偶然、偶然クオーターの彼女に会った。夏以来数ヶ月ぶり。 彼女はセミナー会場でわたしを見つけ、 わたしの隣をひとつ空けた席に座った。
よそよそしくあいさつをかわす。 その後変わりはない?と聞けば、黙ったままの彼女。 少し沈黙したあとに12月に引っ越しをしたと彼女は言った。
家電製品をいっさい部屋に置かない彼女は、携帯電話しか持たず、 スチュワーデスの友人が長期留守にする部屋や ホテルを泊まり歩いていた。 今度の部屋はTVや冷蔵庫にオーブンもあって快適で、 自分の家にいる時間が増えたという。
会場を出てさようならを言おうとすると、 送らなくていいうのに駅まで送ってくれた。 普段なら、今までなら、これから夕食でもと誘い合うのに 北風が吹く冬の夜にお互い黙ったまま歩く。
彼女の携帯が突然鳴って、メールをチェックした彼女が、
「さっきいた人ね、彼女埼玉から会社を休んで来てるの。」
「え?? わざわざこのために?」
「うん、これから一緒に夕食でも行こうとおもってて・・・」
11月のパーティで知り合ったというその友人を 会場に残したままわたしと駅まで歩いた彼女に少し呆れたけど それはいつもの彼女の優しさだった。 いつだって彼女はわたしを見送ってくれた。
けど今回は、いつもの彼女の優しさじゃなく 何か、引っ越したことの他に何か言いたいことが あったからかもしれない…
あれ以来、、、あの夏以来わたしたちは、 言いたいことも言えず言ってほしいことも言ってもらえない、 そんな他人な関係になってしまった。
12月に住所を変えたことを言わなかった彼女と、 12月に携帯のメルアドを変えたことを言わなかったわたし…
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