周回遅れに気をつけろ!
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見舞いでもあるが、正確には専務から、 「仕事が不安だから、打ち合わせをしたい」 と召集がかかり、同僚と共に病院へ行った。
手術後経過も良く、2日後には集中治療室から 一般病棟へ移り、本人はもうなんともないとか。 ただ医者は「油断するでない」と 2週間の安静を命じたけど、その順調な回復ぶりに、 10日で退院の許可が出たらしい。
見た感じは以前と全然変わらない。 唯一違うところと言えば、胸の中央に 電気ショックを与えた火傷の痕があるくらいだろうか。 社長は「一時意識を失った」という言い方だったが、 実際は専務も手術中に心臓が止まったらしい。
心停止を繰り返し、意識不明の状態で手術を行なった社長と違い、 意識がある状態での部分痲酔による手術だった専務は、 カテーテルによる手術中に意識が遠のく瞬間があり、 再び目を開けた時には、医師と看護婦が 自分の顔を覗き込みながら「起きてくださーい!」 と叫んでいたから、その時だろうと言っていた。
結局すっかり元気そうで何よりだが、 いきなり倒れて死にかけた社長には、 心臓に痛みを感じた記憶が全くないのに対して、 (生命の危機に瀕した瞬間の記憶は できるだけ思い出さないようにする 防衛本能があるとか) 専務は徐々に痛みが増していき、 それが堪え難い痛みにまで達した記憶が残っているから、 (胸を火箸で焼かれるような痛みらしい) この病気に対しては神妙な表情であった。
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