斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
β版
目次 | <<前へ| 次へ>>
2004年10月04日(月) |
パラリンピックがオリンピックを抜く日 |
昨日、オリンピックの遺伝子ドーピングによる「コーディネイター化」について書いた。 次は、パラリンピックである。
パラリンピックは将来、サイボーグ化が問題となるかもしれない。 攻殻機動隊でも義体化技術の進展はパラリンピックとナノテクノロジーの進化によるもの、という設定になっている。
今後のオリンピックが遺伝子ドーピングによるコーディネイター化が問題になるとすれば、パラリンピックはサイボーグ化が問題になる。 僕は、パラリンピックの義手や義足に関するレギュレーションがどうなっているのかは知らない。 テレビで見る限り、競技専用の義手や義足を使用しているようである。 だが、モーターを使ったような部分義体的な義手、義足は見当たらない。 レギュレーションがあるのだろうか?
もし、パラリンピックの義手、義足のサイボーグ化がレギュレーション上許されるのならば、パラリンピックに出場する選手のサイボーグ化が進むだろう。 ロボットテクノロジーを活用したパワースーツ。 ナノテクノロジーを活用した生体と一体化したパワード義手、義体。
パラリンピックは障害者のスポーツに加えて、サイボーグテクノロジーの大会になる。 遺伝子治療をほどこした生体のオリンピックと機械と生体の融合を試みるパラリンピック。
パラリンピックは肉体とテクノロジーを競う大会になる。 人間の能力とテクノロジーの限界に挑むスポーツという点ではモータースポーツと同じだ。 F1やMOTO GPに代表されるモータースポーツは人間の能力とテクノロジーが融合したスポーツだ。 そして、レースの成果は市販車の開発にフィードバックされる。
パラリンピックでサイボーグ化を認めることは、障害者を実験台にする、という点で、不謹慎、倫理に反する、ということになるのだろう。 障害者が健常者よりも強くなる事に対しては、倫理的に問題になる。 おかしい。 パラリンピックがサイボーグ技術の実験場になれば、サイボーグ技術の進化が加速するのは間違いない。 そして、サイボーグ技術の大会となったパラリンピックで得られた成果は、確実に障害者が通常生活を行うための義体化技術にフィードバックされる。 既に神経系と義体をつなぐための技術は芽を見せている。 障害者が障害者でなくなる可能性を秘めている。
僕は、オリンピック、パラリンピックを人間の肉体の限界に挑戦する大会にとどまらず、テクノロジーの限界に挑戦する大会にしていくことも考えても良いのではないか、と思う。 クルマだって、バイクだってレースで進化してきた。 人間だって、オリンピック、パラリンピックで進化しても良いではないか。 オリンピック、パラリンピックが見て楽しむスポーツから、人類の生活をより良くするための大会、と変化していくことも検討してもよいのではないか? オリンピック、パラリンピックは、オリンピック精神に基づく生身の人間の大会だ、と言うのであれば、遺伝子ドーピングをほどこしたオリンピック、サイボーグ技術を活用したパラリンピックが別大会として存在しても良いのではないか? オリンピック、パラリンピックは僕らノンアスリートにとっては、見て楽しみ、感動し、涙することはあっても、実生活の改善には何ら貢献していない。
近い将来、パラリンピックの記録がオリンピックの記録を抜くことになるかもしれない。 僕は、それはそれで良いのではないか、と思う。 こういう考え方って、やっぱり「倫理的」に問題なのかな。
■ロボットスーツ HAL(Hybrid Assistive Limb) http://sanlab.kz.tsukuba.ac.jp/HAL/index.html ■議論呼ぶ、生体組織と無機物を合体させたマイクロマシン研究(上) http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20040226301.html ■議論呼ぶ、生体組織と無機物を合体させたマイクロマシン研究(下) http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20040227304.html
目次 | <<前へ| 次へ>>
|