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2003年04月15日(火) 日本企業の皆さん、知的所有権はタダじゃないんですけど・・・

僕はクライアントへの報告書の納品はプロテクトをかけたPDFで行なう事にしている。
パワーポイントやワードで納品するとコピペされて流用されまくるからだ。
ちょっとしたイジワル。

展示会の講演のプレゼンテーションやウェブサイトを見ていると、「おいっ、これってもともとは僕が作った資料じゃねーかよっ!」という事が時々ある。
僕らが徹夜につぐ徹夜で、ようやく仕上げた資料が他人の著作物として出回っているのである。

これは、僕が愚かにもパワーポイントやワードのコピペ流用可能なデジタルデータで納品をしてしまっていたからである。
もちろん、契約書上はきちんと知的所有権の取り扱いについて明記している。

だけど、ここは日本だ。
「まあまあ、そうは言っても」なのである。

現実にはデジタルデータとして納品したら最後、知的所有権も何もあったもんじゃない。
契約書に何と書いてあろうが、コピーライト表示をしていようが関係ない。
ガンガン、コピペされまくる。
こちらもクライアントに対してはなかなか強く出られない。
一応は客商売だし。
そうするとコピペが一切できないように、プロテクトをかけたPDFで納品するしかない。
せめてもの防衛策だ。

コンサルティング契約では成果物の著作権はクライアントとコンサルティングファームの両者に帰属することになっている。
クライアントに全て著作権が与えられるわけではないのである。
コンサルティングファームは知的所有権を「絶対に」放棄しない。

知的所有権を放棄するってことは、あるクライアントのプロジェクトで考えついたネタは一切横展開できない、って事になる。
と、するとコンサルティングファームは全てのプロジェクトで、過去の知的資産のレバレッジを一切生かせないことになる。
全てゼロから考える事になる。

コンサルタントはクライアントやプロジェクトについての守秘義務は絶対に守る。
でも、ネタは流用されるのである。
もし、ネタを流用せずに、全てをゼロから考えていたら、「企業としての」コンサルティングファームには何の価値も無い。
コンサル本にはゼロベース思考と書いてあるけれど、思考がゼロベースであってもネタはゼロベースではない。
本当にゼロから毎回プロジェクトがはじまる度に考えているとしたら、アホである。

コンサル慣れしていないクライアントは常に、知的所有権は全て自社に帰属させたがる。他には一切流用しないでください、みたいな契約を結ぼうとする。
その割に、自分達のプロジェクトには他のプロジェクトでの成果を流用して欲しい、などと言う。
そこが御社の強みじゃないですか、的に。

日本企業の皆さん、知的所有権はタダじゃないんですけど・・・。




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