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2005年07月18日(月) ザック・ワイルド レルポール完成!

注文しておいたEMGのピックアップセットが届いた。
EMGへの換装はピックアップだけではなく、ギターの電気系統の全てを交換する必要がある。
フロント用にEMG-85、リア用にEMG-81。
ザック・ワイルドと同じ構成である。
改造の元ギターは先週、新品で買ったばかりのレスポール・カスタム。
ギブソンのカスタムショップ製。

早速、ギターの改造に入る。

EMGは電池が必要なアクティブタイプのピックアップであり、一般的なエレキギターのパッシブタイプのピックアップとは構造が異なる。
購入してから一週間しかたっていないギブソンレスポールの電気系統を総とっかえ。
カスタムショップ製の新品のギターの電気系統をエイヤっ、と全てバラす。
ニッパーで配線をぶちぶちと切っていく。
ああ、何て罪深い。
パッシブからアクティブへの交換なので、ボリュームやトーンコントロールなどのポットやコンデンサなども専用のものに交換する必要がある。
いいのかなあ・・・、と思いつつ新品のレスポール・カスタムからパーツをはずす。

ギターの改造は、学生時代にはよくやっていた。
中学生の頃から、ギターは買ったら即、改造するもの、であった。
安いギターしか買えなかったので、改造してチューンアップするのが当然だった。
中学生の頃、生まれて初めて買ったエレキギターも購入後、1週間でバラバラにした憶えがある。

ギターをバラすのは久しぶり。
電気系統の総とっかえなので、ハンダづけが必要である。
ガキの頃は、市販品のエフェクターを買うお金がなく、自作していたので、回路図をみながらのハンダ付けもよくやっていた。
でも、今は、ハンダ付けなんてやる機会はまずない。
コンピュータはいじるけど、アナログな電気回路をいじることなどない。
高校生の頃以来のハンダ付け。

英文の回路図を見ながらギターの回路を配線していく。
結構面倒。
意外に配線がややこしい。
狭い場所にハンダ付けしなくてはならない。

ハンダ付けは久しぶりなので、おたおたしながらハンダで配線を繋いでいく。
音が出なかったらどうしよう・・・。
ちゃんと音が出るのかなあ・・・。

ギターをバラして、電気系統を全て外し、新たな電気系統の配線を行う。
EMGのピックアップ本体は、コネクターに挿すだけなのだけれど、電気系統はハンダ付け。
2時間ほどかかって、仮組み完了。
思っていたよりも作業に時間がかかった。
ちゃんと音が出るかどうかわからないので、まずは仮組み。

見た目。
カコイイ!
ゴージャスさがちょっと嫌味だったレスポールカスタムが精悍な感じになった。
弦を張る。
ザックワイルド仕様への改造なので、ザック・ワイルドと同じくテールピースの逆から回す変則的な弦の張り方をしてみる。
何の効果があるのか良くわからないけれど、ザック・ワイルドがそうしているんだから、僕も逆に張るのだ。

恐る恐る仮組みのギターをマーシャルに繋ぐ。
ちゃんと音が出るか?
いい加減なハンダ付けがうまくいっているか?
配線忘れはないか?
とりあえず仮組み状態でテスト。
ジャキーン!ザグザグ!ゴリゴリ!
音デター!
問題なし。
ノイズもなし。

音色がどうこう言っている余裕はない。
音が出ただけでうれしい。

仮組みから本組みへとパーツを組み直す。
あれ?
何か変。
ボリュームやトーンのノブの高さが異様に高いぞ。
ノブの位置が通常よりも数ミリ高い。
格好悪い。
何じゃこりゃ?
レスポール用の専用パーツをオーダーしたはずなのに・・・。

もう一本のレスポールであるスタンダードのバックパネルのネジを外し、構造を比較することにした。
んんん?
スタンダードとカスタムでは、電気系統の構造が異なっている・・・。
スタンダードとカスタムの違いなのか、1959リイシューと1968リイシューの違いか。
よくわからないのだけれど、電気系統の構造が異なっている。
1959リイシューのスタンダードは、鉄板の上にパーツが装着されているのに対し、1968リイシューのカスタムは木に直付け。
EMGのポットは、1959リイシューのスタンダード向けに設計されているのか?
同じレスポールでも電気系統の構造が違うのだなあ・・・。

うーむ。

ちょっと工作するか。
余っていたパーツで工作して、何とかノブの高さを合わせた。
工作している途中で、おっとおっ、配線がはずれる。
ハンダ付けが甘かったらしい。
はずれた部分をまたハンダ付け。
ハンダだけでは配線がはずれるかもしれず、不安なので、ハンダの上からアロンアルファで補強。
本組み完了。

音OK、見た目OK。
テスト合格。

う〜ん完璧っ!

完成した時点で夜が深けていたので、マーシャルには繋げない。
マーシャルは爆音アンプなので、深夜には使えない。
僕の愛用アンプはマーシャルのスタック。
そもそもマンションに置いておくようなアンプではない。

夜用の小さなデジタルアンプに繋いでみる。
大きな音は出せないので、小さな音でテスト。
音が小さくても、EMGの音はノーマルと全く性格が異なっていた。
繊細な凶暴さ、というか。
凶暴なのだけれど、コントローラブル。
荒々しいのだけれど、ノイジーではない。
ゴリゴリに歪むのだけれど、一音一音が明確。
音が潰れない。
確かに一世を風靡したピックアップだけのことはある。
パッシブのリプレイスピックアップもたくさんあるけれど、EMGはアクティブピックアップであり、構造がそのものが異なるので、変化して当然、ではある。
ローノイズ、ローインピーダンス。
ピックアップそのものは低出力で、バッテリーで増幅させる。
低出力なので、ノイズが乗らない。
爆音にしても音が潰れない。

反面、ノイズが全くないので、少し違和感。
アナログレコードとCDの違い、というか。
音はじゅうぶんに太いし、甘い音も出る。
でも、人工的な感じがする。
感覚的にデジタルな音。

感じ、感覚、という表現は曖昧だ。
何なのだろう、この違いは。
人工的で、デジタルな感じ、感覚の源泉は、ノイズのなさ、音の潰れなさ、のようだ。
全くノイズがない、いくら歪ませても音が潰れない。
冷静に考えれば、利点なのだけれど、慣れないとそれが人工的でデジタルな感じに聴こえる。
EMGはアクティブだけどアナログ回路で、ノイズがフィルタリングされてカットされているのでもなければ、デジタル出力で非可聴領域がカットされているわけでもない。
構造がローインピーダンスであることからノイズが乗らないし、音が潰れない。
パッシブピックアップのノイズ、音の潰れ、のほうが本来はおかしいのである。

ノイズは問題外としても、音の潰れはアナログ楽器であるエレキギターにとってはある種の味、とも言える。
だけど、それはアンプの真空管に過負荷をかけてオーバードライブさせることが王道。
ピックアップで音を潰すのは、おかしい。
ピックアップからはあくまでもクリーンな音を出力し、アンプ側で歪ませるのが正しい。
アンプで音を潰せなければ、ファズなどのエフェクターを使うべきだ。
ピックアップは音響特性に癖があっても構わないけれど、ノイズや音の潰れがないことが正しい。

そういう意味でEMGはピックアップとして正しく機能している。
慣れとは恐いなあ。
ノイズや音の潰れを当たり前、と認識していると、EMGでは違和感を憶える。
EMGはアンプやエフェクターのセッティングがモロに出る。
微妙なセッティングが音にそのまま反映される。
エレキギターとしては最高のシステムだろう。

音響特性は、今回、僕が取り付けたEMG-85とEMG-81でも大きく異なっていた。
僕は、フロントにEMG-85、リアにEMG-81をインストールした。
EMGのカタログサイトから引用。
「EMG-85はEMG-81よりも大きな測定出力持っており、周波数特性は異なります。 EMG-85はアルニコマグネットを使用した2つのコイルに微妙なすき間をとり、 力強いローエンドとファットなトップエンドを獲得します」
音響特性としては、フロントにEMG-81、リアにEMG-85のほうがふさわしい気もする。
僕は、EMGの設計思想からは逆の装着をしている。
僕の場合、フロントは甘いリード専用、リアはハードなリード、ゴリゴリのリフに使うことが多い。
スペックだけから判断すると、本来は、フロント、リアともにEMG-85にすべきである。
リアがEMG-81、であるという点は矛盾がある気もする。
本来ならリアもEMG-85にすべきではないのか?
今日は、低出力のミニデジタルアンプでしかテストできなかったので、後日、マーシャルでテストをして考える事にする。
スペックではなく、自分の耳で判断しなくてはならない。
電気系統は既にアクティブ仕様なので、EMGピックアップの交換は容易。
コネクタをはずすだけなので、さまざまなパターンをテストできる。
数分もあれば、ほかのEMGピックアップに交換できる。
いろいろ試せ、と。

組みあがったギターを見る。
惚れ惚れ。
やっぱり吊るしとは違う。
ギブソン・カスタムショップ製のレスポール・カスタムにEMG。
まさに俺様仕様。
自分でイジってこそ、俺様仕様。
楽器は、ちょっとした(ちょっとしてないけど)改造であっても、自分の手を加える事で、自分のモノとなる。

気合い入り過ぎ感もある。
ギターを弾く時間なんてほとんどないくせに。
マーシャルだって、爆音アンプなので、夜は音が出せない。
ちょっとやり過ぎ?
「盆栽」ともいう。
「盆栽」というのは、ギターでもバイクでも何でもいいいのだけれど、必要も無いのに、高性能をめざしてひたすら改造を行う行為である。
僕のギターおよび、ギターシステムはプロ以上のものになっているし、バイクは280キロくらい出るらしい仕様になっている。

ガキの頃に夢見つつもできなかった事をおっさんになってから、実現してるんだよっ。
ギターのせいで、左手の指先の皮がボロボロだ。
指が痛くてギターが弾けません。
久しぶりにハンダごてを握って、ギターの改造、っていうのも悪くはない。
「盆栽」だって、プロまかせではなく、自分の手でやってるんだからいいじゃん。




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