千恵が「大変なの!一緒に実家に行ってくれる?」って、いつもより早目に電話してきた。 千恵の実家の真ん前にある三階建ての家が全焼したって言うわけさ。 「実家は大丈夫だったの?!」って聞いたら「庭の垣根や植木が燃えちゃったけど、風向きのおかげでそれ以上の被害は無く済んでるみたい。」と。 千恵の実家は同じ市内で、車で数分。結構近い。 で、一緒に行ってみたら、消防車やパトカー、その他にも集まってきた一般車両もいっぱいでなかなか進めない。 「庭が燃えたって言ってたけど、大丈夫なのかな?」と、不安そうな千恵。 警察官が交通整理してて、「このさきは関係者しか入れないよ!」って言ってきた。千恵が「火事のあった裏があたしの実家で、庭が燃えちゃってるらしいんですー!」って言ったら「ああ、そう。じゃ、行っていいよ。」って。 現場周辺は立ち入り禁止のテープが張り巡らされ、千恵の実家も入れないようになってたんで、車を近くに停めてから歩き、なんとかたどり着いた。
火事のあった家は、もう骨組みだけしか残ってなかった。 ところどころ、まだ煙が立ってた。 千恵の実家は、垣根が炭みたいになってて、庭中に飛んできた燃えカスが散乱。 燃えてしまった垣根越しに、全焼した家の中が見えた。 警察官や消防士が囲んでる真ん中に焼死体らしきものがあった。 亡くなったのは、40歳くらいの独身女性だって。
千恵の実家に火事見舞いに来た人達にお茶を出したり庭の掃除したりして、そのあと、いつも通り買い物に。
■PM 1:35(5日の昼)
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