災害を目の当たりにしている人達の気持ちを わかろうとすること自体 嘘っぽくて、薄っぺらに思えて
テレビ画面を見ると 家が流されている 車が流されている 街が壊滅している
流されているのが ヨシタロウだったら シュウヘイだったら 藤原さんだったら・・ そんなことが否応無しに脳裏を駆け巡る。
祈るにも何に祈るのかわからず 何をしたら良いのかわからず ただただ胸が苦しく。
大混雑しているプラットフォーム ギューギュー詰めの電車の中 ヘッドフォンで 血となり肉となっている音楽を聴く なぜだかわからない涙が出てくる。 ただただ涙が出てくる。
地震のあった日 オレは出来たばかりの版下を持って お客さんのところへ行こうと 小さな信号を走って渡っていたところだった。
横断歩道の前で止まっていた車の中のお兄さんが 窓を開けて「すっごい揺れているよ!」と言って 向かいのビルを指差していた。
走りながら見上げたら 凄く揺れていて今にも倒れて来そうだった。 と思った瞬間、地面が大きく波打った。
怖かった。 藤原さんの事をすぐに思った。
翌朝の東京新聞 大津波が街に押し寄せてくる写真を見た。 CGではないリアルな画像に言葉を失った。
あれから1週間がたつ。 とても長い1週間だった。
大災害の影響で情報が錯乱している。 こういう時、 不平不満を言わない事だ。 誰のせいにもしない事だ。 そんなことしたら どんどん答えのない方向に話が広がり 何の解決にもならないからだ。 ゆっくり見据える事だ。
夜の停電を経験した。 思った。 電気は必要最低限でいいじゃん。 月明かりが奇麗じゃん。 ギターとノートとボールペンがあればいいじゃん。
精神的ダメージはみんな受けている。 でも被災地の方々のダメージの比ではない。
今、この瞬間も夜の寒さに耐えかねている人達がいるという事。 お腹をすかしている人達がいるという事。 月明かりが奇麗じゃんなんて能天気な事を思っていられない状況の 人達がいるという事を、ちゃんと分かっていなければいけない。
オレごときにいったい何が出来るというのか。 節電、募金、それ以外に何が出来るというのか。 オレが今、涙を流しているこの音楽を誰に聴かせてあげれば良いのか。 何にも出来ない自分がいる。
神様がいるのだとしたら それはきっと自分の心の中に居て 適切な言葉が浮かばないからこそ 両手をあわせてみた。
被災地の方々の無事を 心から祈って。
両手をあわせると自然と気持ちが落ちつく自分がいた。 結局、自分の為にやっているのかという矛盾が生じた。 それでも、両手をあわせた。
何にも出来ない自分を受け入れた。
オレが産まれ育った国。 日本。
知っている。 また元気に復活する事を。
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