会いたいときに会えない。
いつだって我慢の連続。
我儘を言いたいのに、言えない。
会えないときに言って喧嘩をしたくない。
久々に会えたときに困らせたくない。
それでも時折、限界が来て、「寂しい」と言って泣いて、
結局のところは彼を困らせる。
会って、ただ抱き合えば解決できるはずのことも、
会えないと、どんどん複雑になってしまう。
泣いたことで嫌われてしまわないか、不安になって。
不安になってばかりのネガティブな自分がばれていないか、苦しくなって。
彼の気持ちが離れていかないか、やっぱり怖くて。
前向きで、いたいのに。


時間があれば、毎週でも行きたい。
でもそれは、お互いを束縛することにもなるし、
前提となる金銭的ゆとりだって当然ない。
「旅行に行こう」と誘われた。
私は、すごく情けなかったけれど、素直に「お金がない」と断った。
会いに行くだけで精一杯なの。
そのために、友達からの誘いを断りもするし、買いたい服も我慢する。
付き合い悪いなあ、と、思う。
お洒落したいなあ、と、思う。
別に、友達を大切にしたくないわけじゃないのに。
別に、流行に興味がないわけでもないのに。
近くにいれば、
例えば一緒にご飯を作って、
テレビを見ながらお喋りをして、
手を繋いで眠って、
ただそれだけのこと、
普通にできるはずなのに。
会えないことによる我慢も、
誰かに会えない我慢も、
お洒落できない悲しさも、
せずに済むのに。


それでも、彼がいい。
だから、苦しい。


親離れできていない、と、よく言われる。
私は、親としてだけではなくて、ただもう単純に、
人間として、
母のことが好きだ。
その母の近くにいたい。
彼は、いつか、私との結婚も考えてくれているらしい。
私自身、考えないわけじゃない。
だけどその度思うのは、母のこと。
彼のところへ行ったなら、一生、離れ離れになってしまう。
彼のことが好きだ。
嫌いなところもきちんと見えている。
直して欲しいところもたくさんある。
母に寂しい思いをさせてまで、彼のことを好きかというと…
申し訳ないけれど、よく分からない。
でも、別れたくない。
自分でも、自分の本当に望んでいることが分からないでいる。
矛盾していると思う。
だけど両方本音なんだ。
すごくすごく愛しているか、と問われると、よく分からないのに、
彼のいない生活は考えられない。
とても必要な存在で、かけがえのない人。
声を聞くと、安心する。
悲しいことも、吹き飛ばしてくれる。
手を繋ぐと、体温が伝わってきて、ほっとして眠くなる。
口と口でするキスよりも、ためらいがちに頬にしてくれるキスの方が好き。
髪を撫でてほしいから、出かける前には、いつだってパックして。
着ていく服が決まらなくて、寝るのが夜中になって。
せっかく会っても、毎回あくびが出そうでたまらないの。
これって、好き、って、いうんだろうか。
好きじゃない言い訳を、時折たくさん探してみるのに。
結局、行き着くところはいつも同じ答えで。
よく、分からない。
ただ、少なくとも、
苦しい。
これだけは事実。


誰よりも近くにいると思っていた友達と、
知らないうちに、少しずつ遠ざかっていた。
それに、気づいてしまった。
どうしたらいいのか分からなくなった。
苦しいとき、悲しいとき、お互いに、たとえどんな時間でも、
電話をしたりメールをしたり、
励ましあって、
この数年、過ごしてきた。
彼女が仕事を始めて、
少しだけ、きつくなって。
優しいところは変わっていないけれど、
何を言わなくても近かった感性が、
いつの間にやらずれていることを感じた。
どこ、とは言いがたい、ただ、少し、
心を配るタイミングや、その場所が、
ちょっと違う、
そんな些細なことなんだと思う。
だけどそれが息苦しい。
たぶん、彼女もそう思ったはず。
なぜか、悲しそうに、私の言葉に何度か口を挟んだから。
変わってしまったのは…どっち?


誰を支えとしたらいいのだろう。
支えなしに立っていられるほど、私はやっぱり強くはなれないから。
支え合えればそれでいい、と思っていた。
そうすれば、罪悪感にも負けない。
だけど、今の私には、誰かを支えてあげられるような気もしない。
色んなことが見えなくなっている。
何も失っていないはずなのに、全てが手の中から零れていく。
そんな、虚しくて、寂しい、それでいてリアルな…幻?


獏がいるなら、食ってくれ。
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