斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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2005年02月21日(月) |
ガキ偏重の日本のデジタルマーケット |
PDA、パソコン、携帯電話。 日本のデジタル機器はエンターテインメントにフォーカスしているように見える。 ビジネス利用、法人マーケットではなく、コンシューマー重視。 ガキマーケット偏重。
僕が、新しいPDA、パソコン、携帯電話を買ったら最初にやることは、アンインストール。 プリインストールされたエンターテインメント系のアプリケーションのアンインストールである。 僕にとって、日本製のPDA、パソコン、携帯電話は、必要とする機能は満たされず、必要としない機能は満載だ。
質問:Bluetoothがなぜ日本の携帯電話に搭載されないのか? 答え:女子高生にウケるアプリケーションがないから。
これが日本の実情である。 女子高生にウケるかどうかが、デジタル機器の製品企画時のマーケティング指標なのだ。 僕たちのような、ビジネス利用者は無視、ということらしい。 日本では、デジタル機器は、エンターテイメント性がないと機器は売れないと考えられているそうだ。 僕は、デジタル機器をビジネスの道具として使っている。 エンターテイメント性は必要ない。 だが、大人向けの機器があまりにも少ない。
新しい道具を手に入れるたびに、僕はひたすらアンインストール。 アンインストール。 アンインストール。 アンインストール。 自分の環境を構築するための作業の大半はアンインストールである。
ソニーはCLIEの生産を7月で中止するという。 僕は、CLIEが登場した時から、製品コンセプトに疑問を持っていた。 PalmOSの本来の特性と全く逆の製品だったからである。 PalmOSの良さは「軽さ」である(あった)。 軽いOSと軽いアプリケーション。 Palmは、不必要なモノはバッサリと切り捨て、軽く動作することが最大の良さだった。 だが、CLIEは、日本のマーケットに合わせ、エンターテインメント方向へと突き進み、重装備化していった。 PIMではなく、ゲーム機能、動画再生機能、音楽再生機能重視。 ビジネスの道具ではなく、モバイルエンターテインメント。 CLIEの中心機種にはビジネスユーザーがPHSカードを使って通信をするために必要とするCFカードスロットは、最後まで搭載されなかった。 ビジネスユーザーに対する何かの嫌がらせか? CLIEの死は、PDAマーケットの死であり、CLIEが悪かったわけじゃないけど。
PCに目をやると、日本ではWindowsXP Media Center Editionがどうのこうのという前に、ほとんどのPCは既にエンターテイメント機能満載になっている。 日本のPCメーカーはエンターテインメント機能を競っているようだ。 日本のPC市場において、TVチューナー、録画機能搭載はデフォルト。 パソコン屋では、余計なエンターテインメント機能が搭載されていない機種を探すほうが難しい。 僕が自宅で使用しているPCは、BTOで余計な機能を一切省いて組み立ててもらったノートパソコン。 メーカーブランドの製品は、ことごとく僕の求める機能と食い違っていたからだ。 僕は、余計な機能のついていない「素のPC」が欲しかった。 自分の欲しいアプリケーションやカードは自分で選択して、自分でインストールする。 僕は、CPUやメモリ、HDDのような基本性能は、最高のものを求める。 だが、余計なエンターテイメント機能が一切入っていないPCが欲しかった。 モバイル用はVAIO 505 Extrerme。 こちらも余計なエンターテインメント機能、アプリケーションは一切入っていない。 完全にビジネス仕様である。
日本のマーケットで製品が売れるためには、本当にエンターテイメント性が重要なのだろうか? デジタル機器にエンターテインメント性を求めない僕は、日本では少数派なのか? 僕は、余計な機能のついていない軽くて安定しているシンプルデジタル機器が欲しいんだけど。 僕がこんな事を言うと「アンタが特殊なんだよ」と返される。 「日本のユーザーは機能が満載じゃなきゃダメなんだよ。プリインストールソフトは多けりゃ多いほどいいんだよ。消費者は、数値で判断するから、性能をあらわす数字はでかけりゃでかいほどいいんだよ。誰もシンプルな製品なんて求めてないんだよ」
この辺りが日本マーケットの特殊性なのだろう。 デジタル機器に見る日本の「幼児性」とでもいうべきなのか。
日本のデジタル機器メーカーはもともと家電メーカーであり、ビジネスマーケットでは差別化ができなかった、という事情はわかる。 でも、日本のデジタル機器マーケットは、変な方向に向かっているとしか思えない。
僕は携帯電話にMP3の再生機能もMPEG4の再生機能も求めない。 Outlookとの連携機能のほうがずっと必要だ。
日本のデジタル機器メーカーはもう少し、ビジネスユーザーに目を向けて欲しい。 法人営業を強化しろ、と言っているのではない。 ビジネスコンシューマーマーケットだ。 僕が求めているのは、仕事の合間に遊ぶためのエンターテインメント性ではない。 純粋に仕事に使いたいのだ。 個人として購入するのだけれど、利用目的はビジネス、という潜在ユーザーがたくさんいる「はず」なのだ。 ビジネスコンシューマーを無視するな、と。 僕らのようなビジネスコンシューマーのほうが、そこいらのガキよりは金を持ってるぞ。
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