アンリ・マティス「ジャズ」(岩波書店)読了。マティスにとってのジャズとはまさに活き活きとした生命そのものをさしているようだ。切り絵に添える肉筆のテキストは、テキストとしてではなくタイポグラフィーのような役割だと断ってはいるけれど、その内容はいかに「自由であること」に厳しい人であったか、教えてくれる。18世紀の日本画家たちへの言及もある。彼らもまた自由な精神であり続けようとしたのだ。 鮮やかな切り絵の配色と造形がこちらの精神を揺さぶってくる。気がつかないうちにぼくの内部は動き出しているに違いない。
1ヵ月遅れで「新潮」一月号再読。あらためてぼくが好きなの作品を挙げると高村薫さん「ある田舎教師の告白」、堀江敏幸さん「欄外の船」、高橋源一郎さん「さようならクリストファー・ロビン」。京都新聞の文芸時評で取り上げられていない作品ばかりだ。最近、同時評とぼくの好みがずれてきていて、それはそれで面白い。 ぼくは平野啓一郎さんの「スロー・リーディング」に共感し、実践しているので、月刊誌もとにかく時間がかかる。二月号は一回さあっと読んだだけ。これから、だ。
「Invitation」は川上弘美さんの作品にすすんでいる。いまのところ、というかまだ三作品しか読み終えていないけれど、小川洋子さんの「巨人の接待」がいちばん好きだ。
ブルボン小林さんの週刊現代に連載しているコラムを読む。この方の気を遣った言葉のとりあげよう、(というか、持って回ったような語り口)がとても好きだ。
一日を終えて、特に堀江、高橋両作品の感触がまだじーんと残っている。孤独な魂の背中、のような。
さらにe−honからのメールで高村薫x藤原健の対談がまとまって出る事を知る。去年の11月に予約したもの。もうでないのかと思っていた。小説家と新聞記者による何年にも渡る対話である。毎日新聞社から。
明日は自分の原稿を進める。
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