散歩主義

2004年07月31日(土) 重慶

今夜、日本サッカー史上、決して忘れられない試合がありました。

場所は中国・重慶。アジアカップの決勝トーナメント、準々決勝、対ヨルダン戦です。
ヨルダンはこの大会の台風の目。誰もが目を疑うほどの強さを見せつけて決勝トーナメントへ進出してきました。特徴は徹底的な守備の強さと玉ぎわの強さ。

日本がこの大会、これまで戦った相手の中で最強の相手でしょう。
体ごとぶつけてくるようなコンタクトの強さに日本選手は何人も倒されていました。反則をまったく怖れていない。これにはイエローカードが累積しないという、この大会独特のルールが影響していますが。

そして、なんといっても会場全体が「反日の砦」と化していること。日本がボールを持つと大ブーイング、そして「ヨルダン、ヨルダン」の大合唱。

ここで冷静さを失ったり、かの国の国民感情を非難するのは愚。
と、いうことをたぶん選手も日本人もサッカーというスポーツをとおして学んでいるなと強く感じました。
日本は成長している、と。

重慶という土地が先の大戦で日本軍によって占領されたのは歴史的事実として動かせません。故に「反日感情が高い」、と。それも致し方ないでしょう。
それを全て引き受けてピッチに立つ選手たちに拍手を送ります。

「スポーツに政治を持ちこむな」ジーコ監督は中国政府に対して正式に抗議したといいます。

ブーイングや妨害は当たり前。そんなことは経験済み。もっと厳しいアウェイを経験しているから。
ジーコが言ったのは、日本人の観客を入れないことと、国歌にブーイングを続けること。それをやめろ、と。よその国ではありえないことでした。
実際、チームは有形無形のプレッシャーを浴び続けています。

しかし、やはりそうではないんだと言いつづけることが大事だし、さらにそういう立場のときは勝つしかないんです。
その勝利の重みと凄み。

はっきりいって、日本は敗戦寸前でした。運までにも見放されて。PK戦で負けたと誰もが思ったでしょう。何故勝てたのか。
勝つことを諦めなかったからです。誰一人あきらめなかった。

ヨルダンは「勝った」と思った。その差です。
日本が勝った時のスタジアム全体を包んだ落胆のうめき。
それが忘れられません。
こんなタフなステージでも日本人は戦えるようになっている。それも爺さんたちの世代の起こした戦争という愚までを引っ張り出されてもなお、クールに、自分たちらしく。
ぐっ、ときました。

今日のピッチに立った選手たちをぼくは誇りに思います。
この勝利だけでもこの大会での価値はありました。日本は大きく成長したと思います。

「ジーコ・ジャパン」。あまりに「日本的」であるが故にその欠陥も指摘されるところですが、それゆえの強さ、タフネスさをいよいよ身につけてきましたね。
次はバーレーン戦。そして向こうのプロックでは中国と韓国が勝ち上がってきています。



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