2022年06月10日(金) |
あきらめられない嫁ちゃん |
あれから2日間ずっと嫁ちゃんがチビを探し続ける声がしていた。 遠くでかすかに聞こえたり、うちの庭で聞こえたり。
うちの庭に来た時、カーテンを開けると「子供が見つからないの!知らない?どうしようどうしよう!」と、悲痛な声であたしに訴えかけたりしてた。8日から9日の朝までは結構な雨だったから、嫁ちゃんはずぶ濡れだった。 誰だって子供がいなくなったら半狂乱になるよね。 かわいそうでかわいそうで胸が締め付けられた。
そして今は探す声がしなくなった。 その代わりに、天敵のあのオス猫チャトもどきの「俺がここのボスだ」っていう鳴き声がしてる。
あたしになんとか出来なかったのかとずっと自問自答してしまう。 あたしも何度か近所を探して、子猫には危険だらけだと改めて思った。あのチャトもどき以外にもたくさん。 大きなカラスもいたし、蓋の無い側溝の水流は雨で速くなってたし、車の往来も結構ある。
よそ様の猫だけど、今回の件の一部始終を知ってるのはたぶんあたしだけだ。 カーテン越しに見た嫁ちゃんとチビが脳裏に焼き付いてる。 うちの庭のアジサイの下で2匹で丸まってる姿。 ぴょんぴょん遊ぶチビを見守る嫁ちゃん。 嫁ちゃんをビックリさせようと後ろから飛んで抱きつくチビ。 本当に可愛かった。
愛すべき者が増えると心配や不安も増えてしまう。 その者が、あたし以外の誰かにあたし以上の愛情を貰っているなら気も楽だけど。 たとえば、独身で身寄りもペットも無しだと心配するのは自分のことだけで済むんだよね。 ある意味それは幸せなんだとも思える。 あたしは身寄りが減ったしペットもチーソゥだけになったけど、チャトと嫁ちゃんとその子供にすっかり情が移ってしまっていた。 よそ様の猫にがっつり愛情を持ってしまっていた。
一部の人は今も、猫を放し飼いするのは普通だと思っている。 隣家がいい例だ。 そしてきっと去勢避妊手術なんて端から頭に無いだろう。もし何かあっても病院には連れて行かないだろう。 去勢避妊をしなければいけないとか放し飼いをしたらいけないなんて法律も無い。 あたしにはそんな飼い方は愛情が無いと思えてしまうけど、「去勢避妊手術なんてかわいそう」「猫は外でのびのびしてるのが1番」と思う人も多いわけで、それがその人の“愛情”なのかもしれない。 考え方の違いなだけで、隣家にしてみれば悪いことなんてしてないんだろう。
うちの縁台で仲良く寝てるチャトと嫁ちゃんの姿を見て、あたしは癒されてた。このままこの猫達がずっと幸せであってほしいと思ってた。外飼いされてる猫達だから不安ではあったけど、まさかこんな未来が待ってたなんて。
嫁ちゃんはまだ探してるんだろうか?
やるせないよ…。
■ AM 3:30
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