斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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2004年10月10日(日) |
sonarsound tokyo2004 |
10月9日、10日の2日間に渡って開催された「sonarsound tokyo2004」を見に行った。 初日は台風22号の影響で開催も危ぶまれたが、ぎりぎりのところで何とか開催。 初日は開演22時、終演6時。2日めは開演17時、終演23時半という体力勝負のイベントである。
散開したYMOが再結集したHuman Audio Spongeも出演者リストにある。 細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏の「YMO」の三人が揃う最後かも知れないライブ。 音楽史に残るライブとなるハズである。 Human Audio Spongeの出演は2日めのトリ。
初日は、ラップトップ(PowerBook)のHDDに記録された音源を再生しているだけのライブばかり。 四つ打ちのドラムンベースにノイズ。 どのバンドも同じ音に聴こえる。 実際、同じ音だ。 ラップトップのスタートボタンを押した後、演奏者は、何をやっているのだろう? チャットでもやっているのかな? どう見ても、演奏しているようには見えない。 正直言って、つまらない。 テイトウワの演奏?を観て、午前5時に退散した。
二日めは、生楽器やラップも入っているバンドが中心だった。 やっぱり、HDDから音楽を再生しているだけのライブじゃつまらない。 ライブで見る意味がない。 やっぱり肉体がないとね。
事実上の「YMO」であるHuman Audio Spongeのライブはすし詰め状態のなかで行われた。 オールスタンディングで満員電車状態。 身動き取れず。 ステージ前面では将棋倒し。 主催者が無制限に近い状態でチケットを売りさばいた結果。 運営最悪。 消防法違反。 会場では、中西俊夫(元プラスチックス、メロン)やクリス・ペプラーの姿を目撃。 他にも有名人、ミュージシャンは多数いたと思われる。
細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏が登場。 さすがにオーラがある。 三人が揃って立っているだけで、奇跡。 ゲストのギターは小山田圭吾。
ほとんどの曲はSketch Showのもの。 Sketch Show+Ryuichi Sakamoto=Human Audio Spongeなので、当然かもしれない。 危惧していたラップトップの再生のみ、の「演奏」は避けられた。 ラップトップ中心ではあるけれど、高橋幸宏は生ドラムも叩いていたし、細野春臣はきちんとベースを弾いていた(ドラムンベースにかき消され、細野春臣のベースの音は聴こえず。PAはアホか?)。 先日のニュース23で放送されたWar & Peaceも英語版が「演奏」された。 日本語版は最低の出来だったので、英語版で良かった。 テレビで見たときは、こんなもの「演奏」ではない、と思ったが、ほとんどの曲はきちんと「演奏」されていた。 Riot in Lagosのイントロが響いた時は、不覚にも感動モノだった。 アンコールでも二曲演奏。 10月10日の体育の日なので、「Taiso」を期待していたが、さすがに演奏されなかった。 アンコールを聴いていたら、終電を取り逃してしまった。 でも、伝説となるライブなのだ、タクシー代など惜しくはない。
HDDレコーディングは楽器が弾けないミュージシャンに対する音楽表現の敷居を劇的に下げた。 センスさえあれば、誰でも音楽制作ができる。 コピペで音楽制作ができる時代になった。 ハードウエアもソフトウエアも安価だし、操作も簡単である。 でも、ワンパターンだなあ。 音楽制作の敷居が低くなったのは良いことだけど、その影響でプロのミュージシャンの表現力まで落ちているのは良くない。 純粋に音楽として見た場合のレベル低下は大きい。 センスまでコピペしてどうする。
僕は「たまたま」鍵盤楽器でも弦楽器でも演奏できるし、3歳からピアノを習っていたおかげで絶対音感もある。 挫折したものの、高校2年までは音大を目指していたので、音楽理論もわかる。 楽譜も読めず、楽器も弾けないミュージシャン。 従来の音楽表現につきものの長期に渡る訓練がなくなり、センスだけで音楽表現ができるようになったことは大変素晴らしいことだ。 でも、コピペだけで音楽が制作できるようになった結果、同質の音しか存在しなくなった。 楽器の演奏ができないミュージシャンの作品は概してつまらない。 たぶん今は音楽にとって、過渡期なのだろう。 HDDレコーディングが主流になり、成熟すれば、新たな変化が起きるのかもしれない。
僕にとっては、ライブやっぱり生楽器が入ったほうが、見ていて、聴いていて楽しい。 生演奏のスリル感がないと、聴いていて面白くない。 HDDから再生しているだけでは、会場の雰囲気に合わせたノリも出ない。
やっぱり音楽は肉体がないとダメ。 テクノとは言え、テクノロジーだけではなく、テクノロジーと肉体が融合してはじめて音楽として、ライブとして成立する。
そろそろ僕もバンドを再開したいな。
■sonarsound tokyo2004 http://www.sonarsound.jp/
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