久しぶりに二番目の作品集「音函」の注文が入り、本を制作しました。 最初の「光函」はゴザンスで作ってもらったので印刷屋さんが仕上げた並製本の本だけれど、「音函」からは自分で本を作っています。
三作目の「街函」はページ数も増え、版も大きい(A4)。そして製本糊による仕上げにしていました。 ところが読者から、やっぱり「音函」の体裁(A5,173ページ)がいちばん好もしいという意見がけっこう多く寄せられたのです。
鞄にはいるのでどこにでも持って行けるし、どこでも読める。「街函」は重くて寝ながら読むときたいへん。「街函」をいくつかの分冊にしてくれると助かる。などなど。
制作する側から言わせて頂くと、「街函」よりも「音函」の方がはるかに簡単に作れます。「平綴じ」でつくれるからです。
それに糊製本だと剥がれる危険性があるけど、ホチキスで閉じるのでその心配はないし、(「音函」制作時に手に入れた「製本用巨大ホチキス」は健在だし) かかる費用と時間についても、200部以上になると「平綴じ」が断然安いし効率的。 一冊だけ作るなら糸綴じの上製本をつくるけれど、数を作らなければならないからなるべく簡素な方法にしたいのです。
それでも「街函」で面倒な製本糊による並製本にこだわったのは、「平綴じ」に致命的な難点があるからです。 それは「化粧断ち」が不可欠だということ。
印刷した紙を束ねてまん中で二つ折りにしてとじた形を想像してみてください。 まん中に尖った「山」が表紙の幅からはみ出して必ず出来てしまいます。 「化粧断ち」とはそれをすぱっとまっすぐに切りそろえることです。 これをしなければ不細工な上にページがうまくくっていけません。
ネットで検索してみると多くの私家本制作者がカッターの鬼となり涙ぐましい努力をしているのがわかるのだけれど、最終的には大抵製本屋さんの手にゆだねています。 ぼくも「音函」制作時は300部を超える作業になるので、製本屋さんに依頼しました。一部15円程度でやってくれました。
実際のところやってくれただけでもあり難いのです。本来、そんな小さなロットだと門前払いが普通なのです。ましてや現在のような受注発注にしていると一部だけ持って、お願いします、といっても誰も相手にしてはくれません。
将来的には自前で裁断機を購入するしかないのです。ずっと自分で本を作り続けるのなら絶対必要なもの。 だけどとりあえず「今」どうするか。なるべくお金もかけたくないですし。
で、閃いたのがカッターにこだわってみること。 要するに本の縁が揃っていないだけで、あとはパソコンとプリンターで出来てしまうんだから、その部分も家でやっつけてしまいたいという気持ちが、そっちの方向に目を向けさせたのでしょをう。
実は接着剤(テープも含む)とカッターはもの凄い進化を遂げています。 もちろんどちらも文具店にはなく、ホームセンターの工具売り場にあります。
カッターだけでも、ダンボールをざくざく切るものや、厚紙、布でもすっぱり切れるものとか、用途別に20種類ぐらいあるんじゃないかな。
で、狙いをつけたのは額縁職人さんが使っていたベニヤ板が切れるカッター。 重ねた分厚い紙の束が切れないのは刃が柔いからで、ベニヤが切れるカッターなら強い力を加えてもしならない。つまりまっすぐ切れるはず、とよんだのでした。 早速ホームセンターで購入。家に帰ってやってみると見事に切れました。
あるんですね。
明日、メール便で新しい読者の方に届けます。
ところでこの作業を見ていた友人から、いい方法がみつかったみたいだから、そのサイズの本を次々と出すように、と「注文」がきました。 今のプリンターの性能とパソコンソフトで本は十分作れます。無敵のカッターも手に入ったし、あとは書き手の腕ですね。
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