斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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2004年02月16日(月) |
個人が家電メーカーになれる時代が来た |
あまりにも予想通りというか、象徴的というか・・・。
元デル、アキアの社長だった飯塚克美氏が液晶テレビの会社を設立した。 この飯塚氏は、デルで学んだファブレスというか製品の企画のみを自前で行い、製造は外部に任せるビジネスモデルでアキアというPCメーカーを設立した人物である。
アキアは残念ながら、カシオに吸収されてしまったが、目の付け所はワンパターンではあるが、正しい。
今は亡きアキアは、高級だけど安いPCを販売していたメーカーだった。 メーカーという言葉は正しくないかもしれない。 自分のところでは製品企画とマーケティングのみを行い、製造は外部委託だったから。
パソコン業界はいわゆる水平分業型業界の典型である。 パソコンを構成するパーツは完璧に標準化されているため、かき集めてきた部品を組み立てるだけで、自分が「メーカー」になれる。 極端な話、一人でもパソコンメーカーになれる。 設計から販売まで、ぜーんぶ外注すれば良い。 自分は企画というか、コーディネイターというか、調整をしてれば良い。
今では、ショップブランドのパソコンなんて、ごくごく当たり前の風景となった。
そして、今度は液晶テレビである。 家電業界はかつて基本的に垂直統合型の業種であった。 自社でR&Dから製造、マーケティング、販売までのすべてをまかなっていた。 アナログ家電の時代の話だ。
家電のデジタル化にともない、家電製品のコンポーネントは急速に標準化が進んでいる。 そして、もっとも利益を得るのは、最終製品を製造・販売するメーカーではなく、液晶パネル等を製造するコアコンポーネントを製造する企業である。 いわゆるバリューチェーンのスマイルカーブ。
とうとう、誰でも液晶テレビメーカーになれるかも知れない時代がやってきたのだ。 ショップブランドの液晶テレビはいつでてきてもおかしくない。 限りなく個人レベルでもテレビメーカーになれる。 NTTコミュニケーションが液晶テレビを発売、HPが、DELLが・・・。 そして、元アキアの飯塚氏が。
まもなくDVD/HDDレコーダーもショップブランドで登場することだろう。
自分では製品の企画とマーケティングだけを行う。 設計も製造もデザインも外注。 ロジスティックスは物流会社に、宣伝は広告会社に、販売は販売店に。
デジタル家電は、間違いなく従来の家電業界のビジネス構造をぶち壊す。 製品企画力、マーケティング力、SCMの構築能力。 インフラや資金がなくとも、企画力や、構想力があれば、既存の大手メーカーを凌駕する家電メーカーになれる。
ベンチャー小僧が溢れかえった、ネットバブルはハタから見ていても、あまりにもお粗末なブームでしかなかったけれど、デジタル家電バブルは本物だ。 そして、家電業界、コンピュータ業界を巻き込んで、大荒れの時代がやってくる。 そして、そこには巨大企業にまぎれて、第二のDELLが生まれる可能性を秘めている。
その象徴として、今度は飯塚氏には失敗せずにがんばって欲しいと思う。
■飯塚元アキア社長が液晶テレビメーカー「バイ・デザイン」設立 −60万円以下の40V型など4モデル http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20040216/bydsign.htm
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