斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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2004年07月28日(水) |
ラーメンの街、六本木 |
僕は、就職上京組である。
僕は、関西の大学を卒業した。 生まれも育ちも関西である。 関西からほとんど出たことのなかった僕は、勤務希望地も全て関西にしておいた。 第一希望、神戸、第二希望、京都、第三希望、大阪。 関東は一切希望していない。
でも、辞令は六本木の本社勤務だった。 学生時代の僕にとって、東京は縁のない街だった。 でも、僕の勤務地は六本木だった。 本社の宣伝部に配属されたので、関西勤務はありえなかった。 上京してしばらくは東京と言えば、六本木しか知らなかった。 そして、僕は数年間を六本木で過ごした。
六本木には、「青山ブックセンター」、「六本木WAVE」という僕にとってはパラダイスとしか言いようのない、本屋、CD屋があった。 関西にはなかったタイプの店だ。 僕は、意外にも簡単に六本木に馴染んでしまった。
青山ブックセンターは決して大きな本屋ではなかったけれど、僕の読みたい本がずらりと並んでいた。 僕は青山ブックセンターでは何時間でも時間を過ごす事ができた。 毎回、1万円以上の本を買っていた。
そして、六本木WAVE。 これまた、量で勝負のCD屋ではなかった。 店員が書いたと思われる、手書きの「お薦め文」を読むのが好きだった。 僕は、知らないアーティストだろうが、なんだろうが、気合いの入った「お薦め文」が書いてあるCDを片っ端から買っていた。
僕にとっての六本木は「青山ブックセンター」であり、「六本木WAVE」だった。 でも、今はどちらも存在しない。
今のオフィスは青山なので、表参道あたりが遊び場になるのだけれど、未だによくわからない。 赤坂はだいぶわかるようになってきたけれど、銀座とかに行くと未だに道に迷う。
僕は、新しい店を開拓するタイプではなく、気に入った店に入り浸るタイプなので、表参道の「Hanako」あたりで紹介されているような店には縁がない。 表参道に全く行かないワケではなく、人に連れられて行く事は多いのだけれど、表参道周辺のお店は妙に洗練されていて、イマイチ楽しめない。 僕のような就職上京組の関西人には向かない。
なので、僕は会社の人と表参道で飲んだ後、西麻布に逃げる。 そして、最後は六本木にたどり着く。
六本木に行く目的は、ラーメン屋とカラオケボックスである。 「青山ブックセンター」、「六本木WAVE」のない六本木に向かう目的はラーメンを食べるか、激安のカラオケボックスに行くくらいしかない。
気がつくと、六本木はラーメン激戦区になっていた。 もはや遊び場ではない。 今の、僕にとって六本木にお気に入りの店は一軒もない。 みんな潰れた。 僕にとっての六本木は今や、ラーメンの街なのだ。
僕は、飲んだ後の「シメ」として、ラーメンを食すために六本木に向かう。 麺バリを食べるための「天鳳」、ハリガネを食べるための「一風堂」、薩摩揚げを食べるための「ざぼん」、学生時代のジャンク気分に浸るための「天下一品」、化学調味料満載でウンチクだらけの「一蘭」。 でも、僕が一番好きだった「大八」はもうない。
僕にとってのかつての六本木の姿はもうない。 僕が好きだったバーはみんな潰れた。 「青山ブックセンター」も「六本木WAVE」ももう存在しない。
僕は、飲んだ後のシメのラーメンを食べるためだけに六本木に向かう。
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