浪奴社員の呟く
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向かおうと思い始めた。一人の時間を大切にしたのは十年で、これからはもう少し人との時間を大切にしていこうと思い始めた。輝かしい時間を思い返すよりも、再び輝く為の力を得たいと思い始めた。誰かの背中を見ることで、自分がまたひとつ大きくなれる気がしてきた。そんな誰かを探したいと本当に感じ始めた。
ワシはなんだかんだで結局小手先の巧いヤツやから、器用にこなしていってたんやな。やさかい、腹据えることも必要ないし慣れも大きく膨らんでいたし、それが今のワシを圧迫してるんやったら、ワシはもう此処から動き始めるべき時間帯を迎えた、ということなんやな。
今なら、いける気がする。語られない過去も、語れない過去も、それがワシに乾音を響かせて閉殻させていたんなら、それはそれで構わない。いやもしかしたら、ワシが思っているよりも容易くて、ワシが感じているよりも軽量くて、ワシ一人で抱え込むにはとても至大くて、つまりそれはあの日のワシの全てであって、ならばもう溺れるの喘えぐの沈めてしまえるのではないか、そう感じたのは多分偶然ではないから、その観を信じてみることに異議は無い。
それにしても、似てるな。あのときのアイツと、あの背中が痛いくらいに似ている。だから、あの地点が終点ならこの基点を支点に始めてみるのもいいと思える、「ありがとう」は決して嘘にならない、いやしない。
退いただけ押してくる。アホかオマエは。ワシが傷一つつかんヤツやと本気で思ってるんか?そんな些細な程度で大騒ぎして、自分の受けたものを増幅させた傷を人につけて、それでこれまで生きてきたんか?そういうなんを、世間知らずのワガママお嬢っていうんやけど、知らんのか?結局誰かを下げることでしか自分が上にいけないこと、まだわかってないんか?
貧弱な笑顔は苦痛の少なさを物語るには充分すぎるわ。今日は正直思ったわ、「お前の顔なんぞ見たないねん。」少しは己のツラを鏡で見直して来いや。
話せるようになって、ワシの話も彼女の話も交えながら、ワシは過去を取り戻し、彼女は未来を歩み出し、そんな風になれたらエェな、と思っていた。いや、なるんやろうな、と感じていた。少なくとも見えていた風景は丁度2年前に見た風景と重なり合っていたし、もしかしたらそれがワシを突き動かしていたんかもしれん。不思議なめぐりやな、やけど、あぁそうか、あの時動き出した事象なんやから、あの時やって来た彼女にその力が備わっていてもおかしくないんやな。
ワシはそれでも人を信じてないんやけど、長く見てきたことを差し引いても、今最も信用している存在なんかもしれん。方向性の全く違う相手やから、ザックリ切られてることも実はあるし、ザックリ切り裂いてることもあるんやろうな。でも、ワシからあないな話が出来る相手は、そんなにおらん。ィャ、少しだけワシの本心を垣間見せていたんは、試したわけやなくて、其処に触れて欲しかったんかもしれん。。
こんな風にしていたら、今はもう少し違ってたんかもな。。ワシが退路を辿ること、気がつけばもう20年も前に根源を見出したわ。認めたくなかったな、こんなことは。でも、やっぱりそうやったんや。それから、闘うことの攻撃性で己を精一杯護り抜いてきたんやな。ワシがワシを受け入れてやらんとな。もう疲れたやろ、もうエェよ、ワシはよう頑張ったよ、もう大丈夫やよ。
今度はいけそうかもしれない、そう感じてるんやけど、正直4年分を破棄してもう一度やり直すには勇気がいるんやけど、それでももう通れない場所があるのは、逃げるでもなく退くでもなく、其処に佇むの選択しか生まれなかったんやから、道を変えてみる必要はあったんやろうな。今度は見えてる、ワシの弱さ、ワシの遠い昔に閉じ込めてしまっていた記憶、ワシの拒む理由、そういうものが見えてきてるんよ。やから、何時かはちゃんとあるべきに進めると信じてる。
慎重に積み上げてきたんやけどな、何度も確かめながら少しずつ作り上げてきたんやけどな、これであっさり瓦解してしまったな。やっぱり違うやん、何も変らんやん、結局それやん。なら、もうえぇわ。ワシももう一度やり直せるなんて思ってない。
視線が違うんよ、そんなんで分かり合えるも繋がりあえるもどれ一つとっても胡散臭い言葉でしかない。思考が遠いんよ、幸せも優しさも愛もどれ一つとっても双璧の遥かなるに触れるしかない。もうアカン、もうムリや。ワシに残された言葉なんぞ、やっぱりこれしかないんか。。
何も変らず、何も変えられず、ワシが受け入れられるもワシを受け入れてもらうも、あの頃と何が変った?見上げてみれば一人で螺旋巻き上げてただけやないか。
ワシが示した矢先にこんなんでは、やっぱムリなんやろうな。で、また戻ってきてしまったな。
希望?幸福?それもあの顔を見れば核心に偽善の道化が潜んでいることなんぞ、当然の報いでしかない。それを求めて安息?永住?バカにすんな!いまは『一人で生きること』のほうに、現実を覚えざる得ない。やからな、もう一度頼ることにするわ。これまでのワシを活かしてくれたように、微かな望みを語るんやったら先延ばしにしてでもな。
「やからオンナは嫌いやねん。」
ことなんやな、やっぱり。つまりはワシはなんでもない、ワシ自身を見て欲しい、ワシの方を向いて欲しい、それだけを望み続けてきたんやな。それが深層の真相やったんやな。。
イヤなんよ。言葉が通り過ぎていくだけで、触れ合うことのない、響きのない会話ではイヤなんよ。本当は、ワシを助けて欲しいし、ワシを認めて欲しいし、ワシを知って欲しいし、ワシを葬って欲しい。ワシは結局あの頃から何も変らず変れずそのままでしかおらへん。
でも、心配せんでエェから。もう乱したりせんから。これ以上のキョリに入り込もうなんて、もう思わないから。やから、またあの頃のように、言葉を聞かせてください。
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