2009年12月02日(水)


頂から火を吹く
山の後ろの月が
夜に飛ぶ鳥の影
笑いながら映す
灯台がそれを掴み
振り回して逃がす
見えないところへ
風が届くより速く

溶岩の岸に辿り着き
亀は声を響かせ啼く
狼の亡骸を避けた時
その声すら色を失う

あかく染まった海から
黒い塊が広がりながら

海の向こうで老人は眠る
そのことを知っていても
彼は暖炉と穏やかに眠る
膝の上の本には母が宿る

亀が産んだ神
父が宿した火
炎が沈む海に
今日も眠る夜

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