★KINPEI★
◎ すれ違い ◎

私の不安は的中してて

日向は私と別れる気でいた

というより

もう決別をしていて

アルと恋愛関係を築く事を
やめていた

アルとは
友人としては付き合うけど
恋人ととしてのアルはもう日向の中で存在していなかった


それは多分もう先月の時点では確定していたようで

だからバースディもあんな感じだったし
メール一通で約束破棄されたり
その後なんの連絡もなしだったり

そういうのが日向の中で当たり前という認識の元になされていた


びっくりだよね。

アルのこと 振ってるのに
そういうの一言も言ってくれなくて

勝手に恋人の部分をシャットアウトして

何度もきちんと話したいというアルの言葉を無視して


この頃の二人はしょっちゅう喧嘩して

険悪になって


一緒にいてもなんか辛い感じで

二人で嘘ついてるような感じで


アルが近くに行くと逃げられたり

スキンシップを避けられたり

好意に嫌悪感を示されたり


でもそれははっきり言葉で言われるわけでなく
態度でだけ示されて

その理由を教えても貰えず



日向はアルのために一人暮らしをしたと言いながら

それを大義名分に

アルとの関わりを持たなくていいと思われているようで


一緒にご飯作ったり
片付けたり
買い物したり

そういう事は一生懸命してくれたけど

「恋人」的な行動は一切無視されて


お金を得るために最低限の相手をされているような感じだった



だってこの頃は

キスも手を繋ぐのも隣に座るのも腕枕も寝るときも背中を向けられて


アルは日向の隣に座るのがすきで。
体温を感じられるのが好きで

日向はそれを知ってて

ノートPCのコードの都合で
「こっち(隣)きて」って言ったら

ひなたは

いつもの定番席はここだから
ここがいいって瞬間に拒否した

でもそこじゃノートの操作が出来ないと話したら

恋愛の部分で隣に来て欲しいと言ったわけじゃない事に気づいて
そこに座った



アルはそういうのに
気づかない振りして


訳が分からなくなってた

日向はアルと時間を過ごす為に一人暮らしをしたという

でもアルにとっては遠すぎて
通うには費用も時間も掛かりすぎて

ほんとにアルに頻繁に来て欲しいと思っているとは
思えない立地条件で

一緒に過ごす時間もそんなで


どこかへ遊びに行く時間は一切なくて

掃除したりご飯作ったり買出しにいったり
洗濯したり

生活に必要な時間を一緒に過ごしているだけで
日向の視線は常にその時の作業に向けられていて

そこにアルが居る事を許してくれてるという状況

それでも一緒にいる時間を作れるようになったのは
日向が一人暮らしをしてくれているからで

でも
わずかな時間でもご飯を食べるだけでも
その時はアルとの為の時間だったのに

それはあくまで家事をする為の時間で
日向の意識はアルに向かない


日向が一人暮らしをする理由は
アルの為というのに嘘はないと思う


でも動機があって結果があるのに
動機の中にあった思いは消えていて
その残滓ばかりがあるに過ぎない感じだった


その時の私の心情は
ホストに気に入られる為に
貢いでる女の気分

一緒に買った生活用品は家計簿に書き入れて
二人で半額ずつ負担

アルが気づいて買ってきたものは
自分で勝手に買ってきたんだからって思って
なんか共同費には書き入れられなくて

日向は口では請求してねって言ってたけど
実際にアルが請求してないのを
気づかない振りしてたと思う。

普段の日向なら
請求したかの確認をきっちりするのに
そういう手間をかけなかった

それだけの事だけど
お金にルーズな事が嫌いな日向だから
かなり特異な事で
無意識の故意を感じずには居られなくて
気づいていながら
どうする事も出来なかった

そして気づかない振りをしている日向を
つまりは試していたわけで
たぶんそれに日向も気づきながら
日向は「不可」の返答を出していた


日向は忙しかったから買い物に行かれなくて
アルは暇な時間で
ラグとか物干しとか安い日用品を買いに行って
長く付き合っていくものだから
値段と好みとはかりに掛けたりして
色んな所に探しに行って
悩んでいったりきたりして
相談すると任せるって放り出されて


そうやって日向に距離を置かれれば置かれるほど
関係がなくなるのが怖くて
不安で
日向に繋がる時間
生活用品の買出しとか
値段の安いとこ探しにいってたりとか
やめられなくなってた

日向がきる事ができない部分で関係をもって

ほんとに最悪な感じだった

最低な自分が分かっていながら
どうしようもなくて
友達とかにも迷惑を掛けて

会社も休んでしまったりしてた


恋愛関係がうまく行ってると
それが充実してるから
会える時間が少なくても不安にならないし
逆に自分の時間も充実させられる

努力した事や
楽しかった事の報告が楽しみになるから


でも根本が揺るがされて

何のために仕事して稼いで
節約してるのか分からなくなって

自分の人生なんだから
自分が後悔しないように生きる
誰とじゃなく
自分がしたい事を探していく前向きな事ができなくて

日向と一緒にしたいことばかりがあって
それが解消されないなら
何もいらないって感じになってた

一人で生きていく力なんて
全然なかった

旦那の為に生きてきた主婦が
退職と共に離婚を言い渡される恐怖がわかった

ホストにハマる逃げられない弱さがわかった


最低だと思いながら
どうする事もできない



ひなたは

アルが別れようというのを待ってる

その為にそう仕向けるように

さまざまな工夫をこらす

それをお互い分かりながら

歪んだ関係でいた




分かれるために画策されていると感じながら
お金の為に今はアルを切れないのも理解していて
それでも
アルの為の一人暮らし その理由だけは本当で
ほんとに訳が分からなくて

ひどかった

全てがどうでもいいと思ってた



一人だけ
この関係を話している人がいて

その人にちょっとだけ愚痴をこぼしたけど
かなり軽く流されてた
もしかしたら、彼女も家が色々あって大変だったのかもしれない

でも偏見はないと言われたけど
やっぱり
同性愛は所詮思い込みと思われている部分があるようで
自由恋愛だから
生活が掛かってないからって感じで


私にとっては
結婚しないっていうプロポーズの言葉も
指輪も
日向のひとり暮らしも経済的な負担の事も

男女であれば結婚しているはずの
思いなのに

半分好奇心で思われているのを感じで
かなりすがる思いだったんだけど
結局相談できなかった

   − 2004年05月10日(月) −             next

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