★KINPEI★
◎ □After Birthday ◎

アルは昨日の日向の腕の中で



もう

別れない



って思ってしまった。


だって別れる理由がないもん。


どんな建前を言った所で
本当は別れたくないんだもん

日向も。


だったら、別れる事ないって
思ってしまった。


日向はそうは思ってなかったみたいだけど。


日向は自分の持つ価値観や

自分の生活環境や

長女であるが故の

家族に対する責任感や

そういった物に縛られて

自分の望むとおりに行動する事が出来ずにいたから。


だからどんなにアルと付き合いたいと思っても

そういった物が許さないから

付き合えないって思ってた。



日向はよくアルに

アルは愛されてる子だ

って言ってた。


神様に祝福されている子だ

って。



我侭かもしれないけど

でも

私を好きな人なら

私を大事に思ってくれる人なら

私が望む事を反対するはずないって

信じてる。


私も同じように私の周りの人々に

そう思っているから。



その人が望む事が出来る事は

幸せだから

出来る限りの事はしてあげたいと思う。




その辺りが

日向とアルの違いかな。


でも兎に角

アルは日向と別れないって思って

昨日までのブルーはどこへやら

日向に甘えまくり。


素敵な日向にちょっと照れつつ

日向のリクエストの観覧車へ。


なんで観覧車だったのかな。。。

何かの時に話してたんだ。

二人で観覧車とか乗りたいねって。

デートってそんな感じだねって。



あ。

そうか。

アルはもうこの時別れないつもりだったけど

日向は最後のつもりだったんだ。

それで、観覧車は絶対乗りたいって言ったんだ・・・。


そっか。

日向はずっと切ないまんまだったんだ。

気づかなくてごめんね。


アルは改めてデート気分で

そういうのあんまり無かったから

デートっていう雰囲気に呑まれて

ドキドキしっぱなしで


観覧車に乗っても

ジェットコースターに乗っても

変な感じの緊張したまんまで

普通に楽しめなかった。(笑)



それから

アルの母親の母校とか見に行ったり

雰囲気の素敵な小さな喫茶店でお茶したり。

クリスマスにデコレートされた横浜を歩きながら

あっという間に時間は過ぎて。

港の見える丘公園に着いた頃は

すっかり日が沈んでた。


きらきら光る夜景を見ながら


切ない顔をする日向を

愛しく抱きしめるアルを

日向は抱きしめてくれた。



なんだか複雑な表情で

アルをぎゅって抱きしめる日向。


私はのほほんと

抱きしめてもらえる幸せに浸っていて

その時の日向の葛藤に気づいておらず

腕の中で幸せを満喫していた

けど


日向はずっと切ない葛藤を続けていた。


そして


日中は人目を気にして

スキンシップをさけてた日向が

日が落ちて

全てが影に隠されてしまえば

アルを抱きしめずにはいられないって

言った。


アルが愛しいと言ってくれた


私は昨日のキスで

分かってたから

今更何言ってんの

別れられるわけないって

思って


でも

日向がそう言ってくれるの嬉しくて


うん。


って言った。




   − 2000年12月06日(水) −             next


★KINPEI★
◎ □心の奥にあるもの ◎

ホテルについて
部屋に入ると
二人っきりの時間


本当だったら
何でもない会話しながら

でも
だんだん距離が縮まって

ちょっとしたきっかけで

ちぅしたり

ぎゅってしたりして

そして離れられなくなっちゃうんだけど

今日はそういうのなしだから

友達だから
って私は勝手に言い聞かせてて



折角日向が
キスしようとしてくれてるのに

逃げて

そして
明日が終わってしまったら
さよならだっていう現実を
受け入れたくなくて

でも

もう

友達として
今日過ごしてきて

今更やだって言えなくて


ただただ

もう

戻れないんだって事が

悲しくて


日向は
私が好きじゃないんだ

恋人でいるより
友達でいたいんだ

その方が日向はいいんだって


日向の望みは
友達になる事なんだ

それを叶えてあげることが
私に出来る唯一の事なんだって


日向が心から
私と友達に戻る事を望んでる

だから
その望みを叶えよう

そう思わなければ
日向と別れる事なんてできない


でも

でも

悲しい

外にいて何かすることがあれば

笑っていられる

だけど、こうして二人の時間になって

何も出来ない事が

これから先、ずっとずっとこうである事が

悲しくて悲しくて

涙が止まらなくなってしまった



なんでこんなに泣けるんだろうって思うくらい

涙は止まらない


本当は日向の胸で泣きたい

でも

出来ない


日向は今日まではって思ってるから
私を慰めようとしてくれる

私はその腕から逃げて
ただひたすら
涙をこぼしてる


キスしようとしてくれる

首を振る

しないで。

もう友達に戻るから

しないで。


そう言ったら日向は困った顔して
でも軽く頭をなでてくれて
でも近づきすぎない
微妙な距離を取ってくれた


日向だって
泣きたいよね
泣きたいくらい
胸が痛かったはず


どれくらい
そうしていたんだろう

解決を見ない状況が嫌いな日向は
私がいつまでも泣き止まないから


ねる?


って聞いてきた。

うん。


一緒に寝る?


うん。

一緒に寝たい

いい?


いいよ。

一緒に寝よう



一緒のふとんに入って
日向の腕の中に包まれて

日向はキスしようとしてくれた

私はそれまでと一緒で
逃げた。


私の望みは
この腕の中で寝る事

それ以上は望まない


それ以上もらったら
私は友達になんてなれない

折角の決意は脆く崩れ去る


だから

友達になるなら

キスはしないで


言葉に出来ないまま

しないよって

首を振って

キスを拒否する


それまで日向は
私が友達として過ごそうとしているのを感じれば
手も繋いだりしないし
必要以上にくっついたりしないし

キスも逃げれば
それ以上追ってこなかった


だから
そういうの望んでるのは私で
日向はそれを叶えてくれようとしてただけなんだ
って

いつもしたかったのは私で
日向がしたかったんじゃないんだって
少しずつ実感していった


私が望まなければ
日向はしなかったんだ

日向は優しいから
私の願いを叶えてくれてたんだ

だから
これ以上
望んじゃいけない

もう終わり


望まない

望まない

望まない



そう思って
日向の腕の中で
我慢してた



でも日向は

キスしようとしてくる


そりゃ
あれだけ泣いてれば
泣き止ませたくなるよね

キスされたら

私は
泣けない

悲しいなんて感情
どこかに行ってしまう


日向が愛しくて
そして
愛しい人にキスされる
喜びで

悲しいなんて感情
すぐにどこかに吹き飛んでしまう



それはほんの一瞬

でも
私はその喜びにつかまって
ふりだしへ戻ってしまう


もう一度拒否されて

悲しい思いをいっぱいして

心を傷つけて

そして

もう愛されてないって
自覚する

その道のりを
もう一度歩まなくてならない


だから

逃げた



でも
それでもキスしてくれようとする日向に

私が最初に思った
あれ。

骨折したときの
ボルト。

そんな一時期的に支えられたら
後がもっと痛いよって
分かってるのに

そうやって慰めてくれようとしてる
日向を拒む事ができなくて

だって、拒めば拒むほど
日向も傷つける


だから

日向のキスに慰めてもらおうって


そしたら もう一回 初めから

傷つきなおさなくちゃならないけど

でも
私はこの人が好きだから


泣く私を
慰められたという事が
この人を慰めるなら
それもいいかって
思ってしまって


結局

キスしてしまった


そしたら
日向が分かった

日向の必死の心が分かった

どれくらい
日向が私を好きか

分かった



日向の理性は
別れる事を望んでいる

常識と倫理観をもった日向は
これが間違った事だと認識してる


だけど

だけど

本当の日向は

もし

そんな常識なんてものがなければ
世間の目なんてものがなければ

本当は
私を愛したいって事が


人目がなければ
こうして二人だけの空間にいるなら
抱きしめずにはいられないくらい
私を好きなんだって事が

私が望もうと望まなかろうと
日向は私を抱きしめたいんだって

分かった


キスされて

キスをして

それが分かった



なんだ

日向は私が好きなんじゃん

なんだ
なんだ
なんだ

すっごくすっごく
私を好きなんじゃん

そう思ったら

↑投票ボタン。メッセージが変わります。



   − 2000年12月05日(火) −             next


★KINPEI★
◎ □横浜 ◎

ひなた 

ずるい 

ひどい

なんで

なんで

こんな誕生日なの?



でも

私もずるい


友達として

その時間を過ごす

それなら

横浜に行ける

それが私の決断

でも

その事を

日向に告げなかった



日向が出来る限りのことを

しようとしてくれてるのに

私は

友達ラインを守った行動しかしなかった

手も繋がない

くっついて座らない


でも

でも

だから

私は笑う事ができた


この人は恋人じゃない

単なる友達

気の会う友達



でも

そうやって過ごそうと

日向に告げてしまうには

日向にそう割り切られてしまうのには

悲しすぎて

ずるいの分かってた

傷つけてるの分かってた

でも

いえなかった


そうやって

ちょっとだけ

優位に立っていないと

私は涙が止まらなくなりそうだった


でもお互いに

ふとした瞬間に

表情が曇る

切ない顔をする

まぶしそうな顔をする


私は切なげに愛しそうに

見つめてくれる

その視線を拒否する事で

大丈夫

大丈夫って

自分に言い聞かせてた


友達になれるって

その視線に揺るがないように

流されないように

心を止めていられるって



そしてそうする事が

日向の望みなんだって

ずるい言い訳してた

日向はきちんと話してくれたのに

そうやって私は逃げてた

そうしてないと

普通にしていられなかった

日向の為にしてあげられる事が

何ひとつなくて

こんな風にしなくちゃ

自分が存在してられなかった



本当は分かってた

別れたら

明日が終わってしまったら

日向は

もう

そんな目で

私を見てくれる事はない

私がどんなに

視線を送っても

見事なくらい

無視してくれる

それが日向



でも

そう

知ってるから

今だけ

日向は私を好きだったって

確認させて


友達じゃない

愛情を持っていたって

私に見せて


私が拒否しても

ひるまない愛情を見せて

私が日向を愛したからじゃなくて

日向が私を愛してた

その証拠を見せて

日向が私にしたいと思うことを見せて


今日の私はそれを受け入れられないけど

でも見せて

見せて欲しい



私のそういうずるい態度に

日向は何も言わなかった

ただ

友達以上の行動を

欲してないのは

感じたから


そういう行為をせずに

普通に友達として

接してくれた


だから

私達は

普通の友達としての感覚で

横浜を楽しんだ


でも

表面上だけだったかもね

二人して

ずっと苦しかったよね



だって

食べる事大好きな二人が

日向の友達お勧めの

中華飯店に入って

いつもみたいに

注文して

でも

出てくる飲茶は

ちっとも減らなくて

一番のお勧めっていってた

シュウマイが

冷めてしまった。


一生懸命食べてるはずなのに

ちっとも減らなくて

だから

ついついそこに長居してしまった

ほんとに

不思議なくらい

減らなかった。笑



でも

横浜までの道のりと

中華街でのぶらぶらは

それでも

普通に笑ったりしてた

雑貨屋冷やかしたり

怪しい食材探したりしてた




でも私は

友達として過ごすなんていいながら

ずっと

この最後の夜に

一緒のベットで寝る事だけは

望んでた


手を繋ぐのも我慢できる

キスするのも我慢できる

でも

別々のベットで寝る事だけは

きっと出来ないって

思ってた


違うベットに入るくらいなら

私はベットに入らずに

起きているか

日向が寝てからこっそり

日向のベットに寄りかかって

寝る。


でも何でも言うとおりにしてあげる

って言われてて

それで

一緒のベットに寝ないなんて事は

それだけは出来ないって思ってた



ずるいってしってる

でも

それだけ

最後のわがまま

一緒に寝て欲しい

最後の夜だけ

日向の体温を感じていたい

きっともう

そんな風に

日向の体温を感じる事はないから


友達として過ごすって言いながら

どうしてもどうしても

それだけは

我慢できないなぁって

思ってた



   − 2000年12月04日(月) −             next


★KINPEI★
◎ □Before Birthday  ◎

アルの誕生日に横浜に泊まりに行く事になった。

誕生日の前の日、仕事が終わったら横浜に行って

ご飯を食べて、インターコンチで一泊。

レディースプランの安いやつ♪

(女の子同士ってこういうのが使えてお得だと思う)

次の日はお休みとってあるから

ゆっくり横浜散策。(*^-^*)


この頃は公演の準備やら発表会やらで

休み無し。

二人の時間なんてほとんど無くて

一緒に帰ることも

許されてなかったから


この日を楽しみに頑張ってきた

って感じ。


(イルミネーションは見に行ったけどね

でも時間にして40分くらいだから

デートというには短すぎでしょ?)


そうだったのに。

誕生日の前々日。

日向からメール。

アルはこないだみたいなのと

綺麗なのとどっちがいいですか?


こないだとは

イルミネーションを見に行ったときの

かっこいいかっこの事。


でもアルは日向が好きなのであって

かっこいいから日向が好きなのではないので

綺麗でもかっこいいでもどっちでもいいのだ。

ただ、普段とちょっと違えてると

見慣れないから、

ドキドキしちゃうのであって。

その方向性にこだわりはない。


どっちでもいいよ


貴女の好きな方を言って



何だか嫌な予感。


どっちも好き


それでは困ります。

明日は貴女のリクエストに応えたいから


なんかなんか

すっごく嫌な予感。


アルは日向だから好きなのであって

かっこよくても綺麗でも

どっちも好き



あえて言うなら

どっちがいいですか?



どうしてもどっちか

言わないといけないみたい。

こないだのかっこいい方



わかりました。

明日は貴女のリクエスト通りに

そして

私が貴女を愛すのも

それで最後にしようと思います

貴女を抱きしめたりするのは

それで最後にしようと思います

貴女の誕生日を

素敵な日にしましょう

私が出来る事全て

貴女が望む事全て

してあげたいです



なんかそういう予感した

返事をしたら

リクエストしたら

それを逆手に取って

なんか言われそうな

気がした


どんなかっこでもいい

そんなリクエスト

聞かなくていい


だから別れなんて切り出さないで欲しい


ひなた ずるい。


楽しみだったはずの誕生日は

一生来なければいいと思った


ずっとずっと

日向は別れるタイミングを

探していたんだ


私が

日向が私を愛してくれてる瞬間を

見つけるたびに

もしかしたら

この二人の関係を

少しずつ

受け入れてくれていると

淡い期待を抱いていた時


日向は

ずっと

別れるタイミング

探していたんだ



私が淡い期待を抱く瞬間

日向は別れを見つめていたんだ


なんて

なんて

切ない人なんだろう



私が幸せを感じていたあの時

日向は別れなければならない苦しさに

あがいていたのだ



それが分かってしまったから

やっぱり私は言葉がでなくなって


でもなぜ?


嫌だ。

別れたくない。

私の誕生日なのに

お祝いをしてくるのではないの?

素敵な日にしてくれるのではないの?

別れの為の最後の日にするなんて

そんなのひどすぎる。

やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ。


何でも言う事聞くから

わがまま言わないから

だから だから だから

別れるなんていや。

やだやだやだやだやだやだ。


そんなんだったら

横浜行かなくていい

お泊りなんてしなくていい

お祝いなんてしてくれなくていい

私が日向を好きでいることを許して

日向を好きでいさせて

なんで?なんで?

なんで今なの?


昨日までそんな素振り

見せなかった


楽しみだねって

言った


誕生日横浜行くんだから

頑張りなさいって

言った


それを励みに頑張ってたって

言った


それはみんな嘘?

その後ろで

日向は別れを考えていたの?

そんな誕生日にしようと思っていたの?


そんな誕生日が励みになってたの?


うそつき。

うそつき。

うそつき。



ひどすぎる日向。

別れるための誕生日なんて

祝いたくない

横浜へなんて

行きたくない

明日が来なければいい




でも日向はいう

私は貴女が好きだから

出来る限りのことをしてあげたい


でも貴女がそれを望まないなら

来なくても

いい




望まないのは

別れ



貴女に会いたい

貴女と時を過ごしたい

会いたくないはずが無い



私はひなたが好きです。


貴女が私の望む事をしたいと

思うように

私も貴女の望みを叶えたいです


あなたが私との別れを望むなら

そしてその最後の日を

私の誕生日を幸せにすごす事を望むなら

私はその願いを叶えたいと思う



だから

私は明日行きましょう


でも

お願い

行くけれど

それは友達として

行かせて欲しい

貴女が別れを望む以上

私は恋人にはなれない


友達として素敵な日をすごしましょう

手も繋がない

隣には座らない

キスもしない


普通に女二人で

横浜で遊んできましょう


それが貴女と横浜へ行く

私のぎりぎりのところです


恋人として最後の日なんて

過ごしたくない

明るい未来のない

希望のない時間なんて

過ごしたくない

夢を持ってはいけないなら

希望を持ってはいけないなら

これ以上

私に幻想を見せないで




楽しく過ごすなら

友達としての

スタートにしましょう

素敵な友人関係にしましょう

これでよかったんだと

思える道を私にください



それが私の20世紀最後の誕生日。

   − 2000年12月02日(土) −             next


★KINPEI★
◎ □イルミネーション ◎

アルは12月が大好き。

世の中クリスマスであちこち素敵な

ショーアップされてて。

お店に並ぶ雑貨もかわいいし

沢山のサンタは愛らしい。


素敵なイルミネーションが

あちこちで見られて

幸せな気分になる

この季節。


でも

アルは今まで

このシーズンを幸せに

すごした事が無い!!(>_<)


このシーズン直前に別れたりとか

終わった後に付き合いだしたりとか

極めつけはクリスマスに別れたりとか


そんなんだから

この素敵なシーズンを

大好きな人と満喫した事ないんです。


今年は大好きな人はいる

その人は忙しくて

一緒にイルミネーションめぐりとか

してもらえないけど


でも

サンタがかわいいよ

とか

ストリートジャズセッションが

かっこいいよ

とか

メールしたりは出来るから

ちょこっと幸せ。



練習の帰り

日向の帰り道で見られる

イルミネーションスポットに誘って見た

このころ

恋人っぽい事は半分くらい拒否されてたから

だめかなって思いながら

でもきれいなイルミネーションは

友達同士でも見に行くじゃんっ

とか

心の中で思いながら


そしたら 珍しくOK

練習の後 いけることになった。

でも、練習の後、

みんなでご飯。

そういうのはキャンセルしてくれないんだ。

早く行きたいのに

友達としゃべったり

いつも通りのゆっくり


行く気があるのかないのか

分からないまま

友達とも

おざなり


望んでない時間は

ただひたすらつまらないだけで



いいって言ったけど

もしかして

行く気ない・・

もしくは

忘れてる?


ドキドキしながら

時間は過ぎていく


日向は先に帰る気配は見せない

みんなと一緒に帰宅


いつものぎりぎり解散時間

こんなに遅くなるとは

思わなかった


今日はもう無理

明日は会社

タイムリミット

過ぎてる



やっぱり安易に喜んじゃいけないなぁって

思って

次の機会は多分もう無理

今日よりもっと状況が悪くなってるはずだから

今日行かれないんじゃ

次は無理


行きたかったけど

仕方ないかって思って。


日向はいけるなら行ってもいいよ

っていうレベルで


デートだって

その時間を大切にしてくれる訳じゃないんだ


期待しなけりゃ良かったなぁって

いつでも簡単に期待しちゃう自分を責めながら

でも

せめて

日向の口から

この結末を聞きたくて


忘れてたのか

行く気が無かったのか

行こうと思ったけど

抜けれなくなってしまったのか


それくらいは

約束したんだから

聞きたくて

とりあえず日向の帰り道についていく



そしたら


行こう



って

言われた




だってもうこんな時間。



電車だってなくなっちゃうよ

もう消えちゃったかも知れないよ



え?そうなの?



そうだよ。遅くなったら消えちゃうよ。



電車はまだ大丈夫。

時間はちょっとしかないけど

それでもよければ行こう



時間がちょっとしかないのは

なんで?

最初からそのつもりだったの?

聞きたいけど聞けない。

私はもう無理だと思ってたよ

諦めてたよ



いつも帰りが遅くて

体がキツイって嘆いてたじゃん

少しでも早く帰りたいって

言ってたじゃん


だから今日はもう無理だって思ってたよ


それでも 時間がわずかでも

一緒に見れるなら嬉しい。

思いは言葉にならないまま

「行く」

とだけ言う。



やっぱり

イルミネーションに近づくにつれ

すごく嬉しくなってくる


ドキドキしてくる

これだからクリスマス大好き


綺麗。



ちょっと寒いけど

日向がくっついて歩いてくれてる。


夜だから暗いし

なぜだか今日の日向はかっこいいかっこしてるし

帽子被って、絶対普通の男の人に見える!!

手を繋いで歩いてても

ラブラブしてても

絶対普通のカップルに見える♪


そう言ったら

ばかって言われた。

どうして??


だって今日の日向はすっごくかっこいい

最初遠くで見た時に誰かと思っちゃったもん

かっこよすぎて。

ドキドキして近寄れなかったもん

みんなみたいに

簡単にそばに寄れなかったもん

ほんと かっこいいvv



自分でも単純って思いながら

目の前のイルミネーションにうきうき


見に来るだけでも嬉しいのに

隣に日向がいるんだもん

こんな幸せな事無い



付き合ってくれてありがとう。

ふたりでイルミネーションの間を歩きながら

ぶらぶらと終点まで

そこからぼーとながめつつ

なぜだか茂みの影へ


日向がぎゅーって抱きしめてくれた。

心臓はばくばく

されるがまま


そしてこーなると

お互い理性が飛ぶ。


本当にぎゅーってしてもらうの

久しぶりだったから


友達として

隣にくっついて座ったりとか

友達として腕につかまったりとか

そういう一瞬のスキンシップは

あったけど

一方的にアルからだけだったし



恋人として

触れ合うのは

日向から私に触れてくれるのは

すっごいすっごい久しぶりだったから

止まらなくなった。


自分たちでも困っちゃうくらい

離れがたくなってしまって

気づいたら

イルミネーションが消えてた。


・・・。

しばし絶句な二人。

時計を見れば終電ぎりぎり


こ、こんなはずでは。

イルミネーションは

半分しか見ていないのに。

もう半分は見れないまま

消えていた。



一緒に見れなくて

悔しいような

でも、あの時間は

絶対絶対離れられなかった。

途中でその事実に気づいたとしても

「見たいね」

「うん」

で終わってたと思う。



ひなたが何を考えているか

分からないけど

やっぱり

アルは

日向が好き

っていうところで

この日も終わる。





↑エンピツの投票ボタンです。


   − 2000年12月01日(金) −             next

BACK INDEX
MAIL BBS

My追加

Illustration by : mons45
Design by : [ m  U ]