斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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最近、僕は、在宅勤務にしてオフィスには出勤しない日がある。 会社には、在宅勤務という概念がないので、休暇扱い。 社内手続き的には、休暇扱いなのだけれど、実際には自宅で仕事をしている。 僕にとっては毎日、出社する意義が見いだせなくなりつつある。 僕は出社するのが面倒だと、自宅で仕事をする。 休暇扱いになろうと、出社する気分になれない。 出勤するのが嫌なのである。 仕事をするのが嫌なのではなく、出勤、電車に乗るのが苦痛なのである。
僕は、電車が嫌いだ。 満員電車に揺られて、朝9時に出社することに何の意義があるのか? 新聞も読めないくらいに混み合った車内。 無線でPCを接続しようにも地下は圏外。 携帯電話も地下鉄では繋がらない。 通勤時間中は僕にとっては空白時間になってしまう。 地下鉄に乗っている時間帯は、僕にとっては連絡のとれないハイリスクな時間帯なのである。 僕は、起床後、出勤寸前までメールを確認し続ける。 メールには即座に返答する主義の僕としては、仕事のメールを打っていて出社時間が遅れる、というワケのわからない事態も多くなった。 遅刻の理由は、寝坊じゃないぞ、そこんとこ4649。
僕の名刺に書かれた固定電話の直通番号は、携帯電話に転送されるようになっている。 僕は、常にPCを持ち歩いているし、携帯電話でも業務メールのやりとりができるようにしてあるので、僕の物理的身体がオフィスにいなければならない理由はほとんどない。 自宅でもオフィスでも仕事は変わらないのだから、早朝から仕事はするけど、出社時間はラッシュアワーを避けさせてくれっ。 東横線のラッシュアワーでは、満員だと駅員に背中を押してもらっても乗り込めず、次の電車にしてください、と駅員に言われる。 正しい時間に出勤しようにも物理的に電車に乗せてもらえないんだよっ。
オフィスよりも自宅のほうが仕事の環境としては、効率が高い。 システム環境から言っても、会社からはシステムの安定性だとか枯れたシステムだとかなんだかで古いシステムを与えられている。 PCのメモリ容量が少ないのは、安定性とは関係ないと思うけど・・・。 それに対して、僕の自宅システムはお金に糸目をつけずに、現在考えられる最強のシステム構成になっている。 システム的には自宅のほうが圧倒的に環境が優れている。
ゴールデンウィーク明けから、僕らは新しいオフィスに移転した。 オフィスそのものは新築だし、いろいろ考えて設計されたと考えられ、居心地は悪くはない。
だが、新オフィスには決定的な不便さがある。
毎日、帰宅前に完全に机からモノを片づけなくてはならないのである。 セキュリティー対策。 でも、これはかなり不便。 仕事に使っているPCや資料、加えて諸々の一切合切をいちいち鍵のかかるロッカーに納めなくてはならない。 机の上には、紙一枚も残してはならない。 ロッカーは自席からは離れている。 毎朝、毎晩、遠いロッカーと自席の間で荷物を運ばなくてはならない。
帰宅時には、いちいちPCをセットダウンし、資料を片づけ、離れたロッカーに片づけて鍵をかける。 出社したらロッカーから仕事道具一式を持ち出してセットアップ。 コンセントに何本もの電源を繋ぎ、LANケーブルを繋ぎ、資料を机の上に並べる。 これだけで10分くらいは無駄が生じる。 仕事用のPCには何重ものプロテクトをかけているし、ファイルは暗号化しているし、PC本体もワイヤーで括り付けている。 そもそも僕は、重要ファイルはオフィスに置き去りにはしない。 僕はオフィスのセキュリティーすら信用していないくらいに用心深い。
でも、いちいちいちいちいちいちいちいち毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日、片づけなくてはならないのである。 机の上に置いてあるものは全て撤去する、とのこと。 どうして、机の下に鍵付きのムービングキャビネットを置く、くらいの発想にならないのか? 僕は、いちいちいちいちいちいちいちいち毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日、ロッカーから仕事道具一式を取り出して、何もない机を仕事ができる環境に整える。 ああ、時間の無駄だ。
机の上に何を置いておくと警告されるのか、撤去されるのか、について実証実験を行った。 第一日め。 卓上カレンダー。 見事に撤去。 第二日め。 ボールペンを机の隙間のわかりにくい場所に置いてみる。 見事に撤去。 第三日目。 机の裏にNASを貼り付ける。 見事に警告。 勝手に会社のネットワークにいらんものを繋ぐな、とのこと。 机の裏まで気付くか・・・・。 実証実験の結果、机の上は、いちいちいちいちいちいちいちいち毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日、完全に片づけなくてはならない事が判明。
会社側に文句を言いたいけれど、コンサルティングファームはマンションの自治会とか生徒会に近いガバナンス。 文句を言おうにも自分自身が文句を言う対象、というか権力者なのである。 机の上に置いた僕の私物を撤去するのは、指示に従っているだけの契約社員なので、文句を言ってもしかたがない。 僕自身がルールを設定した側なのである。
オフィスがあまりにも不便なので、自宅でお仕事。 自宅なら、資料は手許に置いておいても良いし、PCを片づけなくてもよいので仕事がはかどる。 顔を合わせなくてはならないディスカッションやミーティングを除くと、在宅勤務のデメリットはあまり感じない。 そもそも、ホテリングシステムだとかなんだとか言って、固定席がないコンサルティングファームにとっては、自分のプロジェクトチームのメンバーがどこの席で仕事をしているのかもわからない。
僕が朝、出社して最初にやることは、自分のプロジェクトのメンバーがどの席で仕事をしているかを確認することである。 毎日、席が変わるのでどこにいるかを確認しなくてはならない。 僕の席は固定席なのだけれど、スタッフの席は早いモノ勝ちシステムの椅子取りゲーム。 毎日、居場所が変わる。
オフィスを巡回して、僕のチームメンバーがどこにいるかを確認する。。 「おうっ」、「うぃーっす」、「おうっ」、「うぃーっす」、「おうっ」、「うぃーっす」、「おうっ」、「うぃーっす」、「おうっ」、「うぃーっす」、「おうっ」、「うぃーっす」、「おうっ」、「うぃーっす」、「おうっ」、「うぃーっす」、「おうっ」、「うぃーっす」、「おうっ」、「うぃーっす」、「おうっ」、「うぃーっす」、「おうっ」、「うぃーっす」、「おうっ」、「うぃーっす」、「おうっ」、「うぃーっす」。 自分のプロジェクトのメンバーではなくても、僕は声をかけるので、延々と挨拶は続く。 顔が見あたらないスタッフには電話確認。 「す、すいません。寝坊です」 俺様の巡回時間に出社してないだと? メッセンジャーは「取り込み中」のステイタスになっていたぞ。 何を取り込んでいたるんだ? ネエちゃん関係か?
自宅で「休暇扱い」で仕事をしていても、電話はじゃんじゃんかかってくる。 名刺に書かれた僕の電話番号はそのまま僕の携帯電話に転送される。 電話をかけてきた相手、クライアントは僕が自宅で酔っぱらっている事実に気付かないだろう、いや気付いてないといいなあ。 相手には僕がどこにいて、何をしているかはわからない。 メールでも電話でもメッセンジャーでも問題なく連絡が取れるので、僕が酔っぱらっているかどうかまではわからない(はずだ)。 だけど、僕は自宅で酔っぱらっている・・・・。 僕は、歩けないくらいにでろでろに酔っぱらっていても、受け答えは正常である。 酔っぱらっていても、脳は正常。 電話、メール、メッセンジャーくらいでは、僕がでろでろな事には気付かないだろう(であるといなあ)。
この文章を書いている最中もでろでろの状態だったのだけれど、クライアントから電話がかかってきた。 僕は、あたかもオフィスで普通に仕事をしているかのごとく応対した。 クライアントは、オフィスの直通電話へかけてきたのだろうけれど、電話は自宅ででろでろな僕に自動転送される。 クライアントは、僕が自宅ででろでろな状態であることに気付いていない・・・だろう。 シビアな内容のやりとりだったのだけれど、僕はでろでろ。 「うっせー、こっちは休暇中だ」、と思いつつも、サラリーマンらしく丁寧に対応。 大丈夫かなあ、いや、大丈夫なハズだ。 今まで酒で失敗したことは一度もない。
ミーティングとかディスカッションの際だけ出社すればいいんじゃないの?と思う今日この頃。 逆に言えば、休みがない。 東横線に「いつでも座れる権」があれば、倍くらいの電車賃を払ってもいい。
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