斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
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2003年07月06日(日) |
雑誌の役割は読者にとって「興味のない」情報を提供すること |
書店における「デジタル万引き」の記事を読んでいて、自分の雑誌の読み方が以前とは変わってきていることに気づいた。 デジタル万引きとは、雑誌の記事をデジカメやカメラつき携帯で撮影することである。
僕は、自分にとって「興味のない」記事を読むために雑誌を買う。 「興味のある」内容であれば、インターネットで調べれば済むことだからだ。 デジタル万引きの記事を見てみると、「撮影の対象は主に情報誌。映画の上映時間や飲食店の紹介、料理のレシピなどが多い」と、ある。 今や、情報誌はデジタル万引きなど関係なく売れるはずのないものだ。 この程度の情報であれば「能動的」にネットで調べればすぐに答えは見つかる。 情報誌など全く必要ではない。 必要なのは「能動的」に調べるつもりのない情報、「受動的」に受け取る情報である。
僕の愛読雑誌は「日経ビジネス」と「SPA」である。 「日経ビジネス」はおやぢ向けの雑誌なので、僕には興味のない話題が満載である。 じじい向けの玄米健康法とか。 「SPA」は世代的には合致しているが、自分とは同世代でありつつ何の接点もない「普通の」のサラリーマン情報が中心。 クルマの特集がカローラスパシオだったりするような雑誌だ。 自分からは絶対に求めないような情報が出ているからこそ、僕は毎週読む。 興味がある話題なら自分で調べる。 雑誌は今まで自分が興味がなく、かつ面白いネタを提供してくれるからこそ存在価値がある。
今の雑誌に求められていることは、一般の読者が興味のない話題を提供することなのだと思う。 ただし、単純につまらないネタだと誰も読まない。 その辺の匙加減が難しそうである。 今まで興味はなかったのだけれど、中吊りを見てビビっと来た、みたいな。 「SPA」はそのあたりのツボのつきかたがうまい。
いわゆる「情報誌」は難しい。 雑誌を買わなければ得られない情報など、ほとんどない。 TVガイド誌もグルメ記事もインターネットに比べて紙媒体の雑誌に優位性はない。 書店に平積みにされた「ぴあ」、「東京ウォーカー」、「テレパル」、「TVブロス」などを見て、一体誰が買うのかな?といつも疑問に思う。 デジタル万引きなんてしなくても、ネットで検索すれば済むことなのにね。
雑誌協会の人は、雑誌が売れなくなっている理由はデジタル万引きではなく、構造的なものだということに、気づいたほうが良い。
■書店で「デジタル万引き」横行 雑誌協会が対策に着手 http://www.asahi.com/culture/update/0706/001.html
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