「花のお好きな方、どうぞご自由にお持ち帰りください。鉢もどうぞ」 と段ボールの裏にマジックで書かれて玄関の横に貼ってあるお家がありました。
玄関は通りに面していて、家の壁と道路とのわずかな隙間で、鉢に植栽をされていたのです。ゼラニュウム、ベゴニア、サボテンなど健在なものもあれば枯れてしまって元々何が育っていたのかわからなくなっている鉢もあります。
ハナとの夕方の散歩コースにある、わりと近所の古い家で、その貼り紙があるまでその家に、おばあさん一人だけで暮らしていたことを知りませんでした。
昨日、息子さんのような方が来られていて、おばあさんと引っ越しの段取りについて玄関でしゃべっているのが、聞こえてきました。 体が不自由になって、息子さんたちと一緒に暮らしていくような話しぶりでした。
そういえば、このミニ花壇が荒れているな、とおもった頃があって、たぶんその時は体が思うように動かなかったんでしょうね。
実は今、ある花の登場する、下町を舞台にした掌編を書いている途中で、鉢をもらおうかどうかと考えているところです。その花の鉢もあったものだから。 これを書いたらのぞいてみようと思いますが、この辺はみんな植栽が好きだからもうないかな。
「花のお好きな方…」 とてもきれいな楷書で書かれていました。
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