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2002年11月21日(木) |
『ザ・リング』を観た |
 原作:鈴木光司 監督:ゴア・ヴァービンスキー 出演:ナオミ・ワッツ、マーティン・ヘンダースン ワーナーマイカルみなとみらいにて鑑賞
『リング』は、日本でも映画化されたけど、 私はそちらを観ていない。 ビデオで日本版を観てから ハリウッド版を観ようと思っていたのに、 うっかり観てしまった。(うっかりって・・・)
今回の『ザ・リング』は、 原作小説の映画化ハリウッド版かと思いきや、 どうやらそうではなく、 日本で映画化した『リング』の ハリウッド・リメイクのようだ。 小説から見ると、孫映画化。
小説の映画化ハリウッド版と思っていた私は、 急いで原作を読んだのに、 (実は映画が始まる直前まで読んでいた(笑)) ほとんど意味がなかった。 と言うより、原作を読んでしまったばかりに、 映画のショボさが浮き上がる形になってしまった。
原作は、実に290万部も売れたとのこと。 平成5年4月に文庫本の初版が発行され、 私が買ったものは平成11年2月発行の第35版。 ホントに売れてるのね。
この映画では、原作の設定を そのまま踏襲している箇所はあまりない。 日本とアメリカとう地理の違いがあるから、 それは当然かもしれない。 しかも、基本的には謎解きミステリーのようなものだから、 その謎解きも日本版と同じにしたくなかったのだろう。
登場人物の設定はおろか、 ビデオテープに念写されている映像も 全然別物に変えてきた。 そのため、謎解きを全て再構築することとなる。 これは、観客に新たな楽しみを与えたが、 練りの甘い謎は落胆を呼ぶことにもなる。
このストーリーの中での疑問点である、 『このビデオはどうやって作られたのか?』 『なぜコピーすると助かるのか?』 そういったことの解答は、 この映画の中では示されない。
呪いという古(いにしえ)の業とも言える行為を 現代に結びつけたビデオテープは、 単なる謎を解くヒントとしてしか扱われていなく、 脚本家は原作を読んでいないのでは? と疑いたくなってしまう。
貞子に変わるサマラという女の子の呪の対象が謎、 ストーリーとは関係なく霊感を発揮する 主人公の息子のキャラも謎。 謎だらけで、死がそこまで迫っているという 恐怖感を見る側に与えることなく、 話は終わってしまう。
余りの恐怖感のなさに、日本の配給会社は、 怖さ転じて笑いとなす的売り方に走ったかも。 チラシの映画紹介に書いてあった 『この豪華スタッフ・キャストにより、 見たら死ぬビデオ、見ないと後悔する映画は作られた。』 という文章にも、微妙なウケ狙いを感じるし・・・。 「見たら1週間後に死んじゃうかもよ。」 そうお約束のギャグを言いながら チケットを買っていた女の子がいたくらいだから。(苦笑)
映画自体は全然怖くはないけど、 『グラディエーター』『ハンニバル』『M:I-2』 の音楽監督でもあるハンス・ジマー作曲の エンドロールで流れる音楽は、なんだか怖かった。(笑)
日本の小説が原作であることを ちらっと画面上で表現したかったのか、 カルテに漢字で書かれたものがあったり、 サマラの父親が住む家の壁に、 不自然に掛け軸があったりするのには苦笑した。 エンドロールに、セットデザイナーとして、 Maya Shimouchi(もしかしたら名字は 間違ってるかもしれない)の名があったので、 この人の仕業に違いない。(笑)
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